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「ふあ~、おはよぉ~」 「おはよう、つかさ」 「あれ、お母さん、お姉ちゃんは?」 「先に行ったわよ。何だか、学校で用事があるって言ってたわよ」 「用事?あれぇ、今日ってなんかあったっけなぁ?」 「ところで、つかさ」 「なぁ~に、お母さん?」 「時間、大丈夫なの?」 「えっ?」 てん、てん、てん・・・。 「うわあああっ!!お母さぁぁーん!!何で起こしてくれたなかったのぉぉーーッ!?」 ――――朝のHR開始チャイムが鳴り響く。 ふぅ、流石に朝から会いにきたりはしなかったわね…………。 思いを封じるって決めた。 だから気持ちが落ち着くまで、こなたと会うのは少し自粛。 それを決意するつもりで、今日は早く家を出てきた。 つかさのこと、置いてきちゃったけど、大丈夫かな………? お母さんいるし、流石に遅刻はしないと思うけど、走らせちゃったかも……? 「ふぇぇぇぇ~~~~ん!!鳴り終わらないでぇぇぇぇ~~~~~」 ……今、校門のほうから、なんか聞こえてきた気がするけど、多分気のせい………よね。 「日下部、峰岸、今日お昼、一緒にどう?」 「柊から誘ってくるなんて珍しいな~」 「確かにそうだね。どうかしたの、柊ちゃん?」 あ、あのなぁ…………。 「私がアンタ達を誘うのが、そんなおかしいか……?」 「「うん」」 二人の声が寸分の狂いもなく、完全にハモった。 私は思わず呆れる。 「自分達で言ってて、悲しくならない……?」 「えーだってなぁ?」 「そうだよね?」 二人は、お互い頷きあう。 「「私たち、はいけ―――」」 「はいっ!悲しい発言ストーーーップ!!」 私は、反射的に二人の口を塞いでしまった。 「あ、ご、ごめん、ついこなたと同じノリで言っちゃったわ」 私は二人から手を離す。 「柊、ちびっ子たちとばっかりじゃん?」 「ま、まぁそうだけど……」 そ、それは認めざるを得ないわね……。 「柊ちゃんも、泉さんたちといるときのほうが楽しそうだしね」 「そ、そんなことないわよ」 うう、ちゃんとみんな分かってたのね……。 改めてこういわれると、恥ずかしさと申し訳ない気持ちでいっぱいになるわ……。 「だからどうしたんだって思ったんだってヴぁ。どうかしたのか?」 「ケンカでもしたの?」 「もう、だからそんなんじゃないって」 ちゃんと自分のクラスの友達のことも、見直さなきゃいけないわね……。 私は心の中でこっそりとそう思った。 「かがみ~、帰ろ~」 最後の授業が終わったら、こなたが私のクラスまで迎えに来た。 「おぉ~っす、ちびっ子」 「こんにちは、泉ちゃん」 「みさきちに峰岸さん、おひさ~。かがみがいつもお世話になってます」 「私はアンタの子供かなんかか!」 良かった……いつも通りに突っ込めてる。 私は、表情にはださないけど、気持ちだけこっそりと胸をなでおろす。 「え~?言う必要あるの~~?」 「わかった……。わかったからみなまで言うな……」 また、私の気持ちを何にも知らないで、俺の嫁とか言うんだろうな、きっと……。 「それじゃあ日下部、峰岸、また明日」 「おう、また明日な~」 「バイバイ、柊ちゃん」 私は二人に別れを告げて、こなたとともに、教室を出た。 「なんだよあやの、別に柊とちびっ子、ケンカなんかしてね~じゃね~かよ~」 「そうだったみたいね。良かった」 「でも、確かに柊、いつもとなんか違ったな」 「やっぱりみさちゃんも、そう思った?」 「なんか、我慢してるっていうかな……」 「何か悩み事があるのかな?」 「うう~ん、バカな私にはわからん……」 「でもみさちゃん、バカにしかわからないこともあるよ?」 「そ、そうだな!私もここは一つ、気合いを入れるぜ!」 「そのいきだよ、みさちゃん」 「ここで活躍して、背景の汚名を挽回するぜ!」 「みさちゃん、汚名は返上するんだよ……?」 「あれ、そだったな!じゃあ名誉返上か!」 「名誉は挽回するんだよ、みさちゃん……」 「むむ……あやの、水をさすのは禁止だってヴぁ……」 「ご、ごめんね、みさちゃん……」 「なぁ、あやの?」 「何?」 「あやのもやっぱり、私のこと、バカだと思ってるんだな……。 さっき、バカにしか~とか言ったし……」 「う……ち、違うの、そんなつもりじゃ……」 「せっかく一晩もそのアイテム落とすモンスターを張ってたのに、 結局とられちゃってさ~。