MAGISTER NEGI MAGI from Hell

罪【はんにん】

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ネウロが言っている事…。つまり第一発見者である明日菜が最も犯人に近いことになる。
しかし…
「も、もしかしたらその穴はフェイクで、犯人が私に罪をなすり付けようと…。」
そう、所詮は推理。こう言われてしまえば、決定的な証拠がない限り明日菜を犯人にすることはできない。
「ど、どうよ。覆せるもんなら覆してみなさいよ!名誉棄損で訴えてやるからね。」
明日菜は勝ち誇った顔でネウロを見つめている。
「…右手どうなさったんですか?」
「え?」
明日菜の顔が一変する。
―あれ?明日菜さん、ケがなんてしてたっけ…?
気付かないのも無理はない。明日菜は右手の包帯に注意が行かぬ様、うまく右手を庇っていたのだ。
「あ、ああ、これ?これはちょっと体育の時、擦り剥いちゃって…。」
「ほう…。」
明日菜の様子が急におかしくなったのはネギと刹那も気付いていた。
そして二人は確信した。明日菜が犯人だと…
「すいませんが、包帯を取って、傷口を見せてくれませんか?」
「え?」
こうなるともう明日菜は逃げられない。王手だ。
恐らく、プラスチックパイプに傷をつけるほど、ピアノ線を引っ張ったのだ。糸が軽く手に食い込んで、肉が軽く切れてもおかしくない。

ストン

明日菜は膝をついてその場で崩れ落ちた。

次の瞬間
「い た だ き ます 」
なにかが…この場所から何かが喪失した様な気がした。
ついさっきまでこの空間を形成していた何かが、もう無いのだ。

「さすが先生、先生の言うとおり喋ったら…。」「…ですか…?」
「え?」
「なんでですか…、明日菜さん…。」
ネギの目から自然と涙が流れる。
ネギの目にはネウロはすでに見えていなかった。
ネギの目に映るのは、目の前で情けなくうなだれる明日菜だけ。
大切な人が大切な人を殺す…。子供には辛すぎる状況である。
「あんな奴、死んで当然よ…。」
―え?
「きっ、キサマァァァァァ!!!!」
ボコッ…
刹那の拳が明日菜の頬を陥没させる。
殴られた明日菜はたいして表情も変えず、口から流れた血を手で軽く拭き取り、そして今まで見せた事のない濁った目で刹那を睨み付ける。
「…なによ。なによ!何も知らないくせに!なんで私が悪いのよ…。」
何も知らない?私が悪い? エ?ナンノコトデスカ?
ネギの頭は混乱して、訳が分からなくなってしまっている。
たしかにこのかが死んで、クラス全体の不陰気が暗くなってしまったが、まさかこのかが死ぬ前にも…
「え…それはどういう意味…。」

「ひぃ!」
「「!?」」
「もう…、もういや…。怖い怖い怖い怖い怖いわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
明日菜はブツブツと呟くと、突然発狂したように悲鳴をあげ、部屋を出て行ってしまった。
「あ、明日菜さん!」
「追いましょう、ネギ先生!」
ネギと刹那も狂った明日菜を追っかけ、部屋を出て行ってしまった。

「全く、人間とはめんどくさい生き物だ。仲間がどんな悪党でも馴れ合う事をやめない…。」
一人残されたネウロは半開きになったドアを見つめ、軽い溜め息をついた。
「ところで…」
ネウロは振り返り、天井を見上げる。
「どこの馬の骨かは知らぬが、盗聴とはふ・と・い・や・ろ・う・だ!」
ネウロは机の上に転がっていたボールペンを手に取ると、天井に向かって思いっきり投げつけた。
バキッ!
「!!」
ボールペンは天井の壁を楽々貫いている。
すると、天井から突然、ドタドタと騒音が鳴り始め、しばらくするとその音も聞こえなくなっていった。
「うむ、どうやら逃げたらしい。人間の分際でなかなか面白い…」
ネウロは誰もいない部屋で気味の悪い笑顔を浮かべている。
天井からは真紅の液体がポタポタと垂れていた。

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