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『梅雨の夜』 暦の上で梅雨に入り、土砂降りの雨が私たちに降り注ぐ。 しかも突風のせいで傘が壊れ、ずぶ濡れで帰る羽目になった。 「何なんだよもう…降水確率30パーセントって言うから安心してたのに」 天気予報に不満を言う私。 「いや、0パーセントじゃないってことは、降るかも知れないってことだよ」 冷静に突っ込むこなた。 「…それはそうだけど、ここまで酷い天気になるなら、先に言って欲しいわ」 最終バスを逃してしまい、駅まで歩くことになった私たち。 教室でテスト勉強していたら、いつの間にか下校時間をとっくに過ぎてしまい、外は真っ暗になっていた。 見回りの先生には怒られるし、本当に最悪の一日だ。 「あーあ、テスト勉強、真面目に頑張ってるのになぁ…ちょっとくらい、いい事あってもいいんじゃないかしら」 「かがみん、世の中そんなに甘くないんだよ」 「…あんたに言われると無性に腹が立つ」 そうは言っても、この暗い夜道を一緒に歩いてくれる友達がいるのは心強い。 この辺にはコンビニもないので、一人っきりだったら、どれほど怖い思いをしていただろう。 「それにしても、駅までこんなに遠かったかしら?バスだと結構早いのに…」 「いつも中でしゃべってるから、早く感じるんじゃないの?」 「あぁ…そうかもね…」 しばらく歩くと、物置のような建物が見えてきた。農機具か何かを保管しているのだろう。 「ちょっと、あそこで雨宿りしない?」 「そだねー」 私たちは駆け足で軒下までたどり着いた。 「ここなら、しばらくはしのげそうね…」 「でも、いつまでもこうしちゃいられないね…」 こなたがポケットから携帯を取り出した。 「ちょっとうちに電話してみる」 「え、迎えに来てもらうの?」 「今日、ゆい姉さんが来てるかも知れない」 しばらく呼び出し音が聞こえた後、おじさんの声が聞こえてきた。 「あ、お父さん?私だけど…うん、今帰る途中でさ……うん、最終バス逃しちゃってさ……姉さん来てるの? ……あ、そうなんだ。じゃあ、お願いしてもいいかな?場所はね…」 パタン、と携帯を閉じた。 「大丈夫だよ。迎えに来てくれるってさ」 「なんか、悪いわね…気を遣わせちゃって」 「いいのいいの、今日はいっぱい勉強教えてもらったし」 こなたが笑う。 「今度の試験で赤点取ったら、追試だって言われてるし…」 「確かにそれは嫌ね…」 こなたは暗記が得意なのか、世界史の成績はいつも上位だが、他の科目はパッとしないのだ。 特に英語や理系の科目は、一夜漬けでどうにかなるものじゃない。 「あぁ…こんな事なら、一年のときからもうちょっと真面目にやっとけばよかったなぁ…」 「お、珍しく弱気じゃない」 「だってさ、追試でアニメやゲームの時間がさらに削られたら…私は禁断症状で苦しみぬくんだよ…」 「大げさなんだから…別に死ぬわけじゃないのに」 「いや、私にとっては栄養と一緒なんだよ。アニメやゲームのない暗黒世界に生きられるわけないんだよ」 「はいはい、じゃあ明日も頑張ろう。それから好きなだけ楽しめばいいわ」 「うぅ…ありがと。かがみん」 こなたが私に抱きついてきた。 「むにゃー…やわらかい…」 「こ、こら…変な事言うんじゃない」 「かがみぃ、寒いよー、しばらくこのままでいたーい」 「ちょ…誰かに見られたらどうするの?」 「風邪引いちゃうよ~~…」 「わ…わかったわよ」 「ねぇ…かがみ」 「ん?」 「ホント…いつもありがとう…感謝してる」 「どうしたのよ、いきなり…」 「私さ…かがみがいなかったら、途中で投げ出してたと思う…」 「え?」 「自分の勉強もやってるのに、私のために昔の教科書一つ一つチェックしてくれてさ、 わかりやすく教えてくれるのって、かがみだけだよ」 「でも、みゆきだって聞けば教えてくれるでしょ?」 