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告白した、あの日。 忘れもしない、あの日。 時が止まった、あの瞬間。 ずっとずっと、好きだった。 私の気持ちは、あの時から変わっていないよ。 変わるはずがないんだ。 多分、これから先も、ずっと。 ―――――――――――――――――― white chocolate (1) ―――――――――――――――――― 2月14日。それは、乙女による乙女の為の乙女の日。 私だって、一応女の子。 この日になると、色付く空気がたまらなくくすぐったくて。 朝起きれば青空だった。 澄んだ青で、私を見下ろしていた。 だけれど、雪はなんだか降りそうな気がした。 まだまだ寒い、今日この頃。 昨日、ゆーちゃんと一緒に作ったお菓子。それは、チョコレート。 ゆーちゃんはゆーちゃんで愛しの人に作ってて。 私も、まぁ、大好きなかがみの為に作った。実は作りたくて仕方がなかったのだチョコレート。 世界にただ一つの、オリジナル。 そう思えばなぜか愛しくみえるから不思議だよ。 言わば私の想いの分身。私の心の一部。 それが私の鞄に入れば、学校に行く準備は万端。 かがみは受け取ってくれるよね? ◇ 今日も変わらず学校へ行く。 毎日毎日変わらないのに、今日はどうしてか心がここにない、そんな気がして。 やっぱり今日が2月14日だからなのかな。 今は、いつもあいつと待ち合わせしている場所につく前の一時。 つかさと2人で歩いてる。 「今日は先に帰ってもらえる?」 つかさに言うと、 「うん、わかってるよ♪」 なんてご機嫌な様子で返してきて。 なんでそんなに機嫌いいわけ? 「だって、こなちゃんと放課後デートするんでしょ?2人がうまくいってると、私も嬉しくって♪」 うぅ…恥ずかしい。 デート、とか…しないわけじゃないけどさ、ねぇ。てゆうか、むしろデート以外のなにものでもないのだけれど、ストレートに言われると恥ずかしいわよ。 今日の放課後、私たちは2人だけで帰る約束をしていて。 昨日こなたに、2人きりで帰ろう、そう言われて。 理由なんて、聞くわけなくて。 そんな言葉は、必要なくて。 ただ、目と目が合わされば、それで充分だった。 ただ、手と手が触れあえば、それで充分だった。 多くの言葉は必要ない。 一緒にいるとき、はしゃぎあえて。 馬鹿みたいに笑いあえて。 少しだけいい雰囲気の時には、多くの言葉はいらない関係。 私はそれが、凄く嬉しくて。 だって、こなたに出会えたあの時から。ずっとずっと欲しかったから。 今のこの、関係がさ。 ◇ 私の好きな人と、私の親友が歩いてきた。 私が先に待ち合わせ場所に着いてるなんてあんまりないんだけど、今日は早く起きちゃったものだから。早めに家を出ちゃった。 「こなちゃん、おはよー」 「早いじゃない、珍しいわね」 私も2人に挨拶を返す。 私はかがみに目で合図した。 今日の放課後、大丈夫だよね? かがみも、私に合図した。 わかってるって、大丈夫よ。 私たちがそうしていると、つかさは何がなんだかわからなそうだった。 「さぁさ、学校へ行こう行こう!」 私はなんだか嬉しくなって、歩き出した。 「朝から元気だね、こなちゃん」 「ふふ、当たり前だよつかさ。だって今日は…乙女の日だからね!」 「全くあんたは…乙女の日って、何よ」 「いいの~?言っちゃっても」 「なによ。言ってみなさいよ」 「私とかがみが、激しく愛し合う日のこと「変なこと言うなー!」 全部言い切る前に遮られた。 「お姉ちゃんたち、進んでるんだね」 なんか納得してるつかさ。 かがみは顔真っ赤。 冗談がすぎたかな…? まぁ、実際に何回か、そうゆうことをしてたりするからこそ、かがみは顔が紅いのかな。 なんて、思い出したら私まで顔が熱くなってきた。 しまった、自爆しちゃったね。 「てゆうか、それのどこが乙女なのよ。むしろなんだか乙女から遠ざかってるじゃない!」 「そう~?でもあの時のかがみは乙女ちっくだったから…って、痛いよかがみ~…」 軽く口をつねられた。うぅ~。 ◇ 学校に着いた。 なんだかやっぱり、今日は雰囲気が桃色だ。 みんな意識、してるんだな…。 上履きを出そうと、げた箱をあけると――― とあるモノを、見つけてしまった。 手紙だった。 綺麗な字で、柊かがみ様、そう書かれていた封筒だった。 思考が停止した。 「かがみ、どうしたの?」 後ろからこなたに声をかけられて、我に帰る。 私はとっさにその手紙を隠してしまった。隠した理由はどこにもないように思えた。 こなたはそれに、気づかないようだった。 私がなんでもないよと言ったら、ふぅん、そう言っただけだった。 つかさとこなたと別れたあと。 トイレの個室に駆け込んで、手紙を読んだ。 *** 突然のお手紙、申し訳ございません。今日の放課後、屋上に来ていただけませんか。渡したいものがあります *** 差出人不明。 やっぱりこれって…ラブレター?まさか、ね。 いや、認めざるを得ない。 これは、紛れもないラブレターだ。 だって封筒をとめるのにハートのシールが使われているし。 それに、今日このタイミングで手紙を書くなんて、どう考えてもやっぱり、ね。 そんなことをしていたら、チャイムがなった。私は急いで、心ここにあらずのまま、クラスに戻った。 ◇ 1日の授業は、あっという間に流れた。 今は最後の時限だ。 これが終われば放課後だ。 早く放課後にならないかな。 早く放課後にならないかな。 そればかり、考えていた。 愛しのかがみに、早く会いたいよ。 「じゃあ泉、ここの答えはいくつだ?」 突然、先生に指名された。 …ヤバい。授業全く聞いてなかったから、わからない。 しかも教科書すらあけてない。 今、数学だっけ? …いいや、適当に言っちゃえ! 「3χです!」 「うん、正解だ」 え…いや、まさか。…当たっちゃった!言ってみるもんだねぇ。 「正解なんだ…が。なんで教科書すら開いてないのに答えがわかったんだ?」 …。 それは。うん。聞かないでほしかったなぁ。 …いいや、適当に言っちゃえ! 「そこに答えがあるからです!」 「アホか!泉、授業終わったら職員室来い!」 え゛…。…ヤバい。放課後はかがみと大切な約束があるのに。 授業が終わった。 つかさやみゆきさんに励まされた。ありがとね。 早めに先生のお説教すまして、早く幸せの時間を過ごさねば。 私は急いで先生のあとをついていった。 職員室からすぐにかがみのもとに向かえるように、鞄を持って。 私の心の一部は、鞄の中でひっそりと眠っていた。 職員室に入るときだった。 かがみが屋上への階段をあがるのが見えたんだ。 見た途端に、私の第六感は告げた。 ………まさか、ね…。 ◇ 放課後になった。 全然、頭に授業が入らなかった。 私はなんて言って断ろうか、考えていた。 おそらくは女子から、渡されるのはきっとチョコレートと告白の言葉。 今日というこの雰囲気に押されて言っちゃえ、って決心したんだと勝手に想像。 私はこなたと付き合っている以上、他の誰からも受け取るわけにはいかないし、受け取れるはずがない。 こなた以上の相手は現れるはずがないから。 私は確信していた。私が好きになれるのは、後にも先にもこなた一人だけだって。 私は、もう大切な人がいるので受け取れません、そう言って断ることにした。 屋上に出た。まだ、誰だか知らない相手は来ていなかった。 授業が終わってすぐに来たからかな。 こなたが待っているから、早く済ませたかった。誰かさんには申し訳無いけれども。 しばらくたった。長すぎる待ち時間。長く感じられただけで、多分5分はたっていないと思う。 時計をみて確認しようかな、なんて思ったときだった。 扉が、開いた。 それは、意外な相手だった。 日下部だった。 最初、私は日下部も誰かに用事があったのだと思った。 「日下部じゃない…あんたも、何か用事があるの?」 聞いて刹那、日下部の瞳を見て全てを悟った。 ――この人だ―― そう。手紙の差出人は、日下部だった。 「日下部が…手紙の差出人?」 一応確認したら。 「うん…」 ただ、それだけ。 日下部は鞄から、綺麗に包装されたもの――恐らくチョコレート――を取り出して、言った。 「柊…。ちびっこと、付き合っているのはわかってるんだ。だけど…私、もう耐えられないんだ…。自分の気持ちを、これ以上、おさえられないってゆうか…。う、うけとって貰えないかな…。」 私の思考は止まりかけた。 …日下部は、私を、好きなんだ。 びっくりしてしまった。 中学からずっと一緒だったのに、そんな素振りさえ見せなかったから。 「いつから…?」 疑問に思って、聞いてしまった。 「…柊がちびっこと付き合いだしてからかなー。なんかなー、柊が付き合ってるのをみて、こう、胸が切なくなって…」 いつもの喋り方だけれど、明らかに違う様子で言った。照れた表情だけれど、瞳は真剣だった。 本当に本当に好きなんだ、そう目が訴えていたから。 日下部の手は、震えていた。 日下部は、泣き出しそうだった。 やめてよ。泣かないでよ。 