「white chocolate (2)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

white chocolate (2)」(2023/06/25 (日) 01:33:23) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

実は私、手紙を書いたんだ。 普段から思っていること、全部。 かがみに、伝えるために。 ―――――――――――――――――― white chocolate (2) ―――――――――――――――――― 信じられない。 信じたくない。 かがみはそんなことしない。 そう思っていたはずなのに。 かがみは、みさきちからチョコレートをもらっていた。 これは、つまり。 …わたしは、いらないんだ。 職員室で先生のお説教を終えた私は、かがみが行ったと思われる屋上に向かった。 屋上への、扉を開けた。 そこには、案の定、かがみがいて。 …なんで、かがみと一緒にみさきちがいるの? かがみの手にあるものを見て、私は愕然として。 …なんで、かがみはみさきちからチョコレートを受け取っているの? 世界が音をたてずに崩れ落ちていった。 全てが夢現であるかのように。 かがみは、なんでここにいるの、なんて言った。 …私がいたら、まずいんだね。 世界が音をたてずに闇へと変わっていった。全てを飲み込むかのように。 かがみが私に駆け寄ろうとした。 来ないで欲しかった。 今のかがみは、まるで…私の知らないかがみであるかのように感じられて。 私はかがみに、私からのチョコレートを投げてしまった。 思わず、やってしまった。 気がつくと、走っていた。 走って、走って、走りまくった。 苦しいなんて、思う前に。 息をするのなんて、忘れていた。 喉から血が出たかもしれないし、お腹が痛くなっていたかもしれない。 でも、そんなことはどうでもよかった。 私は、ただ、走りたかった。 きっとそれは、かがみから逃げるために。かがみと目すらあわせられなかった。 どれくらい、走ったのかな。 気がつくと、足がこれ以上動かないと訴えていた。 気がついたときにはすでに遅く、私は跪いた。 途端に心臓の爆音が私を支配する。 頭がガンガンして、吐き気すらした。 体は悲鳴をあげていたけれど、それ以上に心が痛いことに気づいた。 視界はぼやけた。 淋しい雫が、頬をつたっていることに気付いた。 「…か…がみ……」 言葉にならない言霊を、私は吐き出した。 …それは、ずっとずっと呼びたかった名前だった。 朝、一時限が始まった時から、呼びたかった名前だったんだ。 好きで好きで、どうしようもないくらいに好きだから。 たくさんたくさん、呼びたい名前だったんだ。 だけど、呼ぶことができなかった。 かがみが、とたんに遠くへ行ってしまった、そんな気がして。 私は、かがみを、失った。 私は地面のコンクリートに手をついていた。 そこは、冷たさが支配していた。 ごつごつとした、固い地面。 ひびが少し、はいっていて。 少しの間、そうしていた。 あたりは人っ子一人いない道だった。 よかった。 こんな姿見られたら、変な目で見られちゃう。 私は立ち上がって、痛む脚を引きずって、家を目指して歩き出した。 ◇ 呆然としてしまって。 こなたをすぐにでも追いたかった。 でも、体はなぜか動かなかった。 「…、柊…」 日下部が私を呼んだ。 我に帰る私。 日下部は、私の手にある日下部からの気持ちを取り上げた。 「…日下部…」 「…いいんだ。迷惑かけて、ごめんな…」 日下部は謝った。 「なんで、謝るのよ…日下部は別に、悪くなんてないのよ?」 「…ちびっこと柊を、傷つけた。わかってたんだよ。私がこんなことをしちゃ、まずいってこと。でも…わ、私だって…柊が…す、好きだ…から…」 日下部は、泣きながら。 「…私だって、幸せに…なりたかった…」 最後に、そう言った。 私は最低な奴だった。 日下部のことなんて、考えたことなかった。だけど、こんなにも苦しんでいたのに気付いてやれなかった。 気付いていたなら、今日、こんな形――日下部が泣くようなこと――にはならなかったかもしれないのに。 日下部をなだめようとした。 