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「ねぇ、かがみ」 「…なによ」 「もし明日、世界が終わるとすれば何をする?」 夕暮れの帰り道、こなたが変なことを聞いてきた。 ~~『春の空』~~ 「さあ、とりあえずやりたい事やるんじゃない?」 私がそう答えると、こなたはまるで呆れたかのようにハァ、と溜息をついた。 「かがみはさ、なんか現実が分かってないね」 何言ってんだコイツ…。 「そんな事言ってる人は実際には何も出来ないって、どっかの誰かが言ってたよ?」 「どっかの誰かって誰だよ…」 あまりに中身の無い事を言うのですかさず突っ込みを入れたが、 コイツは「さあ?誰だろね」と言って笑うだけだった。 何なんだ一体…。 「まあいいや。じゃあかがみのやりたい事って何?」 ‥私のやりたい事?世界が滅ぶ前ってなら一つしかないわね。 「あんたには言わない」 うん、違うけどね。言わないんじゃなくて言えないだけ。 滅びる前ならともかく、今の私には明日の事を考える必要がある。 今日一日の過ちで明日から真っ暗な生活なんて御免だし。 「かがみ、もしかして人に言えないような事考えてるんじゃ…」 「アホか!そんなんじゃないわよ!!」 …まあ、人に言えないってのは間違いではないのかも。 でもそんな薄汚い欲望なんかじゃないわよ! いや、どうかな…。もしかしたら私の考えてる事は薄汚い事なのかもしれない。 隣で歩いてるコイツを見る。 はぁ…どうして私はコイツの事を好きになってしまったんだろう。 いつだったか友達の間柄を越えた想いが出来ていて、 コイツが傍にいる事が私の幸せの基準となっていた。 世界が滅びるってならコイツの傍にいてその時を迎えたい。 私の願いはそれだけ。 「で、なんでそんな事聞いてくるのよ」 いい加減、答え飽きたのでこちらから質問してみる。 そろそろ真意を聞いてもいい頃だろう。 「んー、べつに?」 ・・まったくコイツは。どうやらそろそろグーが必要らしい。 「ったく、世界なんて滅びるわけないでしょ」 私は少し悪態をついてみた。 そう、世界なんて滅びるわけがないのだ。 だから私の想いも伝える事はないのだろう。 「それは分からないよ、かがみん」 こなたが何か言った。 いやまあ、そりゃ0とは言い切れないけどさ。 「まあ滅びる可能性もあるでしょうけど、まず滅びないわよ」 極めて妥当な返事をする。 滅びると思って行動して何になるというのか。 こなたはふむ、と考え込んで次の台詞を言った。 「じゃあこうしよう。これは私たちに、いつか必ず起こる事!」 ビシッと指差してこなたは言い放った。 「私たちはいつか大人になる!こうしていられるのもきっと今だけ。  滅亡のカウントダウンは始まってるんだよ?」 ‥ん?滅亡のカウントダウンが始まってる? 確かに、こなたの言うことは間違ってない。 私たちはいつか大人になってしまう。 「滅亡の前にやるべき事はやっておかないと後悔するよ~?」 ……。確かに、私は現実を分かっていなかった。 いや、分かってはいたけど考えたくなかっただけ。 当たり前のように、当然のように訪れるその暗黒に。 終わるまでもなく世界は最初から真っ暗だったんだ。…そう、今はちょっと夢を見てるだけ。 束の間の奇跡。 「なんでそんな事聞くのよ…」 私はちょっと涙を溜めてしまった。 確かに、こなたの言っている事は正しいよ。 自分は現実を見ているようでいて、実は全力で現実から目を背けていた。 でも、だからって…!わざわざそれを醒ませることないじゃない! 夢なら最後まで夢を見させてよ…。 「世界を終わらせないためだよ。」 「…………は?」 …いきなりコイツは何を言ってんだ。 変なのは最初からわかってはいたが、ついに変を通り越して電波になったのか? あぁ、可哀相に。 「かがみ‥」 「…何よ」 夕暮れの光がこなたの蒼い髪に溶け込み、幻想的な色を描く。 それがサァーッと風に揺れるとコイツ自身がまるで天使か何かに見えてしまう。 時々思うが、コイツの髪は本当に特殊能力か何かで出来てんじゃないかと。 ねぇ、あんたほんとは何者なの? 「とりあえずね、私は後悔したくないのだよ」 「……うん」 まあ、今ならこなたの言いたい事もわかる気がする。 私だってこなたに言われて少し動揺しているし。 今のままじゃ後悔するんじゃないかって。 「だって私たちが今こうしていられるのも今だけ」 「…そうね、世界滅亡の前にする事があるわね」 私は自然と口に出していた。 こなたが穏やかに微笑んでくれた気がする。 「かがみ、好きだよ」 「………私もよ」 世界が滅亡する前にやるべき事… fin. **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 神様! -- かがみんラブ (2012-09-20 23:31:48) - Wiki.T >sleeping beauty -- 名無しさん (2008-09-27 02:16:52) - そんな世界が終わったりしないように祈ることしか私たちにはできないことが歯がゆい。 -- 名無しさん (2008-07-17 01:27:33)
