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局地的真夏地帯」(2022/12/23 (金) 12:57:59) の最新版変更点

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冬休みも終盤となり、私、かがみ、つかさ、そしてみゆきさんの四人は私の部屋で勉強会をしていた。 かがみってば極力自分でやれっていって、必要最低限しか教えてくれないんだよね。 「恋人同士になったんだからもうちょっと甘くしてくれたっていいじゃんかー!」 とは言ったけれど、本気で言ってるわけじゃない。 「それとこれとは話が別!!」 と真っ赤になるかがみが見たいだけなんだよね。それに私を思って言ってくれてる ってことは解っているから、それ以上はぐだぐだ言わずに宿題を消化した。 まだ少し残っているけれど、始業式までの日数を考えたら十分こなせる量だろう。 課題が一段落つき、ペンを休めおやつをつまみながら雑談をしていた所で ふと考え付いたことを口に出してみることにした。 「ねぇ、みゆきさん?」 「はい、なんでしょうか」 話し掛けたみゆきさんだけでなく、かがみもつかさも一斉に「ん?」という表情で私を見る。 「あえて聞いてなかったんだけどさ、クリスマスの日この部屋でナニがあったのかなー?」 「こ、こなちゃん!?」 途端に焦るつかさをよそに、にっこり笑ってみゆきさんが口を開く。 「そうですね、あの日は――…」 泉さんが出掛けて15分程経った頃でしょうか。私一人しかいない家にチャイムの音が響き渡り 私は体をすくませました。泉さんにはああ言いましたが、やはり自分のこととなるととても緊張してしまいます。 他人の家にいるのに出迎えに行くのは何だか変な気分です。 階段を下り、玄関を開けると不思議そうな顔をしたつかささんが目に映りました。 「え?ゆきちゃん?あれ?あれれー??」 つかささんが頭の上にいくつもクエスチョンマークを浮かべながら聞いて来ます。 泉さんの話では、かがみさんのことで相談があると言って呼び出した ということですから、疑問に思うのも無理はないでしょう。 「説明しますからあがって頂けませんか?ここでは寒いですし」 「あ、う、うん!」 一緒に部屋に入り、泉さんがあらかじめ用意して下さっていた飲み物とお菓子を出しました。 「…では、どこから話していいのかよくわかりませんので…。 …とりあえず、最初からお話しますね」 「えー、と…つまり…こなちゃんはお姉ちゃんが好きなんだけど お姉ちゃんの勘違いで擦れ違っちゃって、その誤解を解くためにゆきちゃんが代わりにお姉ちゃんを 呼び出したってこと?」 「ええ、そうなりますね」 途中、何度かオレンジジュースで喉を潤しつつここ一週間程の 出来事を話すと、つかささんが目を丸くして聞き返して来ました。 本人に了承を取らないまま全てを話してしまうのはいけないことかもしれませんが、 この状況では致し方ないことだと思います。 「……そうだったんだ……上手くいくといいね…」 「はい、そうですね…」 本当に、心からそう思います。泉さんはかがみさんをとても大切に思っていらっしゃいましたから。 「……つかささんは驚かないんですね」 「うん。お姉ちゃんとこなちゃんお似合いだもん」 「あ、いえそうではなくて……その……同性同士、ということに…」 「ふぁ!?あ、うん。そうだね…そうだよ、ね……普通は……」 つかささんの声が語尾に向かうにつれ、段々と小さくなって 最後には聞こえなくなってしまいました。なぜだか顔も赤いです。 「……………」 「……………」 何となく気まずい雰囲気になってしまい、ゴオオというストーブの音だけが聞こえます。 何か、流れを変えるような話題はないでしょうか…。そう思って周りを見渡すと、 目についたのは足元に置いていた、つかささんに贈るためのプレゼント。 平静を装って来ましたが、内心では最初からどきどきしていました。 いつ伝えようか。いつプレゼントしようか。…つかささんはなんておっしゃるのか。 先程つかささんに説明している時から、頭の片隅ではそればかりを考えていました。 何もこのタイミングで、と思われるかもしれませんが『思い立ったら吉日』 という言葉があるように、この機を逃したらうやむやになってしまう気がします。 意を決して、息を吸い込み口を開きました。 「「あの」」 「…!つかささんお先にどうぞ」 「ゆ、ゆきちゃんから先に言っていいよ」 「いえ、つかささんから……」 譲り合いの末、私が先に話すことになりました。 