「つかさの恩返し」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

つかさの恩返し」(2023/05/22 (月) 06:50:19) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

家族の縁は、切っても切れないものなのかな? 最近、そんな些細な疑問が頭の中をよぎる。 理由は多分……お姉ちゃんに恋人が出来たこと。 お相手は前々から仲の良かった、こなちゃん。 こなちゃんが告白をしたことから、お姉ちゃんの内に秘めていた想いが爆発し、二人はとてもラブラブなカップルになった。 だけど、二人が付き合い始めてから……お姉ちゃんの、私への関心は薄れていくばかりで、こなちゃんのことを何より一番に考えるようになったみたい。これはあくまで私の見解だけど、ある意味当たり前なんだよね。 でもね、これは妹として。お姉ちゃんが取られちゃうのは、ほんのちょっと、寂しかったりするな……。 ――――。 「かーがみん!」 「こらっ、こんなとこでくっつくな!」 「じゃあ家ならいい?」 「家でもダメっ!」 「とか言いつつ、内心は期待に膨らむかがみんであった」 「へ、変な考察を入れるなっ!」 今日も私のクラスでは、仲睦まじく二人がじゃれ合う。私とゆきちゃんはそれを傍観して笑う。 チラッとゆきちゃんの方を見ると、目が合って会釈を返された。 私達にも、いつかあんな風に付き合える時が来るのかな? ……人にはそれぞれの付き合い方がある。例えそうだとしても、私は内心で少し嫌な焦り感じてしまった。 「柊ぃ!」 そんな空間に響く、新しい声。そちらへ振り返ると、お姉ちゃんのクラスメイトさんが手を振っていた。 「あ、みさきちじゃん」 「日下部? いきなりどうしたのよ」 「聞いてくれよぉ。あやのが、あやのが……」 「な、何よ?」 涙目で話すに日下部さんに、お姉ちゃんは困りながら、こなちゃんは唖然としながら対応している。それにしても、一体どうしたんだろう? 「あやのがな…」 「うんうん」 「私より兄貴を選んだんだよー!」 「……はい?」 お姉ちゃんとこなちゃんは口を開けてポカンとしている。私もだけど……。 「ち、ちょっと……意味が分からないんだけど?」 「かがみんに激しく同意」 心の中で、私も同意する。 「だーかーらー!」 「だから、何よ?」 「あやのにな、私と兄貴のどっちかを選べって言ったんだよ。じゃあさ、あやのが兄貴を取るって……」 「私にはあんたの質問の意図が分からんわ……」 ここにきて、日下部さんの質問に何か共感が湧いた。私が抱いている疑問。 私かこなちゃん……2つに1つなら、お姉ちゃんはどちらを選ぶだろう? 「はぁ……峰岸も本気じゃないわよ。どうせあんたが自分を選んでもらえるようにしつこく聞くから、峰岸が愛想をつかせたって感じでしょ?」 「うっ!?」 「図星か、みさきち。格好悪……」 二人に責められて、日下部さんの表情は益々曇り出してくる。でも、自分が選んでもらえるって希望があるだけ、まだ潔いよね。 「う、うるさいなっ! あっ、そうだ!」 「な、何?」 「フフフ、柊よ……。もしちびっこと妹が海で溺れてたとしたら、柊はどっちを助ける?」 予想外の展開。まるで日下部さんが、私の心を読んだかのごとくの、核心を突く質問だった。 「はぁ!? そんないきなり……」 「さぁさ、答えてみろよー」 日下部さんは、してやったりといった表情をしている。お姉ちゃんは私とこなちゃんの顔を交互に見比べる。いきなりの事で、対応に困った感じ。 バツが悪そうな表情と視線、そして暫く続いた沈黙が、何より怖かった。 ……だって、こなちゃんを選ぶに決まってるから。 かなり時間をおいた結果、お姉ちゃんはゆっくりと口を開いた。 「き、決まってるじゃない! 両方よ」 「はぁ!?」 「ふぇ!?」 驚きで、私まで間の抜けた声を出してしまう。 