「ねぇ、かがみ」 「…なによ」 「もし明日、世界が終わるとすれば何をする?」 夕暮れの帰り道、こなたが変なことを聞いてきた。 ~~『春の空』~~ 「さあ、とりあえずやりたい事やるんじゃない?」 私がそう答えると、こなたはまるで呆れたかのようにハァ、と溜息をついた。 「かがみはさ、なんか現実が分かってないね」 何言ってんだコイツ…。 「そんな事言ってる人は実際には何も出来ないって、どっかの誰かが言ってたよ?」 「どっかの誰かって誰だよ…」 あまりに中身の無い事を言うのですかさず突っ込みを入れたが、 コイツは「さあ?誰だろね」と言って笑うだけだった。 何なんだ一体…。 「まあいいや。じゃあかがみのやりたい事って何?」 ‥私のやりたい事?世界が滅ぶ前ってなら一つしかないわね。 「あんたには言わない」 うん、違うけどね。言わないんじゃなくて言えないだけ。 滅びる前ならともかく、今の私には明日の事を考える必要がある。 今日一日の過ちで明日から真っ暗な生活なんて御免だし。 「かがみ、もしかして人に言えないような事考えてるんじゃ…」 「アホか!そんなんじゃないわよ!!」 …まあ、人に言えないってのは間違いではないのかも。 でもそんな薄汚い欲望なんかじゃないわよ! いや、どうかな…。もしかしたら私の考えてる事は薄汚い事なのかもしれない。 隣で歩いてるコイツを見る。 はぁ…どうして私はコイツの事を好きになってしまったんだろう。 いつだったか友達の間柄を越えた想いが出来ていて、 コイツが傍にいる事が私の幸せの基準となっていた。 世界が滅びるってならコイツの傍にいてその時を迎えたい。 私の願いはそれだけ。 「で、なんでそんな事聞いてくるのよ」 いい加減、答え飽きたのでこちらから質問してみる。 そろそろ真意を聞いてもいい頃だろう。 「んー、べつに?」 ・・まったくコイツは。どうやらそろそろグーが必要らしい。 「ったく、世界なんて滅びるわけないでしょ」 私は少し悪態をついてみた。 そう、世界なんて滅びるわけがないのだ。 だから私の想いも伝える事はないのだろう。 「それは分からないよ、かがみん」 こなたが何か言った。 いやまあ、そりゃ0とは言い切れないけどさ。 「まあ滅びる可能性もあるでしょうけど、まず滅びないわよ」 極めて妥当な返事をする。 滅びると思って行動して何になるというのか。 こなたはふむ、と考え込んで次の台詞を言った。 「じゃあこうしよう。これは私たちに、いつか必ず起こる事!」 ビシッと指差してこなたは言い放った。 「私たちはいつか大人になる!こうしていられるのもきっと今だけ。  滅亡のカウントダウンは始まってるんだよ?」 ‥ん?滅亡のカウントダウンが始まってる? 確かに、こなたの言うことは間違ってない。 私たちはいつか大人になってしまう。 「滅亡の前にやるべき事はやっておかないと後悔するよ~?」 ……。確かに、私は現実を分かっていなかった。 いや、分かってはいたけど考えたくなかっただけ。 当たり前のように、当然のように訪れるその暗黒に。 終わるまでもなく世界は最初から真っ暗だったんだ。…そう、今はちょっと夢を見てるだけ。 束の間の奇跡。 「なんでそんな事聞くのよ…」 私はちょっと涙を溜めてしまった。 確かに、こなたの言っている事は正しいよ。 自分は現実を見ているようでいて、実は全力で現実から目を背けていた。 でも、だからって…!わざわざそれを醒ませることないじゃない! 夢なら最後まで夢を見させてよ…。 「世界を終わらせないためだよ。」 「…………は?」 …いきなりコイツは何を言ってんだ。 変なのは最初からわかってはいたが、ついに変を通り越して電波になったのか? あぁ、可哀相に。 「かがみ‥」 「…何よ」 夕暮れの光がこなたの蒼い髪に溶け込み、幻想的な色を描く。 それがサァーッと風に揺れるとコイツ自身がまるで天使か何かに見えてしまう。 時々思うが、コイツの髪は本当に特殊能力か何かで出来てんじゃないかと。 ねぇ、あんたほんとは何者なの? 「とりあえずね、私は後悔したくないのだよ」 「……うん」 まあ、今ならこなたの言いたい事もわかる気がする。 私だってこなたに言われて少し動揺しているし。 今のままじゃ後悔するんじゃないかって。 「だって私たちが今こうしていられるのも今だけ」 「…そうね、世界滅亡の前にする事があるわね」 私は自然と口に出していた。 こなたが穏やかに微笑んでくれた気がする。 「かがみ、好きだよ」 「………私もよ」 世界が滅亡する前にやるべき事… fin. **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-24 01:37:31) - 神様! -- かがみんラブ (2012-09-20 23:31:48) - Wiki.T >sleeping beauty -- 名無しさん (2008-09-27 02:16:52) - そんな世界が終わったりしないように祈ることしか私たちにはできないことが歯がゆい。 -- 名無しさん (2008-07-17 01:27:33)

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