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ゴーン・・・・・・ゴーン・・・・・・ 鐘の音が聞こえる。いつの間にか眠ってしまったらしい。 顔を上げると、除夜の鐘がテレビに映っていた。 隣を見ればつかさが眠っている。 新しい年の始まりだった。 「明けましておめでと」 「おめでとー、お姉ちゃん」 家族は全員仕事に出計らっている。 私はつかさと新年の挨拶だけして、コタツから抜け出ると自室に向かった。 思った通り、携帯にメールが数通。 クラスメートや仲の良い友達からの年賀メールだった。私も、今年は受験なので、とメールで済ませてしまった。 中にはみゆきからのメールも混じっている。 不意に携帯が震え始めた。「着信中」とディスプレイに表示されている。かけてきたのは・・・ 「何か用?日下部」 「ちぇー、冷たいな柊は。素っ気なくても『あけおめ』くらい言ってくれたって良いぢゃん」 「はいはい、あけおめ」 「うわっ、ホントにそっけねーな」 「大体何でこんな時間にかけてくるのよ。勉強はどうした?センターまであと19日無いわよ」 「グサッ!刺さったよ、心に何か刺さったよ!」 「それに年の始めだし、あんたのことだから峰岸に電話してるんじゃないかと思ってたんだけど」 「ほら、あやのはさぁ。ねぇ?」 「ああ」 そうだ、峰岸には彼氏が居た。 きっとなかなか電話の繋がらないこの時間に何度もリダイヤルを繰り返して 「あー、やっと繋がったー」 とか言って二人で喜んでいるのだろう。 ・・・・・ 「どうせ私には縁のない話だわよ」 「えー、私が折角かけてきたのに?何度もリダイアルしてんだぜ?」 「だって恋人でもないし」 「あやのー、柊がシベリアの大地より冷たいー」 「え、嘘?!そこにいるの?」 「いないけど?」 「何よ、もう・・・そろそろ切るわよ。寝直したいし、少しは家の手伝いもしないと」 「あっ、ちょっ」 問答無用。終話ボタンを押し、ポケットに携帯を押し込む。 回線が込み合う時間だから、しばらくはかかってこないだろう。 何となしに外へ出てみることにした。 何かの予感が、あった気がした。 「寒っ」 外へ出てきたのが後悔されるほどの寒さ。それでも私は、期待してしばらくそこへ立っていた。 ・・・期待って、何を? 私は、もう一枚上着を取りに、家の中に引っ込んだ。 神社へ出る。本当なら私たちも手伝いをしなくてはいけなかったのだが、受験だから、と勘弁して貰っている。 それだから家族に見つかるのは決まりが悪い。 一番近くの位置にいるまつり姉さんの視界に入らないように、私は参拝客の列が見渡せる位置へ回った。 そして目的の物を探す。緩やかなカーブを描いたアホ毛を。 予感は確信に変わった。 「おーっす、こなた」 「おー、かがみじゃん。あけおめー」 「あ、そうね。明けましておめでとう」 参拝客の中。列の端の方にこなたは居た。 「あれ?おじさんは?去年来てたわよね。それからゆたかちゃん」 「ああ、お父さんなら、何でも締め切りがマズいらしくて、今必死になってワープロにかじりついてるよ。ゆーちゃんは友達と初詣だって。だから今年は私一人で来たわけ」 こなたが列から抜けるように歩みを進めた。 私もそれに倣う。 「ふーん、大変そうねぇ。・・・所であんたはどうして来たの?受験でしょ」 「何をおっしゃる、かがみ様。こうしてかがみの顔を拝みに来たんじゃないかえ。御利益ありそうだしネ」 「なっ!」 顔が赤くなった。 「それにかがみだって、仕事じゃないのにこうして出てきてるじゃん。かがみこそ何で?」 「わっ、私は・・・」 あやふやな気持ちに決着をつけようか。 それともあやふやなままで終わりにしてしまおうか。 「こなたが来る、って気がしたから・・・」 「・・・そっか」 こなたが微笑む。 「私もかがみに会えるような気がしたんだ。だから出てきたんだけど・・・当たったね」 決めた。 はっきりさせよう。 「・・・あのね・・・」 「ん?」 白い息が視界を覆う。 「私、こなたのこと・・・好き」 「・・・・・・・」 この寒さで時間が凍ったかの様に思えた。 永い沈黙。 息を吐く体が震えているのが分かる。 寒さで?緊張で? そんなことはどうだって良い。 やがてこなたが目を大きくして言った。 「・・・良かった・・・」 聞き取れるかどうかも分からないような、かすかな声。 「私も好きだよ、かがみ」 涙が止まらなかった。 「今年もよろしくね」 「うん」 そしてお互いは、 「みなみちゃん!お姉ちゃんと柊先輩見つけたよ!」 「どこ・・・?」 「ほら、あっち。列から離れたあっちの方・・・あ!」 「あ、見つけた。・・・!?」 「・・・キス・・・」 「・・・邪魔しないようにしよう・・・か」 「そ、そうだね・・・ふぁっくしゅっ!」 「大丈夫?風邪引かないように・・・」 「大丈夫だよ、みなみちゃん。・・・心配してくれて有り難う。改めて、今年もよろしくね!みなみちゃん!」 「うん。こちらこそ、よろしく。ゆたか」 -[[謹賀新年(こなた視点)>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/60.html]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - またみさおが踏み台かよ… -- 名無しさん (2013-12-11 11:18:52) - みさおが…かわいそうすぎる…(ノ△T) &br() &br()ああ、こなかが命の俺は、もちろん作者殿にGJを贈らせていただきます -- 名無しさん (2008-08-24 00:14:08)