お姉ちゃんが…私を選んでくれた? 100パーセントの確率でこなちゃんだと予想していた私には、まさに大判狂わせ。 「むふふー。馬鹿じゃないの、みさきち。かがみは両方助けるに決まってるじゃん!」 それを当たり前かのように言ってのけたのがこなちゃん。な、何で自信満々なの? 二人はお互いが一番大事なハズじゃ……。 「う、嘘つくなよー!」 「嘘じゃないよ。だって私がそうだとしても、かがみもつかさも両方助けるから」 「う……」 これまたビックリ。まさかこなちゃんまで、私を? 「あ、でもね。どっちと結婚するって聞かれたら、迷わずかがみを選ぶよー!」 「わ、私だって…………って、バカっ! 大声で何言わせっ……」 「こらー! ちびっこ!! 柊から離れろー!!!」 お姉ちゃん争奪戦が繰り広げられる中、考える。 そうか、私が変に勘違いしてただけか、と……。 そう納得しながらも、心には何かモヤモヤが残っていた。 ――――。 放課後。こなちゃんは補習授業、ゆきちゃんは委員会で共に居残りをさせられ、今日はお姉ちゃんと二人で帰ることになった。 姉妹と言うだけはあり、晩ご飯や昨夜見たテレビの話題なんかで盛り上がる。 そして私が次に、宿題の話をしようとした時だった。 「つかさ。さっきの質問のこと、なんだけどね」 「え?」 お姉ちゃんから、さっきのあの話題について話を出して来た。その瞬間、胸の中に再びモヤモヤが広がる。 「日下部の質問。私が二人共助けるって言ったやつよ」 「あ、うん」 今ここで話題を掘り返すくらいだから、やっぱり何か言い残したことがあるんだよね……。 「私ね、お姉ちゃんなら必ずこなちゃんを選ぶと思ってたよー。まさか意外だったなぁ」 「へ?」 自分も選んでくれたこと、本当はとても嬉しかったのに、素直に受け取れない自分に腹が立つ。 本当は聞きたくない、だけど、こなちゃんを何より先に助けたいのが、お姉ちゃんの気持ちなんだよね。 覚悟を決めて、私はネガティブ一直線を突き進むつもりだった。 「あんた、バカじゃないの?」 「えぇ!?」 それなのに、何故か馬鹿って言われた。何だか、予想より変な感じに傷つく。 「こなたは私にとって、とても大切な人なの」 「それは凄く分かるよ」 「そう。じゃあ、つかさもこなたと同じくらい大切だし、大事に思ってるっていうことは、分かるわよね?」 「……?」 いや、分からない。 だってこなちゃんとお姉ちゃんは恋人でしょ? レベルが違い過ぎるよ。 「分からないって顔してるわね。なら分かり易く言ってあげる」 「うん……」 分かり易く?まさか殴られたり……しないよね、うん。身を強張らせながら、お姉ちゃんの言葉を待つ。 「つかさは、私とみゆきのどっちが大事?」 「……あ」 これは……本当に分かり易い説明だった。 「そういう事よ」 「……そっか、そうだよね。私が馬鹿だったよ」 こんな愚問に、何故私は振り回されていたのか……。お姉ちゃんに、とても失礼なこと言ったんだから……馬鹿呼ばわりされても仕方ない。 「ごめんなさい……」 「あははっ。分かればいいわよ」 手をヒラヒラとさせながら笑ってみせたのは、やっぱり私のお姉ちゃんだった。 「それでね、これは余談だけど……」 「何?」 「私にとって大事なものは、自分自身でもあるの」 「……自分?」 「そう。姉としての柊かがみ。友達としての柊かがみ。恋人としての柊かがみ。対象者は変わるけど、全部大事な自分だから」 ちょっと話が難しいけど、お姉ちゃんの言いたいことは分かる気がした。 「これはただのエゴかもしれない。それでも……」 「それでも?」 「こなたは、そんな私の全部が好きだって、言ってくれたから」 そう言ったお姉ちゃんの微笑みは、とても優しくて……幸せに満ちていた。 その表情に、私まで嬉しい気持ちに……笑顔になる。 「そっか、えへへ……」 「何よ? 