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『a little waltz』」(2014/11/20 (木) 02:29:30) の最新版変更点

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『a little waltz』 高校の卒業式から数日過ぎた、3月終わり頃のある日の晩。 私はかがみと、とりとめのない無い話で長電話をしていた。 「受験校すべて合格していたんだけど、どこに行くか決めていなかったんだよね~。 だから伝え忘れちゃったんだ。遅くなってごめんね。」 「良いわよ。こっちも聞きそびれていたし。なによりもバタバタしていたからね。」 「んで、大学名はね・・・」 「へえ、そこに行くんだ。あんたにしちゃ頑張ったじゃない。あんたのことだから、 『太平洋あけぼの大学』っていうネーミングの、誰も知らない大学になるかと思っていたわ。 何故か都心にキャンパスがあって、アキバにも近いからって理由で。」 「ひど!!何、その壮大なるバカ大学名!。名前からいかほどのものか分かるよ。 いくらネタ人生の私と言えど、進学先そのものをネタにはしないよ。 正直まだ『バカ田大学』と言われた方がダメージが少ないよ~かがみ~ん。 あ~久々にかがみの発言で心にグサッてきた・・・。」 「ごめん、ごめん。悪かったって。冗談だって~。」 「・・でも、アキバに近くて、講義も楽。そんな大学がホントにあったら、行っていたかも・・・。」 「行くのかよ!!」 「春から『ぼの大生』!」 「略称作るなよ・・・何気に気に入っているじゃないのそこ。」 「3月ももう終わりだね~。・・・今年は3月3日に『ひなる』ことができませんでしたよ。」 「なんだその『ひなる』って・・」 「雛祭りを行うことだよ。雛フェス開催だよ~。」 「変な略し方をするなよ。」 「去年、かがみんちで大きなお雛さまを飾っているってことで、 突発的だったんだけど、つかさと一緒に行なったんだ。 ちらし寿司と蛤の潮汁(はまぐりのうしおじる)を用意してね。用事があっていなかった、 かがみは知らないと思うけど。」 「あ~そういえば。晩ご飯がちらし寿司と蛤の潮汁だった日があったけど、そのことだったんだ。」 「かがみ~。思い出して唾を飲みこむの、よそうよ~www。」 「飲んでないわ!!」 ――――― 「赤ずきん~風邪ひいて頭ずきんずき~ん・・・はい、できたよ。ちらし寿司と蛤の潮汁。」 「お~、さすがつかさ、すごくおいしそうだね~。」 「こなちゃんが手伝ってくれたおかげだよ。」 「いやいや。それじゃ準備しようかね。」 「そうだね~。」 「じゃ、こなちゃん、かんぱ~い。」 「かんぱ~い。・・・甘酒だけど~。」 「ねえ、こなちゃん。」 「何、つかさ?」 「このお雛さまを見るとね。幼い頃、まつりお姉ちゃんに 『このお雛さまたち、夜中になると歩きだすんだよ~。』ってからかわれたことを思い出すんだ。」 「へえ~。でもつかさ。その話本当かもしれないよ。」 「え??(小さく首をかしげる)」 「だって、そこの五人囃子。ひとりだけ首が横に向いているから。」 「え・・・、(五人囃子を見て)ひゃっ、ホントだ~。(涙声で)クビよこ向いているよ~。」 「「やった~。大・成・功!!」」 (まつりが出てきて、こなたとハイタッチをする) 「へ、まつりお姉ちゃん・・・」 「ごめんつかさ、それやったの私。」 「ひどいよ~お姉ちゃ~ん、こなちゃ~ん。」 「「フゥハァー」」 ――――― 「というのが、昨年の雛フェスの全容さ、かがみん。」 「・・・2人して私の妹相手に何しているんだ。しかも料理作ってくれたというのに。」 「まつりさん、かがみ相手にすると、本気で馬鹿にしてくるからつまんないって。」 「当たり前だ!!」 「その点つかさだと、いまだに良い反応してくるから楽しいんだって。だからやるんだって言っていたよ。」 「まつり姉さん・・・大学生にもなって・・まったく。」 「そんな風に昨年の雛フェスからハブされてしまったかがみに、ちょっと提案しようと思う。」 「そんな惨状ならハブかれて良かったわ・・・。」 「今度、権現堂堤の桜まつりに招待しますよ、かがみ様!なんと私お手製のお弁当込みで!!」 「たしか権現堂堤って、去年のお花見でも行った、あんたんちの近くよね。 つまり、『青空の下での昼食こみで、一緒にうちで遊ばない?』ってことでいいのかしら?」 「まあそうなんだけどね。私の家で待ち合わせてから行くことになると思うけど、どうかな?」 「いいわよ、特に予定も無いし。私もあそこの桜、今年も見たいって思っていたから。 あとお弁当だけど、あんただけにやらすのも悪いから、私もおかずあたり用意しようかな。」 「かがみが料理!?