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寒くない雪の日」(2023/01/05 (木) 14:56:37) の最新版変更点

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「今日は寒いねぇ~」 私の口から、思わずその言葉が出ていた。 「そうね。朝、天気予報で今年一番の寒さを記録するって言ってたしね」 隣を歩くかがみの言葉通り、お天気お姉さんがそんなことを言っていた。 「夜中、すごい寒くて風邪でもひいたのかと思ったよ。 天気のせいだーってわかってれば、もっと経験値稼いでたんだけどな~」 「神様の早く寝なさいっていうお告げよ」 「酷い神様もいるもんだねぇ~」 人の楽しみを奪うなんて、憲法違反もいいところじゃないか。 「こなたのためを思ってる、いい神様じゃない」 かがみめ。言ってくれるねぇ~? 「私のためを思ってくれてるのは、かがみだけで十分だよ」 「なっ!?あ、アンタは何突然変なこと言い出すのよッ!!」 むふふ、予想通り~! このくらいで顔を真っ赤にしちゃうなんて、かがみはやっぱり可愛いなぁ~♪ ダメって分かってるけど、ついついもっといじめたくなっちゃうよ~♪ 「え?何か私、変なことでもいった?何が変なのかな~?」 「な、何で私がアンタのことなんか心配しなくちゃいけないのよ!」 「え?だって、ねぇ?」 「ねぇ?って……また、嫁が~とか言うんじゃないんでしょうね」 「な~んだ、聞かなくても分かってるんじゃん」 「まったく、アンタはいっつもそんなバカみたいな冗談ばっかり言って……」 呆れながらそう言うかがみ。 不意に私は立ち止まった。 少し歩いてからそれに気づいたかがみが、私のほうを不思議そうに見る。 「ん、こなた、どうかしたの?」 私は、かがみの目をじっと見つめる。 「冗談だと…………思う…………?」 「えっ…………?」 私の言葉に、かがみが顔をまた真っ赤にして驚いている。 お互い何も言わないで見詰め合ったまま、しばらく音がない時が流れる。 その静寂を破ったのは私。 「……今やってるギャルゲーのヒロインっぽく言ってみたんだけど、どきどきした?」 「な……っ!ば、バカ!するわけないでしょ!!」 「かがみ~、それだと肯定してるようなものだよぉ~?」 「知るかぁッ!!」 「必死に隠そうとするかがみ萌え~♪」 「萌えとか言うなぁ!」 『いつも』のやり取り。 私とかがみ。 ちょっと他の人とは違うかもしれないけど、私たちにとってはこれが『いつも』。 「風邪っていったら、私よりかがみのほうが心配だよ」 「え?なんでよ」 「だって、かがみってよく風邪ひくイメージがあるし」 「変なイメージつけるな。そんな言われるほどひいてないわよ」 「そう?」 「そうよ」 むむ、そうだったっけー? ―――くしゅん――。 その音は、私のすぐ隣から聞こえてきた。 そちらを見ると、顔を真っ赤にしているかがみがいた。 「あれあれ~、かがみ~、今の音なんだろうね?」 「う、うるさい……」 小さい声で言うかがみ。 ぐうの音も出ないってやつかな? やっぱり照れてるかがみも、可愛いなぁ~♪ ――――『いつも』。 ―――その境界線を、ちょっと越えても……良いよね? 「ね、かがみ、手つなごうよ」 「な、なによ、突然」 「だって、そっちのほうがあったかいじゃん~?」 「で、でも……」 「嫁に風邪をひかれたら困っちゃうからね」 本当の気持ちを伝えたい。 でもそれは出来ない。 だからこれくらいで我慢。 かがみ、これくらいなら良いでしょ? 「……し、仕方ないわね……」 かがみは照れながらも左手を差し出してくれた。 すごく嬉しい。 けれど、それを隠すために、いつもの調子で言う。 「むふふ、照れながらも手を差し出すかがみ萌え~♪」 「ば、バカ!変なこと言ってないで早くしなさいよ!」 「焦らなくても大丈夫だよ~♪」 ……そう言っていながらも、焦ってるのは私だった。 求めていたものがそこにある。 それなのに―――。 それなのに、何故か私は躊躇っていた。 「こなた……?」 かがみが不思議そうな顔で私を見てくる。 ……ええい、泉こなた!男を見せるんだ!! え?私は男じゃないって? 夜はいつでもPCの中で男だから問題ナシィッ!! 私はかがみの差し出した小さな、でも私のより大きな手を、しっかりと握った。 冷たい手。でも、とっても温かい。 まるで、かがみの心が伝わってきてるみたい。 「……温かいね」 思わず、そんな言葉が出ていた。 「そ、そうね……」 かがみも、顔を真っ赤にしながら同意してくれた。 その時、私たちの前に舞い降りてきた白いもの。 「「わぁ……」」 それをみて、私もかがみも声を上げていた。 「雪だ………」 ふわりふわりと舞い落ちるそれは、まるで神様からの贈り物。 「どうりで寒いわけね」 「もう、かがみ、現実的だなぁ~」 「じゃあ、なんていうのよ?」 「そうだなぁ……。まるでゲームの中みたい、とか?」 「アンタはもっと現実を見なさい」 「ひどいなぁ、夢みることは大事だよ~?」 だから今――――。 「あんたの場合は見すぎなのよ」 呆れたような顔をするかがみをみつめて、私は言った 「ねぇ、かがみ。雪降ってるじゃん―――」 「そうね、でもそれがどうしたの?」 「でもさ………全然寒くないね」 かがみも、私を見つめ返して笑顔で言った。 「そうね」 雪がひらひらと舞い降りる冬の日。 でも私たちだけはとっても暖かい、そんな日―――。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
「今日は寒いねぇ~」 私の口から、思わずその言葉が出ていた。 「そうね。朝、天気予報で今年一番の寒さを記録するって言ってたしね」 隣を歩くかがみの言葉通り、お天気お姉さんがそんなことを言っていた。 「夜中、すごい寒くて風邪でもひいたのかと思ったよ。 天気のせいだーってわかってれば、もっと経験値稼いでたんだけどな~」 「神様の早く寝なさいっていうお告げよ」 「酷い神様もいるもんだねぇ~」 人の楽しみを奪うなんて、憲法違反もいいところじゃないか。 「こなたのためを思ってる、いい神様じゃない」 かがみめ。言ってくれるねぇ~? 「私のためを思ってくれてるのは、かがみだけで十分だよ」 「なっ!?あ、アンタは何突然変なこと言い出すのよッ!!」 むふふ、予想通り~! このくらいで顔を真っ赤にしちゃうなんて、かがみはやっぱり可愛いなぁ~♪ ダメって分かってるけど、ついついもっといじめたくなっちゃうよ~♪ 「え?何か私、変なことでもいった?何が変なのかな~?」 「な、何で私がアンタのことなんか心配しなくちゃいけないのよ!」 「え?だって、ねぇ?」 「ねぇ?って……また、嫁が~とか言うんじゃないんでしょうね」 「な~んだ、聞かなくても分かってるんじゃん」 「まったく、アンタはいっつもそんなバカみたいな冗談ばっかり言って……」 呆れながらそう言うかがみ。 不意に私は立ち止まった。 少し歩いてからそれに気づいたかがみが、私のほうを不思議そうに見る。 「ん、こなた、どうかしたの?」 私は、かがみの目をじっと見つめる。 「冗談だと…………思う…………?」 「えっ…………?」 私の言葉に、かがみが顔をまた真っ赤にして驚いている。 お互い何も言わないで見詰め合ったまま、しばらく音がない時が流れる。 その静寂を破ったのは私。 「……今やってるギャルゲーのヒロインっぽく言ってみたんだけど、どきどきした?」 「な……っ!ば、バカ!するわけないでしょ!!」 「かがみ~、それだと肯定してるようなものだよぉ~?」 「知るかぁッ!!」 「必死に隠そうとするかがみ萌え~♪」 「萌えとか言うなぁ!」 『いつも』のやり取り。 私とかがみ。 ちょっと他の人とは違うかもしれないけど、私たちにとってはこれが『いつも』。 「風邪っていったら、私よりかがみのほうが心配だよ」 「え?なんでよ」 「だって、かがみってよく風邪ひくイメージがあるし」 「変なイメージつけるな。そんな言われるほどひいてないわよ」 「そう?」 「そうよ」 むむ、そうだったっけー? ―――くしゅん――。 その音は、私のすぐ隣から聞こえてきた。 そちらを見ると、顔を真っ赤にしているかがみがいた。 「あれあれ~、かがみ~、今の音なんだろうね?」 「う、うるさい……」 小さい声で言うかがみ。 ぐうの音も出ないってやつかな? やっぱり照れてるかがみも、可愛いなぁ~♪ ――――『いつも』。 ―――その境界線を、ちょっと越えても……良いよね? 「ね、かがみ、手つなごうよ」 「な、なによ、突然」 「だって、そっちのほうがあったかいじゃん~?」 「で、でも……」 「嫁に風邪をひかれたら困っちゃうからね」 本当の気持ちを伝えたい。 でもそれは出来ない。 だからこれくらいで我慢。 かがみ、これくらいなら良いでしょ? 「……し、仕方ないわね……」 かがみは照れながらも左手を差し出してくれた。 すごく嬉しい。 けれど、それを隠すために、いつもの調子で言う。 「むふふ、照れながらも手を差し出すかがみ萌え~♪」 「ば、バカ!変なこと言ってないで早くしなさいよ!」 「焦らなくても大丈夫だよ~♪」 ……そう言っていながらも、焦ってるのは私だった。 求めていたものがそこにある。 それなのに―――。 それなのに、何故か私は躊躇っていた。 「こなた……?」 かがみが不思議そうな顔で私を見てくる。 ……ええい、泉こなた!男を見せるんだ!! え?私は男じゃないって? 夜はいつでもPCの中で男だから問題ナシィッ!! 私はかがみの差し出した小さな、でも私のより大きな手を、しっかりと握った。 冷たい手。でも、とっても温かい。 まるで、かがみの心が伝わってきてるみたい。 「……温かいね」 思わず、そんな言葉が出ていた。 「そ、そうね……」 かがみも、顔を真っ赤にしながら同意してくれた。 その時、私たちの前に舞い降りてきた白いもの。 「「わぁ……」」 それをみて、私もかがみも声を上げていた。 「雪だ………」 ふわりふわりと舞い落ちるそれは、まるで神様からの贈り物。 「どうりで寒いわけね」 「もう、かがみ、現実的だなぁ~」 「じゃあ、なんていうのよ?」 「そうだなぁ……。まるでゲームの中みたい、とか?」 「アンタはもっと現実を見なさい」 「ひどいなぁ、夢みることは大事だよ~?」 だから今――――。 「あんたの場合は見すぎなのよ」 呆れたような顔をするかがみをみつめて、私は言った 「ねぇ、かがみ。雪降ってるじゃん―――」 「そうね、でもそれがどうしたの?」 「でもさ………全然寒くないね」 かがみも、私を見つめ返して笑顔で言った。 「そうね」 雪がひらひらと舞い降りる冬の日。 でも私たちだけはとっても暖かい、そんな日―――。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-01-05 14:56:37)

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