そんな悲しい表情はあんたには似合わないよ。 日下部は、手を滑らせて、日下部の想いの詰まった包装を落としそうになった。 私はとっさに、それを取った。 後ろで、屋上の扉が開く音がした。 振り向くと。 ――こなたがいた。 大きく瞳をあけて、そう、信じられない と、言うかのように。 「…なんで…こなたが…ここに?」 私はとっさに言った。 だってこなたは…私と帰るために、教室に、いやここ以外の場所にいるはずだったから。 「…なんでは…こっちのセリフだよ…」 こなたは下を向いた。 震えながら、言った。 「…か…かがみは…なんで…みさきちと…ここにいるの…?」 …こなたは、泣いていた。 私はその時わかった。 誤解、されている。 私が日下部となんらかの関係があると誤解している。 私は急いでこなたに駆け寄ろうとした。 「、来ないでっ!!!」 こなたは叫んだ。泣きながら。涙を、流しながら。 私は駆け寄ることができなかった。 こなたは手に持っていた鞄から、ラッピングされたものを出して、私に投げつけた。 乱暴に、私に投げつけた。 私はそれを受け取ることができなくて。 「…かがみの、うそつき…っ!!!」 こなたは泣きながら、そう、叫んで。 走り去ってしまった。 私はただ、呆然とそこに立ち尽くしてしまった。 -[[white chocolate (2)>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1081.html]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - おうふ…(--;) &br()まさかこなかがのSSでこんな修羅場が見られようとは…。 -- 名無しさん (2012-12-26 17:56:12) - 修羅場ktkr! -- 名無しさん (2009-12-26 10:06:06) - 氏の作品はどれも続きが気になって困る(いい意味で)。 &br()続編期待してます!! &br()頑張ってください! -- 名無しさん (2009-02-24 16:24:52) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)
告白した、あの日。 忘れもしない、あの日。 時が止まった、あの瞬間。 ずっとずっと、好きだった。 私の気持ちは、あの時から変わっていないよ。 変わるはずがないんだ。 多分、これから先も、ずっと。 ―――――――――――――――――― white chocolate (1) ―――――――――――――――――― 2月14日。それは、乙女による乙女の為の乙女の日。 私だって、一応女の子。 この日になると、色付く空気がたまらなくくすぐったくて。 朝起きれば青空だった。 澄んだ青で、私を見下ろしていた。 だけれど、雪はなんだか降りそうな気がした。 まだまだ寒い、今日この頃。 昨日、ゆーちゃんと一緒に作ったお菓子。それは、チョコレート。 ゆーちゃんはゆーちゃんで愛しの人に作ってて。 私も、まぁ、大好きなかがみの為に作った。実は作りたくて仕方がなかったのだチョコレート。 世界にただ一つの、オリジナル。 そう思えばなぜか愛しくみえるから不思議だよ。 言わば私の想いの分身。私の心の一部。 それが私の鞄に入れば、学校に行く準備は万端。 かがみは受け取ってくれるよね? ◇ 今日も変わらず学校へ行く。 毎日毎日変わらないのに、今日はどうしてか心がここにない、そんな気がして。 やっぱり今日が2月14日だからなのかな。 今は、いつもあいつと待ち合わせしている場所につく前の一時。 つかさと2人で歩いてる。 「今日は先に帰ってもらえる?」 つかさに言うと、 「うん、わかってるよ♪」 なんてご機嫌な様子で返してきて。 なんでそんなに機嫌いいわけ? 「だって、こなちゃんと放課後デートするんでしょ?2人がうまくいってると、私も嬉しくって♪」 うぅ…恥ずかしい。 デート、とか…しないわけじゃないけどさ、ねぇ。てゆうか、むしろデート以外のなにものでもないのだけれど、ストレートに言われると恥ずかしいわよ。 今日の放課後、私たちは2人だけで帰る約束をしていて。 昨日こなたに、2人きりで帰ろう、そう言われて。 理由なんて、聞くわけなくて。 そんな言葉は、必要なくて。 ただ、目と目が合わされば、それで充分だった。 ただ、手と手が触れあえば、それで充分だった。 多くの言葉は必要ない。 一緒にいるとき、はしゃぎあえて。 馬鹿みたいに笑いあえて。 少しだけいい雰囲気の時には、多くの言葉はいらない関係。 私はそれが、凄く嬉しくて。 だって、こなたに出会えたあの時から。ずっとずっと欲しかったから。 今のこの、関係がさ。 ◇ 私の好きな人と、私の親友が歩いてきた。 私が先に待ち合わせ場所に着いてるなんてあんまりないんだけど、今日は早く起きちゃったものだから。早めに家を出ちゃった。 「こなちゃん、おはよー」 「早いじゃない、珍しいわね」 私も2人に挨拶を返す。 私はかがみに目で合図した。 今日の放課後、大丈夫だよね? かがみも、私に合図した。 わかってるって、大丈夫よ。 私たちがそうしていると、つかさは何がなんだかわからなそうだった。 「さぁさ、学校へ行こう行こう!」 私はなんだか嬉しくなって、歩き出した。 「朝から元気だね、こなちゃん」 「ふふ、当たり前だよつかさ。だって今日は…乙女の日だからね!」 「全くあんたは…乙女の日って、何よ」 「いいの~?言っちゃっても」 「なによ。言ってみなさいよ」 「私とかがみが、激しく愛し合う日のこと「変なこと言うなー!」 全部言い切る前に遮られた。 「お姉ちゃんたち、進んでるんだね」 なんか納得してるつかさ。 かがみは顔真っ赤。 冗談がすぎたかな…? まぁ、実際に何回か、そうゆうことをしてたりするからこそ、かがみは顔が紅いのかな。 なんて、思い出したら私まで顔が熱くなってきた。 しまった、自爆しちゃったね。 「てゆうか、それのどこが乙女なのよ。むしろなんだか乙女から遠ざかってるじゃない!」 「そう~?でもあの時のかがみは乙女ちっくだったから…って、痛いよかがみ~…」 軽く口をつねられた。うぅ~。 ◇ 学校に着いた。 なんだかやっぱり、今日は雰囲気が桃色だ。 みんな意識、してるんだな…。 上履きを出そうと、げた箱をあけると――― とあるモノを、見つけてしまった。 手紙だった。 綺麗な字で、柊かがみ様、そう書かれていた封筒だった。 思考が停止した。 「かがみ、どうしたの?」 後ろからこなたに声をかけられて、我に帰る。 私はとっさにその手紙を隠してしまった。隠した理由はどこにもないように思えた。 こなたはそれに、気づかないようだった。 私がなんでもないよと言ったら、ふぅん、そう言っただけだった。 つかさとこなたと別れたあと。 トイレの個室に駆け込んで、手紙を読んだ。 *** 突然のお手紙、申し訳ございません。今日の放課後、屋上に来ていただけませんか。渡したいものがあります *** 差出人不明。 やっぱりこれって…ラブレター?まさか、ね。 いや、認めざるを得ない。 これは、紛れもないラブレターだ。 だって封筒をとめるのにハートのシールが使われているし。 それに、今日このタイミングで手紙を書くなんて、どう考えてもやっぱり、ね。 そんなことをしていたら、チャイムがなった。私は急いで、心ここにあらずのまま、クラスに戻った。 ◇ 1日の授業は、あっという間に流れた。 今は最後の時限だ。 これが終われば放課後だ。 早く放課後にならないかな。 早く放課後にならないかな。 そればかり、考えていた。 愛しのかがみに、早く会いたいよ。 「じゃあ泉、ここの答えはいくつだ?」 突然、先生に指名された。 …ヤバい。授業全く聞いてなかったから、わからない。 しかも教科書すらあけてない。 今、数学だっけ? …いいや、適当に言っちゃえ! 「3χです!」 「うん、正解だ」 え…いや、まさか。…当たっちゃった!言ってみるもんだねぇ。 「正解なんだ…が。なんで教科書すら開いてないのに答えがわかったんだ?」 …。 それは。うん。聞かないでほしかったなぁ。 …いいや、適当に言っちゃえ! 「そこに答えがあるからです!」 「アホか!泉、授業終わったら職員室来い!」 え゛…。…ヤバい。放課後はかがみと大切な約束があるのに。 授業が終わった。 つかさやみゆきさんに励まされた。ありがとね。 早めに先生のお説教すまして、早く幸せの時間を過ごさねば。 私は急いで先生のあとをついていった。 職員室からすぐにかがみのもとに向かえるように、鞄を持って。 私の心の一部は、鞄の中でひっそりと眠っていた。 職員室に入るときだった。 かがみが屋上への階段をあがるのが見えたんだ。 見た途端に、私の第六感は告げた。 ………まさか、ね…。 ◇ 放課後になった。 全然、頭に授業が入らなかった。 私はなんて言って断ろうか、考えていた。 おそらくは女子から、渡されるのはきっとチョコレートと告白の言葉。 今日というこの雰囲気に押されて言っちゃえ、って決心したんだと勝手に想像。 