・・・まあ、『ふぐ料理の免許』を持っていない人が料理した『ふぐ料理』を食べる心境 で心待ちしているよかがみ・・・。」 なんかかなりひどい物言いだな、オマエ。 まだ『つかさ愛用の調理器具壊さないようにね、かがみん。』と言われた方が ダメージ少ないわよ。あんたの今の発言で、私も心にグサッてきたわよ・・・。」 「まあまあ、かがみん。冗談、冗談だって。いつものネタだよ~。  ・・・(小声で)ううう、やっぱり何か悪い予感がするのう・・・。」 「聞こえたぞ。本音のつぶやき・・・。何故にお前は、フォローの後に突き落とす発言をするかな~。」 「いやいやかがみ。さらに突き落としてこそのネタだよ。」 「別に日常会話の中で、必ずしもネタを求めていないんだがな、私は。」 「桜といえばさ、もう春だけど、まだまだ寒い日が続くんだって。 しかも暖かい日も交互にあるから寒暖の差が激しいみたいだよ。かがみって風邪ひきやすいからね。 風邪には気をつけなきゃだめだよ。」 「そうね、今日は雪が降りそうなくらいの寒さだったのに、 明日は晴れてポカポカ陽気だって天気予報でやっていたわね。しかも日によっては、 昼は春の陽気、夜は冬の寒さと1日の中で寒暖の差が激しい日もあるし。」 「でもかがみ様はそんな寒暖の激しい1日でも、昼はアイス、夜は肉まんと、全然無問題で過ごせるよね~。 しかもその分の栄養がお腹に行っていて、肉襦袢(にくじゅばん)がすごいから、冬の風邪は問題ないかな~。 こりゃ失念していたな~。」 「こなた・・・念の為に言っておくが、失念していたのは風邪対策じゃなく、 『栄養がお腹に行っている』って発言の方だからな。オマエ。」 「まあ、ともかく風邪には気を付けてね、かがみん。それじゃあまたね。」 「あ~はいはい。じゃあね。」 そんなこんなで、今度一緒に桜まつりへ行く約束をして電話を切った。 ―――数日後 今日はかがみと近所の権現堂堤の桜まつりへ行く日だ。 ちょうど今、持参するお弁当の準備が終わったところである。 結局お弁当については、かがみが普段料理の腕を馬鹿にしてくる私を見返したいと おかずを担当し、わたしはご飯物を用意することとなった。 そろそろかがみが来る時間だな~とぼんやりしていたら、ピンポ~ンと呼び鈴がなった。 玄関へと出てゆくとかがみが来ており、そのまま一緒に権現堂堤へ出発した。 「相変わらずここの桜はきれいね。風で花びらが舞うのも、すごくステキだわ。」 「そうだね~。近所にこういう桜の名所があってよかったなって思うよ。」 快晴の青空が見えないくらいに、満開の桜の木々がアーチ状に連なり、 トンネルのようになっている桜堤(さくらづつみ)へとやってきた。 途中、デジカメや携帯カメラで写真を撮る人たちやNintendo DS-iで写真を取っている子供たちを見かけつつ、 私たちはゆっくり散策をしていた。 しばらく歩いていると、物産展や出店屋台がある場所へと出てきた。 たくさん露店がでており、結構おいしそうな店がずらりと揃っていたからか、 かがみがあたりをきょろきょろしていた。 「ねえ、かがみ。一応お弁当持ってきているし。お弁当食べてから物色しよ。」 「あっこれはちがうのよ。ほらこんだけあると何があるか興味そそるじゃない。」 「そうはいってもかがみんさっきから『まずかったらお代は返します』というお好み焼き屋や 本当に行列の出来ている『行列の出来るたこ焼き屋』に視線が行っていたよ~。」 「え・・・ねえこなたぁ、あそこにあんたが好きだって言っていたマンガのポスターらしき絵を見たわよ。 ちょっと行きましょ(こなたの手を引っ張る)。」 「ちょ、まってよ、かがみ(逃げたなかがみ・・)。」 「ほら、これ。好きだっていっていたマンガのじゃない?ほら 『マンガやアニメにしか興味がない女子高生達』の。」 「うん。・・まあ正確には『マンガやアニメにしか興味がない女子高生』が主人公のマンガだけどね。 そのマンガの主人公の地元が幸手ってことで、ここの観光協会で主人公家族の住民票を販売しているのだよ。」 「・・へぇ~、いろいろと販売するものね~。で、あんたは買ってゆかないの?」 「販売は前からしていたからね。もう購入したよ。ちゃんと用途別に3個。」 「さよか。」 「まあ、普通に内容も好きなんだけど、やっぱり自分の馴染みのある地域がクローズアップされるのって すごく嬉しいからね。愛着もひとしおですよ。」 「ん~気持ちは、まあわかるかな。」 「最近そのマンガにちなんだスタンプラリーが始まったり、商品が地元の店に並んだりしているんだ。 そのスタンプラリー、AコースとBコースの2種類あってね、それぞれもらえる商品は違うんだ。 でね、Aコースは飲食店、Bコースは小売店でそれぞれ対象商品等を購入したりすることで スタンプを集めるようになっていて、最近どうにかBコースの方はポイントを集めたんだ。」 