• リスト

機器分析化学

平成19年度 後期 生物環境科学科 担当者名:青野 求

テスト情報

講義毎の宿題になっていたプリントから。

例題と答え

プリントと、問題番号は略します。

次の(A),(B)の実験事実に基づいて、「水を構成している水素と酸素の質量の比が一定である」ということ、すなわち定比例の法則が水について成り立つことを示せ。

  • (A)水素1.20gを燃焼させたところ、水10.80gが生じた。
  • (B)酸化銅(Ⅱ)2.00gを加熱しながら水素を送って還元したところ、1.60gの銅と0.45gの水を得た。
 答え 
 (A)Hの原子量は1 Oの原子量は16 H2OのHとOの質量比は1:8
   H1.20g+O(1.20g×8)=H2O10.80g が成り立つ。
 (B)酸化銅(Ⅱ)2.00g-銅1.60g=酸素0.4g
   質量比が1:8なので 酸素0.4g÷8=水素0.05g
   酸素0.4g+水素0.05g=水0.45g  よって、定比例の法則が成り立つ。

機器分析の性質(長所、短所)について述べよ。

 答え 
    長所 ①選択性が高い ②迅速に分析できる ③分析感度が高い
       ④自動化・連続化されている ⑤標準物質の選択性が大きい
    短所 ①機器の価格、維持コストが高い ②絶対量が多く必要
       ③説明書が難しい

試料の性質と測定の目的によって機器分析の方法の種類を分類せよ。

 答え 
    ①元素を分離して測定する分離分析
    ②光を使って分析する光分析
    ③磁気を使って分析する電磁気分析
    ④電気を使って化学的に分析する電気化学分析
    ⑤その他            
    以上に分類される。

7800Åでは振動数はどのような値になるか。

 答え
   7800Å→7.8×10^-5
   (2.9979×10^10)÷(7.8×10^-5)
   =3.843×10^14 サイクル/秒

2000Å、3800Å、8000Åの光の波数はいくらか。

 答え
   2000Å=1÷(2.0×10^-5)=5.0×10^4cm^-1
   3800Å=1÷(3.8×10^-5)=2.6×10^4cm^-1
   8000Å=1÷(8.0×10^-5)=1.25×10^4cm^-1

電磁波の種類について説明せよ。

 答え
   電磁波は、宇宙線、γ(ガンマ)線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、
   テレビ・ラジオ波に分けられる。

対照溶液という言葉を説明せよ。


次の文章に誤りがあれば正しく書き直せ。

  • A.紫色の溶液は、紫色のひかりを吸収しているから紫色に見える。
  • B.着色溶液が光を吸収するとき、その呈色の強さ(光の反射される度合い)は溶質の濃度に比例する。これをランバートの法則という。
  • C.着色溶液が光を吸収するとき、その色調の強さ(光の屈折される度合い)は液層の厚さに比例する。これをベールの法則という。
  • D.赤色の光より短い波長の光を赤外線という。又、すみれ色の光より長い波長の光を紫外線という。
  • E.赤い光は、すみれ色の光よりも屈折率が大きい。
 答え
   -A.紫色の溶液は、緑色のひかりを吸収しているから紫色に見える。
   -B.着色溶液が光を吸収するとき、その呈色の強さ(光の反射される度合い)は溶質の濃度に比例する。これをベールの法則という。
   -C.着色溶液が光を吸収するとき、その色調の強さ(光の屈折される度合い)は液層の厚さに比例する。これをランバートの法則という。
   -D.赤色の光より長い波長の光を赤外線という。又、すみれ色の光より短い波長の光を紫外線という。
   -E.赤い光は、すみれ色の光よりも屈折率が小さい。

可視部の光は、どのような波長範囲を含んでいるか。又、紫、青緑、黄、燈、赤色の光の波長と余色の関係を述べよ。

 答え
   可視光の波長は380~800nmの範囲である。
可視光線 波長 余色
紫光 380~400nm 緑色
藍光 400~430nm 黄緑色
青光 435~480nm 黄色
緑光 500~560nm 赤紫色
黄光 580~595nm 青色
橙光 595~610nm 緑青色
赤光 610~750nm 青緑色

