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「この先に用があるんだけど、通してほしいアル」

誰にも教えてないはずの場所に現れた一人の生徒、古菲。
現れたときから一触即発の状態、いつでも拳を出す準備は出来ている。
「ここから先は関係者以外立ち入り禁止なんだ、悪いけど引き取ってもらえるかな?」
瀬流彦は古菲を刺激しないように優しく話しかけたが。
「チャオがここに閉じ込められてるって聞いたアル…」
そのギラついた目は明らかに敵意むき出しで構えている。
「閉じ込められてるなんて人聞き悪いなぁ」
瀬流彦の顔は笑っているが、明らかに目つきがおかしい。

「退くアル!」
ドガァッ
強烈な回し蹴りが炸裂して瀬流彦は跳ね飛ばされた。
その隙を狙って一気に走って超が閉じ込められている牢屋に向かう。
すると―
「!」
背中に強い衝撃が走る、体が裂けそうな痛みに跳ね飛ばされた。
自分の意思とは関係なしに吹き飛ばされた。すると後ろから瀬流彦が魔法を使ってきたのだ。
手加減はしているが15の少女に向ける威力としては強すぎるほど、並の人間なら確実に病院送りの力だ。
それに辛うじて耐え切ることが出来たのは、古菲だからこそだろう。
「ぐぐ…」
「残念だよ、一体誰がそんな情報を教えたのかな?」
いつもの瀬流彦とは想像がつかないほどの表情、殺意が誰でも分かるような冷酷な目つき。
騒ぎを聞きつけて高畑、刀子、弐集院が駆けつける。



「今のことを忘れて引き返してくれるなら、危害を加えないよ」
高畑の言葉も古菲にとってはなめきった態度にしか見えない。
「そんなの無理アル…」
「そうか…残念だ」
無謀なのは承知の上、手負いの状態で4対1で勝つ可能性はかなり厳しい。
だが、酷いことをされてる超を黙って見過ごすなんて出来ない。
古菲は自分の持つすべての力を高畑らにぶつけた。


ギィィィィィィィ
「…ぅぅ……ぅ」
重たい扉が開かれ3日半ぶりに日の光を浴びた超。
手足を繋がれ身動きが取れない中、寒さに震え、飢え乾きに苦しんた超はかつてのふてぶてしさはなくなっていた。
裸に近いその体の温もりはほぼ皆無。
寒さ、飢え、渇き、先も見えない暗さと孤独から何度も死という言葉が頭を過ぎったことか…
だがこの理不尽な扱いを受けて自分の計画のすべてを吐くのは負けを認めるようなもの。
それだけは何が何でも認めない、認めたくない。いっそ舌を噛んで死のうかとも考えた。
しかしそれではこの苦しさから逃げていることになり、それもまた拒むことになった。
結局、超が出来るのは今の苦しさを耐え、チャンスを待って脱出することしかなかった。

「どうです、何か話す気になりました?」
「だ…誰が……」
今の超にはネギの愛くるしいその笑顔も鬼のように見えた。
自分が排出するところを見られた、あのときの顔にも似てとても憎たらしい。
だが3日以上放置され、食事も与えられてない満身創痍の体で太刀打ち出来るかというと無理だ。
寒さが体力を奪い、もう出る物も出なくなってしまった。
「汚いのでまた洗いますね」


また冷たい水を浴びせられる、寒さに震えていたその体からさらに体温が奪われていき超は息をするのも苦しそうだ。
わざと顔面を狙っているらしく息が続かずに水を飲み、久々に水を飲んだ喜びを感じる前にむせ返る。
「うっ!げぼっ…ごほっ、ごほ…ごぼぼ……」
ついにホースの水が顔面全体を覆うようにして浴びせられ息が出来ない。
体をひねっても暴れても手足を繋いでいる鎖はびくともしなかった。
「お腹も空いたでしょう、こんなものしかありませんけど」
そう言って超の口の中にホースを押し込んだ。
「む゛!むごぅぅぅぅぅっぅぅ!!!」
喉の奥にホースをねじ込まれ、冷たい水が胃を満たす。
空っぽの胃に冷たい水が遠慮なく流し込まれ、徐々に息とは別に苦しくなる。
水で膨れる胃が他の内臓を圧迫する、このままでは窒息する前に胃が破裂してしまう。
「うごぉぉおぉぉ…おぉぉぉ」
「何を言ってるのですか?全然分かりませんよ」
するとネギは超の口からホースを抜き取る。
「げはぁぁ!!げほっ…げほっ…ぅぅうえぇえぇぇぇ!!」
ホースが抜かれるや超はむせ返りながら水を吐いた。
気持ち悪い、空っぽの胃に冷たい水が並々と入ったことで異様な腹痛も伴った。

「苦しそうですね、僕も手伝いますよ」
するとネギはおもむろに超の腹に自分の足を乗せて、全体重を掛けた。
「がっ…やめ……う、うげぇぇぇぇぇ!」
強い圧迫にさらに水を吐き出す超。
「どうしました、飲んだ水はこれだけではないでしょう」
その場で何度もジャンプして超の腹を何度も踏みつけた。
「ごっ!ぐっ、が……ゴホッ!!」
超の口から何度も水が吐き出された、最後の方になると少し赤みがかかった鉄に匂いのする水を吐いていた。
「うぅぅぅ……」



苦しさと痛さで抵抗も出来ない。
天才と言われながら何て様だ。徐々に超のプライドにヒビが入り始めていた。
だがたとえ殺されても絶対に自分のことは話さない、それが超の抵抗だった。

すると奥から高畑がやってくる、その体は若干傷ついていた。
「タカミチ、どうしたのその体!?」
「いや何、ちょっと意外なことがあってね」
高畑は肩についたゴミを掃う。
「超君。君に特別ゲストだ」
「…?」
超が顔を上げる、すると高畑の後ろからこれまた傷ついた瀬流彦が何かを引きずってやって来た。
「君を助けようとしたようだが…一人ではやはり無謀だったようだね」
「全力を出した僕たちに敵うと思っていたのかな」
その手が超の目の前に投げ出される。

「……!そんな…古ーーーー!!」
そこには全裸でボロボロにされていた古菲だった。
服がないのは脱がされたわけではない。
全力でぶつかった先生らの力は凄まじく、しかも4人同時に来たのだから衣類など紙同然だった。
手足は折れ曲がり、半目で辛うじて胸が上下しているのを見てもかなり危険な状態だった。
「どうします?このままだとこの子は死んでしまいますよ」
「そんな、早く古を…古を――っ!」
悲痛な超の叫びを聞いて高畑はゆっくりと煙草の火をつけながら近寄る。
「ならば我々の質問にいくつか答えてもらおう、それなら彼女の命は保障しよう」
さっきどんなことがあっても抵抗し続けるという超の意思が揺らぐ。
「どうします超さん?」

担任のはずのネギと高畑の悪魔のような取引。自分のプライドか友人の命。
普段は冷静沈着な超が重く悩む。それを天秤に掛ける自分がもっと許せないほどに。
「…ヒュー、ヒュー……チャ…オ………」
息も絶え絶えな古菲が口から漏れた言葉を耳にして、顔を背ける超。
そしてきつく目を瞑り、絞るような声で言った。

「………約束ヨ。…だから古を…古をっ!」

その場で涙を流さなかったのは、超のほんの僅かな抵抗だった。