ゴーン・・・・・・ゴーン・・・・・・ 鐘の音が聞こえる。いつの間にか眠ってしまったらしい。 顔を上げると、除夜の鐘がテレビに映っていた。 隣を見ればつかさが眠っている。 新しい年の始まりだった。 「明けましておめでと」 「おめでとー、お姉ちゃん」 家族は全員仕事に出計らっている。 私はつかさと新年の挨拶だけして、コタツから抜け出ると自室に向かった。 思った通り、携帯にメールが数通。 クラスメートや仲の良い友達からの年賀メールだった。私も、今年は受験なので、とメールで済ませてしまった。 中にはみゆきからのメールも混じっている。 不意に携帯が震え始めた。「着信中」とディスプレイに表示されている。かけてきたのは・・・ 「何か用?日下部」 「ちぇー、冷たいな柊は。素っ気なくても『あけおめ』くらい言ってくれたって良いぢゃん」 「はいはい、あけおめ」 「うわっ、ホントにそっけねーな」 「大体何でこんな時間にかけてくるのよ。勉強はどうした?センターまであと19日無いわよ」 「グサッ!刺さったよ、心に何か刺さったよ!」 「それに年の始めだし、あんたのことだから峰岸に電話してるんじゃないかと思ってたんだけど」 「ほら、あやのはさぁ。ねぇ?」 「ああ」 そうだ、峰岸には彼氏が居た。 きっとなかなか電話の繋がらないこの時間に何度もリダイヤルを繰り返して 「あー、やっと繋がったー」 とか言って二人で喜んでいるのだろう。 ・・・・・ 「どうせ私には縁のない話だわよ」 「えー、私が折角かけてきたのに?何度もリダイアルしてんだぜ?」 「だって恋人でもないし」 「あやのー、柊がシベリアの大地より冷たいー」 「え、嘘?!そこにいるの?」 「いないけど?」 「何よ、もう・・・そろそろ切るわよ。寝直したいし、少しは家の手伝いもしないと」 「あっ、ちょっ」 問答無用。終話ボタンを押し、ポケットに携帯を押し込む。 回線が込み合う時間だから、しばらくはかかってこないだろう。 何となしに外へ出てみることにした。 何かの予感が、あった気がした。 「寒っ」 外へ出てきたのが後悔されるほどの寒さ。それでも私は、期待してしばらくそこへ立っていた。 ・・・期待って、何を? 私は、もう一枚上着を取りに、家の中に引っ込んだ。 神社へ出る。本当なら私たちも手伝いをしなくてはいけなかったのだが、受験だから、と勘弁して貰っている。 それだから家族に見つかるのは決まりが悪い。 一番近くの位置にいるまつり姉さんの視界に入らないように、私は参拝客の列が見渡せる位置へ回った。 そして目的の物を探す。緩やかなカーブを描いたアホ毛を。 予感は確信に変わった。 「おーっす、こなた」 「おー、かがみじゃん。あけおめー」 「あ、そうね。明けましておめでとう」 参拝客の中。列の端の方にこなたは居た。 「あれ?おじさんは?去年来てたわよね。それからゆたかちゃん」 「ああ、お父さんなら、何でも締め切りがマズいらしくて、今必死になってワープロにかじりついてるよ。ゆーちゃんは友達と初詣だって。だから今年は私一人で来たわけ」 こなたが列から抜けるように歩みを進めた。 私もそれに倣う。 「ふーん、大変そうねぇ。・・・所であんたはどうして来たの?受験でしょ」 「何をおっしゃる、かがみ様。こうしてかがみの顔を拝みに来たんじゃないかえ。御利益ありそうだしネ」 「なっ!」 顔が赤くなった。 「それにかがみだって、仕事じゃないのにこうして出てきてるじゃん。かがみこそ何で?」 「わっ、私は・・・」 あやふやな気持ちに決着をつけようか。 それともあやふやなままで終わりにしてしまおうか。 「こなたが来る、って気がしたから・・・」 「・・・そっか」 こなたが微笑む。 「私もかがみに会えるような気がしたんだ。だから出てきたんだけど・・・当たったね」 決めた。 はっきりさせよう。 「・・・あのね・・・」 「ん?」 白い息が視界を覆う。 「私、こなたのこと・・・好き」 「・・・・・・・」 この寒さで時間が凍ったかの様に思えた。 永い沈黙。 息を吐く体が震えているのが分かる。 寒さで?緊張で? そんなことはどうだって良い。 やがてこなたが目を大きくして言った。 「・・・良かった・・・」 聞き取れるかどうかも分からないような、かすかな声。 「私も好きだよ、かがみ」 涙が止まらなかった。 「今年もよろしくね」 「うん」 そしてお互いは、 「みなみちゃん!お姉ちゃんと柊先輩見つけたよ!」 「どこ・・・?」 「ほら、あっち。列から離れたあっちの方・・・あ!」 「あ、見つけた。・・・!?」 「・・・キス・・・」 「・・・邪魔しないようにしよう・・・か」 「そ、そうだね・・・ふぁっくしゅっ!」 「大丈夫?風邪引かないように・・・」 「大丈夫だよ、みなみちゃん。・・・心配してくれて有り難う。改めて、今年もよろしくね!みなみちゃん!」 「うん。こちらこそ、よろしく。ゆたか」 -[[謹賀新年(こなた視点)>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/60.html]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 2023年になりました。 &br()明けましておめでとうございます。 -- 名無しさん (2023-01-02 21:48:46) - またみさおが踏み台かよ… -- 名無しさん (2013-12-11 11:18:52) - みさおが…かわいそうすぎる…(ノ△T) &br() &br()ああ、こなかが命の俺は、もちろん作者殿にGJを贈らせていただきます -- 名無しさん (2008-08-24 00:14:08)

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