「…そうだけどね…なんか、かがみのほうが気軽に聞けるって言うか…」 「それって、私はみゆきより下に見られてるってこと?」 ちょっと意地悪な質問をしてみた。 「違う…そうじゃない」 こなたが急に真顔になった。 「……かがみと一緒にいると、なんか気持ちが落ち着くって言うか… うまく言えないんだけど、他の友達には無いものがあるんだよ」 「え…?」 「かがみと一緒にいたいんだ…」 まっすぐに私を見つめて、こなたが言った。 「そ…そっか、頼りにされるのも悪くないわね…」 なぜだろう…心臓の動きが早くなっている。 (何なんだ一体…こなたってこんなこと言う奴だったか?) 「かがみん…」 「な…何?」 「今日は水色ですか…ふむ…」 「ば…ばかっ!恥ずかしいから見るな!!!」 下着が透けて見えていることに今更気づいた。 「いやぁ、かがみんって細いのに出てるところはしっかり出てるよね」 「品の無い事言うな!お前はスケベオヤジか!」 「女に生まれてよかったなぁ、こうしてかがみとイチャイチャ出来るし」 「う…うるさいっ、…こら、そんなとこ触るな!」 「あー…赤くなってるかがみんもかわいい~~」 こなたはやっぱりこなただ。 いつも明るい雰囲気を作ってくれるから、大変な勉強も乗り越えられそうだ。 「あぁ~、二の腕の感触…たまりませんなぁ…」 「だからやめろって言ってるだろ!」 「嫌がる顔もかわいいのぉ…むふふふふふ…」 「何なんだよもぉーーー!!!」 ただ、今は早く迎えが来てほしい。 こなた責めはそろそろ勘弁してほしいのだが。            (終) **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 最後のツンデレ最高ッス!ニヤニヤが止まらないッス!! -- 名無しさん (2011-05-15 02:58:17)
『梅雨の夜』 暦の上で梅雨に入り、土砂降りの雨が私たちに降り注ぐ。 しかも突風のせいで傘が壊れ、ずぶ濡れで帰る羽目になった。 「何なんだよもう…降水確率30パーセントって言うから安心してたのに」 天気予報に不満を言う私。 「いや、0パーセントじゃないってことは、降るかも知れないってことだよ」 冷静に突っ込むこなた。 「…それはそうだけど、ここまで酷い天気になるなら、先に言って欲しいわ」 最終バスを逃してしまい、駅まで歩くことになった私たち。 教室でテスト勉強していたら、いつの間にか下校時間をとっくに過ぎてしまい、外は真っ暗になっていた。 見回りの先生には怒られるし、本当に最悪の一日だ。 「あーあ、テスト勉強、真面目に頑張ってるのになぁ…ちょっとくらい、いい事あってもいいんじゃないかしら」 「かがみん、世の中そんなに甘くないんだよ」 「…あんたに言われると無性に腹が立つ」 そうは言っても、この暗い夜道を一緒に歩いてくれる友達がいるのは心強い。 この辺にはコンビニもないので、一人っきりだったら、どれほど怖い思いをしていただろう。 「それにしても、駅までこんなに遠かったかしら?バスだと結構早いのに…」 「いつも中でしゃべってるから、早く感じるんじゃないの?」 「あぁ…そうかもね…」 しばらく歩くと、物置のような建物が見えてきた。農機具か何かを保管しているのだろう。 「ちょっと、あそこで雨宿りしない?」 「そだねー」 私たちは駆け足で軒下までたどり着いた。 「ここなら、しばらくはしのげそうね…」 「でも、いつまでもこうしちゃいられないね…」 こなたがポケットから携帯を取り出した。 「ちょっとうちに電話してみる」 「え、迎えに来てもらうの?」 「今日、ゆい姉さんが来てるかも知れない」 しばらく呼び出し音が聞こえた後、おじさんの声が聞こえてきた。 「あ、お父さん?私だけど…うん、今帰る途中でさ……うん、最終バス逃しちゃってさ……姉さん来てるの? ……あ、そうなんだ。じゃあ、お願いしてもいいかな?場所はね…」 パタン、と携帯を閉じた。 「大丈夫だよ。迎えに来てくれるってさ」 「なんか、悪いわね…気を遣わせちゃって」 「いいのいいの、今日はいっぱい勉強教えてもらったし」 こなたが笑う。 「今度の試験で赤点取ったら、追試だって言われてるし…」 「確かにそれは嫌ね…」 こなたは暗記が得意なのか、世界史の成績はいつも上位だが、他の科目はパッとしないのだ。 特に英語や理系の科目は、一夜漬けでどうにかなるものじゃない。 「あぁ…こんな事なら、一年のときからもうちょっと真面目にやっとけばよかったなぁ…」 「お、珍しく弱気じゃない」 「だってさ、追試でアニメやゲームの時間がさらに削られたら…私は禁断症状で苦しみぬくんだよ…」 「大げさなんだから…別に死ぬわけじゃないのに」 「いや、私にとっては栄養と一緒なんだよ。アニメやゲームのない暗黒世界に生きられるわけないんだよ」 「はいはい、じゃあ明日も頑張ろう。それから好きなだけ楽しめばいいわ」 「うぅ…ありがと。かがみん」 こなたが私に抱きついてきた。 「むにゃー…やわらかい…」 「こ、こら…変な事言うんじゃない」 「かがみぃ、寒いよー、しばらくこのままでいたーい」 「ちょ…誰かに見られたらどうするの?」 「風邪引いちゃうよ~~…」 「わ…わかったわよ」 「ねぇ…かがみ」 「ん?」 「ホント…いつもありがとう…感謝してる」 「どうしたのよ、いきなり…」 「私さ…かがみがいなかったら、途中で投げ出してたと思う…」 「え?」 「自分の勉強もやってるのに、私のために昔の教科書一つ一つチェックしてくれてさ、 わかりやすく教えてくれるのって、かがみだけだよ」 「でも、みゆきだって聞けば教えてくれるでしょ?」 「…そうだけどね…なんか、かがみのほうが気軽に聞けるって言うか…」 「それって、私はみゆきより下に見られてるってこと?」 ちょっと意地悪な質問をしてみた。 「違う…そうじゃない」 こなたが急に真顔になった。 「……かがみと一緒にいると、なんか気持ちが落ち着くって言うか… うまく言えないんだけど、他の友達には無いものがあるんだよ」 「え…?」 「かがみと一緒にいたいんだ…」 まっすぐに私を見つめて、こなたが言った。 「そ…そっか、頼りにされるのも悪くないわね…」 なぜだろう…心臓の動きが早くなっている。 (何なんだ一体…こなたってこんなこと言う奴だったか?) 「かがみん…」 「な…何?」 「今日は水色ですか…ふむ…」 「ば…ばかっ!恥ずかしいから見るな!!!」 下着が透けて見えていることに今更気づいた。 「いやぁ、かがみんって細いのに出てるところはしっかり出てるよね」 「品の無い事言うな!お前はスケベオヤジか!」 「女に生まれてよかったなぁ、こうしてかがみとイチャイチャ出来るし」 「う…うるさいっ、…こら、そんなとこ触るな!」 「あー…赤くなってるかがみんもかわいい~~」 こなたはやっぱりこなただ。 いつも明るい雰囲気を作ってくれるから、大変な勉強も乗り越えられそうだ。 「あぁ~、二の腕の感触…たまりませんなぁ…」 「だからやめろって言ってるだろ!」 「嫌がる顔もかわいいのぉ…むふふふふふ…」 「何なんだよもぉーーー!!!」 ただ、今は早く迎えが来てほしい。 こなた責めはそろそろ勘弁してほしいのだが。            (終) **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-18 07:43:12) - 最後のツンデレ最高ッス!ニヤニヤが止まらないッス!! -- 名無しさん (2011-05-15 02:58:17)

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