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三月、 暦の上では春とはまだ少し肌寒い日。 深呼吸をする。 冷たい空気が体を通り、鈍りがちな朝の頭を鮮明にさせた。 ふと、窓から空を眺めて見れば、 空は高く遠く、そして一際青く見えた。 どうやら柄にもなく、感傷に浸っているようだ。 あの空の青さでアイツと過ごした日々を思い出すなんて。 でも、まあ…今日ぐらいはいいか。 最後だものね。 あの場で会えるのも。 感傷に浸ったとしても罰は当たらないだろう。 今日、私達は卒業する。 長いと思っていた高校生活は、意外とあっさり終わろうとしている。 私は私の。 こなたはこなたの。 それぞれの道を進んで行くだろう。 私達が歩んでいた道は決して同じ道ではない。 この三年間が特別だっただけ。 たまたま道が重なり合っただけの話だ 「近くに住んでるんだし大学生になっても会おうと思えば簡単に会えるよ」 こなたのこの言葉は正しい。 だけれど、自分の周りを取り巻く環境でゆっくりと実現しなくなっていくだろう。 私は私で忙しくなりこなたはこなたで忙しい日々を送る事になり、 会いたくても会えず、そしてその会えない日々に慣れて、会うこと自体も少なくなってゆくんだろう。 最初こそはその状況に寂しさを覚えるかもしれないが、きっと慣れる。 そういうものなのだと。 少しづつ少しづつ良い思い出になって行く。 きっと、それは切ない痛みを伴うものではあるだろうけど、 けして悪いものではないはずだ。 緩やかに別れて行く時間はこの想いを 傷つけることもなく傷つくこともなかった、 ただの遠い日の思い出に変えてくれるだろう。 きっと良い思い出になるだろう きっと良い思い出になるだろう ………なるだろう、と思っていたのよ? この時は…本当に………。 「なのに何でこんな事になっているんだか…」 「はっはっはっ、やっぱりかがみは詰めが甘いというか見通しが甘いよねー」 折角のセンチメンタル的厨二文章もあっという間にカッコのつかないギャグ文章に早変わりするあたり、 かがみらしいね! ある意味そこに萌える! などとバカなことを言いながら目の前にいる私の十年来の親友兼…『こ』のつくあの関係 ―まあ、なんだ、察しろ―であるところの泉こなたはゲラゲラと笑った。 ここは私の仕事場である事務所。 私はここの事務所のイソ弁をしている。 (事務所の所長に雇われている弁護士の事。居候弁護士の略。ちなみに所長をボス弁と呼ぶ事もある) そしてこの事務所内にある休憩用のソファー(客用のとは別に何故か置いてある)に 何故かゴロゴロと勝手に人の家に入り込みくつろぎだす猫かのように、 傲岸不遜…いや違った。 傍若無人な態度でこなたがそこに寝そべっていた。 何故に私の仕事場にこいつがいるか。 簡単な話、こいつもここに仕事をしに来ているのだそうだ。 誤解を生みそうなので注意しておくけれども 別にこなたは弁護士でも検事でも警察でも契約顧問先の大手の会社社員でもなく、勿論霊媒師でもない。 ここにいるのはこなたの職業であるゲームシナリオライターとして あくまでも仕事の一環として次作のための取材として来ている。 …と、言った名目を掲げてサボりに来ている。 実際、次回作のため次回作のためと言いながらも次回作が弁護士モノだった例はなく、 事務所に来て取材のようなものをする気配はない いや一応は私のボスである所長に話を聞いてはいるが切り出しが 「そういえば所長、所長の息子、今年小学校に入学だっけ?」 と、どう聞いても取材じゃなくて世間話をしだすあたり、 ダメだこいつら…早く何とかしないと…の心境である。 そんなんだから卒業式間際まで 卒論の締め切りとサボりすぎた授業の足りない単位の為の追加課題の締め切りに追われる羽目になるんだ。 そして在学中はもちろん、卒業してからも脚本の締め切りに追われる毎日ときているのだから、 つくづく締め切りとの追いかけっこが好きなようだ。 コイツ実は結構Mなんじゃないか? 本来なら所長もこいつを追い出すべきなのだが歳の差を超えたシンパシーと言うか、 要は同じ穴の狢で意気投合してしまい、ここの事務所のゆるい空気の一因となってしまっている。 そう言えばコイツは昔から趣味を同じくする同士を見つけると 普段のものぐささを感じさせないフットワークを見せネットワークを形成するのが上手かったな、 などと軽く物思いにふけった。 まあこんな日常も悪くはないと思う。 私はそう結論を出し事務所の窓から、あの日の空を眺めようとした。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - あいかわらずな二人がええねw -- 名無しさん (2009-04-26 18:04:43)
