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「いつもの二人」」(2024/03/06 (水) 23:25:42) の最新版変更点

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泉こなたが柊かがみと付き合い始めて3ヶ月。 こなたが振り回し気味だった二人の関係はコペルニクス的に転回していた。 惚れた弱みという言葉も宛てにならない場合があるようで。 ツンデレではなくただのデレデレにジョブチェンジを果たしたかがみは壮絶だった。 電撃告白で寄り切ったうえ、惚れて弱るどころか(性的に)こなたを押し倒す勢いに。 そんなところも含め、こなたはかがみに押されっぱなしになった。 そんなこんなでこなたの身辺は(かがみ主導で)いろいろと変わった。 まず、こなたとかがみの二人だけで過ごす休日の数は大幅にアップした。 ついでに遊ぶ場所もアキバ・大宮・池袋の三択を脱出し、デートスポットを開拓中。 もちろんスポットの開発は基本的にかがみによるものだ。 休日はほぼ必ず二人で出かける時間をつくる、というルールさえ制定された。 「そんなルールいらないよ」と抗議したこなたにかがみは微笑んで言うのだった。 「ルールじゃないわよ。恋人として当たり前の約束でしょ!」  ・・・。 むろんこれは休日だけに限った話ではない。 平日の学校生活もすでに侵食が始まっているのだ。 二人のときに見せていたかがみの「デレ」パートは徐々に他の場面でも見られる様に。 いつのまにかつかさとみwikiを置いて、下校はデートに化学変化。 登校時間と昼休み恒例の親友4人による食事タイムは今のところ健全だが・・・。 ☆ ☆ ☆ ☆ 今日も今日とて寝たフリの「嫁」に片腕をがっちりホールドされたこなたは下校中だ。 先日、電車内でのデレモードはよそうと話し合ったばかりだったのだが無視。 午後のまだ帰宅客が少ない時間帯、空いた車内だからこそ目立つ視線が痛い。 (こりゃ完全に誤算だったヨ・・・。ツンデレのツン抜きがこんなにヤバイとはね。) きゅうう、というくらい腕をとるかがみの顔はこのうえなく幸せそうだ。 (はじめて新宿でデートしたときはまだツン成分があったというか・・・。) 『きょ、今日はあたしの欲しい物があっただけだから!ま、まあでも、あんたもたまには・・・』 (うーん。良かった。「・・・」の部分が小さくて聞こえなかったところも含めて。 というかあれから3ヶ月ぽっちでこうなるんだからなぁ。ってそれはあたしも一緒か・・・。) カタンゴトン・・・。カーブに差し掛かった電車から、西日が差し込んでくる。 それが目に入った拍子に、こなたは思わずふっと息をついた。 かがみが「ん?」と薄目を開け視線で合図してくる。 薄紫の髪の色は、端のほうがぼんやりと輝いていて幻想的な雰囲気さえ漂わせていた。 振動で小刻みに揺れる体がすっと寄せられ、心地よいリズムを伝えてくる。 (うっ、TPO、といいたいケドあたしこれ弱いかも) 「何でもないヨかがみんや」と思わず微笑んでしまう。 日に照らされるかがみの口元がつられてふにっと緩んだ。 (ストレートだったあたしが言うのもなんだけど、コレはやばいネ) ここで茶々の一つも出るのが泉こなただったが、最近は心中で呟くのが関の山。 (これが年貢の納め時ってやつか・・・。) やられたー、と諦める。こなたなりの照れ隠しの仕草だ。 と、くいくい袖が引っ張られている感触。 横を見やると、「?」を浮かべた表情のかがみが袖を掴んでいる。 (やばいやばい!かがみん可愛い杉ダヨ!)という魂の叫びを脳内で飲み込む。 溢れる煩悩を留めようと無想転生の構えをとった。 そんなこなたの様子に再び怪訝そうな表情を浮かべるかがみ。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 若干の沈黙の後、先に口を開いたのはこなただった。 「なんでもないさ。かがみんや。」 「そう。」 短く答えると、本当に眠いのか再びこなたの腕を取ったかがみは目を瞑った。 (あれ?なんだかそっけないかナ?・・・眠いだけか。) かがみの反応が微妙に引っかかったが、そこはこなた。何となく流してしまった。 ☆ ☆ ☆ ☆ あくる朝。 「おはよう、こなた。」 「おはよう、こなちゃん。」 「やー。おはよう、かがみん、つかさ。」 冬の名残かまだ肌寒い朝。こなたはいつものように、眠そうな目のまま遅れて現れた。 「こなた、また夜遅くまで・・・。またネトゲなの?」 「こなちゃん昨日も?」 連夜のネトゲで眠たげなこなたと柊姉妹のやりとりも普段通りだ。 変化といえば、最近のかがみは「あんた」と呼ばず名前で呼ぶようになっていた。 「うーん、昨日はノッてるメンバーがいてね。つい付き合っちゃってさ~」 と、こなたはのらりくらり答えてかわす。まぶしそうに目を擦って見せた。 (この流れはもはや様式美だネ。かがみんもつかさもわたしも。) 最近のデレっぷりからして、恋人になる前は呆れ気味だったかがみも微笑む程度なはずだった。 しかし今日の「嫁」はどうも不機嫌なようである。 「ふぅーん。最近ちょっとハマり過ぎなんじゃないの?だってそれあたしと電話した後でしょ?」 と、眉根を寄せるかがみ。 (あれ?かがみん、どうしたんだろ?) こなたとて、こう真正面からこられてうまく切り返せるほど、トークがたつわけではない。 だから先ほどと同じような反応になってしまう。 「うん。でも徹夜とかじゃないから安心してくれたまへよ、かがみん」 またも流そうとするこなたにかがみは拳を握った。 (そうじゃない。そうじゃないの。時間とかじゃなくてわたしはこなたが。) 「そうじゃなくて。わたしは、こなt」 と、踏みこもうとするかがみを見たこなたは一歩踏み出した。 見上げるこなたの視線に「??」と思わず言葉を止めるかがみ。顔が若干赤い。 (うーん、ちょっと徹夜明けで頭痛いし、かがみんにはフリーズしてもらお) 不純な動機だったが、次にこなたのとった行動は確かに効果抜群だった。 そのままかがみに抱きついたのである。そしてそのまま上目遣いでフィニッシュ。 「かがみさまぁー!どーか怒らないでヨ」 「――△!☆%?」 ・・・ワンツーが決まった。 顔を真っ赤にしたかがみは「もう、こなたったら。」と、微笑んで抱き返した。 「調子がいいんだから(でも、こなた。あなた可愛いすぎよ・・・)。」 一方、こなたはこなたでだんだんと力がこもっていくかがみの腕に、内心焦っていた。 (うう、ヤリ杉たか・・・。って、かがみん、つかさというか周りを置いてきぼりだヨっ!?) しかもかがみはこなたを抱いたまま、到着したバスに乗り込む態勢へ。 (うおお、かがみ様ストップ!ストォーップ!) こなたがもがくも、すでに技を極めたかがみには通じない。しかし救世主が現れた。 つかさが「お、おねーちゃん、こなちゃん、恥ずかしいぃよぅ」と必死の抗議に出たのだ。 妹の悲痛な抗議(嘆願)でかがみは意識を取り戻すが時既に遅し。バスはさっさと出発していた。 悪ふざけが過ぎたこなたもさすがに観念した。 「うう、ご、ごめんね二人とも。あたしがかがみにふざけたばっかりに・・・。」 「ううんいいよ。でもこなちゃんもお姉ちゃんもほんとに仲が良いなぁ。」 とつかさ。随分とずれたフォローで、こなただけでなく黙るかがみも思わず笑いだす。 「プッ、アハハッ、つかさ、あんたそれフォローになってないわよ!」 「ええっ?!そうなのお姉ちゃん?」 「まーまー、いつもつかさには癒されるよね~」 「こ、こなちゃんまで~」 先ほどの妙な雰囲気はどこへやら。なんとも平和な朝になっていた。 ☆ ☆ ☆ ☆ 私は幼い頃から甘えられない子供だった。 お母さんにお父さん、それに幼稚園や学校の先生にいたるまで。 しっかり者と言われ、頼られるのは嬉しかったし、誇りにもしていた。 だがこなただけは。こなただけは違った。 こなたはいつも飄々として私をいなし、翻弄し、楽しませた。 こなたはいつもどこかで自分を道化にして、私を盛り上げた。 こなたの前で、私はしっかり者でも「お姉ちゃん」でもない。 ただの「柊かがみ」だった。こなたの前でのみ私は素のままでいられた。 それが私なりのこなたに対する甘えだと分かった途端。 いままで意味が分からなかった「ツンデレ」という言葉が理解できた。 いや、そこにこめられた、こなたなりの優しさと、ちょっぴりの甘えまでも。 だから、きっとその瞬間、私はこなたへの恋を自覚したのだと思う。 