「Aコースはどうしたのよ。」 「いや~私そんなに量食べれないからさ、全然集まらなくってさ。 しかも小中学校の同級生の店もはいっていてね。来た途端『泉ちゃんには特別にサービスだ』って 頼んでもいないのに大盛りにしたり。しまいにはその子のお母さんからたくさん食べないと大きくなれない わよって、言われる始末ですんごく恥ずかしかったんだ。だからさ・・・」 「いやよ!」 「え~まだなにも言ってないじゃない。」 「どう考えても、私にお願いする流れじゃない。しかも途中のあんたの地元エピソード何だ!?全然関係ないし。」 「うん、あまり関係なかったけどね。まあ、とりあえずお願いしたいんだけどさ。 とりあえずお代は私が持つし、15軒3周程お願~い。」 「あんたさ、私のことフードファイターか何かと勘違いしてないか?」 「でもさ、かがみ食べること大好きじゃん。ダイエットといいだしたらサイフがやせるぐらいにはさ。」 「う、うるさいわね。わざわざそんなこと取り上げなくていいじゃない。」 「まあまあ。食道楽かがみんの為にそろそろ、お昼にしようかね。さっ行こ!」 「分かったわよ・・・」 土手まで歩き、ここでお弁当を食べることにした。 「ここに来ると桜の淡いピンクと、菜の花の黄色のコントラストがすごく映えて見事なものね。」 「そだね。土手側にブルーシートを敷くと、目の前には菜の花畑、後ろには桜。 しかも低い位置から桜が覆いかぶさるようになっているから、菜の花を見ながら桜も見ることが 出来てすごく風流だよね。」 「そうよね。」 「でも私としては、ここのピンクと黄色のコントラストよりも、 かがみの白と水色のコントラストには負けますよ。」 「何それ?・・あっあんた見たの!私の!?」 「さっき強風が吹いたときちらっとね。(べしっ)あうち。不可抗力だよ~かがみん。」 「見たとしても、言うんじゃない。」 「んじゃ、今日私ワンピース着てきたから、スカートまくって中身見せようか? そうするとおあいこになるし。でもレギンスはいているから興ざめしちゃうか・・・。 それだったら、レギンス脱げばいいか。んじゃ生足にしてくるから、ちょっとまってね。」 「やらんでいい、バカタレ!!まったく、すべて台無しにするんだから・・。早くお弁当にしましょ。」 こうしてお弁当タイムへと入った。 「とりあえず私は、和風3色弁当とちょっとしたおかずを用意したよ。」 とりそぼろ、いり卵、茹でいんげんが入った3色弁当ときんぴらごぼう、ミニトマト、 茹でたブロッコリーとおくらを入れた箱をそれぞれ2箱づつ出し、そのうち各1箱をかがみへと渡した。 「おっ、なかなか美味しそうじゃない。結構家事やってるだけあって上手ね。」 「そんなことはないよ。じゃ次はかがみん、いってみようか。」 かがみが大きめな箱を一つ取り出し、ふたを開け、私の前へと出す。 そこに入っていたメニューは鶏のから揚げ、チーズ入りささみかつ、春巻き、アスパラの肉巻き、 卵焼き、ウインナーとかがみとしては正直努力の跡がひしひしと感じられる内容で すごくおいしそうであった。 ただ・・・ 「かがみ、なんかお弁当の色合いが茶色一式になっているよ。これって結構自分の好みを優先しちゃって、 偏っているよね。なんていうか『たくましい貴女がステキ、肉食系女子弁当』って感じ?」 「い~じゃない、別に。嫌なら、食べなくていいわよ。」 「全然嫌じゃないよ~。それじゃ頂きま~す。」 「はい、どうぞ。・・・どうかな?」 「うん、すごくおいしいよ。ありがとう。」 「そう?どういたしまして。じゃ、食べてしまいましょ。」 そんなやりとりを繰り広げつつ、食事することとなった。 「ふ~食べた、食べた。かがみんごちそうさま。すごくおいしかったわよ。」 「こなたのもすごくおいしかったわよ。こちらこそごちそうさま。」 「お弁当も食べ終わったし、これからどうしようか。」 「そうね、まあ食べたばかりで動くのも何だし、しばらくここでくつろいでいようか。」 「だね~。」 桜の花が風に吹かれ、小さくワルツを踊るように舞い散ってゆく。 体の内側から暖かくなるような、どこか甘くやさしい空気の中、 暖かな春のそよ風が、私の頬を体を心地よく撫で、それを心地よく受け取っていた。 いつの間にか、微笑みで口元が緩む。他愛のないことだけれども、私には すごく楽しく、幸せなことだ。 「本当に、楽しそうね。」 そんな私を見て、かがみが優しく問いかける。 「うん、楽しいよ。こんな気持ちいい陽気に、この景色なんだよ。かがみは楽しくない?」 「私も楽しいわよ。」 かがみからの問いに私は穏やかに答えながら、 かがみに体を寄せる。 「ちょっと、何しているのよ~。」 「ん~?なんとなく。」 「まったく・・。」 口では抗議しつつも、なんだかんだで受け止めるかがみ。 