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テスト終了のチャイムが鳴り響く
体調不良のせいか頭の回転がやけに遅く、集中力も続かなかったこともあり、問題を解く速度はいつもより大分遅かった
幸か不幸かテスト自体はいつもの通りできたと思う
その分体調は悪化してきたが……
今日は早く帰ろう
と早めに席を立ったのだが
「柊ぃーテストどうだった?」
「……まぁまぁよ」
日下部と峰岸に捕まった
「そう言って軽く8割取るんだから狡ぃよなー」
私には無理だとケラケラ笑う日下部
その横で頑張れば大丈夫よと励ます峰岸
「何よ?用事は?」
「そうだった、試験も終わったことだし、この前出来た喫茶店に行こうかなって。だから柊も来い!」
「来い…って命令形かよ、私は今日行けないわよ」
いつもならこの気の良い中学時代からの友人達と付き合うのだが、自分も辛いし、何よりもあまり長く一緒に居て風邪を移したくなかった
「何だよーまたちびっこかよ?」
「違うわよ、本当に今日は無理だから」
「……!?そうか!男だろ!?」
「違うって言ってるじゃない!」
怒鳴ったらまた辛くなってきた
そう思った次の瞬間
「なぁ良いだろー今日位は一緒に行こうぜ―」
突然日下部が抱きついてきた
思わず振り払って距離を置く
あんなに近づいていたら間違いなく風邪は移るだろう
ふぅ…とため息をつき顔を上げると
驚き傷ついた顔の日下部がいた
「柊?」
「今日はあまり近づかないで」
「ひ、柊ちゃん!!」
「わかったよ……もぅ誘わないかんな!柊なんて大っ嫌いだ!!」
風邪が移るから、と続ける前に走り去る日下部
残された峰岸がこっちを見てる、その視線だけでこっちを責めているのが判る
「柊ちゃんらしくないよ?みさちゃん最近柊ちゃんが根詰めすぎだっ!て心配してどうすれば気が晴れるか一生懸命考えてたのに…どうしてみさちゃんにあんなこと言ったの?」
「はぁ……」
本日何回目かわからないため息をつき、昨日の徹夜で体調を崩した事、だから今日は早く帰りたい事、風邪を移したくないから余り近づいてほしくなかった事
とりあえず全て話した
「もぅ!そういう事はちゃんと説明しないとダメだよ?」
「解ってるわよ、次会ったときにでも謝っておくわ」
「それに体調が悪いなら無理して学校来ちゃ駄目だよ?」
「徹夜で勉強したのにもったいないじゃない、どのみち週末だから…」
「柊ちゃん?」
「……解ったわよ」
みゆきもそうだが、普段おとなしい人に限ってこういった時に凄みがあると思う
「それでどの位熱があるの?」
「朝は38℃位だったかしら?」
どれどれ、と峰岸の顔が近づいて来る
額と額が合わさる
冷たくて気持ち良い
思わずそう考えていたら
「うわぁあぁぁあ!」
叫び声と共に風の様に現れたこなたに腕を捕まれ引っぱられるように教室から連れ出される
熱のおかげで上手く動かない体で抵抗出来る訳もなく、何とか自分の鞄を手に引っ掛け、こなたにそのまま連れていかれた
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私は一人教室に取り残された
頭に浮かぶのは二人の友達
柊ちゃん凄い熱だったけど大丈夫かしら?
後からきた泉ちゃんがもの凄い勢いで引っ張ってったから大丈夫かな、と自己完結
私はもう一人の友達に事情を説明するためにも携帯電話を開いた
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
こなたに腕を牽かれ廊下を走る
体調のおかげで、いつもの下駄箱までが果てしなく遠く感じた
「はぁ…はぁ……」
「あっ!ごめん!!」
こなたは引っ張ってきた事に今さら気がついたかのような顔をして手を離した
走ったせいだろう、熱が上がり頭がぼーっとする
深呼吸して息を整えようとしてみたが、整う気配がないので構わずに口を開いた
「別に…良いけど、どうしたのよ?」
「いや~その、かがみは‥さっき峰岸さんと何してたの?」
峰岸?何でここで峰岸が出てくるのだろう?