そうと分かると、現金な私の心はこなたへの感謝と甘えでいっぱいになった。 自分のツンデレと恋心を自覚したからか。こなたにツンとしていられなくなった。 だから私は、ツンを捨てることにした。 それなのに。 それなのに、恋人になったはずのこなたは何だかあまり変わってくれない。 そりゃあ、わたしのことをあまりいじらなくなったけど。 そんなのじゃなくて。もっと甘えたいのに。 『私は泉こなたと付き合っている。』最近、この言葉を何度も反芻する。 真夜中。こなたとの電話の後、電気を消した私は布団の中でそうしている。最近の習慣だ。 そんなことをするのは、もちろん私がこなたの気持ちを疑っているからじゃない。 もっともっと二人の距離を縮めるためだ。柄じゃないが私だってお祈りくらいする。 こなたがもっと私のことだけ見てくれれば。それだけでいいのに・・・。 「そうすれば、私だってお祈りなんか・・・。」 すっかり夜の口癖になった言葉を結び目に、私は目を閉じた。 こなた・・・。明日はもっと、貴女と・・・。 (おわり) **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-23 13:27:02) - デレまくるかがみ萌え♪ -- かがみんラブ (2012-09-16 21:53:02) - 強めの独占欲的な「ヤン」なら、むしろ大歓迎です。抑圧度の高かったかがみんならこのくらいはデフォかもしれませんね。 &br()まぁこなたも意外と懐は広いと思うから大丈夫でしょう。 -- こなかがは正義ッ! (2010-07-02 12:35:05) - ヤンデレと聞いて少々警戒して読み始めましたが、 &br()この位なら全然OKですね。 &br()ただ、かがみ様の症状がこの先更に進行するのは必至ですね。 -- kk (2010-06-30 22:27:05) - ホントかがみんはアブノーマルが似合うなぁ。 &br() -- こなタックル (2010-06-30 21:48:36) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(17)
泉こなたが柊かがみと付き合い始めて3ヶ月。 こなたが振り回し気味だった二人の関係はコペルニクス的に転回していた。 惚れた弱みという言葉も宛てにならない場合があるようで。 ツンデレではなくただのデレデレにジョブチェンジを果たしたかがみは壮絶だった。 電撃告白で寄り切ったうえ、惚れて弱るどころか(性的に)こなたを押し倒す勢いに。 そんなところも含め、こなたはかがみに押されっぱなしになった。 そんなこんなでこなたの身辺は(かがみ主導で)いろいろと変わった。 まず、こなたとかがみの二人だけで過ごす休日の数は大幅にアップした。 ついでに遊ぶ場所もアキバ・大宮・池袋の三択を脱出し、デートスポットを開拓中。 もちろんスポットの開発は基本的にかがみによるものだ。 休日はほぼ必ず二人で出かける時間をつくる、というルールさえ制定された。 「そんなルールいらないよ」と抗議したこなたにかがみは微笑んで言うのだった。 「ルールじゃないわよ。恋人として当たり前の約束でしょ!」  ・・・。 むろんこれは休日だけに限った話ではない。 平日の学校生活もすでに侵食が始まっているのだ。 二人のときに見せていたかがみの「デレ」パートは徐々に他の場面でも見られる様に。 いつのまにかつかさとみwikiを置いて、下校はデートに化学変化。 登校時間と昼休み恒例の親友4人による食事タイムは今のところ健全だが・・・。 ☆ ☆ ☆ ☆ 今日も今日とて寝たフリの「嫁」に片腕をがっちりホールドされたこなたは下校中だ。 先日、電車内でのデレモードはよそうと話し合ったばかりだったのだが無視。 午後のまだ帰宅客が少ない時間帯、空いた車内だからこそ目立つ視線が痛い。 (こりゃ完全に誤算だったヨ・・・。ツンデレのツン抜きがこんなにヤバイとはね。) きゅうう、というくらい腕をとるかがみの顔はこのうえなく幸せそうだ。 (はじめて新宿でデートしたときはまだツン成分があったというか・・・。) 『きょ、今日はあたしの欲しい物があっただけだから!ま、まあでも、あんたもたまには・・・』 (うーん。良かった。「・・・」の部分が小さくて聞こえなかったところも含めて。 