変な笑い方しちゃって」 「うーんと……お姉ちゃんは、守るものが沢山あって大変だなーって思っただけ」 お姉ちゃん目を大きく見開いて、いきなりの言葉に驚いていたけど……最後には、私の真剣な表情に吹き出して笑ってくれた。 「……あぁ、本当ね。全く」 つられて私も笑う。二人してひたすらに笑い合う。 私の馬鹿げた不安も、このままどこかへ飛んで行っちゃえば良い。 だってね。お姉ちゃんが、こなちゃんも私も同じくらい大切に思ってくれていることが、分かったから。 ――ありがとう、お姉ちゃん。 ――――。 「私ね」 「うん?」 「お姉ちゃんとこなちゃんが付き合ってくれて良かった」 「な、なんでいきなり!?」 いきなりも何も、私は前々からこなちゃんとお姉ちゃんはお似合いだって思ってたんだから。 まさに、お互いに愛し、愛されるべき存在だと思う。 「こなちゃんがお姉ちゃんを好きになった理由、良く分かるなー」 「ば、ばかッ……」 夕日に照らされたお姉ちゃんの頬。赤みが増していくのがすぐに分かった。 だからツンデレって言われるんだよ。 「結婚式、スピーチするからね」 「あ、あんたはしなくていいっ!」 ……他の人ならいいんだ。気が動転してるのか、結婚式について突っ込みは無かった。うん、やっぱり私がやらせてもらおう。 「よーし! 私も……ゆきちゃんに、もーっと好きになってもらえるようにならなくちゃ!」 「あんた……大胆ね」 「えへへ、そうかな?」 だって、嬉しさが止まらない。堪らなくなって走り出す。今なら、ゆきちゃんの家にだって走れるよ。……たぶんだけど。 「こら! 危ないから走らないのっ! 転ぶわよ?」 「えへへっ、大丈夫だよ」 転けても怖くない。 私には守ってくれる、私のことを考えていてくれる、強い味方がいるから。 私はまだまだ弱い。だけど私は私なりの方法で、その人達に恩を返すんだ。だからね、まずは…… 明日、大好きなゆきちゃんと、二人のお姉ちゃんの為にお弁当を作って行こう。 ――これが私の、最初の恩返し―― おわり。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - つかさガンバ! -- かがみんラブ (2012-09-15 03:21:41) - 風俗店を探よりココ!!男性は報酬あり!(*´д`)ノ http://b8y.in/ -- 知絵 (2012-07-01 11:24:13) - 2人のお姉ちゃん… &br()じゃあこなかが&つかみゆのなら4人が姉妹に…? &br()…おぉぉ(*´Д`*) -- 名無しさん (2010-09-07 01:39:33) - 鬥个些巴衣依火鵺 -- 亜ん派ん嘛ん (2010-08-11 02:29:36) - 二人のお姉ちゃんて…… まあ事実だがww -- 名無しさん (2010-06-18 00:03:16) - ええこやわ~ &br()こなかがも友達思いな2人でんな~ &br() -- 名無しさん (2009-10-17 21:14:05) - ああ…こなかが以外の視点のこなかが作品というのもいいですね。なんだかすごくいい話(。・ω・。)  -- 名無しさん (2009-02-21 10:01:04) - つかさ…なんて健気ないい子なんだ。 &br()でも自分のSSだと扱い悪い気がします。 &br()ごめんよ、つかさ。 &br()GJでした! -- 1-500 (2008-09-15 21:25:28) - 健気な子ですね。涙出てきた(´;ω;`) -- naniw (2008-09-12 23:03:08) - 健気な子デスネ。(;_;) -- 無垢無垢 (2008-09-12 02:25:48) - ホントいい子やわ・・・(´;ω;`) -- 名無しさん (2008-09-10 16:25:33) - つかさ ええ子や(T_T) -- 名無しさん (2008-09-10 09:47:59) - つかさはいい子←結論 &br() &br()GJな作品ごちそうさまでした -- 名無しさん (2008-09-10 09:01:23)