私はこなたと付き合っている以上、他の誰からも受け取るわけにはいかないし、受け取れるはずがない。 こなた以上の相手は現れるはずがないから。 私は確信していた。私が好きになれるのは、後にも先にもこなた一人だけだって。 私は、もう大切な人がいるので受け取れません、そう言って断ることにした。 屋上に出た。まだ、誰だか知らない相手は来ていなかった。 授業が終わってすぐに来たからかな。 こなたが待っているから、早く済ませたかった。誰かさんには申し訳無いけれども。 しばらくたった。長すぎる待ち時間。長く感じられただけで、多分5分はたっていないと思う。 時計をみて確認しようかな、なんて思ったときだった。 扉が、開いた。 それは、意外な相手だった。 日下部だった。 最初、私は日下部も誰かに用事があったのだと思った。 「日下部じゃない…あんたも、何か用事があるの?」 聞いて刹那、日下部の瞳を見て全てを悟った。 ――この人だ―― そう。手紙の差出人は、日下部だった。 「日下部が…手紙の差出人?」 一応確認したら。 「うん…」 ただ、それだけ。 日下部は鞄から、綺麗に包装されたもの――恐らくチョコレート――を取り出して、言った。 「柊…。ちびっこと、付き合っているのはわかってるんだ。だけど…私、もう耐えられないんだ…。自分の気持ちを、これ以上、おさえられないってゆうか…。う、うけとって貰えないかな…。」 私の思考は止まりかけた。 …日下部は、私を、好きなんだ。 びっくりしてしまった。 中学からずっと一緒だったのに、そんな素振りさえ見せなかったから。 「いつから…?」 疑問に思って、聞いてしまった。 「…柊がちびっこと付き合いだしてからかなー。なんかなー、柊が付き合ってるのをみて、こう、胸が切なくなって…」 いつもの喋り方だけれど、明らかに違う様子で言った。照れた表情だけれど、瞳は真剣だった。 本当に本当に好きなんだ、そう目が訴えていたから。 日下部の手は、震えていた。 日下部は、泣き出しそうだった。 やめてよ。泣かないでよ。 そんな悲しい表情はあんたには似合わないよ。 日下部は、手を滑らせて、日下部の想いの詰まった包装を落としそうになった。 私はとっさに、それを取った。 後ろで、屋上の扉が開く音がした。 振り向くと。 ――こなたがいた。 大きく瞳をあけて、そう、信じられない と、言うかのように。 「…なんで…こなたが…ここに?」 私はとっさに言った。 だってこなたは…私と帰るために、教室に、いやここ以外の場所にいるはずだったから。 「…なんでは…こっちのセリフだよ…」 こなたは下を向いた。 震えながら、言った。 「…か…かがみは…なんで…みさきちと…ここにいるの…?」 …こなたは、泣いていた。 私はその時わかった。 誤解、されている。 私が日下部となんらかの関係があると誤解している。 私は急いでこなたに駆け寄ろうとした。 「、来ないでっ!!!」 こなたは叫んだ。泣きながら。涙を、流しながら。 私は駆け寄ることができなかった。 こなたは手に持っていた鞄から、ラッピングされたものを出して、私に投げつけた。 乱暴に、私に投げつけた。 私はそれを受け取ることができなくて。 「…かがみの、うそつき…っ!!!」 こなたは泣きながら、そう、叫んで。 走り去ってしまった。 私はただ、呆然とそこに立ち尽くしてしまった。 -[[white chocolate (2)>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1081.html]] **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-24 16:10:59) - おうふ…(--;) &br()まさかこなかがのSSでこんな修羅場が見られようとは…。 -- 名無しさん (2012-12-26 17:56:12) - 修羅場ktkr! -- 名無しさん (2009-12-26 10:06:06) - 氏の作品はどれも続きが気になって困る(いい意味で)。 &br()続編期待してます!! &br()頑張ってください! -- 名無しさん (2009-02-24 16:24:52) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)

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