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例えば青々と繁っていた木々の葉も、秋になれば赤や黄色の美しい衣に着替えるように。 大事に大事に使っていたものでもいつかはぼろぼろになってしまうように。 望もうと望まざろうと、物事は速さの違いこそあれ変化するものだと思う。 たまたま、私たちの場合友達から親友、そして恋人への変化だっただけであって。 「そろそろ行こっか」 「ん」 つかさやみゆきも居るから三日に一度程度だけど、私たちは二人で帰ることにしている。 二人ともそんなに気を遣わなくてもいいと言ってくれたけど、 こなたと付き合うようになったからといって、友人関係をおろそかには出来ない。 一緒に帰りながら私たちは他愛のない話をしたり、アニメショップに行ったり カフェに入ったり、そのままどちらかの家に行ったりする。 まあ、いわゆる放課後デートってやつかしらね。 校門を出てしばらくして、周りに見知った人がいないのを確認してから こなたに話かけた。 「ね、手、繋がない?」 「…ふぇ!?こ、ここで!?」 いつもの猫口こなたからは想像出来ないくらい照れて慌てる様子を見て、思わず吹き出してしまう。 こなたを知る人なら驚くかな、こんなに乙女な姿を見たら。私だけが 知っているこなたに愛しさが込み上げて来る。 そして若干の悪戯心も。 「良いじゃない。手繋ぐくらい。友達同士でもやってるわよ」 「…それは、そーかもしれないけどさ…。 友達として繋ぐのと恋人として繋ぐのは…こう、心持ち的に違うと言いますか…」 手を逡巡させつつぼそぼそと呟くこなたに追い打ちをかける。 「女の子同士で手ぐらい繋いでたって誰もなんとも思わないわよ。 …それとも私と繋ぎたくない?」 「う、ううん!!そういうわけじゃ…!」 「じゃ、良いよね」 「………うん」 にっこり笑って言うと、観念したのか右手を差し出してくる。私より一回り小さい手をとって 少しだけ力をこめると、同じように握り返してくる。夏も終わりの涼しいと言える気温に こなたの体温が心地よかった。 街路樹はまだまだ緑色だけれど、気の早い秋の虫たちが様々なメロディーを奏でている。 こんな時、なんて私は幸せなんだろうかと思う。 何気ない日常。その隣にこなたがいるだけでほっこりと暖かくなるような、 微笑んでしまうような、そんな気持ちになる。 きっとこの気持ちを人は幸せと呼ぶんだろう。 「でも、女の子ってなんか得よね」 「?なんで?」 急に思い付いたことを喋ると、こなたがきょとんとした顔で見上げて来る。 ちなみにさっきまでの会話の内容は『みそ汁に納豆を入れるのはアリかナシか』だった。 歩幅の違いのせいで少し遅れ気味になるこなたに歩調を合わせる。 歩くたびにぴょこぴょこ揺れるアホ毛さえ、可愛いと感じてしまう。 「高校生の男女がお泊りなんて許して貰えるはずないし、 男の子同士っていうのもあんまり聞かなくない? それに比べて女の子同士だとみんな平気でやってるしさ、さっきの話じゃないけど 誰も変に思わないでしょ?」 もっとも、これは私が女だからそう思うだけで、男子からすれば 女同士で泊まるなんて…と思ってるのかもしれないけれど。 ま、なにが言いたいかっていうと人目憚らずいちゃつけるでしょ?ってことなんだけどね。 そのことには思い至らなかったらしいこなたが少し考えて答える。 「……まあ、そうかも……ってお泊りって!?」 こなたがボンッと音が出るくらい勢いよく真っ赤になった。 「……あんたってそういうゲームしてるくせに意外と純情よねー…。 泊まるのなんて何回もしてるじゃない」 「そ、それはつかさもみゆきさんもいたりしたし… それに、…やっぱりゲームと現実は違うってば…」 恥ずかしいのかこなたの手にじんわりと汗が滲むのがわかった。 視線を下げると首まで真っ赤になっているのが青い髪の間からちらりと覗く。 「私の中学じゃ女の子同士でハグや、ほっぺにキスぐらいは当たり前だったわよ? 一回だけ唇にキスしてるのも見たし。ちなみにどっちも彼氏持ちで」 何て言うか、スキンシップ過剰な中学校だったのよね。高校に入ってびっくりした辺り 私も相当そういった光景に慣らされていたんだろう。 「…かがみもしたり、されたりしたの?」 握っている手に僅かに力がこめられ、拗ねたような表情が私の視線と心をわしづかみにする。 