三月、 暦の上では春とはまだ少し肌寒い日。 深呼吸をする。 冷たい空気が体を通り、鈍りがちな朝の頭を鮮明にさせた。 ふと、窓から空を眺めて見れば、 空は高く遠く、そして一際青く見えた。 どうやら柄にもなく、感傷に浸っているようだ。 あの空の青さでアイツと過ごした日々を思い出すなんて。 でも、まあ…今日ぐらいはいいか。 最後だものね。 あの場で会えるのも。 感傷に浸ったとしても罰は当たらないだろう。 今日、私達は卒業する。 長いと思っていた高校生活は、意外とあっさり終わろうとしている。 私は私の。 こなたはこなたの。 それぞれの道を進んで行くだろう。 私達が歩んでいた道は決して同じ道ではない。 この三年間が特別だっただけ。 たまたま道が重なり合っただけの話だ 「近くに住んでるんだし大学生になっても会おうと思えば簡単に会えるよ」 こなたのこの言葉は正しい。 だけれど、自分の周りを取り巻く環境でゆっくりと実現しなくなっていくだろう。 私は私で忙しくなりこなたはこなたで忙しい日々を送る事になり、 会いたくても会えず、そしてその会えない日々に慣れて、会うこと自体も少なくなってゆくんだろう。 最初こそはその状況に寂しさを覚えるかもしれないが、きっと慣れる。 そういうものなのだと。 少しづつ少しづつ良い思い出になって行く。 きっと、それは切ない痛みを伴うものではあるだろうけど、 けして悪いものではないはずだ。 緩やかに別れて行く時間はこの想いを 傷つけることもなく傷つくこともなかった、 ただの遠い日の思い出に変えてくれるだろう。 きっと良い思い出になるだろう きっと良い思い出になるだろう ………なるだろう、と思っていたのよ? この時は…本当に………。 「なのに何でこんな事になっているんだか…」 「はっはっはっ、やっぱりかがみは詰めが甘いというか見通しが甘いよねー」 折角のセンチメンタル的厨二文章もあっという間にカッコのつかないギャグ文章に早変わりするあたり、 かがみらしいね! ある意味そこに萌える! などとバカなことを言いながら目の前にいる私の十年来の親友兼…『こ』のつくあの関係 ―まあ、なんだ、察しろ―であるところの泉こなたはゲラゲラと笑った。 ここは私の仕事場である事務所。 私はここの事務所のイソ弁をしている。 (事務所の所長に雇われている弁護士の事。居候弁護士の略。ちなみに所長をボス弁と呼ぶ事もある) そしてこの事務所内にある休憩用のソファー(客用のとは別に何故か置いてある)に 何故かゴロゴロと勝手に人の家に入り込みくつろぎだす猫かのように、 傲岸不遜…いや違った。 傍若無人な態度でこなたがそこに寝そべっていた。 何故に私の仕事場にこいつがいるか。 簡単な話、こいつもここに仕事をしに来ているのだそうだ。 誤解を生みそうなので注意しておくけれども 別にこなたは弁護士でも検事でも警察でも契約顧問先の大手の会社社員でもなく、勿論霊媒師でもない。 ここにいるのはこなたの職業であるゲームシナリオライターとして あくまでも仕事の一環として次作のための取材として来ている。 …と、言った名目を掲げてサボりに来ている。 実際、次回作のため次回作のためと言いながらも次回作が弁護士モノだった例はなく、 事務所に来て取材のようなものをする気配はない いや一応は私のボスである所長に話を聞いてはいるが切り出しが 「そういえば所長、所長の息子、今年小学校に入学だっけ?」 と、どう聞いても取材じゃなくて世間話をしだすあたり、 ダメだこいつら…早く何とかしないと…の心境である。 そんなんだから卒業式間際まで 卒論の締め切りとサボりすぎた授業の足りない単位の為の追加課題の締め切りに追われる羽目になるんだ。 そして在学中はもちろん、卒業してからも脚本の締め切りに追われる毎日ときているのだから、 つくづく締め切りとの追いかけっこが好きなようだ。 コイツ実は結構Mなんじゃないか? 本来なら所長もこいつを追い出すべきなのだが歳の差を超えたシンパシーと言うか、 要は同じ穴の狢で意気投合してしまい、ここの事務所のゆるい空気の一因となってしまっている。 そう言えばコイツは昔から趣味を同じくする同士を見つけると 普段のものぐささを感じさせないフットワークを見せネットワークを形成するのが上手かったな、 などと軽く物思いにふけった。 まあこんな日常も悪くはないと思う。 私はそう結論を出し事務所の窓から、あの日の空を眺めようとした。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-30 01:57:10) - あいかわらずな二人がええねw -- 名無しさん (2009-04-26 18:04:43)

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