いつの間にか、互いに手をつなぎ、ゆったりとしていた。 心地いいと思える場所に、好きな相手と一緒に共感していられる。 ホントにたのしいな・・・ かがみ・・・ 出逢った頃は、正直苦手だった。 だけど、ゲームやかがみがラノベ好きであることから、ある程度共有できるところがあるということ、 つっけんどんに見える彼女の態度の奥に隠れている優しさを知ったら、すごく好きになった。 それからは、ずっとクラスは別だったけれどいつも一緒にいたし、 毎晩電話をするくらいすごく仲良くなった。 こうして彼女と付き合ってゆく中で、勉強が出来てしっかりものだけど 少々抜けているところがあったり、不器用だけれどもまっすぐなところを 見つけてゆく度により好きになっていった。 なによりも好きなのは、たまにかがみが私に向けるやさしい表情だ。 それを見つめるたびに、なんとも言えない満たされる気持ちになる。 そんな気持ちになる度に、もっと感じたいという欲張りな感情が湧き出て 悪ふざけや、ちょっかいといった形で彼女に接してしまう。 そして結局、漫才の様なじゃれあいとなる。まあそれでもすごく楽しいし、そんな時間も好きだ。 でもかがみは気のおける仲間としてでなく、彼氏彼女に対しての意味で好きだ。 ほんの時々しかあえなくても、彼女は私の1番であると言えるくらいに。 だからこそはっきりと伝えたい、拒絶されるのはつらいかもしれないけど、 何も伝えないで、私以外のだれかに、彼女の隣を取られる方が寂しいしつらいから。 私は手をつないだまま、体を正面に向ける。 「かがみ。」 「どうしたのよ、こなた。そんな改まっちゃって。」 私の問いかけに対し、優しい声音で彼女が返してくる。 「私、かがみのこと好きなんだ。・・・友達としてではなく、大事な人として・・。」 「えっ。」 「私ね、かがみと一緒にいて、ずっとドキドキしたり、ワクワクしたり、 暖かくて満たされた気持ちになったりしたんだ。高校卒業してさ、大学も別々になるよね。 きっとこれから会う機会は格段に減ると思うから、これだけは伝えたいなって思って。 引いたらごめんね。気持ち悪かったら悪いって言っていいから。」 ここまで言い切って、一息つき、私はかがみからの返事を待つ。 すると、かがみに手を引っ張られ、頭と腰に手を当てて優しく抱きしめられる。 かがみの体の温かさが伝わってくる。 「こなた・・・別に引いたり、気持ち悪いって思わないわよ。私もあんたのことが好きよ、こなた。 私の場合はあんたと違ってハラハラしたり、ほっとけないって思うことが多かったけど、 いつも一緒にいて楽しかった。じゃなければあんたといつも一緒にいないし、ここまで付き合わない。 こなたとだったら恋人として付き合うのも悪くないって思う。」 「かがみぃ。」 「けど、いきなり恋人同士のつきあいってどういうのか分からないから、互いに好きどうしで、 今までどおりのところからはじめてゆきましょ。」 「うん!」 そして互いに顔を寄せ目をつぶり、そっとキスを交わした。 かがみの唇のやわらかさとリップの甘い匂いを感じながら、気持ちが暖かく満たされていった。 キスを終え互いに抱きしめながら、菜の花畑が広がる景色をながめていると、 遠く飛び立った鳥が、ゆっくりと旋回していた。 「かがみ。」 「ん?」 「屋台行かないの?」 「別にいいわよ。・・今はアンタとこうしていたいし。」 「私はそろそろ行きたいな・・・かがみちょっと重・・ぐえっ。」 「余計な事を言うな・・今はこんなことを言う風囲気じゃないでしょ。」 「だってかがみ今『今までの付き合いのところから』って言ってたじゃん。普段の私たちって、 ツーと言えばカーじゃなくて、私がツーと言えばかがみがスリーと言う間じゃない?それを意識したのだよ。」 「何でスリーと言うのが、私なのよ!スリーと言うのは、意識的にボケをかまし続けるあんたの方でしょ。 それと意識するなら普段の私たちじゃなく、今の私たちの空気を意識してくれないか。 さっきまでの空気がブチ壊しじゃないの。」 「うん、空気作った私が言うのも何だけど、ちょっとむず痒くなっちゃって …応えてくれたのにごめんね、かがみん。」 「まったく、もう・・・」 それでもずっとついて来てくれる、そんなかがみのことが本当に大好きだよ。 これからもよろしくね、かがみん。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - お幸せに! -- 名無しさん (2010-07-06 12:43:52) - なんだか二人の様子が目に浮かんで来ますねぇ…GJです! -- 弁天橋 (2010-04-12 21:27:37) - 2828が止まらない。 -- kk (2010-04-08 20:43:10) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(6)