あ、駄目だ。頬が緩む。 「…やきもち?」 「…そんなんじゃないけど…」 くすりと笑って、安心させるようにゆっくり言う。 「心配しなくても私は何もしてないわよ。 日下部は抱き着いてきたりしたけどね」 「心配なんて…っ」 「私は、こなただけだから」 そう言って、素早く腰を屈めて触れるだけのキスをした。 こなたは一瞬何をされたか解らなかったみたいだけど、理解した途端顔から火を吹いた。 「かがみっ!ここ、道のど真ん中だよ!?見られたら――」 「いいじゃない、誰も見てないって。 というか見てなかったらいいわけ?」 「うぐっ……と、とにかく外じゃ駄目だってば!」 そこまで言ったこなたがすう、と軽く息を吸って。 「…するんなら、二人きりの時に…しよ?」 ぴきん その音はどこかの血管が切れた音か。 それとも理性にヒビが入った音か。 今すぐ押し倒してしまいそうな衝動に駆られながら必死に言葉を搾り出した。 「こなた……も、止められないからね? 覚悟しなさいよ?」 「はぇ?」 こなたが私の言葉を身を持って知るのは30分後の話。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - ↓いい学校だな -- 名無しさん (2012-12-31 14:35:00) - ↓↓ 俺もあるわ、俺の母校は百合もガチホモカップルもいたなあ… -- 名無しさん (2012-10-07 23:30:57) - あぁ GJ!! -- 名無しさん (2010-04-18 13:15:14) - なんか二人のスキンシップが妙にさわやかでいいね。 &br()>一回だけ唇にキスしてるのも見たし。ちなみにどっちも彼氏持ちで &br()コレ、オレもリアルで見たことあるW -- 名無しさん (2009-03-10 22:34:47) - こういうかがこなもいいなぁw かがこな大好き!! -- 名無しさん (2009-03-08 02:19:53) - 立場逆なんだね、おもしろいね。 -- 名無しさんは5244 (2008-08-29 00:40:20)
例えば青々と繁っていた木々の葉も、秋になれば赤や黄色の美しい衣に着替えるように。 大事に大事に使っていたものでもいつかはぼろぼろになってしまうように。 望もうと望まざろうと、物事は速さの違いこそあれ変化するものだと思う。 たまたま、私たちの場合友達から親友、そして恋人への変化だっただけであって。 「そろそろ行こっか」 「ん」 つかさやみゆきも居るから三日に一度程度だけど、私たちは二人で帰ることにしている。 二人ともそんなに気を遣わなくてもいいと言ってくれたけど、 こなたと付き合うようになったからといって、友人関係をおろそかには出来ない。 一緒に帰りながら私たちは他愛のない話をしたり、アニメショップに行ったり カフェに入ったり、そのままどちらかの家に行ったりする。 まあ、いわゆる放課後デートってやつかしらね。 校門を出てしばらくして、周りに見知った人がいないのを確認してから こなたに話かけた。 「ね、手、繋がない?」 「…ふぇ!?こ、ここで!?」 いつもの猫口こなたからは想像出来ないくらい照れて慌てる様子を見て、思わず吹き出してしまう。 こなたを知る人なら驚くかな、こんなに乙女な姿を見たら。私だけが 知っているこなたに愛しさが込み上げて来る。 そして若干の悪戯心も。 「良いじゃない。手繋ぐくらい。友達同士でもやってるわよ」 「…それは、そーかもしれないけどさ…。 友達として繋ぐのと恋人として繋ぐのは…こう、心持ち的に違うと言いますか…」 手を逡巡させつつぼそぼそと呟くこなたに追い打ちをかける。 「女の子同士で手ぐらい繋いでたって誰もなんとも思わないわよ。 …それとも私と繋ぎたくない?」 「う、ううん!!そういうわけじゃ…!」 「じゃ、良いよね」 「………うん」 にっこり笑って言うと、観念したのか右手を差し出してくる。私より一回り小さい手をとって 少しだけ力をこめると、同じように握り返してくる。夏も終わりの涼しいと言える気温に こなたの体温が心地よかった。 街路樹はまだまだ緑色だけれど、気の早い秋の虫たちが様々なメロディーを奏でている。 こんな時、なんて私は幸せなんだろうかと思う。 何気ない日常。