あの時はホント悔しかったよ」 「それは残念でしたね……」 「こなちゃん、次は頑張ってね」 「アンタは、またそんなバカみたいなことばっかりしてる時間があったら、 少しは宿題とかしなさいよね」 帰り道。いつものみんな。 やっぱり、楽しい。 日下部や峰岸には悪いけど、やっぱり私もみんなと同じ、B組が良かったな……。 ドキドキしてないか、と言われたら、さっきから凄いしてる。 やっぱり、すぐに抑えられるものじゃないみたい……。 でも、これくらいの時間なら大丈夫。 ちゃんと『理想の友達像』を保てる。 「大丈夫、私にはかがみがいる!宿題なんて、イチコロさ~♪」 「言っとくけど、そんな理由を聞いたら、もう貸さないわよ」 ちゃんと自分の気持ちに向き合って、そうするって決めたから、 前より気持ちを抑えられるのかな。 私がそう思った途端、何かが私の身体に触れる。 驚いてそっちを見ると、こなたが私の腕をつかんで、さらに頬擦りしてきた。 「かがみ~そんなこと言わないでよ~~」 な、ななな、ななななななな!? 顔が熱くなってきてる……そ、それより、心臓がまた……音…… こ、こなたに聞かれちゃう……!! 「ちょっ、ちょっと、離しなさいよ」 私はこなたの手から慌てて腕を離れる。 「かがみ……?」 「お、お姉ちゃん……?」 「かがみさん……?」 ちょっと驚いたみんなの顔。 直視出来ず、私は逆方向を向く。 最優先は平常心を取り戻すこと。 「ごめん……」 誰にむけられたのかわからない、そんな言葉を私は呟いた。 「かがみぃ~、何動揺してるのかな~?身体が疼いてきちゃった?」 こなたが突然、そんなことを言い出した。 それはあたかも、私が作ってしまった気まずい雰囲気を壊すようだった。 「ち、違うわよ!!」 落ち着いてないけど、何とか言葉は出た。 「そう言えば、みゆきさん、この前ちょっと気になったんだけど、 何でCDとかって、大体限界の時間が全部同じなの~?」 「あ、それ私も不思議に思ったことある~!」 「それはですね、日本人指揮者である――――」 こなたが、話を変えてくれた。 ―――私のために。 ……ありがとう、こなた。 私は声に出さず、そう言った。 翌日には、またいつも通りの私に戻れた。 前ほどじゃないけど、私はちゃんとこなた達と一緒にいる。 この前のアレ以降、これと言った問題はない。 ちゃんと、気持ちを抑えられてる。 ちゃんと、友達を演じてられている。 私の名前の由来は鏡―――。 鏡はうつすもの。 鏡にうつるものは、私。 私という役者が、友達という役の演技をしているのを映している。 私という鏡は、ちゃんと理想の友人像を映している。 哀しいことなんて、何もない。むしろ、嬉しいことだ。 なのに――― どうしてこんなにも、鏡の中の私は辛そうなの? どうしてこんなにも、鏡の中の私は訴えかけてるの? どうしてこんなにも、私の中の鏡は割れそうなの? 私の頬を、冷たいものが二つ伝う。 これが私の本心……? 相変わらず、部屋は真っ暗。 誰もいない。 今日は新月。誓いの証人もいない。 そんな今くらい、いいよね……。 本当の気持ちを晒したっていいよね……。 「うぅ……こなたぁ……こな……た…」 何で、私の隣にいてくれないの……? 何で、私を泣かせたままにするの……? 何で、私に何もしてくれないの……? ねぇ、何で……?どうして……?どうしてなの……? なにか言ってよ……。 なにか答えてよ……。 私の気持ちを、受け入れて…………。 自分がそうしてくれないことを望んでたってわかってる。 ワガママだってわかってる。 でも、お願い――――。 今だけ……今だけでいいの――――。 素直にならせて―――――。 明かり一つない部屋。 嗚咽と名前を呼ぶ声だけが、響き続ける―――。 -[[うつるもの4>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/90.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 辛いな…。 -- 名無し (2010-04-29 20:25:17) - 切ねえ… -- 名無しさん (2008-10-03 21:09:10)