家族の縁は、切っても切れないものなのかな? 最近、そんな些細な疑問が頭の中をよぎる。 理由は多分……お姉ちゃんに恋人が出来たこと。 お相手は前々から仲の良かった、こなちゃん。 こなちゃんが告白をしたことから、お姉ちゃんの内に秘めていた想いが爆発し、二人はとてもラブラブなカップルになった。 だけど、二人が付き合い始めてから……お姉ちゃんの、私への関心は薄れていくばかりで、こなちゃんのことを何より一番に考えるようになったみたい。これはあくまで私の見解だけど、ある意味当たり前なんだよね。 でもね、これは妹として。お姉ちゃんが取られちゃうのは、ほんのちょっと、寂しかったりするな……。 ――――。 「かーがみん!」 「こらっ、こんなとこでくっつくな!」 「じゃあ家ならいい?」 「家でもダメっ!」 「とか言いつつ、内心は期待に膨らむかがみんであった」 「へ、変な考察を入れるなっ!」 今日も私のクラスでは、仲睦まじく二人がじゃれ合う。私とゆきちゃんはそれを傍観して笑う。 チラッとゆきちゃんの方を見ると、目が合って会釈を返された。 私達にも、いつかあんな風に付き合える時が来るのかな? ……人にはそれぞれの付き合い方がある。例えそうだとしても、私は内心で少し嫌な焦り感じてしまった。 「柊ぃ!」 そんな空間に響く、新しい声。そちらへ振り返ると、お姉ちゃんのクラスメイトさんが手を振っていた。 「あ、みさきちじゃん」 「日下部? いきなりどうしたのよ」 「聞いてくれよぉ。あやのが、あやのが……」 「な、何よ?」 涙目で話すに日下部さんに、お姉ちゃんは困りながら、こなちゃんは唖然としながら対応している。それにしても、一体どうしたんだろう? 「あやのがな…」 「うんうん」 「私より兄貴を選んだんだよー!」 「……はい?」 お姉ちゃんとこなちゃんは口を開けてポカンとしている。私もだけど……。 「ち、ちょっと……意味が分からないんだけど?」 「かがみんに激しく同意」 心の中で、私も同意する。 「だーかーらー!」 「だから、何よ?」 「あやのにな、私と兄貴のどっちかを選べって言ったんだよ。じゃあさ、あやのが兄貴を取るって……」 「私にはあんたの質問の意図が分からんわ……」 ここにきて、日下部さんの質問に何か共感が湧いた。私が抱いている疑問。 私かこなちゃん……2つに1つなら、お姉ちゃんはどちらを選ぶだろう? 「はぁ……峰岸も本気じゃないわよ。どうせあんたが自分を選んでもらえるようにしつこく聞くから、峰岸が愛想をつかせたって感じでしょ?」 「うっ!?」 「図星か、みさきち。格好悪……」 二人に責められて、日下部さんの表情は益々曇り出してくる。でも、自分が選んでもらえるって希望があるだけ、まだ潔いよね。 「う、うるさいなっ! あっ、そうだ!」 「な、何?」 「フフフ、柊よ……。もしちびっこと妹が海で溺れてたとしたら、柊はどっちを助ける?」 予想外の展開。まるで日下部さんが、私の心を読んだかのごとくの、核心を突く質問だった。 「はぁ!? そんないきなり……」 「さぁさ、答えてみろよー」 日下部さんは、してやったりといった表情をしている。お姉ちゃんは私とこなちゃんの顔を交互に見比べる。いきなりの事で、対応に困った感じ。 バツが悪そうな表情と視線、そして暫く続いた沈黙が、何より怖かった。 ……だって、こなちゃんを選ぶに決まってるから。 かなり時間をおいた結果、お姉ちゃんはゆっくりと口を開いた。 「き、決まってるじゃない! 両方よ」 「はぁ!?」 「ふぇ!?」 驚きで、私まで間の抜けた声を出してしまう。 お姉ちゃんが…私を選んでくれた? 100パーセントの確率でこなちゃんだと予想していた私には、まさに大判狂わせ。 「むふふー。馬鹿じゃないの、みさきち。かがみは両方助けるに決まってるじゃん!」 