というかあれから3ヶ月ぽっちでこうなるんだからなぁ。ってそれはあたしも一緒か・・・。) カタンゴトン・・・。カーブに差し掛かった電車から、西日が差し込んでくる。 それが目に入った拍子に、こなたは思わずふっと息をついた。 かがみが「ん?」と薄目を開け視線で合図してくる。 薄紫の髪の色は、端のほうがぼんやりと輝いていて幻想的な雰囲気さえ漂わせていた。 振動で小刻みに揺れる体がすっと寄せられ、心地よいリズムを伝えてくる。 (うっ、TPO、といいたいケドあたしこれ弱いかも) 「何でもないヨかがみんや」と思わず微笑んでしまう。 日に照らされるかがみの口元がつられてふにっと緩んだ。 (ストレートだったあたしが言うのもなんだけど、コレはやばいネ) ここで茶々の一つも出るのが泉こなただったが、最近は心中で呟くのが関の山。 (これが年貢の納め時ってやつか・・・。) やられたー、と諦める。こなたなりの照れ隠しの仕草だ。 と、くいくい袖が引っ張られている感触。 横を見やると、「?」を浮かべた表情のかがみが袖を掴んでいる。 (やばいやばい!かがみん可愛い杉ダヨ!)という魂の叫びを脳内で飲み込む。 溢れる煩悩を留めようと無想転生の構えをとった。 そんなこなたの様子に再び怪訝そうな表情を浮かべるかがみ。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 若干の沈黙の後、先に口を開いたのはこなただった。 「なんでもないさ。かがみんや。」 「そう。」 短く答えると、本当に眠いのか再びこなたの腕を取ったかがみは目を瞑った。 (あれ?なんだかそっけないかナ?・・・眠いだけか。) かがみの反応が微妙に引っかかったが、そこはこなた。何となく流してしまった。 ☆ ☆ ☆ ☆ あくる朝。 「おはよう、こなた。」 「おはよう、こなちゃん。」 「やー。おはよう、かがみん、つかさ。」 冬の名残かまだ肌寒い朝。こなたはいつものように、眠そうな目のまま遅れて現れた。 「こなた、また夜遅くまで・・・。またネトゲなの?」 「こなちゃん昨日も?」 連夜のネトゲで眠たげなこなたと柊姉妹のやりとりも普段通りだ。 変化といえば、最近のかがみは「あんた」と呼ばず名前で呼ぶようになっていた。 「うーん、昨日はノッてるメンバーがいてね。つい付き合っちゃってさ~」 と、こなたはのらりくらり答えてかわす。まぶしそうに目を擦って見せた。 (この流れはもはや様式美だネ。かがみんもつかさもわたしも。) 最近のデレっぷりからして、恋人になる前は呆れ気味だったかがみも微笑む程度なはずだった。 しかし今日の「嫁」はどうも不機嫌なようである。 「ふぅーん。最近ちょっとハマり過ぎなんじゃないの?だってそれあたしと電話した後でしょ?」 と、眉根を寄せるかがみ。 (あれ?かがみん、どうしたんだろ?) こなたとて、こう真正面からこられてうまく切り返せるほど、トークがたつわけではない。 だから先ほどと同じような反応になってしまう。 「うん。でも徹夜とかじゃないから安心してくれたまへよ、かがみん」 またも流そうとするこなたにかがみは拳を握った。 (そうじゃない。そうじゃないの。時間とかじゃなくてわたしはこなたが。) 「そうじゃなくて。わたしは、こなt」 と、踏みこもうとするかがみを見たこなたは一歩踏み出した。 見上げるこなたの視線に「??」と思わず言葉を止めるかがみ。顔が若干赤い。 (うーん、ちょっと徹夜明けで頭痛いし、かがみんにはフリーズしてもらお) 不純な動機だったが、次にこなたのとった行動は確かに効果抜群だった。 そのままかがみに抱きついたのである。そしてそのまま上目遣いでフィニッシュ。 「かがみさまぁー!どーか怒らないでヨ」 「――△!☆%?」 ・・・ワンツーが決まった。 顔を真っ赤にしたかがみは「もう、こなたったら。」と、微笑んで抱き返した。 「調子がいいんだから(でも、こなた。あなた可愛いすぎよ・・・)。」 一方、こなたはこなたでだんだんと力がこもっていくかがみの腕に、内心焦っていた。 (うう、ヤリ杉たか・・・。って、かがみん、つかさというか周りを置いてきぼりだヨっ!?) しかもかがみはこなたを抱いたまま、到着したバスに乗り込む態勢へ。 (うおお、かがみ様ストップ!