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二人の夢編「彼方からの贈り物」」(2023/08/06 (日) 23:48:55) の最新版変更点

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ある日のこと…… 「いや~、今日も大漁大漁♪  秋葉巡りは、これだからやめられないよね~」 長い髪の女の子が、満足気に話す。 「ホント、よく飽きないわね……」 もう一人のツインテールの女の子は、 若干呆れた表情だ。 「新刊と特典ある限り、秋葉巡りに終わりは無いのだよ」 「はいはい。ま、私も何だかんだで欲しかったラノベ買えたし、  丁度良かったかな」 「プレゼントも買えたし、そんじゃ帰ろっか」 「そうね」 電車に揺られながら家へと向かう。 そこでは、女子高生同士の他愛の無いお喋りの時間になる。 二度とは戻らない、青春の時間に……。 「ただいま~」 「おかえりー、また秋葉行ってきたの?」 「うん! はい、お母さんにお土産!」 「あら、ラノベの新刊出てたのね。  わざわざありがと」 私は、それを青髪ツインテールの子から受け取る。 「こなたお母さんは?」 「あいつ、またネトゲしてるみたい。  折角、私が休日だってのに……」 「何か呼んだ~?」 こなたが、飄々と笑顔で二階から降りてくる。 「お母さん、これ!」 「おお! これぞまさしく例の  プレミアつきDVDBOX初回限定版!  流石は我が娘! 私の欲しい物もバッチリ把握してるとは!」 そう言って、菫色の髪のロングヘアーの子に抱きつくこなた。 ほんと、幾つになっても変わらないんだから。 「さ、折角久々に皆揃ってるんだし、ご飯にしよっか!」 娘から身を離したこなたが、そう皆に呼びかける。 「こなた、いつの間に食事の準備したの?  まだ作ってないんでしょ?」 「かがみんが、今日休みって聞いた時からだよ。  朝食も昼食も、下ごしらえは大変だけど  調理は簡単なやつだったの、気がつかなかった?」 「あ……」 そう言われてみると、そうかもしれない…… 「夕食も同じ。協力してやれば、あっという間だよ。  さ、久々に二人一緒に準備しよ?」 何だかんだで、こういう所は敵わないなあと思い知らされる。 「その前に、お母さん達にもう一つプレゼント!」 「はい! コレ!」 そう言って娘達が差し出したのは、 お揃いのペンダント。 「おお、これまた嬉しい物を。  本当に二人はいい子だね~♪」 そう言い、二人の娘にベッタリなこなた。 間違いなくそうじろうさん似だな、こなたは……。 「でも、何で急にこんなに買ってきたの?」 「だって、お母さん達の結婚記念日でしょ?」 「……? たしかに、もう少しで記念日だけど  まだ若干早くないかしら?  あ、もちろん、気持ちは嬉しいけどね」 私達の結婚記念日はもう少し先だ。 女子高生にもなる娘達が、今更間違えて 日付を覚えているとも思えないし……。 「……あのね、つかさ叔母さんにこの前聞いたんだ。  お母さん達が私達くらいの歳に、一度二人で結婚式挙げてるって」 「え……!?」 「あ……!」 私とこなたは、ふとあの時のことを思い出した。 「その日が丁度今日だったんだよね?  だから、今日はそのお祝い!」 「あんた達……もう、ちょっと感動しちゃったじゃない」 「……本当に幸せ者だね、私達って」 「そうね……」 私とこなたは目を合わせて、あの時のことを 感慨深気に思い出していた。 「ねー、お母さん、お腹空いた~」 「ほいほい。それじゃ準備しよっか、かがみん」 「分かったわ。あ、二人とも、食事の前に……」 「うん、分かってる!」 「おばあちゃんの所にお供え物ね」 そう言って、双子の娘は仏間へと駆け出していった。 その様子を、じっと見つめる私。 「……どったの、かがみん?」 