どくん、どくんと全力疾走した時みたいに心臓が大きく脈打っています。 「あの……私、は…つかささんのことが……好きなんです」 「………え………」 「それで、あの、もし宜しかったら…これを受け取って下さいませんか?」 差し出したのは緑色の包装紙に赤のリボンが巻かれたクリスマスプレゼント。 「……ありがとう、ゆきちゃん…。…私もゆきちゃんが…好きだよ…」 「え…つかさ、さん…?」 両手で受け取るつかささんの目から、一筋の雫が零れてどうしたらいいのか解らなくなってしまいます。 「本当は…片思いでもいいって思ってたんだけど…昨日ね、お姉ちゃんと お話してて言われたんだ。私はまだ好きな人に何にもしてない。だから、可能性はまだいくらでもあるって。 …それでね、私は決めたんだ。今度好きな人……ゆきちゃんに会った時 駄目元でもいい、私の気持ちを伝えよう…って」 「つかささん…」 「泣かないでゆきちゃん」 言われて頬に触れると確かに伝うのは涙。 でも、良いんです。これは嬉し涙ですから。 「…抱きしめても…良いですか…?」 まるで体全体が心臓になったような気さえします。 「うん…いいよ…」 顔も体も熱くて、でもどうすることも出来なくて…熱を共有させるように ぎゅうと強く抱きしめました。やがて、怖ず怖ずとつかささんの手が背中に回されて 小さな、ですがしっかりと聞き取れる声で囁かれました。 「大好き」 「――という次第で…」 「……惚気?」 「惚気ね」 いやー…私的には、普段冷静沈着なみゆきさんが焦る姿を見たかったんだけどね? まあ、これはこれで普段は見られないみゆきさんの一面だったけども。 つかさといえば、みゆきさんを止められるはずもなく変な汗をかきつつ真っ赤になったままだ。 「あの時のつかささんは本当に可愛らしかったんですよ」 その時のことを思い出しているのか、目を閉じ頬に手をあてて喋るみゆきさんはとても幸せそうだった。 「ゆ、ゆきちゃんだって!!」 今まで一言も言葉を発さなかったつかさが突然声をあげる。 「ぎゅっとした時とかキスしませんか?って言った時すっごく綺麗だったんだよ!!」 「つ、つかささん!?」 「あ……!!!」 本人としては一矢報いたつもりだったんだろう。しかしそれは 巨大なブーメランとなって、『二人』に返っていった。 「ほーー…キスまで……」 「…………ごちそうさま」 ほっぺはもちろん、首から耳からよく熟れたりんごみたく赤くなっているのを見て 私はにやにやとした笑いを抑え切れない。 よっぽど恥ずかしいのか二人とも固まったまま微動だにしない。 やれやれ、こりゃしばらくは回復しないネ。 「そういえば私も聞きたいことがあるんだけど」 「ん?何?」 みゆきさんとつかさをそのままに、かがみが話し掛けて来て、視線をそっちに移す。 「男の人ってさ…えっちな本をベッドの下とかに隠すじゃない?」 「散々見つかったりしてるみたいだけど、まだ結構いるみたいだね。 何?かがみってばそーいうのにキョーミあるの? 私と言う人がありながらっ!」 冗談混じりで言うと、少し頬を染めながら「違うわよ」と言って続ける。 「そうじゃなくって、こなたもさそういう同人誌とかゲームとか持ってるけど 隠そうとしないわよね、って話」 かがみの言葉にああ、と合点がいく。 「んー、一般的に隠したい対象って家族とか、そーいう趣味のない 友達とかだと思うんだけどうちはホラ、お父さんがああだし」 「………ああ………」 むむっ!なにかなその可哀相な人を見る目は! だけどかがみんや、かがみも“見せても大丈夫な人”カテゴリーに 入ってるんだよ?自覚がないのかね?よし、解らせてやろうではないか!! 「友達もあんまり頓着しない人が多いしね。 かがみなんか段々オタク化してるし?」 くふふ、と笑いながら言うとかがみが心外だとばかりに 反論してくるのを、軽ーく流して私はさらに喋る。 「それに、私が知らないとでもお思いか?かがみが冬コミの時に自分でも何冊か……」 「あ、あれはあんたに話を合わせたいと思って…」 うんうん。解ってるよ、かがみ。私はそれが嬉しくて堪らなくて…ついついからかっちゃうんだよね。 「…まあ、ベッドの下に隠せる程度の量でもないしね」 これ以上かがみを虐めるのも可哀相だから、話を戻すことにする。 本棚はおろか、パソコンの周りや枕の横にまでアレな本やゲームが散乱してる惨状は ベッドの下ごときじゃ改善のしようがない。 「…じゃあ、こなたが何か隠すとしたらどこかしらね」 「え゛」 何気ない、しかし予想だにしなかった言葉に体が強張ったのが解った。 …実は一つだけ、あるんだよね見られたら嫌な物。 他人にとっては、なんてことないものかもしれないけれど、私からすればとっても恥ずかしい。 「…何その怪しい反応」 「い、いやー?別に?」 「枕……?」 「!!!?」 ちゃんと隠れているか、ちらっと見たのがバレてしまったらしい。 かがみが小悪魔みたいににやりと口角を上げて笑う。 「だめーーーーっ!!かがみ様!それだけは…!」 「いつもからかわれてる私の身にもなってみなさいっ!」 慌てて立ち上がって阻止しようとしたけど遅かった。かがみの方がベッドに近くて、 スローモーションで時が流れて行く。 「ホントに何かある…」 枕の下に手を突っ込んで、それを取り出したのが見えて、冷や汗が背中を伝った。 「ま、待って!!ちょっと落ち着こう!!」 「駄目駄目ー♪さてなにかなこれはー」 かがみに抱き着いてお願いするけど、腕を高く上げられてしまっては 身長差のせいでもうどうすることも出来ない。 「えーと何々?“売切れ必至!クリスマス人気プレゼント特集”…?」 そう、それは女の子向けの雑誌。本来は彼氏におねだりするためのものなんだろう。 私はかがみに何を贈ればいいのか解らなかったから、これのお世話になったわけだけど。 なんていうか、自分に似合わないって自覚してるのものを 持ってるのを見られるのが、すごく恥ずかしく感じるのは私だけだろうか。 「これ、って…私のため、に…?」 半分自棄になって頷いてちらりと上を見ると、かがみもかああっと 面白いぐらい真っ赤になって。それをみて私もまたより一層照れてしまう。 部屋の温度が、5度は上がった気がした。 結局、四人が回復しきったのは30分以上経った後だった、というのを最後に付け加えておこうかな……。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!これしか言えねぇ!!最高だ!! -- 名無しさん (2013-01-10 18:10:47) - 同じくwwwwでも季節的に無理かw今年のクリスマスにでもyrwwww -- 名無しさん (2008-07-02 10:33:01) - めっちゃ続き見たいんですけど…www -- 名無しさん (2008-03-14 02:22:28)
冬休みも終盤となり、私、かがみ、つかさ、そしてみゆきさんの四人は私の部屋で勉強会をしていた。 かがみってば極力自分でやれっていって、必要最低限しか教えてくれないんだよね。 「恋人同士になったんだからもうちょっと甘くしてくれたっていいじゃんかー!」 とは言ったけれど、本気で言ってるわけじゃない。 「それとこれとは話が別!!」 と真っ赤になるかがみが見たいだけなんだよね。それに私を思って言ってくれてる ってことは解っているから、それ以上はぐだぐだ言わずに宿題を消化した。 まだ少し残っているけれど、始業式までの日数を考えたら十分こなせる量だろう。 課題が一段落つき、ペンを休めおやつをつまみながら雑談をしていた所で ふと考え付いたことを口に出してみることにした。 「ねぇ、みゆきさん?」 「はい、なんでしょうか」 話し掛けたみゆきさんだけでなく、かがみもつかさも一斉に「ん?」という表情で私を見る。 「あえて聞いてなかったんだけどさ、クリスマスの日この部屋でナニがあったのかなー?」 「こ、こなちゃん!?」 途端に焦るつかさをよそに、にっこり笑ってみゆきさんが口を開く。 「そうですね、あの日は――…」 泉さんが出掛けて15分程経った頃でしょうか。私一人しかいない家にチャイムの音が響き渡り 私は体をすくませました。泉さんにはああ言いましたが、やはり自分のこととなるととても緊張してしまいます。 他人の家にいるのに出迎えに行くのは何だか変な気分です。 階段を下り、玄関を開けると不思議そうな顔をしたつかささんが目に映りました。 「え?ゆきちゃん?あれ?あれれー??」 つかささんが頭の上にいくつもクエスチョンマークを浮かべながら聞いて来ます。 泉さんの話では、かがみさんのことで相談があると言って呼び出した ということですから、疑問に思うのも無理はないでしょう。 「説明しますからあがって頂けませんか?ここでは寒いですし」 「あ、う、うん!」 一緒に部屋に入り、泉さんがあらかじめ用意して下さっていた飲み物とお菓子を出しました。 「…では、どこから話していいのかよくわかりませんので…。 …とりあえず、最初からお話しますね」 「えー、と…つまり…こなちゃんはお姉ちゃんが好きなんだけど お姉ちゃんの勘違いで擦れ違っちゃって、その誤解を解くためにゆきちゃんが代わりにお姉ちゃんを 呼び出したってこと?」 「ええ、そうなりますね」 途中、何度かオレンジジュースで喉を潤しつつここ一週間程の 出来事を話すと、つかささんが目を丸くして聞き返して来ました。 本人に了承を取らないまま全てを話してしまうのはいけないことかもしれませんが、 この状況では致し方ないことだと思います。 「……そうだったんだ……上手くいくといいね…」 「はい、そうですね…」 本当に、心からそう思います。泉さんはかがみさんをとても大切に思っていらっしゃいましたから。 「……つかささんは驚かないんですね」 「うん。お姉ちゃんとこなちゃんお似合いだもん」 「あ、いえそうではなくて……その……同性同士、ということに…」 「ふぁ!?あ、うん。そうだね…そうだよ、ね……普通は……」 つかささんの声が語尾に向かうにつれ、段々と小さくなって 最後には聞こえなくなってしまいました。なぜだか顔も赤いです。 「……………」 「……………」 何となく気まずい雰囲気になってしまい、ゴオオというストーブの音だけが聞こえます。 何か、流れを変えるような話題はないでしょうか…。そう思って周りを見渡すと、 目についたのは足元に置いていた、つかささんに贈るためのプレゼント。 平静を装って来ましたが、内心では最初からどきどきしていました。 いつ伝えようか。いつプレゼントしようか。…つかささんはなんておっしゃるのか。 先程つかささんに説明している時から、頭の片隅ではそればかりを考えていました。 何もこのタイミングで、と思われるかもしれませんが『思い立ったら吉日』 という言葉があるように、この機を逃したらうやむやになってしまう気がします。 意を決して、息を吸い込み口を開きました。 「「あの」」 「…!つかささんお先にどうぞ」 「ゆ、ゆきちゃんから先に言っていいよ」 「いえ、つかささんから……」 譲り合いの末、私が先に話すことになりました。 どくん、どくんと全力疾走した時みたいに心臓が大きく脈打っています。 「あの……私、は…つかささんのことが……好きなんです」 「………え………」 「それで、あの、もし宜しかったら…これを受け取って下さいませんか?」 差し出したのは緑色の包装紙に赤のリボンが巻かれたクリスマスプレゼント。 「……ありがとう、ゆきちゃん…。…私もゆきちゃんが…好きだよ…」 「え…つかさ、さん…?」 両手で受け取るつかささんの目から、一筋の雫が零れてどうしたらいいのか解らなくなってしまいます。 「本当は…片思いでもいいって思ってたんだけど…昨日ね、お姉ちゃんと お話してて言われたんだ。私はまだ好きな人に何にもしてない。だから、可能性はまだいくらでもあるって。 …それでね、私は決めたんだ。今度好きな人……ゆきちゃんに会った時 駄目元でもいい、私の気持ちを伝えよう…って」 「つかささん…」 「泣かないでゆきちゃん」 言われて頬に触れると確かに伝うのは涙。 でも、良いんです。これは嬉し涙ですから。 「…抱きしめても…良いですか…?」 まるで体全体が心臓になったような気さえします。 「うん…いいよ…」 顔も体も熱くて、でもどうすることも出来なくて…熱を共有させるように ぎゅうと強く抱きしめました。やがて、怖ず怖ずとつかささんの手が背中に回されて 小さな、ですがしっかりと聞き取れる声で囁かれました。 「大好き」 「――という次第で…」 「……惚気?」 「惚気ね」 いやー…私的には、普段冷静沈着なみゆきさんが焦る姿を見たかったんだけどね? まあ、これはこれで普段は見られないみゆきさんの一面だったけども。 つかさといえば、みゆきさんを止められるはずもなく変な汗をかきつつ真っ赤になったままだ。 「あの時のつかささんは本当に可愛らしかったんですよ」 その時のことを思い出しているのか、目を閉じ頬に手をあてて喋るみゆきさんはとても幸せそうだった。 「ゆ、ゆきちゃんだって!!」 今まで一言も言葉を発さなかったつかさが突然声をあげる。 「ぎゅっとした時とかキスしませんか?って言った時すっごく綺麗だったんだよ!!」 「つ、つかささん!?」 「あ……!!!」 本人としては一矢報いたつもりだったんだろう。しかしそれは 巨大なブーメランとなって、『二人』に返っていった。 「ほーー…キスまで……」 「…………ごちそうさま」 ほっぺはもちろん、首から耳からよく熟れたりんごみたく赤くなっているのを見て 私はにやにやとした笑いを抑え切れない。 