Lambert-Beerの法則について解説せよ。又、この法則から出発してE=2-logTを証明せよ。ただし、Eは吸光度、Tは透過パーセントである。

 答え
Lambert-Beerの法則はセルが厚くなったり、サンプルの濃度が濃くなると、透過度が指数関数的に減少するということである。 

0.0125mol/lのCuSO4Solutionを厚さ0.5cmのセルに入れ、470mμの光を当てたとき、その35%が透過した。この溶液の光に対する吸光度係数はいくらか。又、同じ条件で50%の光を吸収する硫酸銅溶液の濃度を求めよ。

 答え
   log(100/35)=ε×0.0125×0.5
   ε=72.95   ε=吸光係数
   log(100/50)=72.95×C×0.5
   C=8.25×10^-3 mol/l

8.57mg Mn/mlのKMnO4溶液を525mμで蒸留水をブランクとして測光したとき、T=21.6%であった。次に、上の溶液を透過率100%に合わせ、別の高濃度のKMnO4溶液を測定したところ、T=25.7%であった。高濃度溶液のMnはいくらか。

 答え
   log(100/21.6)=ε×8.57×L  L=セルの厚さ
   ε=0.078/L
   log(100/25.7)=0.078/L×C×L
   C=7.56mg/ml

蛍光光度計の原理を図示し、説明せよ。

 答え(図は省略します。)
(A)古い機械  光源から出た光は、一次フィルターを通り、無蛍光性吸収セルに一部の光は吸収される。残りの光が二次フィルターを通り受光部に到達し、指示部で測定される。
(B)新しい機械 光源から出た光は、EX側回折格子を通り無蛍光性吸収セルで一部の光は吸収される。残りの光がEM側回折格子を通り、検出器である光電子増倍管を通り、記録計で記録される。

蛍光定量の注意点を述べよ。

 答え
   ①不純物の影響が大きく誤差が起こりやすい。
   ②機械的な影響を受けやすい。
   ③十分低い濃度で測定する。

Flame photometryの原理を説明せよ。

 答え(図は省略します。)
サンプルを噴霧器で霧状にして噴霧し、低温フレームで燃焼し、そこで発生した光をモノクロメーターを通し、検出器である光電子増倍管で光電子の量を増やして、指示メータまたは記録計で求める。

Flame分析で各種濃度の標準カリウム溶液を調整し、測定した結果、次のようなデータを得た。 ある未知試料を二分し、その一方をそのまま測定したところ、メータの読みは21.3であった。他方に5ppmだけK濃度を増加させて測定したところ、メータの読みは28.7となった。この未知試料のK濃度を求めよ。

K(ppm) 0 5 10 15 20 25
メータの読み 0 9.2 18.2 27.3 36.8 45.8
 答え
   回帰式Y=1.83X  Y=メーターの読み x=濃度
   21.3=1.83x1 x1=11.64
   28.7=1.83x2 x2=10.68

Flame分析、原子吸光分析法の相違点について記せ。

 答え
フレーム分析 原始吸光分析
歴史的 古い方法 新しい方法
光源 白熱灯 ホローカソードランプ
フレーム 低温フレーム 高温フレーム
装置 学習型炎光分析器 学用(併設)分光光度計
原始吸光分析はフレーム分析に比べて励起エネルギーの高い重金属元素が高感度で分析できる。フレーム分析は発光を、原始吸光分析は吸光を、それぞれ利用している。

原子吸光分析では光源として中空陰極ランプ(Hollow Cathod lamp)が使用されなければならない理由を述べよ。又、中空陰極ランプについて説明せよ。

 答え
普通のモノクロメーターで単色光を測定すると、波長幅がとても大きく、分析されても感度が悪い。中空陰極ランプは短い波長幅の測定に適しているので用いられる。
中空陰極ランプとは、測定対象元素を含んでいる白金製の円筒形で、陽極が真空管の中に固定されている。中にはアルゴンガスが入っている。
中空陰極ランプは1種類の元素の共鳴線しか出さないので、試料目的元素が変るごとに中空陰極ランプを変える必要がある。

