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「ずっと一緒にいてほしい」 かがみは寂しがり屋さんだね~とからかうはずだったのに声が出ない。 やはり照れくささからほんのりと赤くなってる頬に、じっと私を見つめるその真剣な表情に、 私は見とれていたんだ。 あの日、友情の中で損得勘定をしている自分が間違っていると気付いた。 友達同士、親友と呼べる仲の私たちに迷惑だとか考える必要はなかったんだ。 いや、まぁ多少甘えすぎとかは気にすべきだけどさ。 とにかく、私の行動を自己中だとかそんな風に思ってなんかなくて。ありのままの私を受け入れてくれるんだと。 本当に私は恵まれてるんだ。 もったいないなんて言ったら怒られるだろうね。感謝の気持ちを心の中でね。 そんなことを思うようになったからか、それとも久しぶりにかがみと楽しい時間を過ごしたからだろうか。 気持ちがそっちに傾いちゃって、また私らしくないとか考える暇もなくて。 「あと一年もないんだね、みんなといられるの」 どんな答えを期待してたんだろう。 ただ訪れる別れがすごく怖かったんだ。 周りのみんなはもう志望校をだいたい絞って、テストの結果でAだのBだの判定に敏感なころ。 やはりそそくさと帰って勉強をする人たちがほとんどで、放課後の教室はあっという間に静かになる。 その日、つかさはみゆきさんに勉強を見てほしいと図書館へと向かった。 私も一緒に勉強したほうがよかったんだろうけど、みゆきさんの負担といつものあと一人がいないので辞退。 まだなんとかなるよね、と目標すら決めてない私は以前のように遊びに時間を使うことにした。 一人じゃつまらないのでかがみを誘って。 なんだかんだでオタクの素質があるのか、二つ返事でオッケーしてくれたかがみ。 受験生としてはまた違った意味でジト目の峰岸さんとみさきちは軽くスルーしておく。 なんでだろうね、こうして二人で行動するのが当たり前になってるんだよ。よく考えると一ヶ月以上ぶりだけど。 まぁそんなこんなでゲマ○へと繰り出す。 やっぱりね、ホームグラウンドみたいなもんでテンションが上がるんだよね。 きっと子どもみたいにはしゃいでるだろう私にかがみは何も言わずついてきてくれた。 「かがみー、これ私のオススメなんだ、よー……」 やたらハイテンションで顔を上げると、かがみはびっくりするくらい穏やかな笑顔をしていた。 なんとなくお母さんはこんな風に笑っていたのかなって、見たこともないのに思った。 いやいや私とかがみは同級生でしょ、と心の中でツッコム。 いやね、本来ツッコミのはずのかがみも、かがみに見とれてしまった私も何も言えなかったんだよ。 かがみは面倒見がいいからなー、結構いいお母さんになれそう。 甘やかすだけじゃなくてピシッと叱ったりね。 そうなるとやっぱりかかあ天下になるのかな。かがみにふさわしい旦那さんは…… 「こなた?」 おっと、そんな何年後になるかわからないことを考えてもしょうがないよね。 そうそう、この漫画オススメなんだよ。 あー、そんなディープなやつじゃないよ。時代劇プラスラブコメ、みたいな。 え~?たまには共通の話題を――活字は慎んで遠慮。 「ふぃ~、買った買った」 結構な量を買い込んで店を出る私たち。かがみは結局ついてきただけ。 「ちょっとは自重したらどうなんだ」 わかってるって。ちゃんと勉強もしてるよ。 ほら、最近はあまり宿題とかで頼ってないでしょ。 ……えっと、まぁ私的には成長したってことで。 というか今日はかがみがいたからかな、妙に気分が高揚しちゃってさ。一人で来るよりやっぱり誰かいてくれるとね。 はい、それは気を付けます。できるだけ、心持ち…… 「ちょっと公園にでも寄ってかない?」とかがみは言った。 私としても久しぶりのこういう時間がとても楽しかったし、まだ時間もあるから即了承。 夏に近づいて暖かくなった陽気は、日が沈みかけるころになっても心地よさを保っていた。 歩幅の関係?気持ちの問題? 半歩前を歩くかがみを、緑色の葉で覆われた木々を見ながら追う。 口数が減ったのはあの頃から。 遠慮してるわけでも、話題に困っているわけでもない。 純粋に残り少なくなった時間を惜しむ気持ちから。 みんなの笑顔を見たい、大切な友達と笑って過ごしたいから。 