「ふあ~、おはよぉ~」 「おはよう、つかさ」 「あれ、お母さん、お姉ちゃんは?」 「先に行ったわよ。何だか、学校で用事があるって言ってたわよ」 「用事?あれぇ、今日ってなんかあったっけなぁ?」 「ところで、つかさ」 「なぁ~に、お母さん?」 「時間、大丈夫なの?」 「えっ?」 てん、てん、てん・・・。 「うわあああっ!!お母さぁぁーん!!何で起こしてくれたなかったのぉぉーーッ!?」 ――――朝のHR開始チャイムが鳴り響く。 ふぅ、流石に朝から会いにきたりはしなかったわね…………。 思いを封じるって決めた。 だから気持ちが落ち着くまで、こなたと会うのは少し自粛。 それを決意するつもりで、今日は早く家を出てきた。 つかさのこと、置いてきちゃったけど、大丈夫かな………? お母さんいるし、流石に遅刻はしないと思うけど、走らせちゃったかも……? 「ふぇぇぇぇ~~~~ん!!鳴り終わらないでぇぇぇぇ~~~~~」 ……今、校門のほうから、なんか聞こえてきた気がするけど、多分気のせい………よね。 「日下部、峰岸、今日お昼、一緒にどう?」 「柊から誘ってくるなんて珍しいな~」 「確かにそうだね。どうかしたの、柊ちゃん?」 あ、あのなぁ…………。 「私がアンタ達を誘うのが、そんなおかしいか……?」 「「うん」」 二人の声が寸分の狂いもなく、完全にハモった。 私は思わず呆れる。 「自分達で言ってて、悲しくならない……?」 「えーだってなぁ?」 「そうだよね?」 二人は、お互い頷きあう。 「「私たち、はいけ―――」」 「はいっ!悲しい発言ストーーーップ!!」 私は、反射的に二人の口を塞いでしまった。 「あ、ご、ごめん、ついこなたと同じノリで言っちゃったわ」 私は二人から手を離す。 「柊、ちびっ子たちとばっかりじゃん?」 「ま、まぁそうだけど……」 そ、それは認めざるを得ないわね……。 「柊ちゃんも、泉さんたちといるときのほうが楽しそうだしね」 「そ、そんなことないわよ」 うう、ちゃんとみんな分かってたのね……。 改めてこういわれると、恥ずかしさと申し訳ない気持ちでいっぱいになるわ……。 「だからどうしたんだって思ったんだってヴぁ。どうかしたのか?」 「ケンカでもしたの?」 「もう、だからそんなんじゃないって」 ちゃんと自分のクラスの友達のことも、見直さなきゃいけないわね……。 私は心の中でこっそりとそう思った。 「かがみ~、帰ろ~」 最後の授業が終わったら、こなたが私のクラスまで迎えに来た。 「おぉ~っす、ちびっ子」 「こんにちは、泉ちゃん」 「みさきちに峰岸さん、おひさ~。かがみがいつもお世話になってます」 「私はアンタの子供かなんかか!」 良かった……いつも通りに突っ込めてる。 私は、表情にはださないけど、気持ちだけこっそりと胸をなでおろす。 「え~?言う必要あるの~~?」 「わかった……。わかったからみなまで言うな……」 また、私の気持ちを何にも知らないで、俺の嫁とか言うんだろうな、きっと……。 「それじゃあ日下部、峰岸、また明日」 「おう、また明日な~」 「バイバイ、柊ちゃん」 私は二人に別れを告げて、こなたとともに、教室を出た。 「なんだよあやの、別に柊とちびっ子、ケンカなんかしてね~じゃね~かよ~」 「そうだったみたいね。良かった」 「でも、確かに柊、いつもとなんか違ったな」 「やっぱりみさちゃんも、そう思った?」 「なんか、我慢してるっていうかな……」 「何か悩み事があるのかな?」 「うう~ん、バカな私にはわからん……」 「でもみさちゃん、バカにしかわからないこともあるよ?」 「そ、そうだな!私もここは一つ、気合いを入れるぜ!」 「そのいきだよ、みさちゃん」 「ここで活躍して、背景の汚名を挽回するぜ!」 「みさちゃん、汚名は返上するんだよ……?」 「あれ、そだったな!じゃあ名誉返上か!」 「名誉は挽回するんだよ、みさちゃん……」 「むむ……あやの、水をさすのは禁止だってヴぁ……」 「ご、ごめんね、みさちゃん……」 「なぁ、あやの?」 「何?」 「あやのもやっぱり、私のこと、バカだと思ってるんだな……。 さっき、バカにしか~とか言ったし……」 「う……ち、違うの、そんなつもりじゃ……」 「せっかく一晩もそのアイテム落とすモンスターを張ってたのに、 結局とられちゃってさ~。