それを当たり前かのように言ってのけたのがこなちゃん。な、何で自信満々なの? 二人はお互いが一番大事なハズじゃ……。 「う、嘘つくなよー!」 「嘘じゃないよ。だって私がそうだとしても、かがみもつかさも両方助けるから」 「う……」 これまたビックリ。まさかこなちゃんまで、私を? 「あ、でもね。どっちと結婚するって聞かれたら、迷わずかがみを選ぶよー!」 「わ、私だって…………って、バカっ! 大声で何言わせっ……」 「こらー! ちびっこ!! 柊から離れろー!!!」 お姉ちゃん争奪戦が繰り広げられる中、考える。 そうか、私が変に勘違いしてただけか、と……。 そう納得しながらも、心には何かモヤモヤが残っていた。 ――――。 放課後。こなちゃんは補習授業、ゆきちゃんは委員会で共に居残りをさせられ、今日はお姉ちゃんと二人で帰ることになった。 姉妹と言うだけはあり、晩ご飯や昨夜見たテレビの話題なんかで盛り上がる。 そして私が次に、宿題の話をしようとした時だった。 「つかさ。さっきの質問のこと、なんだけどね」 「え?」 お姉ちゃんから、さっきのあの話題について話を出して来た。その瞬間、胸の中に再びモヤモヤが広がる。 「日下部の質問。私が二人共助けるって言ったやつよ」 「あ、うん」 今ここで話題を掘り返すくらいだから、やっぱり何か言い残したことがあるんだよね……。 「私ね、お姉ちゃんなら必ずこなちゃんを選ぶと思ってたよー。まさか意外だったなぁ」 「へ?」 自分も選んでくれたこと、本当はとても嬉しかったのに、素直に受け取れない自分に腹が立つ。 本当は聞きたくない、だけど、こなちゃんを何より先に助けたいのが、お姉ちゃんの気持ちなんだよね。 覚悟を決めて、私はネガティブ一直線を突き進むつもりだった。 「あんた、バカじゃないの?」 「えぇ!?」 それなのに、何故か馬鹿って言われた。何だか、予想より変な感じに傷つく。 「こなたは私にとって、とても大切な人なの」 「それは凄く分かるよ」 「そう。じゃあ、つかさもこなたと同じくらい大切だし、大事に思ってるっていうことは、分かるわよね?」 「……?」 いや、分からない。 だってこなちゃんとお姉ちゃんは恋人でしょ? レベルが違い過ぎるよ。 「分からないって顔してるわね。なら分かり易く言ってあげる」 「うん……」 分かり易く?まさか殴られたり……しないよね、うん。身を強張らせながら、お姉ちゃんの言葉を待つ。 「つかさは、私とみゆきのどっちが大事?」 「……あ」 これは……本当に分かり易い説明だった。 「そういう事よ」 「……そっか、そうだよね。私が馬鹿だったよ」 こんな愚問に、何故私は振り回されていたのか……。お姉ちゃんに、とても失礼なこと言ったんだから……馬鹿呼ばわりされても仕方ない。 「ごめんなさい……」 「あははっ。分かればいいわよ」 手をヒラヒラとさせながら笑ってみせたのは、やっぱり私のお姉ちゃんだった。 「それでね、これは余談だけど……」 「何?」 「私にとって大事なものは、自分自身でもあるの」 「……自分?」 「そう。姉としての柊かがみ。友達としての柊かがみ。恋人としての柊かがみ。対象者は変わるけど、全部大事な自分だから」 ちょっと話が難しいけど、お姉ちゃんの言いたいことは分かる気がした。 「これはただのエゴかもしれない。それでも……」 「それでも?」 「こなたは、そんな私の全部が好きだって、言ってくれたから」 そう言ったお姉ちゃんの微笑みは、とても優しくて……幸せに満ちていた。 その表情に、私まで嬉しい気持ちに……笑顔になる。 「そっか、えへへ……」 「何よ? 変な笑い方しちゃって」 「うーんと……お姉ちゃんは、守るものが沢山あって大変だなーって思っただけ」 お姉ちゃん目を大きく見開いて、いきなりの言葉に驚いていたけど……最後には、私の真剣な表情に吹き出して笑ってくれた。 「……あぁ、本当ね。全く」 つられて私も笑う。二人してひたすらに笑い合う。 