プラズマとは何か。説明せよ。

 答え
光源として用いる電離気体の放電によって生じた電子イオン、原子、分子を集合した集合体である。

ICP分析の原理について説明せよ。

 答え(図は省略。)
高周波発生部からのエネルギーは同調結合装置により完全にマッチングされ効率よく誘導コイルで取り囲まれたプラズマトーチに供給され磁場を発生させる。アルゴンガスがこの磁場を通過するときにイオンとなり高温のプラズマ炎を形成する。このプラズマ炎はドーナツ状の中空になっている。
溶液のサンプルは、ネブライザーによって霧化されて、別のアルゴンガス流に乗り、トーチの中心部からドーナツ状の中心部を通過する。このときに通過したサンプル中に含まれる測定元素が、高温プラズマによって励起され、放射エネルギーとなる。放射エネルギーは輝線スペクトルを出す。このスペクトルを分光器で分光し、検出器で測定する。

メチルエチルケトンCH3C(=O)CH2CH3定量用の検量線を作成するため、種々の濃度の溶液を調整した。おのおのの溶液で得られた吸光度Aの測定値は下記のとおりである。

濃度 吸光度
2% 0.18
4% 0.38
6% 0.52
8% 0.64
10% 0.74

赤外吸収スペクトルにおけるCO2分子とH2O分子の基準振動について考えろ

 答え
 H2Oは非直線型なので、 3N-6 で表せる。(Nは原子の数)
 よって、3×3-6=3  3個の形がある。
 CO2は直線型なので、  3N-5 で表せる。
 よって、3×3-5=4  4個の形がある。
 形は、省略・・・・。

指紋領域(Finger print region)について知るところを記せ。

 答え
 1300~900cm^-1の波長領域で、C、O、N、間の伸縮振動と水素との変角振動が交じり合う、独立した吸収帯である。ここで与えられる複雑な吸収パターンは分子固有のものである。
 化学構造が共通した原子団では、高周波帯と低周波帯の吸収パターンが似通っているが、指紋領域内では、明らかな相違を示すことが多い。

Polarographyにおいて用いられる滴下水銀電極(dropping mercury electrode)の特徴を述べよ。

 答え
 滴下水銀電極では、水銀が酸化されやすい為利用が制限されるが、半波電位が+0.2Vまでのヒドロキノン、ヒドロキシルアミン、アスコルビン酸などは明瞭な酸化波形を示す。

Polarogtaphyにおける電解液には、なぜ支持電解質を加えなければならないか。

 答え
 有機溶媒の電導性を上げ、測定しやすくするため。

極大波について知るところを述べよ。


ガスクロマトグラフィーにおける保持時間、保持容量、相対保持時間、相対保持容量を簡単に説明せよ。

 答え
 試料導入からピーク最高点までの時間をその成分の保持時間という。
 成分がカラムを通過するのに要するキャリヤーガスの体積を保持容量という。

ガスクロマトグラフ法において、キヤリャーガスの流量50ml/min、記録紙の送り速度は4cm/minであった。いま、ある成分の資料を注入すると、その注入点から成分のピークまでの記録紙面での長さは128mmであった。この成分の保持容量はいくらか。

 答え
 128/40=3.2  (40=4cm)
 3.2×50=160   保持容量は160である。

新薬開発の手順

 答え
 1呈色反応
 2吸収曲線の測定
 3吸収スペクトルの検討
 4目的成分の濃度の決定
 5PHの影響の調査
 6試薬添加順序の決定
 7濃度の影響の測定
 8湿度の影響の調査
 9経時変化、無色の安定性の確認
 10呈色錯体の組成の決定
 11妨害物質の決定
 12検量線と精度と正確度の確認


No.13のプリントって出るんですか?





  • NO3の表は出ないんじゃない?メモしてないよ。 -- 名無しさん (2008-01-17 09:30:28)
  • 間違いがあったら直しておいてくださいな。
    -- の (2008-01-27 17:34:43)
  • 参考になったぜ兄弟!
    サンキューbbb -- 名無しさん (2008-01-30 01:56:52)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年01月30日 01:56