そんな疑問を感じつつ先程までの自分を思い返してみるが、頭の回転が悪い為か所々で記憶があやふやになっている
たしかこんな感じで…
「……こうしてただけよ?」
こなたの頬に手を伸ばす、頬に触れた瞬間ビクッと体が反応した
そのまま顔を近づけ額をくっつける
当たった額から伝わる熱が気持ち良い、と思うと同時に自分の今の状態を思い出す
「かがみ様?貴女は一体全体何をなさっていられるのですか?」
「何って…アンタがしろって言ったんじゃない」
こなたの去っていく熱を名残惜しいと思ったが、そのせいでこの小さな親友に風邪を移したくはないので、ゆっくり額を離し、靴を履き替えると同時に不自然ではない位の距離をとる
一方のこなたはというと気の抜けた表情をしていた
「かがみは峰岸さんとキスしてなかったってこと?」
「……逆に何で、私と峰岸がキス‥しなくちゃ、いけないのよ?」
質問の意図が判らない、何でこなたがこんなことを言い出すのかが判らない
熱でぼーっとして考える事自体が面倒になってきたが、自分をここまで引っ張って来たのにも理由があるはずだ
「結局…何の、用事だった‥のよ?」
「そうだった!今日みんなでカラオケ行くんだけど、かがみも行く?むしろ来い!!」
何でこういう日に限って誘いが多いのだろう?テスト最終日だからみんな遊びたいのか?というよりまた命令形?みんなでカラオケは楽しいだろうな、でも風邪は移したくないな……
「……ごめん、今日‥は、無理」
「え?」
私は何を考えているのだろう、思考がまとまらずに暴走している
急に頭痛が酷くなってきたので思わず頭に手を当てる
「今日……に…理なの?」
こなたの声が急に遠く聞こえた
頭痛は時間が経つに連れて増す一方で
「……うん」
返事を返すので精一杯
「何か…事?」
「……うん」
「……ま……………でも……た?」
「……うん」
もうこなたが何を言っているのかも解らなかった
聞こえてくる音に反応して相槌を打つのもそろそろ限界
自分の事で迷惑掛けたくなかったんだけどな…
気を抜くと倒れてしまいそうな体、熱で働かない頭
限界はもう直ぐそこまで迫っていて
「ごめ、…もう…無理」
重力に従い崩れ落ちる体、薄れてゆく意識、消えかけた視界が最後に捉えたのは、涙を浮かべながら無理に笑おうとしているこなただった
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体調不良のせいか頭の回転がやけに遅く、集中力も続かなかったこともあり、問題を解く速度はいつもより大分遅かった
幸か不幸かテスト自体はいつもの通りできたと思う
その分体調は悪化してきたが……
今日は早く帰ろう
と早めに席を立ったのだが
「柊ぃーテストどうだった?」
「……まぁまぁよ」
日下部と峰岸に捕まった
「そう言って軽く8割取るんだから狡ぃよなー」
私には無理だとケラケラ笑う日下部
その横で頑張れば大丈夫よと励ます峰岸
「何よ?用事は?」
「そうだった、試験も終わったことだし、この前出来た喫茶店に行こうかなって。だから柊も来い!」
「来い…って命令形かよ、私は今日行けないわよ」
いつもならこの気の良い中学時代からの友人達と付き合うのだが、自分も辛いし、何よりもあまり長く一緒に居て風邪を移したくなかった
「何だよーまたちびっこかよ?」
「違うわよ、本当に今日は無理だから」
「……!?そうか!男だろ!?」
「違うって言ってるじゃない!」
怒鳴ったらまた辛くなってきた
そう思った次の瞬間
「なぁ良いだろー今日位は一緒に行こうぜ―」
突然日下部が抱きついてきた
思わず振り払って距離を置く
あんなに近づいていたら間違いなく風邪は移るだろう
ふぅ…とため息をつき顔を上げると
驚き傷ついた顔の日下部がいた
「柊?」
「今日はあまり近づかないで」
「ひ、柊ちゃん!!」
「わかったよ……もぅ誘わないかんな!柊なんて大っ嫌いだ!!」
風邪が移るから、と続ける前に走り去る日下部
残された峰岸がこっちを見てる、その視線だけでこっちを責めているのが判る
「柊ちゃんらしくないよ?みさちゃん最近柊ちゃんが根詰めすぎだっ!て心配してどうすれば気が晴れるか一生懸命考えてたのに…どうしてみさちゃんにあんなこと言ったの?」
「はぁ……」
本日何回目かわからないため息をつき、昨日の徹夜で体調を崩した事、だから今日は早く帰りたい事、風邪を移したくないから余り近づいてほしくなかった事
とりあえず全て話した
「もぅ!そういう事はちゃんと説明しないとダメだよ?」
「解ってるわよ、次会ったときにでも謝っておくわ」
「それに体調が悪いなら無理して学校来ちゃ駄目だよ?」
「徹夜で勉強したのにもったいないじゃない、どのみち週末だから…」
「柊ちゃん?」
「……解ったわよ」
みゆきもそうだが、普段おとなしい人に限ってこういった時に凄みがあると思う
「それでどの位熱があるの?」
「朝は38℃位だったかしら?」
どれどれ、と峰岸の顔が近づいて来る
額と額が合わさる
冷たくて気持ち良い
思わずそう考えていたら
「うわぁあぁぁあ!」
叫び声と共に風の様に現れたこなたに腕を捕まれ引っぱられるように教室から連れ出される
熱のおかげで上手く動かない体で抵抗出来る訳もなく、何とか自分の鞄を手に引っ掛け、こなたにそのまま連れていかれた
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私は一人教室に取り残された
頭に浮かぶのは二人の友達
柊ちゃん凄い熱だったけど大丈夫かしら?