その隣にこなたがいるだけでほっこりと暖かくなるような、 微笑んでしまうような、そんな気持ちになる。 きっとこの気持ちを人は幸せと呼ぶんだろう。 「でも、女の子ってなんか得よね」 「?なんで?」 急に思い付いたことを喋ると、こなたがきょとんとした顔で見上げて来る。 ちなみにさっきまでの会話の内容は『みそ汁に納豆を入れるのはアリかナシか』だった。 歩幅の違いのせいで少し遅れ気味になるこなたに歩調を合わせる。 歩くたびにぴょこぴょこ揺れるアホ毛さえ、可愛いと感じてしまう。 「高校生の男女がお泊りなんて許して貰えるはずないし、 男の子同士っていうのもあんまり聞かなくない? それに比べて女の子同士だとみんな平気でやってるしさ、さっきの話じゃないけど 誰も変に思わないでしょ?」 もっとも、これは私が女だからそう思うだけで、男子からすれば 女同士で泊まるなんて…と思ってるのかもしれないけれど。 ま、なにが言いたいかっていうと人目憚らずいちゃつけるでしょ?ってことなんだけどね。 そのことには思い至らなかったらしいこなたが少し考えて答える。 「……まあ、そうかも……ってお泊りって!?」 こなたがボンッと音が出るくらい勢いよく真っ赤になった。 「……あんたってそういうゲームしてるくせに意外と純情よねー…。 泊まるのなんて何回もしてるじゃない」 「そ、それはつかさもみゆきさんもいたりしたし… それに、…やっぱりゲームと現実は違うってば…」 恥ずかしいのかこなたの手にじんわりと汗が滲むのがわかった。 視線を下げると首まで真っ赤になっているのが青い髪の間からちらりと覗く。 「私の中学じゃ女の子同士でハグや、ほっぺにキスぐらいは当たり前だったわよ? 一回だけ唇にキスしてるのも見たし。ちなみにどっちも彼氏持ちで」 何て言うか、スキンシップ過剰な中学校だったのよね。高校に入ってびっくりした辺り 私も相当そういった光景に慣らされていたんだろう。 「…かがみもしたり、されたりしたの?」 握っている手に僅かに力がこめられ、拗ねたような表情が私の視線と心をわしづかみにする。 あ、駄目だ。頬が緩む。 「…やきもち?」 「…そんなんじゃないけど…」 くすりと笑って、安心させるようにゆっくり言う。 「心配しなくても私は何もしてないわよ。 日下部は抱き着いてきたりしたけどね」 「心配なんて…っ」 「私は、こなただけだから」 そう言って、素早く腰を屈めて触れるだけのキスをした。 こなたは一瞬何をされたか解らなかったみたいだけど、理解した途端顔から火を吹いた。 「かがみっ!ここ、道のど真ん中だよ!?見られたら――」 「いいじゃない、誰も見てないって。 というか見てなかったらいいわけ?」 「うぐっ……と、とにかく外じゃ駄目だってば!」 そこまで言ったこなたがすう、と軽く息を吸って。 「…するんなら、二人きりの時に…しよ?」 ぴきん その音はどこかの血管が切れた音か。 それとも理性にヒビが入った音か。 今すぐ押し倒してしまいそうな衝動に駆られながら必死に言葉を搾り出した。 「こなた……も、止められないからね? 覚悟しなさいよ?」 「はぇ?」 こなたが私の言葉を身を持って知るのは30分後の話。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ! -- 名無しさん (2022-12-27 16:51:28) - ↓いい学校だな -- 名無しさん (2012-12-31 14:35:00) - ↓↓ 俺もあるわ、俺の母校は百合もガチホモカップルもいたなあ… -- 名無しさん (2012-10-07 23:30:57) - あぁ GJ!! -- 名無しさん (2010-04-18 13:15:14) - なんか二人のスキンシップが妙にさわやかでいいね。 &br()>一回だけ唇にキスしてるのも見たし。ちなみにどっちも彼氏持ちで &br()コレ、オレもリアルで見たことあるW -- 名無しさん (2009-03-10 22:34:47) - こういうかがこなもいいなぁw かがこな大好き!! -- 名無しさん (2009-03-08 02:19:53) - 立場逆なんだね、おもしろいね。 -- 名無しさんは5244 (2008-08-29 00:40:20)

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