あの時はホント悔しかったよ」 「それは残念でしたね……」 「こなちゃん、次は頑張ってね」 「アンタは、またそんなバカみたいなことばっかりしてる時間があったら、 少しは宿題とかしなさいよね」 帰り道。いつものみんな。 やっぱり、楽しい。 日下部や峰岸には悪いけど、やっぱり私もみんなと同じ、B組が良かったな……。 ドキドキしてないか、と言われたら、さっきから凄いしてる。 やっぱり、すぐに抑えられるものじゃないみたい……。 でも、これくらいの時間なら大丈夫。 ちゃんと『理想の友達像』を保てる。 「大丈夫、私にはかがみがいる!宿題なんて、イチコロさ~♪」 「言っとくけど、そんな理由を聞いたら、もう貸さないわよ」 ちゃんと自分の気持ちに向き合って、そうするって決めたから、 前より気持ちを抑えられるのかな。 私がそう思った途端、何かが私の身体に触れる。 驚いてそっちを見ると、こなたが私の腕をつかんで、さらに頬擦りしてきた。 「かがみ~そんなこと言わないでよ~~」 な、ななな、ななななななな!? 顔が熱くなってきてる……そ、それより、心臓がまた……音…… こ、こなたに聞かれちゃう……!! 「ちょっ、ちょっと、離しなさいよ」 私はこなたの手から慌てて腕を離れる。 「かがみ……?」 「お、お姉ちゃん……?」 「かがみさん……?」 ちょっと驚いたみんなの顔。 直視出来ず、私は逆方向を向く。 最優先は平常心を取り戻すこと。 「ごめん……」 誰にむけられたのかわからない、そんな言葉を私は呟いた。 「かがみぃ~、何動揺してるのかな~?身体が疼いてきちゃった?」 こなたが突然、そんなことを言い出した。 それはあたかも、私が作ってしまった気まずい雰囲気を壊すようだった。 「ち、違うわよ!!」 落ち着いてないけど、何とか言葉は出た。 「そう言えば、みゆきさん、この前ちょっと気になったんだけど、 何でCDとかって、大体限界の時間が全部同じなの~?」 「あ、それ私も不思議に思ったことある~!」 「それはですね、日本人指揮者である――――」 こなたが、話を変えてくれた。 ―――私のために。 ……ありがとう、こなた。 私は声に出さず、そう言った。 翌日には、またいつも通りの私に戻れた。 前ほどじゃないけど、私はちゃんとこなた達と一緒にいる。 この前のアレ以降、これと言った問題はない。 ちゃんと、気持ちを抑えられてる。 ちゃんと、友達を演じてられている。 私の名前の由来は鏡―――。 鏡はうつすもの。 鏡にうつるものは、私。 私という役者が、友達という役の演技をしているのを映している。 私という鏡は、ちゃんと理想の友人像を映している。 哀しいことなんて、何もない。むしろ、嬉しいことだ。 なのに――― どうしてこんなにも、鏡の中の私は辛そうなの? どうしてこんなにも、鏡の中の私は訴えかけてるの? どうしてこんなにも、私の中の鏡は割れそうなの? 私の頬を、冷たいものが二つ伝う。 これが私の本心……? 相変わらず、部屋は真っ暗。 誰もいない。 今日は新月。誓いの証人もいない。 そんな今くらい、いいよね……。 本当の気持ちを晒したっていいよね……。 「うぅ……こなたぁ……こな……た…」 何で、私の隣にいてくれないの……? 何で、私を泣かせたままにするの……? 何で、私に何もしてくれないの……? ねぇ、何で……?どうして……?どうしてなの……? なにか言ってよ……。 なにか答えてよ……。 私の気持ちを、受け入れて…………。 自分がそうしてくれないことを望んでたってわかってる。 ワガママだってわかってる。 でも、お願い――――。 今だけ……今だけでいいの――――。 素直にならせて―――――。 明かり一つない部屋。 嗚咽と名前を呼ぶ声だけが、響き続ける―――。 -[[うつるもの4>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/90.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - ( ;∀;)b -- 名無しさん (2023-01-01 09:21:26) - 辛いな…。 -- 名無し (2010-04-29 20:25:17) - 切ねえ… -- 名無しさん (2008-10-03 21:09:10)

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