『a little waltz』 高校の卒業式から数日過ぎた、3月終わり頃のある日の晩。 私はかがみと、とりとめのない無い話で長電話をしていた。 「受験校すべて合格していたんだけど、どこに行くか決めていなかったんだよね~。 だから伝え忘れちゃったんだ。遅くなってごめんね。」 「良いわよ。こっちも聞きそびれていたし。なによりもバタバタしていたからね。」 「んで、大学名はね・・・」 「へえ、そこに行くんだ。あんたにしちゃ頑張ったじゃない。あんたのことだから、 『太平洋あけぼの大学』っていうネーミングの、誰も知らない大学になるかと思っていたわ。 何故か都心にキャンパスがあって、アキバにも近いからって理由で。」 「ひど!!何、その壮大なるバカ大学名!。名前からいかほどのものか分かるよ。 いくらネタ人生の私と言えど、進学先そのものをネタにはしないよ。 正直まだ『バカ田大学』と言われた方がダメージが少ないよ~かがみ~ん。 あ~久々にかがみの発言で心にグサッてきた・・・。」 「ごめん、ごめん。悪かったって。冗談だって~。」 「・・でも、アキバに近くて、講義も楽。そんな大学がホントにあったら、行っていたかも・・・。」 「行くのかよ!!」 「春から『ぼの大生』!」 「略称作るなよ・・・何気に気に入っているじゃないのそこ。」 「3月ももう終わりだね~。・・・今年は3月3日に『ひなる』ことができませんでしたよ。」 「なんだその『ひなる』って・・」 「雛祭りを行うことだよ。雛フェス開催だよ~。」 「変な略し方をするなよ。」 「去年、かがみんちで大きなお雛さまを飾っているってことで、 突発的だったんだけど、つかさと一緒に行なったんだ。 ちらし寿司と蛤の潮汁(はまぐりのうしおじる)を用意してね。用事があっていなかった、 かがみは知らないと思うけど。」 「あ~そういえば。晩ご飯がちらし寿司と蛤の潮汁だった日があったけど、そのことだったんだ。」 「かがみ~。思い出して唾を飲みこむの、よそうよ~www。」 「飲んでないわ!!」 ――――― 「赤ずきん~風邪ひいて頭ずきんずき~ん・・・はい、できたよ。ちらし寿司と蛤の潮汁。」 「お~、さすがつかさ、すごくおいしそうだね~。」 「こなちゃんが手伝ってくれたおかげだよ。」 「いやいや。それじゃ準備しようかね。」 「そうだね~。」 「じゃ、こなちゃん、かんぱ~い。」 「かんぱ~い。・・・甘酒だけど~。」 「ねえ、こなちゃん。」 「何、つかさ?」 「このお雛さまを見るとね。幼い頃、まつりお姉ちゃんに 『このお雛さまたち、夜中になると歩きだすんだよ~。』ってからかわれたことを思い出すんだ。」 「へえ~。でもつかさ。その話本当かもしれないよ。」 「え??(小さく首をかしげる)」 「だって、そこの五人囃子。ひとりだけ首が横に向いているから。」 「え・・・、(五人囃子を見て)ひゃっ、ホントだ~。(涙声で)クビよこ向いているよ~。」 「「やった~。大・成・功!!」」 (まつりが出てきて、こなたとハイタッチをする) 「へ、まつりお姉ちゃん・・・」 「ごめんつかさ、それやったの私。」 「ひどいよ~お姉ちゃ~ん、こなちゃ~ん。」 「「フゥハァー」」 ――――― 「というのが、昨年の雛フェスの全容さ、かがみん。」 「・・・2人して私の妹相手に何しているんだ。しかも料理作ってくれたというのに。」 「まつりさん、かがみ相手にすると、本気で馬鹿にしてくるからつまんないって。」 「当たり前だ!!」 「その点つかさだと、いまだに良い反応してくるから楽しいんだって。だからやるんだって言っていたよ。」 「まつり姉さん・・・大学生にもなって・・まったく。」 「そんな風に昨年の雛フェスからハブされてしまったかがみに、ちょっと提案しようと思う。」 「そんな惨状ならハブかれて良かったわ・・・。」 「今度、権現堂堤の桜まつりに招待しますよ、かがみ様!なんと私お手製のお弁当込みで!!」 「たしか権現堂堤って、去年のお花見でも行った、あんたんちの近くよね。 つまり、『青空の下での昼食こみで、一緒にうちで遊ばない?』ってことでいいのかしら?」 「まあそうなんだけどね。私の家で待ち合わせてから行くことになると思うけど、どうかな?」 「いいわよ、特に予定も無いし。私もあそこの桜、今年も見たいって思っていたから。 あとお弁当だけど、あんただけにやらすのも悪いから、私もおかずあたり用意しようかな。」 「かがみが料理!?・・・まあ、『ふぐ料理の免許』を持っていない人が料理した『ふぐ料理』を食べる心境 で心待ちしているよかがみ・・・。」 なんかかなりひどい物言いだな、オマエ。 まだ『つかさ愛用の調理器具壊さないようにね、かがみん。』と言われた方が ダメージ少ないわよ。