「ねぇ、進路のこととかちゃんと考えてる?」 不意に立ち止まったかがみは、私に背を向けたままそう言った。 どうだろうね。やりたいことも夢もない。 たぶん進学はするよ。大学の四年間で何か見つかるといいなって。 一応勉強はしてるから、適当に私の学力に見合ったところになるのかな。 かがみは、弁護士になりたいんだったよね。 つかさも料理関係で、みゆきさんは医者を目指してる。 物理的な距離にするとこんなに近いのに、かがみの背中は遥か遠くに感じた。 「みんな離ればなれになっちゃうんだね」 しっかりと目標を持って進んでいるみんなは、私にはとても遠いよ。 らしくない、冗談でも言って済ませればいいのに。 私は今どんな顔してるんだろう。かがみがこっちを向いてなくてよかった。 たまには本音を言ってもいいかなって。強がりを見せてもしょうがないよねって。 初めてとっても大事な友達ができて、そのみんなともうすぐお別れ。 普段さびしんぼかがみんなんてからかってたけど、私も結構寂しがり屋だったんだね。 そしてずっとみんなといたいっていうこの気持ちはどうしようもないわがまま。 はは。私ってばかなり子どもっぽかったんだ。 「私だって寂しいわよ」 ちょっと怒ったような声でそう言ったあと、ようやくかがみは私のほうに体を向けた。 「私もみんなに、いや、あんたにもう会えなくなるって思ったら勉強なんて手につかないわよ」 これは絶好のかがみいじりのチャンスじゃないだろうか。 いつもこういう話では私のことを挙げないかがみが完全にデレ期に入っている。 いや、デレ期なんて言うのは失礼だね。 私もかがみも今は冗談を言う時ではないんだ。 「私は、できることなら、あんたに、ずっと一緒にいてほしい、って思ってる」 そ、それはいったいどういう意味なのかな。 そんな真剣な顔で言うってことは、単純な、ずっと友達だよって意味とかじゃないんだよね? いや、そう思うのはギャルゲのしすぎなのか。 やっぱり普通の、普通の……プロポーズみたいじゃん。 頭の中がぐちゃぐちゃで、でも真っ直ぐ私を見つめるかがみから視線を外せなくて。 「そろそろ帰ろっか」 問いかけも、続く言葉もなくかがみは歩き出した。 かがみの気持ちは嬉しい。私も同じだから。 いや、同じとは言いきれないか。 私にはつかさやみゆきさんとは違う、親友以上の何かがある。 けど、かがみはやっぱり卒業してもずっと友達って意味で言ったんじゃないかな。 あのあとかがみは何も言ってくれなかった。 何度か顔色を窺うけど、妙に仏頂面してて話しかけることもできず。 それに目が合うと即座に視線を逸らされて。 結局バイバイの一言しか交わせなかった。 思うにかがみも自分の発言になにかしら気にかけるところがあるんだろう。 言わなくてもいいのに言ってしまった、とか。それだとすごく傷つくね。 いや、それ以前に親友だと言っておいてあの言葉が言ってはいけないっておかしいよね。 もしそれ以上の感情があった場合を除く……だけど。 って、それはない。絶対ない。 全く、マリ○てやストパ○に毒されたかなぁ。 単純にストレートな台詞を言って恥ずかしかっただけだ。ツンデレだし。 うん、きっとそうだ。 でもそんなながいことしゃべれなくなるほどかなぁ。 だいいちすとれーとなせりふって、それこそぷろぽーずじゃんか。 でもそうなると……って、なんかるーぷしてるきが…… 微かな重さを頭に感じて目を覚ました。 なんか気持ちいい。うーんと、頭を撫でられてるみたい。 この手の大きさはゆーちゃんじゃあり得ないしお父さんかぁ…… 自分でも驚くぐらい素早い動きで飛び起きた。 そりゃもうガバッと。 「おはようこなた」 うん、おはよう。で、お父さんは何してたのかな? 「いやぁ大したことはしてないぞ」 大したことってどんなこと?と聞いちゃ負けな気がするのはなぜだろう。 ニコニコしながら答えるこのおじさん、怪しいです。 「寝顔を撮ろうかと思ったがさすがに起こしちゃ悪いしな。ずっと頭を撫でてただけだ」 だけって。寝顔を撮ろうとしただけでも十分アレなんだけど。 「しかしまぁ、帰ってきたというのにやけに静かだったからな。ちょっと様子を見にきたんだ」 そういえばずっと考えごとしてて、そのままベッドに突っ伏したんだっけ。 お父さんなりに心配してたのかな。 