ストォーップ!) こなたがもがくも、すでに技を極めたかがみには通じない。しかし救世主が現れた。 つかさが「お、おねーちゃん、こなちゃん、恥ずかしいぃよぅ」と必死の抗議に出たのだ。 妹の悲痛な抗議(嘆願)でかがみは意識を取り戻すが時既に遅し。バスはさっさと出発していた。 悪ふざけが過ぎたこなたもさすがに観念した。 「うう、ご、ごめんね二人とも。あたしがかがみにふざけたばっかりに・・・。」 「ううんいいよ。でもこなちゃんもお姉ちゃんもほんとに仲が良いなぁ。」 とつかさ。随分とずれたフォローで、こなただけでなく黙るかがみも思わず笑いだす。 「プッ、アハハッ、つかさ、あんたそれフォローになってないわよ!」 「ええっ?!そうなのお姉ちゃん?」 「まーまー、いつもつかさには癒されるよね~」 「こ、こなちゃんまで~」 先ほどの妙な雰囲気はどこへやら。なんとも平和な朝になっていた。 ☆ ☆ ☆ ☆ 私は幼い頃から甘えられない子供だった。 お母さんにお父さん、それに幼稚園や学校の先生にいたるまで。 しっかり者と言われ、頼られるのは嬉しかったし、誇りにもしていた。 だがこなただけは。こなただけは違った。 こなたはいつも飄々として私をいなし、翻弄し、楽しませた。 こなたはいつもどこかで自分を道化にして、私を盛り上げた。 こなたの前で、私はしっかり者でも「お姉ちゃん」でもない。 ただの「柊かがみ」だった。こなたの前でのみ私は素のままでいられた。 それが私なりのこなたに対する甘えだと分かった途端。 いままで意味が分からなかった「ツンデレ」という言葉が理解できた。 いや、そこにこめられた、こなたなりの優しさと、ちょっぴりの甘えまでも。 だから、きっとその瞬間、私はこなたへの恋を自覚したのだと思う。 そうと分かると、現金な私の心はこなたへの感謝と甘えでいっぱいになった。 自分のツンデレと恋心を自覚したからか。こなたにツンとしていられなくなった。 だから私は、ツンを捨てることにした。 それなのに。 それなのに、恋人になったはずのこなたは何だかあまり変わってくれない。 そりゃあ、わたしのことをあまりいじらなくなったけど。 そんなのじゃなくて。もっと甘えたいのに。 『私は泉こなたと付き合っている。』最近、この言葉を何度も反芻する。 真夜中。こなたとの電話の後、電気を消した私は布団の中でそうしている。最近の習慣だ。 そんなことをするのは、もちろん私がこなたの気持ちを疑っているからじゃない。 もっともっと二人の距離を縮めるためだ。柄じゃないが私だってお祈りくらいする。 こなたがもっと私のことだけ見てくれれば。それだけでいいのに・・・。 「そうすれば、私だってお祈りなんか・・・。」 すっかり夜の口癖になった言葉を結び目に、私は目を閉じた。 こなた・・・。明日はもっと、貴女と・・・。 (おわり) **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 素のままの柊かがみのくだりは納得した -- 名無しさん (2024-03-06 23:25:42) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-23 13:27:02) - デレまくるかがみ萌え♪ -- かがみんラブ (2012-09-16 21:53:02) - 強めの独占欲的な「ヤン」なら、むしろ大歓迎です。抑圧度の高かったかがみんならこのくらいはデフォかもしれませんね。 &br()まぁこなたも意外と懐は広いと思うから大丈夫でしょう。 -- こなかがは正義ッ! (2010-07-02 12:35:05) - ヤンデレと聞いて少々警戒して読み始めましたが、 &br()この位なら全然OKですね。 &br()ただ、かがみ様の症状がこの先更に進行するのは必至ですね。 -- kk (2010-06-30 22:27:05) - ホントかがみんはアブノーマルが似合うなぁ。 &br() -- こなタックル (2010-06-30 21:48:36) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(17)

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