あんたの今の発言で、私も心にグサッてきたわよ・・・。」 「まあまあ、かがみん。冗談、冗談だって。いつものネタだよ~。  ・・・(小声で)ううう、やっぱり何か悪い予感がするのう・・・。」 「聞こえたぞ。本音のつぶやき・・・。何故にお前は、フォローの後に突き落とす発言をするかな~。」 「いやいやかがみ。さらに突き落としてこそのネタだよ。」 「別に日常会話の中で、必ずしもネタを求めていないんだがな、私は。」 「桜といえばさ、もう春だけど、まだまだ寒い日が続くんだって。 しかも暖かい日も交互にあるから寒暖の差が激しいみたいだよ。かがみって風邪ひきやすいからね。 風邪には気をつけなきゃだめだよ。」 「そうね、今日は雪が降りそうなくらいの寒さだったのに、 明日は晴れてポカポカ陽気だって天気予報でやっていたわね。しかも日によっては、 昼は春の陽気、夜は冬の寒さと1日の中で寒暖の差が激しい日もあるし。」 「でもかがみ様はそんな寒暖の激しい1日でも、昼はアイス、夜は肉まんと、全然無問題で過ごせるよね~。 しかもその分の栄養がお腹に行っていて、肉襦袢(にくじゅばん)がすごいから、冬の風邪は問題ないかな~。 こりゃ失念していたな~。」 「こなた・・・念の為に言っておくが、失念していたのは風邪対策じゃなく、 『栄養がお腹に行っている』って発言の方だからな。オマエ。」 「まあ、ともかく風邪には気を付けてね、かがみん。それじゃあまたね。」 「あ~はいはい。じゃあね。」 そんなこんなで、今度一緒に桜まつりへ行く約束をして電話を切った。 ―――数日後 今日はかがみと近所の権現堂堤の桜まつりへ行く日だ。 ちょうど今、持参するお弁当の準備が終わったところである。 結局お弁当については、かがみが普段料理の腕を馬鹿にしてくる私を見返したいと おかずを担当し、わたしはご飯物を用意することとなった。 そろそろかがみが来る時間だな~とぼんやりしていたら、ピンポ~ンと呼び鈴がなった。 玄関へと出てゆくとかがみが来ており、そのまま一緒に権現堂堤へ出発した。 「相変わらずここの桜はきれいね。風で花びらが舞うのも、すごくステキだわ。」 「そうだね~。近所にこういう桜の名所があってよかったなって思うよ。」 快晴の青空が見えないくらいに、満開の桜の木々がアーチ状に連なり、 トンネルのようになっている桜堤(さくらづつみ)へとやってきた。 途中、デジカメや携帯カメラで写真を撮る人たちやNintendo DS-iで写真を取っている子供たちを見かけつつ、 私たちはゆっくり散策をしていた。 しばらく歩いていると、物産展や出店屋台がある場所へと出てきた。 たくさん露店がでており、結構おいしそうな店がずらりと揃っていたからか、 かがみがあたりをきょろきょろしていた。 「ねえ、かがみ。一応お弁当持ってきているし。お弁当食べてから物色しよ。」 「あっこれはちがうのよ。ほらこんだけあると何があるか興味そそるじゃない。」 「そうはいってもかがみんさっきから『まずかったらお代は返します』というお好み焼き屋や 本当に行列の出来ている『行列の出来るたこ焼き屋』に視線が行っていたよ~。」 「え・・・ねえこなたぁ、あそこにあんたが好きだって言っていたマンガのポスターらしき絵を見たわよ。 ちょっと行きましょ(こなたの手を引っ張る)。」 「ちょ、まってよ、かがみ(逃げたなかがみ・・)。」 「ほら、これ。好きだっていっていたマンガのじゃない?ほら 『マンガやアニメにしか興味がない女子高生達』の。」 「うん。・・まあ正確には『マンガやアニメにしか興味がない女子高生』が主人公のマンガだけどね。 そのマンガの主人公の地元が幸手ってことで、ここの観光協会で主人公家族の住民票を販売しているのだよ。」 「・・へぇ~、いろいろと販売するものね~。で、あんたは買ってゆかないの?」 「販売は前からしていたからね。もう購入したよ。ちゃんと用途別に3個。」 「さよか。」 「まあ、普通に内容も好きなんだけど、やっぱり自分の馴染みのある地域がクローズアップされるのって すごく嬉しいからね。愛着もひとしおですよ。」 「ん~気持ちは、まあわかるかな。」 「最近そのマンガにちなんだスタンプラリーが始まったり、商品が地元の店に並んだりしているんだ。 そのスタンプラリー、AコースとBコースの2種類あってね、それぞれもらえる商品は違うんだ。 でね、Aコースは飲食店、Bコースは小売店でそれぞれ対象商品等を購入したりすることで スタンプを集めるようになっていて、最近どうにかBコースの方はポイントを集めたんだ。」 「Aコースはどうしたのよ。」 「いや~私そんなに量食べれないからさ、全然集まらなくってさ。 しかも小中学校の同級生の店もはいっていてね。来た途端『泉ちゃんには特別にサービスだ』って 頼んでもいないのに大盛りにしたり。しまいにはその子のお母さんからたくさん食べないと大きくなれない わよって、言われる始末ですんごく恥ずかしかったんだ。だからさ・・・」 「いやよ!」 「え~まだなにも言ってないじゃない。」 「どう考えても、私にお願いする流れじゃない。しかも途中のあんたの地元エピソード何だ!?全然関係ないし。」 「うん、あまり関係なかったけどね。まあ、とりあえずお願いしたいんだけどさ。 とりあえずお代は私が持つし、15軒3周程お願~い。」 「あんたさ、私のことフードファイターか何かと勘違いしてないか?」 「でもさ、かがみ食べること大好きじゃん。ダイエットといいだしたらサイフがやせるぐらいにはさ。」 「う、うるさいわね。わざわざそんなこと取り上げなくていいじゃない。」 「まあまあ。食道楽かがみんの為にそろそろ、お昼にしようかね。さっ行こ!」 「分かったわよ・・・」 土手まで歩き、ここでお弁当を食べることにした。 「ここに来ると桜の淡いピンクと、菜の花の黄色のコントラストがすごく映えて見事なものね。」 「そだね。土手側にブルーシートを敷くと、目の前には菜の花畑、後ろには桜。 しかも低い位置から桜が覆いかぶさるようになっているから、菜の花を見ながら桜も見ることが 出来てすごく風流だよね。」 「そうよね。」 「でも私としては、ここのピンクと黄色のコントラストよりも、 かがみの白と水色のコントラストには負けますよ。」 「何それ?・・あっあんた見たの!私の!?」 「さっき強風が吹いたときちらっとね。(べしっ)あうち。不可抗力だよ~かがみん。」 「見たとしても、言うんじゃない。」 「んじゃ、今日私ワンピース着てきたから、スカートまくって中身見せようか? そうするとおあいこになるし。でもレギンスはいているから興ざめしちゃうか・・・。 それだったら、レギンス脱げばいいか。んじゃ生足にしてくるから、ちょっとまってね。」 「やらんでいい、バカタレ!!まったく、すべて台無しにするんだから・・。早くお弁当にしましょ。」 こうしてお弁当タイムへと入った。 「とりあえず私は、和風3色弁当とちょっとしたおかずを用意したよ。」 とりそぼろ、いり卵、茹でいんげんが入った3色弁当ときんぴらごぼう、ミニトマト、 茹でたブロッコリーとおくらを入れた箱をそれぞれ2箱づつ出し、そのうち各1箱をかがみへと渡した。 「おっ、なかなか美味しそうじゃない。結構家事やってるだけあって上手ね。」 「そんなことはないよ。じゃ次はかがみん、いってみようか。」 かがみが大きめな箱を一つ取り出し、ふたを開け、私の前へと出す。 そこに入っていたメニューは鶏のから揚げ、チーズ入りささみかつ、春巻き、アスパラの肉巻き、 卵焼き、ウインナーとかがみとしては正直努力の跡がひしひしと感じられる内容で すごくおいしそうであった。 ただ・・・ 「かがみ、なんかお弁当の色合いが茶色一式になっているよ。これって結構自分の好みを優先しちゃって、 偏っているよね。なんていうか『たくましい貴女がステキ、肉食系女子弁当』って感じ?」 「い~じゃない、別に。嫌なら、食べなくていいわよ。」 「全然嫌じゃないよ~。それじゃ頂きま~す。」 「はい、どうぞ。・・・どうかな?」 「うん、すごくおいしいよ。ありがとう。」 「そう?どういたしまして。じゃ、食べてしまいましょ。」 そんなやりとりを繰り広げつつ、食事することとなった。 「ふ~食べた、食べた。かがみんごちそうさま。すごくおいしかったわよ。」 「こなたのもすごくおいしかったわよ。こちらこそごちそうさま。」 「お弁当も食べ終わったし、これからどうしようか。」 「そうね、まあ食べたばかりで動くのも何だし、しばらくここでくつろいでいようか。」 「だね~。」 桜の花が風に吹かれ、小さくワルツを踊るように舞い散ってゆく。 体の内側から暖かくなるような、どこか甘くやさしい空気の中、 暖かな春のそよ風が、私の頬を体を心地よく撫で、それを心地よく受け取っていた。 いつの間にか、微笑みで口元が緩む。他愛のないことだけれども、私には すごく楽しく、幸せなことだ。 「本当に、楽しそうね。」 そんな私を見て、かがみが優しく問いかける。 「うん、楽しいよ。こんな気持ちいい陽気に、この景色なんだよ。かがみは楽しくない?」 「私も楽しいわよ。」 かがみからの問いに私は穏やかに答えながら、 かがみに体を寄せる。 「ちょっと、何しているのよ~。」 「ん~?なんとなく。」 「まったく・・。」 口では抗議しつつも、なんだかんだで受け止めるかがみ。 いつの間にか、互いに手をつなぎ、ゆったりとしていた。 心地いいと思える場所に、好きな相手と一緒に共感していられる。 ホントにたのしいな・・・ かがみ・・・ 出逢った頃は、正直苦手だった。 