※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

……その日、茶々丸は頭に人形を乗せて登校してきた。
クラスの誰もが見慣れた人形だ。エヴァンジェリン所有の人形、『チャチャゼロ』である。
決してクラスの全員がその人形の本性を知っているわけでは無かったが……
それでも、今更その人形について突っ込みを入れる者は居なかった。
茶々丸の頭に載ってきたのは今日が始めてでもない。エヴァの頭の上に載っていた時もある。
順応性の高い3-Aの生徒たちは、すでにその光景を日常の中に組み込んでしまっていた。
「……しかし、何でお前も来るんだ。家で待ってればいいだろうに」
「ケケケ。家ニ居テモ暇ナンダヨ、御主人。マァ気ニスンナ」
主人であるエヴァンジェリンが睨み付けてくるが、ゼロは動じない。そもそも表情は変えようがないのだが。
一方、制服姿のままゼロを頭に載せている茶々丸も、無表情だ。
「先輩の従者」であるゼロが何の脈絡もなく言い出した、「俺モ学校ニ連レテ行ケヨ」という要求。
その求めに忠実に応え、素直に彼女を頭に載せ、そのまま日常生活を営んでいる。
「あら、教室で会うなんて珍しいわね。今日はアンタも授業?」
「ドウデモイイダロ。馴レ馴レシイゾ、ぱい○ん娘」
「なッ……! パイパ……ッ!」
「だめだぇ~、そーゆーこと言うたら~。黙ってればゼロちゃん可愛いのにー」
「ケケケッ」
ゼロがただの人形でないことを知る明日菜や木乃香も、軽くじゃれ合うだけ。
魔法使いの存在を公にしたくない彼女たちだ、それ以上深く突っ込んでくることもない。
そのまま、茶々丸と一緒に授業を受ける。茶々丸と一緒にクラスメイトを観察する。
丸1日、ゼロは3-Aを観察し続けて……そして、見つけた。
最初のターゲット候補。
「……イイ傷跡ダナ。出来タ時ハ、イッパイ血ィ出タンダローナ。
 1本2本増ヤシタラ、モット綺麗ニナルゼ。キャハッ♪」
それは、体育の授業の跡、クラスメイトが一斉に着替えている最中のこと。

すっかりクラスに慣れた「彼女」が、無防備に晒した背中。
その醜くも美しい傷跡に、ゼロは邪悪な笑いを隠せない――

 1st TARGET  →  出席番号05番 和泉亜子
次へ亜子編―第二話―