「え……? あ、いや、私達にもあんな頃があったな、って」 「そだね……私も、さっき色々思い出しちゃった」 懐かしさと寂しさが、胸のうちからこみ上げてくる。 こなたもきっと、同じような気持ちだろう。 「……寂しくないって言ったら嘘。  時間をあの頃に戻せたら、って思うことだってあるよ。  ……でもさ」 「……?」 じっと、こなたの話に耳を傾ける。 「あの子達を見てるとさ、そんなこと綺麗サッパリ忘れちゃうんだよね。  だって、今だってすっごく幸せだもの!」 「そうね……そうよね」 「あれ~、お母さん達まだ準備してないの~?」 「私達も手伝うから、早く始めよ?」 「はいはい、それじゃ始めましょっか!」   ――ここは……? 辺りを見回す。朝日が部屋を照らし始めている。 そうだ、昨日はみゆきの家にこなたと泊まって……。 目の前には、寝息をたてているこなたの姿。 今のは……夢……? 「むにゃ……始めましょっか……」 「……!?」 こなたの寝言にハッとする。 まさか、同じ夢を……!? 「こな……」 名前を呼びかけたが、 やはり起こすのは気がひけたのでやめた。 それよりも、今は彼女の幸せそうな寝顔を 見ていたいと思ったから……。     (最後の贈り物、届いたかしら……?) 「……?」 ふと、何か聞こえたような気がした。 空耳……?     (……さん……のこと、宜しくお願いしますね……) 「え……?」 確かに、何かが聞こえたような……。 だが、周囲には幸せそうに眠るこなただけ。 「う……ん……」 寝ているこなたが体を寄せてきた。 私も、こなたが目を覚まさないように優しく抱き返す。 ……今は彼女だけを見ていよう。 彼女の温もりだけを感じていよう。 二人で手を取り合っていけば、夢みたいな未来もあるはず……。 そんなことを考えながら、私も目を閉じて こなたの額に優しく口付けた。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!泣 -- 名無しさん (2022-12-23 18:26:17)
ある日のこと…… 「いや~、今日も大漁大漁♪  秋葉巡りは、これだからやめられないよね~」 長い髪の女の子が、満足気に話す。 「ホント、よく飽きないわね……」 もう一人のツインテールの女の子は、 若干呆れた表情だ。 「新刊と特典ある限り、秋葉巡りに終わりは無いのだよ」 「はいはい。ま、私も何だかんだで欲しかったラノベ買えたし、  丁度良かったかな」 「プレゼントも買えたし、そんじゃ帰ろっか」 「そうね」 電車に揺られながら家へと向かう。 そこでは、女子高生同士の他愛の無いお喋りの時間になる。 二度とは戻らない、青春の時間に……。 「ただいま~」 「おかえりー、また秋葉行ってきたの?」 「うん! はい、お母さんにお土産!」 「あら、ラノベの新刊出てたのね。  わざわざありがと」 私は、それを青髪ツインテールの子から受け取る。 「こなたお母さんは?」 「あいつ、またネトゲしてるみたい。  折角、私が休日だってのに……」 「何か呼んだ~?」 こなたが、飄々と笑顔で二階から降りてくる。 「お母さん、これ!」 「おお! これぞまさしく例の  プレミアつきDVDBOX初回限定版!  流石は我が娘! 私の欲しい物もバッチリ把握してるとは!」 そう言って、菫色の髪のロングヘアーの子に抱きつくこなた。 ほんと、幾つになっても変わらないんだから。 「さ、折角久々に皆揃ってるんだし、ご飯にしよっか!」 娘から身を離したこなたが、そう皆に呼びかける。 「こなた、いつの間に食事の準備したの?  まだ作ってないんでしょ?」 「かがみんが、今日休みって聞いた時からだよ。  朝食も昼食も、下ごしらえは大変だけど  調理は簡単なやつだったの、気がつかなかった?」 「あ……」 そう言われてみると、そうかもしれない…… 「夕食も同じ。協力してやれば、あっという間だよ。  さ、久々に二人一緒に準備しよ?」 何だかんだで、こういう所は敵わないなあと思い知らされる。 