だけど、ゲームやかがみがラノベ好きであることから、ある程度共有できるところがあるということ、 つっけんどんに見える彼女の態度の奥に隠れている優しさを知ったら、すごく好きになった。 それからは、ずっとクラスは別だったけれどいつも一緒にいたし、 毎晩電話をするくらいすごく仲良くなった。 こうして彼女と付き合ってゆく中で、勉強が出来てしっかりものだけど 少々抜けているところがあったり、不器用だけれどもまっすぐなところを 見つけてゆく度により好きになっていった。 なによりも好きなのは、たまにかがみが私に向けるやさしい表情だ。 それを見つめるたびに、なんとも言えない満たされる気持ちになる。 そんな気持ちになる度に、もっと感じたいという欲張りな感情が湧き出て 悪ふざけや、ちょっかいといった形で彼女に接してしまう。 そして結局、漫才の様なじゃれあいとなる。まあそれでもすごく楽しいし、そんな時間も好きだ。 でもかがみは気のおける仲間としてでなく、彼氏彼女に対しての意味で好きだ。 ほんの時々しかあえなくても、彼女は私の1番であると言えるくらいに。 だからこそはっきりと伝えたい、拒絶されるのはつらいかもしれないけど、 何も伝えないで、私以外のだれかに、彼女の隣を取られる方が寂しいしつらいから。 私は手をつないだまま、体を正面に向ける。 「かがみ。」 「どうしたのよ、こなた。そんな改まっちゃって。」 私の問いかけに対し、優しい声音で彼女が返してくる。 「私、かがみのこと好きなんだ。・・・友達としてではなく、大事な人として・・。」 「えっ。」 「私ね、かがみと一緒にいて、ずっとドキドキしたり、ワクワクしたり、 暖かくて満たされた気持ちになったりしたんだ。高校卒業してさ、大学も別々になるよね。 きっとこれから会う機会は格段に減ると思うから、これだけは伝えたいなって思って。 引いたらごめんね。気持ち悪かったら悪いって言っていいから。」 ここまで言い切って、一息つき、私はかがみからの返事を待つ。 すると、かがみに手を引っ張られ、頭と腰に手を当てて優しく抱きしめられる。 かがみの体の温かさが伝わってくる。 「こなた・・・別に引いたり、気持ち悪いって思わないわよ。私もあんたのことが好きよ、こなた。 私の場合はあんたと違ってハラハラしたり、ほっとけないって思うことが多かったけど、 いつも一緒にいて楽しかった。じゃなければあんたといつも一緒にいないし、ここまで付き合わない。 こなたとだったら恋人として付き合うのも悪くないって思う。」 「かがみぃ。」 「けど、いきなり恋人同士のつきあいってどういうのか分からないから、互いに好きどうしで、 今までどおりのところからはじめてゆきましょ。」 「うん!」 そして互いに顔を寄せ目をつぶり、そっとキスを交わした。 かがみの唇のやわらかさとリップの甘い匂いを感じながら、気持ちが暖かく満たされていった。 キスを終え互いに抱きしめながら、菜の花畑が広がる景色をながめていると、 遠く飛び立った鳥が、ゆっくりと旋回していた。 「かがみ。」 「ん?」 「屋台行かないの?」 「別にいいわよ。・・今はアンタとこうしていたいし。」 「私はそろそろ行きたいな・・・かがみちょっと重・・ぐえっ。」 「余計な事を言うな・・今はこんなことを言う風囲気じゃないでしょ。」 「だってかがみ今『今までの付き合いのところから』って言ってたじゃん。普段の私たちって、 ツーと言えばカーじゃなくて、私がツーと言えばかがみがスリーと言う間じゃない?それを意識したのだよ。」 「何でスリーと言うのが、私なのよ!スリーと言うのは、意識的にボケをかまし続けるあんたの方でしょ。 それと意識するなら普段の私たちじゃなく、今の私たちの空気を意識してくれないか。 さっきまでの空気がブチ壊しじゃないの。」 「うん、空気作った私が言うのも何だけど、ちょっとむず痒くなっちゃって …応えてくれたのにごめんね、かがみん。」 「まったく、もう・・・」 それでもずっとついて来てくれる、そんなかがみのことが本当に大好きだよ。 これからもよろしくね、かがみん。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 寒い今でも暖かいものを感じます。 -- 名無しさん (2010-12-29 16:32:17) - お幸せに! -- 名無しさん (2010-07-06 12:43:52) - なんだか二人の様子が目に浮かんで来ますねぇ…GJです! -- 弁天橋 (2010-04-12 21:27:37) - 2828が止まらない。 -- kk (2010-04-08 20:43:10) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(7)

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