まぁ毎日明るくなんて無理だけどいつもお父さんと一言二言交わすしね。 「このところあまりかがみちゃんたちの話をしないじゃないか。なにかあったのか」 この人は時々オタクなダメ人間から父親に切り替わる。なんの脈絡もなく、ね。 たぶんお父さんが言ってるのは私が友達としてとかいろいろ悩んでたころからの話だろう。 主に考えごとをしてて部屋にこもってることも多くなったし。 喧嘩でもなんでもないんだけどね。 敢えて言うなら私の考えすぎってとこかな。 「そうだな。こなたは昔から周りを気にしすぎだからな。俺に対してもな」 私がお父さんに? むしろお父さんが私にもう少し節度というか、ねぇ。 「はは。まぁお前はかなたのことをなんにも言わないじゃないか。寂しいのは我慢しなくていいんだぞ?」 我慢なんかしてないよ。気付かなかっただけ。 昔から二次元にハマってたし、今ならみんながいるから。 第一こんな賑やかなお父さんがいて寂しいって思うはずないじゃん。 「とにかくだな、こなたはもっとわがままを言っていいんだ。自分の気持ちを押し殺す必要なんてないんだよ」 久しぶり見たお父さんの真剣な顔。 こういうときだけはやけにかっこよく見えるんだよね。お母さんが惚れたのはそこかな? まぁすぐに魔法は解けるけどね。 夕食はもうすぐでできる、と言い残してお父さんは出ていった。 最後にポンポンと頭を撫でてから。 ふぅ、いつまで経っても相変わらずだね。 それにしても……本当にそれでいいのかな? かがみは親友だから迷惑なんて思わないとか、気にしなくていいと言った。 それでもやっぱり私は…… -[[とても大きな存在]]へ **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 焦らし最高 -- 名無しさん (2009-05-15 02:06:34) - やきもきするな…… &br()続きが楽しみです! -- 名無しさん (2009-05-14 23:37:56) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(16)
「ずっと一緒にいてほしい」 かがみは寂しがり屋さんだね~とからかうはずだったのに声が出ない。 やはり照れくささからほんのりと赤くなってる頬に、じっと私を見つめるその真剣な表情に、 私は見とれていたんだ。 あの日、友情の中で損得勘定をしている自分が間違っていると気付いた。 友達同士、親友と呼べる仲の私たちに迷惑だとか考える必要はなかったんだ。 いや、まぁ多少甘えすぎとかは気にすべきだけどさ。 とにかく、私の行動を自己中だとかそんな風に思ってなんかなくて。ありのままの私を受け入れてくれるんだと。 本当に私は恵まれてるんだ。 もったいないなんて言ったら怒られるだろうね。感謝の気持ちを心の中でね。 そんなことを思うようになったからか、それとも久しぶりにかがみと楽しい時間を過ごしたからだろうか。 気持ちがそっちに傾いちゃって、また私らしくないとか考える暇もなくて。 「あと一年もないんだね、みんなといられるの」 どんな答えを期待してたんだろう。 ただ訪れる別れがすごく怖かったんだ。 周りのみんなはもう志望校をだいたい絞って、テストの結果でAだのBだの判定に敏感なころ。 やはりそそくさと帰って勉強をする人たちがほとんどで、放課後の教室はあっという間に静かになる。 その日、つかさはみゆきさんに勉強を見てほしいと図書館へと向かった。 私も一緒に勉強したほうがよかったんだろうけど、みゆきさんの負担といつものあと一人がいないので辞退。 まだなんとかなるよね、と目標すら決めてない私は以前のように遊びに時間を使うことにした。 一人じゃつまらないのでかがみを誘って。 なんだかんだでオタクの素質があるのか、二つ返事でオッケーしてくれたかがみ。 受験生としてはまた違った意味でジト目の峰岸さんとみさきちは軽くスルーしておく。 なんでだろうね、こうして二人で行動するのが当たり前になってるんだよ。よく考えると一ヶ月以上ぶりだけど。 まぁそんなこんなでゲマ○へと繰り出す。 やっぱりね、ホームグラウンドみたいなもんでテンションが上がるんだよね。 きっと子どもみたいにはしゃいでるだろう私にかがみは何も言わずついてきてくれた。 「かがみー、これ私のオススメなんだ、よー……」 やたらハイテンションで顔を上げると、かがみはびっくりするくらい穏やかな笑顔をしていた。 なんとなくお母さんはこんな風に笑っていたのかなって、見たこともないのに思った。 いやいや私とかがみは同級生でしょ、と心の中でツッコム。 いやね、本来ツッコミのはずのかがみも、かがみに見とれてしまった私も何も言えなかったんだよ。 かがみは面倒見がいいからなー、結構いいお母さんになれそう。 甘やかすだけじゃなくてピシッと叱ったりね。 そうなるとやっぱりかかあ天下になるのかな。かがみにふさわしい旦那さんは…… 「こなた?」 おっと、そんな何年後になるかわからないことを考えてもしょうがないよね。 そうそう、この漫画オススメなんだよ。 あー、そんなディープなやつじゃないよ。時代劇プラスラブコメ、みたいな。 え~?たまには共通の話題を――活字は慎んで遠慮。 「ふぃ~、買った買った」 結構な量を買い込んで店を出る私たち。かがみは結局ついてきただけ。 「ちょっとは自重したらどうなんだ」 わかってるって。ちゃんと勉強もしてるよ。 ほら、最近はあまり宿題とかで頼ってないでしょ。 ……えっと、まぁ私的には成長したってことで。 というか今日はかがみがいたからかな、妙に気分が高揚しちゃってさ。一人で来るよりやっぱり誰かいてくれるとね。 はい、それは気を付けます。できるだけ、心持ち…… 「ちょっと公園にでも寄ってかない?」とかがみは言った。 私としても久しぶりのこういう時間がとても楽しかったし、まだ時間もあるから即了承。 夏に近づいて暖かくなった陽気は、日が沈みかけるころになっても心地よさを保っていた。 歩幅の関係?気持ちの問題? 半歩前を歩くかがみを、緑色の葉で覆われた木々を見ながら追う。 口数が減ったのはあの頃から。 遠慮してるわけでも、話題に困っているわけでもない。 純粋に残り少なくなった時間を惜しむ気持ちから。 みんなの笑顔を見たい、大切な友達と笑って過ごしたいから。 「ねぇ、進路のこととかちゃんと考えてる?」 不意に立ち止まったかがみは、私に背を向けたままそう言った。 どうだろうね。やりたいことも夢もない。 たぶん進学はするよ。大学の四年間で何か見つかるといいなって。 一応勉強はしてるから、適当に私の学力に見合ったところになるのかな。 かがみは、弁護士になりたいんだったよね。 つかさも料理関係で、みゆきさんは医者を目指してる。 物理的な距離にするとこんなに近いのに、かがみの背中は遥か遠くに感じた。 「みんな離ればなれになっちゃうんだね」 しっかりと目標を持って進んでいるみんなは、私にはとても遠いよ。 らしくない、冗談でも言って済ませればいいのに。 私は今どんな顔してるんだろう。かがみがこっちを向いてなくてよかった。 たまには本音を言ってもいいかなって。強がりを見せてもしょうがないよねって。 初めてとっても大事な友達ができて、そのみんなともうすぐお別れ。 普段さびしんぼかがみんなんてからかってたけど、私も結構寂しがり屋だったんだね。 そしてずっとみんなといたいっていうこの気持ちはどうしようもないわがまま。 はは。私ってばかなり子どもっぽかったんだ。 「私だって寂しいわよ」 ちょっと怒ったような声でそう言ったあと、ようやくかがみは私のほうに体を向けた。 「私もみんなに、いや、あんたにもう会えなくなるって思ったら勉強なんて手につかないわよ」 これは絶好のかがみいじりのチャンスじゃないだろうか。 いつもこういう話では私のことを挙げないかがみが完全にデレ期に入っている。 いや、デレ期なんて言うのは失礼だね。 私もかがみも今は冗談を言う時ではないんだ。 「私は、できることなら、あんたに、ずっと一緒にいてほしい、って思ってる」 そ、それはいったいどういう意味なのかな。 そんな真剣な顔で言うってことは、単純な、ずっと友達だよって意味とかじゃないんだよね? いや、そう思うのはギャルゲのしすぎなのか。 やっぱり普通の、普通の……プロポーズみたいじゃん。 頭の中がぐちゃぐちゃで、でも真っ直ぐ私を見つめるかがみから視線を外せなくて。 「そろそろ帰ろっか」 問いかけも、続く言葉もなくかがみは歩き出した。 かがみの気持ちは嬉しい。私も同じだから。 いや、同じとは言いきれないか。 私にはつかさやみゆきさんとは違う、親友以上の何かがある。 けど、かがみはやっぱり卒業してもずっと友達って意味で言ったんじゃないかな。 あのあとかがみは何も言ってくれなかった。 何度か顔色を窺うけど、妙に仏頂面してて話しかけることもできず。 それに目が合うと即座に視線を逸らされて。 結局バイバイの一言しか交わせなかった。 思うにかがみも自分の発言になにかしら気にかけるところがあるんだろう。 言わなくてもいいのに言ってしまった、とか。それだとすごく傷つくね。 いや、それ以前に親友だと言っておいてあの言葉が言ってはいけないっておかしいよね。 もしそれ以上の感情があった場合を除く……だけど。 って、それはない。絶対ない。 全く、マリ○てやストパ○に毒されたかなぁ。 単純にストレートな台詞を言って恥ずかしかっただけだ。ツンデレだし。 うん、きっとそうだ。 でもそんなながいことしゃべれなくなるほどかなぁ。 だいいちすとれーとなせりふって、それこそぷろぽーずじゃんか。 でもそうなると……って、なんかるーぷしてるきが…… 微かな重さを頭に感じて目を覚ました。 なんか気持ちいい。うーんと、頭を撫でられてるみたい。 この手の大きさはゆーちゃんじゃあり得ないしお父さんかぁ…… 自分でも驚くぐらい素早い動きで飛び起きた。 そりゃもうガバッと。 「おはようこなた」 うん、おはよう。で、お父さんは何してたのかな? 「いやぁ大したことはしてないぞ」 大したことってどんなこと?と聞いちゃ負けな気がするのはなぜだろう。 ニコニコしながら答えるこのおじさん、怪しいです。 「寝顔を撮ろうかと思ったがさすがに起こしちゃ悪いしな。ずっと頭を撫でてただけだ」 だけって。寝顔を撮ろうとしただけでも十分アレなんだけど。 「しかしまぁ、帰ってきたというのにやけに静かだったからな。ちょっと様子を見にきたんだ」 そういえばずっと考えごとしてて、そのままベッドに突っ伏したんだっけ。 お父さんなりに心配してたのかな。 まぁ毎日明るくなんて無理だけどいつもお父さんと一言二言交わすしね。 「このところあまりかがみちゃんたちの話をしないじゃないか。なにかあったのか」 この人は時々オタクなダメ人間から父親に切り替わる。なんの脈絡もなく、ね。 たぶんお父さんが言ってるのは私が友達としてとかいろいろ悩んでたころからの話だろう。 主に考えごとをしてて部屋にこもってることも多くなったし。 喧嘩でもなんでもないんだけどね。 敢えて言うなら私の考えすぎってとこかな。 「そうだな。こなたは昔から周りを気にしすぎだからな。俺に対してもな」 私がお父さんに? むしろお父さんが私にもう少し節度というか、ねぇ。 「はは。まぁお前はかなたのことをなんにも言わないじゃないか。寂しいのは我慢しなくていいんだぞ?」 我慢なんかしてないよ。気付かなかっただけ。 昔から二次元にハマってたし、今ならみんながいるから。 第一こんな賑やかなお父さんがいて寂しいって思うはずないじゃん。 「とにかくだな、こなたはもっとわがままを言っていいんだ。自分の気持ちを押し殺す必要なんてないんだよ」 久しぶり見たお父さんの真剣な顔。 こういうときだけはやけにかっこよく見えるんだよね。お母さんが惚れたのはそこかな? まぁすぐに魔法は解けるけどね。 夕食はもうすぐでできる、と言い残してお父さんは出ていった。 最後にポンポンと頭を撫でてから。 ふぅ、いつまで経っても相変わらずだね。 それにしても……本当にそれでいいのかな? かがみは親友だから迷惑なんて思わないとか、気にしなくていいと言った。 それでもやっぱり私は…… -[[とても大きな存在]]へ **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-04 18:25:42) - 焦らし最高 -- 名無しさん (2009-05-15 02:06:34) - やきもきするな…… &br()続きが楽しみです! -- 名無しさん (2009-05-14 23:37:56) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(16)

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