「その前に、お母さん達にもう一つプレゼント!」 「はい! コレ!」 そう言って娘達が差し出したのは、 お揃いのペンダント。 「おお、これまた嬉しい物を。  本当に二人はいい子だね~♪」 そう言い、二人の娘にベッタリなこなた。 間違いなくそうじろうさん似だな、こなたは……。 「でも、何で急にこんなに買ってきたの?」 「だって、お母さん達の結婚記念日でしょ?」 「……? たしかに、もう少しで記念日だけど  まだ若干早くないかしら?  あ、もちろん、気持ちは嬉しいけどね」 私達の結婚記念日はもう少し先だ。 女子高生にもなる娘達が、今更間違えて 日付を覚えているとも思えないし……。 「……あのね、つかさ叔母さんにこの前聞いたんだ。  お母さん達が私達くらいの歳に、一度二人で結婚式挙げてるって」 「え……!?」 「あ……!」 私とこなたは、ふとあの時のことを思い出した。 「その日が丁度今日だったんだよね?  だから、今日はそのお祝い!」 「あんた達……もう、ちょっと感動しちゃったじゃない」 「……本当に幸せ者だね、私達って」 「そうね……」 私とこなたは目を合わせて、あの時のことを 感慨深気に思い出していた。 「ねー、お母さん、お腹空いた~」 「ほいほい。それじゃ準備しよっか、かがみん」 「分かったわ。あ、二人とも、食事の前に……」 「うん、分かってる!」 「おばあちゃんの所にお供え物ね」 そう言って、双子の娘は仏間へと駆け出していった。 その様子を、じっと見つめる私。 「……どったの、かがみん?」 「え……? あ、いや、私達にもあんな頃があったな、って」 「そだね……私も、さっき色々思い出しちゃった」 懐かしさと寂しさが、胸のうちからこみ上げてくる。 こなたもきっと、同じような気持ちだろう。 「……寂しくないって言ったら嘘。  時間をあの頃に戻せたら、って思うことだってあるよ。  ……でもさ」 「……?」 じっと、こなたの話に耳を傾ける。 「あの子達を見てるとさ、そんなこと綺麗サッパリ忘れちゃうんだよね。  だって、今だってすっごく幸せだもの!」 「そうね……そうよね」 「あれ~、お母さん達まだ準備してないの~?」 「私達も手伝うから、早く始めよ?」 「はいはい、それじゃ始めましょっか!」   ――ここは……? 辺りを見回す。朝日が部屋を照らし始めている。 そうだ、昨日はみゆきの家にこなたと泊まって……。 目の前には、寝息をたてているこなたの姿。 今のは……夢……? 「むにゃ……始めましょっか……」 「……!?」 こなたの寝言にハッとする。 まさか、同じ夢を……!? 「こな……」 名前を呼びかけたが、 やはり起こすのは気がひけたのでやめた。 それよりも、今は彼女の幸せそうな寝顔を 見ていたいと思ったから……。     (最後の贈り物、届いたかしら……?) 「……?」 ふと、何か聞こえたような気がした。 空耳……?     (……さん……のこと、宜しくお願いしますね……) 「え……?」 確かに、何かが聞こえたような……。 だが、周囲には幸せそうに眠るこなただけ。 「う……ん……」 寝ているこなたが体を寄せてきた。 私も、こなたが目を覚まさないように優しく抱き返す。 ……今は彼女だけを見ていよう。 彼女の温もりだけを感じていよう。 二人で手を取り合っていけば、夢みたいな未来もあるはず……。 そんなことを考えながら、私も目を閉じて こなたの額に優しく口付けた。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - やっぱ家族になってる話が1番だなぁ(/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-08-06 23:48:55) - GJ!泣 -- 名無しさん (2022-12-23 18:26:17)

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