後からきた泉ちゃんがもの凄い勢いで引っ張ってったから大丈夫かな、と自己完結
私はもう一人の友達に事情を説明するためにも携帯電話を開いた
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
こなたに腕を牽かれ廊下を走る
体調のおかげで、いつもの下駄箱までが果てしなく遠く感じた
「はぁ…はぁ……」
「あっ!ごめん!!」
こなたは引っ張ってきた事に今さら気がついたかのような顔をして手を離した
走ったせいだろう、熱が上がり頭がぼーっとする
深呼吸して息を整えようとしてみたが、整う気配がないので構わずに口を開いた
「別に…良いけど、どうしたのよ?」
「いや~その、かがみは‥さっき峰岸さんと何してたの?」
峰岸?何でここで峰岸が出てくるのだろう?
そんな疑問を感じつつ先程までの自分を思い返してみるが、頭の回転が悪い為か所々で記憶があやふやになっている
たしかこんな感じで…
「……こうしてただけよ?」
こなたの頬に手を伸ばす、頬に触れた瞬間ビクッと体が反応した
そのまま顔を近づけ額をくっつける
当たった額から伝わる熱が気持ち良い、と思うと同時に自分の今の状態を思い出す
「かがみ様?貴女は一体全体何をなさっていられるのですか?」
「何って…アンタがしろって言ったんじゃない」
こなたの去っていく熱を名残惜しいと思ったが、そのせいでこの小さな親友に風邪を移したくはないので、ゆっくり額を離し、靴を履き替えると同時に不自然ではない位の距離をとる
一方のこなたはというと気の抜けた表情をしていた
「かがみは峰岸さんとキスしてなかったってこと?」
「……逆に何で、私と峰岸がキス‥しなくちゃ、いけないのよ?」
質問の意図が判らない、何でこなたがこんなことを言い出すのかが判らない
熱でぼーっとして考える事自体が面倒になってきたが、自分をここまで引っ張って来たのにも理由があるはずだ
「結局…何の、用事だった‥のよ?」
「そうだった!今日みんなでカラオケ行くんだけど、かがみも行く?むしろ来い!!」
何でこういう日に限って誘いが多いのだろう?テスト最終日だからみんな遊びたいのか?というよりまた命令形?みんなでカラオケは楽しいだろうな、でも風邪は移したくないな……
「……ごめん、今日‥は、無理」
「え?」
私は何を考えているのだろう、思考がまとまらずに暴走している
急に頭痛が酷くなってきたので思わず頭に手を当てる
「今日……に…理なの?」
こなたの声が急に遠く聞こえた
頭痛は時間が経つに連れて増す一方で
「……うん」
返事を返すので精一杯
「何か…事?」
「……うん」
「……ま……………でも……た?」
「……うん」
もうこなたが何を言っているのかも解らなかった
聞こえてくる音に反応して相槌を打つのもそろそろ限界
自分の事で迷惑掛けたくなかったんだけどな…
気を抜くと倒れてしまいそうな体、熱で働かない頭
限界はもう直ぐそこまで迫っていて
「ごめ、…もう…無理」
重力に従い崩れ落ちる体、薄れてゆく意識、消えかけた視界が最後に捉えたのは、涙を浮かべながら無理に笑おうとしているこなただった
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- GJ!! -- 名無しさん (2023-06-23 22:10:18)
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