私の馬鹿げた不安も、このままどこかへ飛んで行っちゃえば良い。 だってね。お姉ちゃんが、こなちゃんも私も同じくらい大切に思ってくれていることが、分かったから。 ――ありがとう、お姉ちゃん。 ――――。 「私ね」 「うん?」 「お姉ちゃんとこなちゃんが付き合ってくれて良かった」 「な、なんでいきなり!?」 いきなりも何も、私は前々からこなちゃんとお姉ちゃんはお似合いだって思ってたんだから。 まさに、お互いに愛し、愛されるべき存在だと思う。 「こなちゃんがお姉ちゃんを好きになった理由、良く分かるなー」 「ば、ばかッ……」 夕日に照らされたお姉ちゃんの頬。赤みが増していくのがすぐに分かった。 だからツンデレって言われるんだよ。 「結婚式、スピーチするからね」 「あ、あんたはしなくていいっ!」 ……他の人ならいいんだ。気が動転してるのか、結婚式について突っ込みは無かった。うん、やっぱり私がやらせてもらおう。 「よーし! 私も……ゆきちゃんに、もーっと好きになってもらえるようにならなくちゃ!」 「あんた……大胆ね」 「えへへ、そうかな?」 だって、嬉しさが止まらない。堪らなくなって走り出す。今なら、ゆきちゃんの家にだって走れるよ。……たぶんだけど。 「こら! 危ないから走らないのっ! 転ぶわよ?」 「えへへっ、大丈夫だよ」 転けても怖くない。 私には守ってくれる、私のことを考えていてくれる、強い味方がいるから。 私はまだまだ弱い。だけど私は私なりの方法で、その人達に恩を返すんだ。だからね、まずは…… 明日、大好きなゆきちゃんと、二人のお姉ちゃんの為にお弁当を作って行こう。 ――これが私の、最初の恩返し―― おわり。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-22 06:50:19) - つかさガンバ! -- かがみんラブ (2012-09-15 03:21:41) - 風俗店を探よりココ!!男性は報酬あり!(*´д`)ノ http://b8y.in/ -- 知絵 (2012-07-01 11:24:13) - 2人のお姉ちゃん… &br()じゃあこなかが&つかみゆのなら4人が姉妹に…? &br()…おぉぉ(*´Д`*) -- 名無しさん (2010-09-07 01:39:33) - 鬥个些巴衣依火鵺 -- 亜ん派ん嘛ん (2010-08-11 02:29:36) - 二人のお姉ちゃんて…… まあ事実だがww -- 名無しさん (2010-06-18 00:03:16) - ええこやわ~ &br()こなかがも友達思いな2人でんな~ &br() -- 名無しさん (2009-10-17 21:14:05) - ああ…こなかが以外の視点のこなかが作品というのもいいですね。なんだかすごくいい話(。・ω・。)  -- 名無しさん (2009-02-21 10:01:04) - つかさ…なんて健気ないい子なんだ。 &br()でも自分のSSだと扱い悪い気がします。 &br()ごめんよ、つかさ。 &br()GJでした! -- 1-500 (2008-09-15 21:25:28) - 健気な子ですね。涙出てきた(´;ω;`) -- naniw (2008-09-12 23:03:08) - 健気な子デスネ。(;_;) -- 無垢無垢 (2008-09-12 02:25:48) - ホントいい子やわ・・・(´;ω;`) -- 名無しさん (2008-09-10 16:25:33) - つかさ ええ子や(T_T) -- 名無しさん (2008-09-10 09:47:59) - つかさはいい子←結論 &br() &br()GJな作品ごちそうさまでした -- 名無しさん (2008-09-10 09:01:23)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー