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こなたのリボン巻き」(2023/04/10 (月) 05:26:01) の最新版変更点

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「ねぇ、つかさ」 暑さがますます増してきた七月間近。 柊家に遊びにきていた私は、いつものように遊んでいたゲームをやめて隣で漫画を読んでいるつかさに尋ねた。 かがみが欲しいものを知らないか、と。それがどんな結末を生むのかも知らずに。 「どうしたの急に」 「もうすぐつかさとかがみの誕生日じゃん」 去年のようにコスプレ衣装を渡そうかとも考えたけど、二番煎じじゃインパクトもないし、 二人ともあまりお気に召さなかったようだから早々に却下した。 贈るからにはなるべく喜んでもらいたい。それなら本人が希望しているものが一番だ。 だけど直接訊くのは芸がない。やっぱりプレゼントには『何が入ってるのかな』ってワクワク感がないと。 というわけでこの一週間、かがみのプレゼント選びに頭を悩ませていた。 つかさのプレゼントはすぐに決まったからもう用意してある。犬のぬいぐるみと新しい調理器具。 一ヶ月くらい前につかさが欲しいと言っていたのを憶えていた私の頭に感謝した。 かがみには悩んだあげく、無難にラノベと可愛いお菓子類でも贈ろうかなと考えていたけど、 私はラノベには詳しくないし、かがみの好きな種類のものが選べるかはわからない。 今日遊びにきたのは、さり気なくかがみの本棚を見て好みを探ろうと考えたからだった。 生憎かがみは出かけていたけど(夕方まで帰らないらしい)むしろ好都合だ。 気兼ねせずにつかさに色々訊けるしラノベよりも欲しいものがあるかもしれない。 というか、意地を張らずに最初からつかさに訊けばよかった。 「お姉ちゃんが欲しいものー……あっ」 たぶん何か思い当たったんだろう。へにゃんとしていた黄色いリボンが、猫のしっぽのようにピンっと立った。 どういう仕組みになってるのそれ。私のアホ毛と一緒かな。 「こなちゃん」 「何? つかさ。欲しいものわかった?」 「だからこなちゃんだよ」 「……は?」 私の頭が暑さでおかしくなってしまったんだろうか。それとも聞き間違い? 爆弾発言に混乱してしまう。それがまともにとりあっていないように見えたのか 少しむくれたつかさは大きな声でもういちど爆弾を投下してくれた。 「お姉ちゃんはこなちゃんが欲しいの!」 私が欲しいって、そんなどこかの変態魔導師じゃあるまいし、そもそも私魔力ないんだけど。 なんて、つかさは元ネタを知らないだろうから茶化すこともできない。 「ほんとだよ。うそじゃないもん」 「うん、それはわかるよ」 確かに冗談を言っているような雰囲気はなかった。だってつかさの目は真剣だ。 こんなに凛々しい顔つきは初めて見たよ。できればもっと違う状況で見たかったなぁ。 というか、本当にかがみは私が欲しいのか。そんな素振りちっともなかったじゃん。 でもつかさには気づかれているあたり詰めが甘いね。こんなふうにばれるかもしれないのに。 私がかがみを好きじゃなかったらどうするつもりだろう。 そう、私はかがみが好きだ。たぶん恋愛感情で。気づいたのはたった今だけど。 かがみが私を欲しがっていることに驚きはしたけど嫌じゃなかった。それどころか嬉しく感じる気持ちもある。 つまり、そういうことなんだろう。 こんな形で気づくなんて我ながら情けないと思いつつ、つかさにもう一度尋ねた。 「かがみの欲しいものはわかったけどさ、それってどうすればいいと思う?」 「こなちゃんをお姉ちゃんにあげればいいんだよ」 『それともそれが嫌なの?』と不安げな目にさせてしまったから慌てて言葉を付け足す。 「う、うん。それは別にいいんだ。でも私をあげるとしてもどうやって」 私は物じゃないし、はいどうぞと渡せるもんでもない。裸の私を赤いリボンで包装した後箱に入って かがみが箱を開けた瞬間抱きつく、なんて最近のラブコメマンガでも見ないお約束をするわけにもいかないし。 恥ずかしいうえに、痛いよ。色んな意味で。 そんなアホなことを考えたのがいけなかったのか。 つかさはすごく長いリボン(赤色)を取り出して、私の腕に巻きつけた。 「えっと、まずこのリボンを」 「もういいよわかったからそしてごめんそれ却下」 「すごーい、どうしてわかったの?」とすげなく拒否をしたことなんて気にもしていない無邪気な笑顔に どっと全身の力が抜けた。そんなリボンどこにもなかったよねとツッコム気力もない。 