よっぽど恥ずかしいのか二人とも固まったまま微動だにしない。 やれやれ、こりゃしばらくは回復しないネ。 「そういえば私も聞きたいことがあるんだけど」 「ん?何?」 みゆきさんとつかさをそのままに、かがみが話し掛けて来て、視線をそっちに移す。 「男の人ってさ…えっちな本をベッドの下とかに隠すじゃない?」 「散々見つかったりしてるみたいだけど、まだ結構いるみたいだね。 何?かがみってばそーいうのにキョーミあるの? 私と言う人がありながらっ!」 冗談混じりで言うと、少し頬を染めながら「違うわよ」と言って続ける。 「そうじゃなくって、こなたもさそういう同人誌とかゲームとか持ってるけど 隠そうとしないわよね、って話」 かがみの言葉にああ、と合点がいく。 「んー、一般的に隠したい対象って家族とか、そーいう趣味のない 友達とかだと思うんだけどうちはホラ、お父さんがああだし」 「………ああ………」 むむっ!なにかなその可哀相な人を見る目は! だけどかがみんや、かがみも“見せても大丈夫な人”カテゴリーに 入ってるんだよ?自覚がないのかね?よし、解らせてやろうではないか!! 「友達もあんまり頓着しない人が多いしね。 かがみなんか段々オタク化してるし?」 くふふ、と笑いながら言うとかがみが心外だとばかりに 反論してくるのを、軽ーく流して私はさらに喋る。 「それに、私が知らないとでもお思いか?かがみが冬コミの時に自分でも何冊か……」 「あ、あれはあんたに話を合わせたいと思って…」 うんうん。解ってるよ、かがみ。私はそれが嬉しくて堪らなくて…ついついからかっちゃうんだよね。 「…まあ、ベッドの下に隠せる程度の量でもないしね」 これ以上かがみを虐めるのも可哀相だから、話を戻すことにする。 本棚はおろか、パソコンの周りや枕の横にまでアレな本やゲームが散乱してる惨状は ベッドの下ごときじゃ改善のしようがない。 「…じゃあ、こなたが何か隠すとしたらどこかしらね」 「え゛」 何気ない、しかし予想だにしなかった言葉に体が強張ったのが解った。 …実は一つだけ、あるんだよね見られたら嫌な物。 他人にとっては、なんてことないものかもしれないけれど、私からすればとっても恥ずかしい。 「…何その怪しい反応」 「い、いやー?別に?」 「枕……?」 「!!!?」 ちゃんと隠れているか、ちらっと見たのがバレてしまったらしい。 かがみが小悪魔みたいににやりと口角を上げて笑う。 「だめーーーーっ!!かがみ様!それだけは…!」 「いつもからかわれてる私の身にもなってみなさいっ!」 慌てて立ち上がって阻止しようとしたけど遅かった。かがみの方がベッドに近くて、 スローモーションで時が流れて行く。 「ホントに何かある…」 枕の下に手を突っ込んで、それを取り出したのが見えて、冷や汗が背中を伝った。 「ま、待って!!ちょっと落ち着こう!!」 「駄目駄目ー♪さてなにかなこれはー」 かがみに抱き着いてお願いするけど、腕を高く上げられてしまっては 身長差のせいでもうどうすることも出来ない。 「えーと何々?“売切れ必至!クリスマス人気プレゼント特集”…?」 そう、それは女の子向けの雑誌。本来は彼氏におねだりするためのものなんだろう。 私はかがみに何を贈ればいいのか解らなかったから、これのお世話になったわけだけど。 なんていうか、自分に似合わないって自覚してるのものを 持ってるのを見られるのが、すごく恥ずかしく感じるのは私だけだろうか。 「これ、って…私のため、に…?」 半分自棄になって頷いてちらりと上を見ると、かがみもかああっと 面白いぐらい真っ赤になって。それをみて私もまたより一層照れてしまう。 部屋の温度が、5度は上がった気がした。 結局、四人が回復しきったのは30分以上経った後だった、というのを最後に付け加えておこうかな……。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ! -- 名無しさん (2022-12-23 12:57:59) - GJ!!これしか言えねぇ!!最高だ!! -- 名無しさん (2013-01-10 18:10:47) - 同じくwwwwでも季節的に無理かw今年のクリスマスにでもyrwwww -- 名無しさん (2008-07-02 10:33:01) - めっちゃ続き見たいんですけど…www -- 名無しさん (2008-03-14 02:22:28)

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