だけど、それは日下部によって止められた。 「…これ以上、優しく…しないで…」 …そう。 私には、日下部に優しくできない。 私には、こなたがいるから。 こなたと日下部、2人を傷つけてしまった。 「…日下部。私は…日下部からのそれは、やっぱり、受け取れない…」 私は、日下部には残酷な言葉を言わなければならなかった。 でもそれは、どう考えても、避けられないことで。 そう言うと、日下部は。 「…うん、知ってるから、大丈夫!」 笑顔で、言った。 切ない、笑顔だった。 今まで見たことのないくらい、切ない表情だった。 「早く…ちびっこ追いかけてあげろよなー?」 普段通りな口調だった。 でも、日下部の気持ちは、痛いほど滲んでいて。 私は、日下部に申し訳無い気持ちで一杯だった。 日下部は私に言った。 「ちびっこを、幸せにしてやってな…私のせいで、傷つけちゃったから。…約束、してくれないかな…」 …約束。 私が、こなたを幸せにすること。 「…うん。必ず、するよ…」 日下部と、約束した。 「…じゃあ、早く追いかけてあげて…?」 「…ごめんね…」 私はそう言うことしかできなくて。 最後に、 「…ありがとう…」 とだけ言って、屋上を後にした。 屋上から校内への扉を開けると、そこには峰岸がいて。 「…峰岸……私…」 「いいのよ、柊ちゃん。わかってる」 私は泣きたくなった。 でも、私は泣く資格なんてないんだ。 「日下部のとこに…行ってあげて」 「…うん」 私は峰岸にそうお願いして、走りだした。 こなたに、会うために。 階段を下る途中。 音はしなかったのだけれど。 確かに聞こえたんだ。 日下部の、泣き声が。 私は約束を果たさなければならない。 ◇ わたしは家に着くとすぐに部屋に入った。 入ったらすぐにベッドに倒れ込んだ。 布団の中で、声をあげずに泣いた。 涙が、止まらなかった。 今日は特別な日になるはずだったのに。 かがみを失ってしまった。 部屋に入って暫くして、お父さんが私を呼んだ。 私は誰にも会いたくなくて、無視をしてしまった。 ごめんなさい、お父さん。 何にもする気になれなかった。 何にも考える気にならなかった。 頭はぼんやりとしていて、体に力が入らなくて。 …眠い。 普段とは違った眠気が、私を襲った。 未来のない、眠気だった。 永久に寝てしまいそうな、曖昧な微睡み。 瞼は重く、私は知らない間に眠りについた。 ◇ いったい、どこにいっちゃったのよ。 学校のあたりを探し回ったけど、こなたはどこにもいなかった。 ただでさえ足の速いあいつが全力疾走すれば、追いつくことなんて無理だった。 捜し求めるのは、無謀だった。 だけど、日下部と約束したんだ。 こなたを幸せにするって。 それに。 恋人なら無謀とわかっていても、恋人の為にやらねばならない時がある。 自分の体力、知恵とかを、全てを費やしてやらねばならない時がある。 それは、きっと今なんだ。 今が、その時なんだ。 だから、探した。 探して探して、探し回った。 でも、どこにもいなくて。 こなたはもう、家に帰ったのかもしれない。 こなたの家まで行くのは、できなかった。 すぐにでも行きたかったけど、それは出来なかった。 私は携帯を取り出した。 勿論電話の相手はあいつ。 …でなかった。 そりゃそうか。私となんて、話したくないよね。 でも、もう一回かけた。 もしかしたら、出てくれるんじゃないかな…。 なんて、淡い希望を持ってみたけど…やっぱり、でなかった。 わかっていたけど、へこむ。 私は、メールを送ることにした。 ◇ まだ眠かったけれど、なぜか起きてしまって。 しばらく曖昧な境をさまよっていた。 ふと、携帯が私を呼んでいる気がした。 なぜだろう、そんな気がした。 携帯をみると、電話が2件、メールが4件入っていた。 …全部全部、かがみからだった。 メールは30分置きで、来ていた。全く気付かなかった。 メールを一つずつ、開けた。 1件目。『電話でたくないなら、それでいいよ。気にしないで。今、どこ?会って話がしたいんだ。』 話って…今日のこと、だよね? 2件目。『今、どこにいるの?会って、話がしたいよ。教えて、お願い。』 かがみは、一体どんな話がしたいの? ―――もしも、みさきちと付き合うなんて言い出したら――― 怖かった。 