「うーん、でも」 ん? と手に違和感を覚えた瞬間――私の視界は反転した。 反転した視界に最初に映ったのはつかさの顔。そして次に映ったのはその手に持っている赤いリボン。 「この方法が一番喜ぶと思うな、お姉ちゃん」 私はつかさに馬乗りされて、腕をリボンで拘束されていた ――ちょっと待って。何この状況。 「つか、さ? ちょ、シャレになんないって」 「だって冗談じゃないもん」 ひょいっと私を抱えあげるとつかさは居間から出ていく。 「ど、どこ行くのっ?」 「お姉ちゃんの部屋だよ。痛くしないから、ね?」 痛いとか痛くないとかの問題じゃないよ! いやそりゃ痛くないほうがいいけど! そもそも私の相談って誕生日プレゼントだったはずだよね!? 今こうしても意味がないじゃん!! 至極真っ当な反論の数々は、途中で口を塞がれたのでほとんど言えなかった。 かがみの部屋に運ばれてベッドに寝かされてからが本番だった。 さすが器用なつかさ。全然動けないのに痛くも苦しくもなく、腹が立つくらい綺麗なラッピングをしてくれた。 ご丁寧にカードまで付けていく徹底振り。そういや前にかがみがつかさは凝り性だって言ってたっけ。 じゃあ、まだ裸にされて箱に入れられていない分マシだと考えるべきだろうか。 このまま帰れなかったらお父さんが心配すると訴えてもきいちゃくれなかった。 ラッピングが済んだら連絡するので大丈夫らしい。「安心してね」と天使のような笑顔で言われて泣きたくなった。 そんな心配りは心底いらない。 かがみに早く帰ってきてほしいようなほしくないような、自分は明日の朝どうなっているのかと怯えながら いつかつかさに絶対復讐してやると誓いを立てていた。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 黒つかさキタw &br() &br()その後のかがみんにされるがままにされるこなたを妄想すると・・・ -- 白夜 (2009-10-09 00:21:33) - ワラタwこなたとつかさのボケツッコミに、つかさにされるがままのこなた、そしてこの後はきっとかがみにされるがままなんだろうなあ…柊姉妹恐るべしwww -- 名無しさん (2008-07-03 11:16:10) - つかさ・・・怖いです。 &br()不覚にも変態魔道師でフイタww -- 名無しさん (2008-07-01 08:34:07)
「ねぇ、つかさ」 暑さがますます増してきた七月間近。 柊家に遊びにきていた私は、いつものように遊んでいたゲームをやめて隣で漫画を読んでいるつかさに尋ねた。 かがみが欲しいものを知らないか、と。それがどんな結末を生むのかも知らずに。 「どうしたの急に」 「もうすぐつかさとかがみの誕生日じゃん」 去年のようにコスプレ衣装を渡そうかとも考えたけど、二番煎じじゃインパクトもないし、 二人ともあまりお気に召さなかったようだから早々に却下した。 贈るからにはなるべく喜んでもらいたい。それなら本人が希望しているものが一番だ。 だけど直接訊くのは芸がない。やっぱりプレゼントには『何が入ってるのかな』ってワクワク感がないと。 というわけでこの一週間、かがみのプレゼント選びに頭を悩ませていた。 つかさのプレゼントはすぐに決まったからもう用意してある。犬のぬいぐるみと新しい調理器具。 一ヶ月くらい前につかさが欲しいと言っていたのを憶えていた私の頭に感謝した。 かがみには悩んだあげく、無難にラノベと可愛いお菓子類でも贈ろうかなと考えていたけど、 私はラノベには詳しくないし、かがみの好きな種類のものが選べるかはわからない。 今日遊びにきたのは、さり気なくかがみの本棚を見て好みを探ろうと考えたからだった。 生憎かがみは出かけていたけど(夕方まで帰らないらしい)むしろ好都合だ。 気兼ねせずにつかさに色々訊けるしラノベよりも欲しいものがあるかもしれない。 というか、意地を張らずに最初からつかさに訊けばよかった。 「お姉ちゃんが欲しいものー……あっ」 たぶん何か思い当たったんだろう。へにゃんとしていた黄色いリボンが、猫のしっぽのようにピンっと立った。 どういう仕組みになってるのそれ。私のアホ毛と一緒かな。 「こなちゃん」 「何? つかさ。欲しいものわかった?」 「だからこなちゃんだよ」 「……は?」 私の頭が暑さでおかしくなってしまったんだろうか。それとも聞き間違い? 爆弾発言に混乱してしまう。それがまともにとりあっていないように見えたのか 少しむくれたつかさは大きな声でもういちど爆弾を投下してくれた。 「お姉ちゃんはこなちゃんが欲しいの!」 