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やっぱりまき絵は優しすぎる。
人を気遣う暇などないはずなのに…
「いや、そんな事は今どうでもよくて…、つまり私が言いたい事は…、裕奈…独りで無理しないで。」
「!!」
え?それってどういう事?
「私ね、いつも裕奈を見てたんだ。でも裕奈って時々すごく寂しそうな顔してるよね。
そんな裕奈見てるの、私ね…嫌なんだ。」
「…」
「だからさ、少しは恐れないで私たちを…」

気がつけば私はまき絵を抱き締めていた。
目からは自然に涙が落ちていく。
「ごめん…、ごめんね。まき絵…。」
「ううん…。」
まき絵の体はとても柔らかかった。私の心の中の穴が満たされていく。
私は久しぶりに、人とまともに話をした。


「しかし、あなたが美砂サンを怒鳴りつけるとは思わなかったヨ。長谷川サン。」
「いや、別に私はあいつが嫌いなだけだ。」
誰もいない体育館の中。
千雨がバスケットボールをドリブルする音だけが体育館に響き渡る。
「まあ、そんな話はいい。今日は何をすればいい。」
千雨はバスケットボールを構えると、目の前にあるバスケットゴール目掛けて投げつけた。
ボールはゴールのカゴに当たり、地面に落ちる。

「これを探ってほしいネ。」
超は袖から一枚の写真を取り出すと、それを千雨に差し出した。
「フン…。」
千雨は写真を見ると、それを大事そうにポケットにしまい、さっさと体育館から出ていってしまった。
「…頼むよ。長谷川サン。」
超は先ほどまで弾んでいたバスケットボールを拾うと、選手並みの綺麗なフォームでボールを投げる。
ボールは綺麗に弧を描き、ストンとゴールのなかに吸い込まれていった。

チュンチュン
「裕奈…、そろそろ…。」
いつもと同じ朝。でも昨日とは違う。
…とても清々しい。
「アキラ…ごめんね。」
「え?」
「…よーし!早く朝ご飯食べて学校行こうか!」
「…うん。」
私は今、幸せだ。私の周りには大切な仲間がいるから…
私は正直、あのクラスが怖い。でも仲間がいれば…乗り越えられそうな気がして…
「キャアアアアアア!!」
「「!!」」
亜子の声…。まさか…まさか!
私はパジャマのまま部屋を飛び出し、隣りの部屋に駆けつけた。
ドン!ドン!
「亜子、亜子!どうしたの?開けて!」
私は必死だった。頭には、嫌な言葉ばかり浮かんでくる。
ガチャ
「亜子…」
「ま、まき絵が…」
『お、おはよう裕奈…。』
『独りで無理しないで。』
そんな…
まき絵は足を縛られ、天井に吊されていた。
おそらく死んではいない。問題なのは、足を縛っている縄。
「ね、ねえ…、あの縄って…。」
紅い色をした縄。縄の端にはプラスチックの棒が取り付けられている。
「昨日、円が借りてきた…。」
私はその場で崩れ落ちた。奴は私を逃がす気はないようだ。私は怒りとともに恐怖を覚えた。
せっかく私と関わったばかりにこんな目に…。

ごめん…まき絵…

まき絵は入院した。
命に別状はなかったが、念のためという医師の寛大な処置の結果だ。
私は…もうどうすればいいか分からない。
どうすれば…いいか…

ガチャ
「あ、裕奈。」
まき絵は満面の笑みで私を迎える。
「まき絵。見舞いに来たよ。」
それに釣られて私も出来る限り笑って見せた。
私は見舞いに買ってきたフルーツをテーブルの上に置くと、私はまき絵が寝ている隣りに座った。
「ねぇ…、まき絵。…ごめんね。」
「え?」
「私の…せいだよね。…私がいけないんだよね…。急に…まき絵と仲良くしたり…するから。」
私の目からいつの間に涙がポロポロと落ちていく。
「あいつらに…目をつけられて…。ごめんね。本当に…ごめんね。」
私はまき絵に謝る事しかできなかった。そしてまた元に戻そう。昨日の夢から覚めて…。

「私ね…。こんな事されるよりね…。裕奈と…仲良くできない事のが…辛いんだ。
え?
「たしかに裕奈と仲良くしたことで、こんな事になったのかもしれない…。けど…私、後悔してないよ。裕奈と仲良くできた事。だって私裕奈の事、大好きだから…。」
まき絵は涙を流しながら私に笑って見せた。
「まき絵…。」
手をつなごう。一生放さず手を握る。
例えどんな事があろうとも、私はこの手を放さない。絶対に…