かがみの口からそんな言葉がでてくることが。 3件目。『お願い、返事をして。家にいるの?どこにいるの?お願い、教えて。こなたに、会いたいよ。』 私に、会いたい。 そう、書いてあった。 それは私を好きだから…? …私も、かがみに、会いたかった。 3件、メールを見ただけだった。 かがみに会いたくて、仕方なかった。 4件目。『こなたにお願い。私と会いたくないのは、仕方ないと思う。私はこなたを傷付けた。本当に、ごめんね。私、こなたをいつもの公園で待ってる。ずっと、待ってるから。気が向いたら、来て。』 …え?待ってるからって… 最後のメールが来た時間は、6時半。 今の時間は…8時ちょっと過ぎ。 …2時間も、あった。 私は何も考えずに、起き上がった。 起き上がったかと思うと、部屋を出ていた。 私は自分で判断する前に、かがみの待つ場所へ向かっていた。 もしかしたら、もういないかもしれない。 仮にまだ待っていても、別れ話かもしれない。 でも、私はかがみと会わなければいけなかった。 別れ話だったら嫌だけど、私もかがみと会いたかった。 かがみのもとへ向かう理由なんて、それで充分だった。 居間に一回顔を出した。 ゆーちゃんとお父さんがいた。 「…こなた、心配したぞ…!」 「心配かけてごめんなさい。……私、ちょっと出かける」 そう言うと、わかっていたとも、とか変なことを言った。 …何がわかっていたのさ?相変わらず変なことを言うお父さん。 私は急いで、玄関に行った。 「こなたお姉ちゃん…」 玄関で腰掛けて靴を履いていた。 すると、後ろでゆーちゃんの声がした。 振り返ると、ゆーちゃんは心配そうな瞳で私を見ていた。 「…頑張ってね…」 ゆーちゃんは変わらない瞳で私を見て言った。 …こんなに心配、してくれてたんだね。 ありがとう、ゆーちゃん。 「…行ってくるね。」 私はそう言って家を飛び出した。 ゆーちゃんの後押しは、私の走るスピードを速くした。 脚がまだ痛んだけれど、私は無視して精一杯速く走り出した。 待ってて、かがみ…! -[[white chocolate (3)]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)
実は私、手紙を書いたんだ。 普段から思っていること、全部。 かがみに、伝えるために。 ―――――――――――――――――― white chocolate (2) ―――――――――――――――――― 信じられない。 信じたくない。 かがみはそんなことしない。 そう思っていたはずなのに。 かがみは、みさきちからチョコレートをもらっていた。 これは、つまり。 …わたしは、いらないんだ。 職員室で先生のお説教を終えた私は、かがみが行ったと思われる屋上に向かった。 屋上への、扉を開けた。 そこには、案の定、かがみがいて。 …なんで、かがみと一緒にみさきちがいるの? かがみの手にあるものを見て、私は愕然として。 …なんで、かがみはみさきちからチョコレートを受け取っているの? 世界が音をたてずに崩れ落ちていった。 全てが夢現であるかのように。 かがみは、なんでここにいるの、なんて言った。 …私がいたら、まずいんだね。 世界が音をたてずに闇へと変わっていった。全てを飲み込むかのように。 かがみが私に駆け寄ろうとした。 来ないで欲しかった。 今のかがみは、まるで…私の知らないかがみであるかのように感じられて。 私はかがみに、私からのチョコレートを投げてしまった。 思わず、やってしまった。 気がつくと、走っていた。 走って、走って、走りまくった。 苦しいなんて、思う前に。 息をするのなんて、忘れていた。 喉から血が出たかもしれないし、お腹が痛くなっていたかもしれない。 でも、そんなことはどうでもよかった。 私は、ただ、走りたかった。 きっとそれは、かがみから逃げるために。かがみと目すらあわせられなかった。 どれくらい、走ったのかな。 気がつくと、足がこれ以上動かないと訴えていた。 気がついたときにはすでに遅く、私は跪いた。 途端に心臓の爆音が私を支配する。 頭がガンガンして、吐き気すらした。 体は悲鳴をあげていたけれど、それ以上に心が痛いことに気づいた。 