私が欲しいって、そんなどこかの変態魔導師じゃあるまいし、そもそも私魔力ないんだけど。 なんて、つかさは元ネタを知らないだろうから茶化すこともできない。 「ほんとだよ。うそじゃないもん」 「うん、それはわかるよ」 確かに冗談を言っているような雰囲気はなかった。だってつかさの目は真剣だ。 こんなに凛々しい顔つきは初めて見たよ。できればもっと違う状況で見たかったなぁ。 というか、本当にかがみは私が欲しいのか。そんな素振りちっともなかったじゃん。 でもつかさには気づかれているあたり詰めが甘いね。こんなふうにばれるかもしれないのに。 私がかがみを好きじゃなかったらどうするつもりだろう。 そう、私はかがみが好きだ。たぶん恋愛感情で。気づいたのはたった今だけど。 かがみが私を欲しがっていることに驚きはしたけど嫌じゃなかった。それどころか嬉しく感じる気持ちもある。 つまり、そういうことなんだろう。 こんな形で気づくなんて我ながら情けないと思いつつ、つかさにもう一度尋ねた。 「かがみの欲しいものはわかったけどさ、それってどうすればいいと思う?」 「こなちゃんをお姉ちゃんにあげればいいんだよ」 『それともそれが嫌なの?』と不安げな目にさせてしまったから慌てて言葉を付け足す。 「う、うん。それは別にいいんだ。でも私をあげるとしてもどうやって」 私は物じゃないし、はいどうぞと渡せるもんでもない。裸の私を赤いリボンで包装した後箱に入って かがみが箱を開けた瞬間抱きつく、なんて最近のラブコメマンガでも見ないお約束をするわけにもいかないし。 恥ずかしいうえに、痛いよ。色んな意味で。 そんなアホなことを考えたのがいけなかったのか。 つかさはすごく長いリボン(赤色)を取り出して、私の腕に巻きつけた。 「えっと、まずこのリボンを」 「もういいよわかったからそしてごめんそれ却下」 「すごーい、どうしてわかったの?」とすげなく拒否をしたことなんて気にもしていない無邪気な笑顔に どっと全身の力が抜けた。そんなリボンどこにもなかったよねとツッコム気力もない。 「うーん、でも」 ん? と手に違和感を覚えた瞬間――私の視界は反転した。 反転した視界に最初に映ったのはつかさの顔。そして次に映ったのはその手に持っている赤いリボン。 「この方法が一番喜ぶと思うな、お姉ちゃん」 私はつかさに馬乗りされて、腕をリボンで拘束されていた ――ちょっと待って。何この状況。 「つか、さ? ちょ、シャレになんないって」 「だって冗談じゃないもん」 ひょいっと私を抱えあげるとつかさは居間から出ていく。 「ど、どこ行くのっ?」 「お姉ちゃんの部屋だよ。痛くしないから、ね?」 痛いとか痛くないとかの問題じゃないよ! いやそりゃ痛くないほうがいいけど! そもそも私の相談って誕生日プレゼントだったはずだよね!? 今こうしても意味がないじゃん!! 至極真っ当な反論の数々は、途中で口を塞がれたのでほとんど言えなかった。 かがみの部屋に運ばれてベッドに寝かされてからが本番だった。 さすが器用なつかさ。全然動けないのに痛くも苦しくもなく、腹が立つくらい綺麗なラッピングをしてくれた。 ご丁寧にカードまで付けていく徹底振り。そういや前にかがみがつかさは凝り性だって言ってたっけ。 じゃあ、まだ裸にされて箱に入れられていない分マシだと考えるべきだろうか。 このまま帰れなかったらお父さんが心配すると訴えてもきいちゃくれなかった。 ラッピングが済んだら連絡するので大丈夫らしい。「安心してね」と天使のような笑顔で言われて泣きたくなった。 そんな心配りは心底いらない。 かがみに早く帰ってきてほしいようなほしくないような、自分は明日の朝どうなっているのかと怯えながら いつかつかさに絶対復讐してやると誓いを立てていた。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-10 05:26:01) - 黒つかさキタw &br() &br()その後のかがみんにされるがままにされるこなたを妄想すると・・・ -- 白夜 (2009-10-09 00:21:33) - ワラタwこなたとつかさのボケツッコミに、つかさにされるがままのこなた、そしてこの後はきっとかがみにされるがままなんだろうなあ…柊姉妹恐るべしwww -- 名無しさん (2008-07-03 11:16:10) - つかさ・・・怖いです。 &br()不覚にも変態魔道師でフイタww -- 名無しさん (2008-07-01 08:34:07)

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