視界はぼやけた。 淋しい雫が、頬をつたっていることに気付いた。 「…か…がみ……」 言葉にならない言霊を、私は吐き出した。 …それは、ずっとずっと呼びたかった名前だった。 朝、一時限が始まった時から、呼びたかった名前だったんだ。 好きで好きで、どうしようもないくらいに好きだから。 たくさんたくさん、呼びたい名前だったんだ。 だけど、呼ぶことができなかった。 かがみが、とたんに遠くへ行ってしまった、そんな気がして。 私は、かがみを、失った。 私は地面のコンクリートに手をついていた。 そこは、冷たさが支配していた。 ごつごつとした、固い地面。 ひびが少し、はいっていて。 少しの間、そうしていた。 あたりは人っ子一人いない道だった。 よかった。 こんな姿見られたら、変な目で見られちゃう。 私は立ち上がって、痛む脚を引きずって、家を目指して歩き出した。 ◇ 呆然としてしまって。 こなたをすぐにでも追いたかった。 でも、体はなぜか動かなかった。 「…、柊…」 日下部が私を呼んだ。 我に帰る私。 日下部は、私の手にある日下部からの気持ちを取り上げた。 「…日下部…」 「…いいんだ。迷惑かけて、ごめんな…」 日下部は謝った。 「なんで、謝るのよ…日下部は別に、悪くなんてないのよ?」 「…ちびっこと柊を、傷つけた。わかってたんだよ。私がこんなことをしちゃ、まずいってこと。でも…わ、私だって…柊が…す、好きだ…から…」 日下部は、泣きながら。 「…私だって、幸せに…なりたかった…」 最後に、そう言った。 私は最低な奴だった。 日下部のことなんて、考えたことなかった。だけど、こんなにも苦しんでいたのに気付いてやれなかった。 気付いていたなら、今日、こんな形――日下部が泣くようなこと――にはならなかったかもしれないのに。 日下部をなだめようとした。 だけど、それは日下部によって止められた。 「…これ以上、優しく…しないで…」 …そう。 私には、日下部に優しくできない。 私には、こなたがいるから。 こなたと日下部、2人を傷つけてしまった。 「…日下部。私は…日下部からのそれは、やっぱり、受け取れない…」 私は、日下部には残酷な言葉を言わなければならなかった。 でもそれは、どう考えても、避けられないことで。 そう言うと、日下部は。 「…うん、知ってるから、大丈夫!」 笑顔で、言った。 切ない、笑顔だった。 今まで見たことのないくらい、切ない表情だった。 「早く…ちびっこ追いかけてあげろよなー?」 普段通りな口調だった。 でも、日下部の気持ちは、痛いほど滲んでいて。 私は、日下部に申し訳無い気持ちで一杯だった。 日下部は私に言った。 「ちびっこを、幸せにしてやってな…私のせいで、傷つけちゃったから。…約束、してくれないかな…」 …約束。 私が、こなたを幸せにすること。 「…うん。必ず、するよ…」 日下部と、約束した。 「…じゃあ、早く追いかけてあげて…?」 「…ごめんね…」 私はそう言うことしかできなくて。 最後に、 「…ありがとう…」 とだけ言って、屋上を後にした。 屋上から校内への扉を開けると、そこには峰岸がいて。 「…峰岸……私…」 「いいのよ、柊ちゃん。わかってる」 私は泣きたくなった。 でも、私は泣く資格なんてないんだ。 「日下部のとこに…行ってあげて」 「…うん」 私は峰岸にそうお願いして、走りだした。 こなたに、会うために。 階段を下る途中。 音はしなかったのだけれど。 確かに聞こえたんだ。 日下部の、泣き声が。 私は約束を果たさなければならない。 ◇ わたしは家に着くとすぐに部屋に入った。 入ったらすぐにベッドに倒れ込んだ。 布団の中で、声をあげずに泣いた。 涙が、止まらなかった。 今日は特別な日になるはずだったのに。 かがみを失ってしまった。 部屋に入って暫くして、お父さんが私を呼んだ。 私は誰にも会いたくなくて、無視をしてしまった。 ごめんなさい、お父さん。 何にもする気になれなかった。 何にも考える気にならなかった。 頭はぼんやりとしていて、体に力が入らなくて。 …眠い。 普段とは違った眠気が、私を襲った。 未来のない、眠気だった。 永久に寝てしまいそうな、曖昧な微睡み。 瞼は重く、私は知らない間に眠りについた。 ◇ いったい、どこにいっちゃったのよ。 学校のあたりを探し回ったけど、こなたはどこにもいなかった。 ただでさえ足の速いあいつが全力疾走すれば、追いつくことなんて無理だった。 捜し求めるのは、無謀だった。 だけど、日下部と約束したんだ。 こなたを幸せにするって。 それに。 恋人なら無謀とわかっていても、恋人の為にやらねばならない時がある。 自分の体力、知恵とかを、全てを費やしてやらねばならない時がある。 それは、きっと今なんだ。 今が、その時なんだ。 だから、探した。 探して探して、探し回った。 でも、どこにもいなくて。 こなたはもう、家に帰ったのかもしれない。 こなたの家まで行くのは、できなかった。 すぐにでも行きたかったけど、それは出来なかった。 私は携帯を取り出した。 勿論電話の相手はあいつ。 …でなかった。 そりゃそうか。私となんて、話したくないよね。 でも、もう一回かけた。 もしかしたら、出てくれるんじゃないかな…。 なんて、淡い希望を持ってみたけど…やっぱり、でなかった。 わかっていたけど、へこむ。 私は、メールを送ることにした。 ◇ まだ眠かったけれど、なぜか起きてしまって。 しばらく曖昧な境をさまよっていた。 ふと、携帯が私を呼んでいる気がした。 なぜだろう、そんな気がした。 携帯をみると、電話が2件、メールが4件入っていた。 …全部全部、かがみからだった。 メールは30分置きで、来ていた。全く気付かなかった。 メールを一つずつ、開けた。 1件目。『電話でたくないなら、それでいいよ。気にしないで。今、どこ?会って話がしたいんだ。』 話って…今日のこと、だよね? 2件目。『今、どこにいるの?会って、話がしたいよ。教えて、お願い。』 かがみは、一体どんな話がしたいの? ―――もしも、みさきちと付き合うなんて言い出したら――― 怖かった。 かがみの口からそんな言葉がでてくることが。 3件目。『お願い、返事をして。家にいるの?どこにいるの?お願い、教えて。こなたに、会いたいよ。』 私に、会いたい。 そう、書いてあった。 それは私を好きだから…? …私も、かがみに、会いたかった。 3件、メールを見ただけだった。 かがみに会いたくて、仕方なかった。 4件目。『こなたにお願い。私と会いたくないのは、仕方ないと思う。私はこなたを傷付けた。本当に、ごめんね。私、こなたをいつもの公園で待ってる。ずっと、待ってるから。気が向いたら、来て。』 …え?待ってるからって… 最後のメールが来た時間は、6時半。 今の時間は…8時ちょっと過ぎ。 …2時間も、あった。 私は何も考えずに、起き上がった。 起き上がったかと思うと、部屋を出ていた。 私は自分で判断する前に、かがみの待つ場所へ向かっていた。 もしかしたら、もういないかもしれない。 仮にまだ待っていても、別れ話かもしれない。 でも、私はかがみと会わなければいけなかった。 別れ話だったら嫌だけど、私もかがみと会いたかった。 かがみのもとへ向かう理由なんて、それで充分だった。 居間に一回顔を出した。 ゆーちゃんとお父さんがいた。 「…こなた、心配したぞ…!」 「心配かけてごめんなさい。……私、ちょっと出かける」 そう言うと、わかっていたとも、とか変なことを言った。 …何がわかっていたのさ?相変わらず変なことを言うお父さん。 私は急いで、玄関に行った。 「こなたお姉ちゃん…」 玄関で腰掛けて靴を履いていた。 すると、後ろでゆーちゃんの声がした。 振り返ると、ゆーちゃんは心配そうな瞳で私を見ていた。 「…頑張ってね…」 ゆーちゃんは変わらない瞳で私を見て言った。 …こんなに心配、してくれてたんだね。 ありがとう、ゆーちゃん。 「…行ってくるね。」 私はそう言って家を飛び出した。 ゆーちゃんの後押しは、私の走るスピードを速くした。 脚がまだ痛んだけれど、私は無視して精一杯速く走り出した。 待ってて、かがみ…! -[[white chocolate (3)]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-25 01:33:23) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー