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小学校時代のハルナは、とても暗い人間だった。
いつも絵ばっか描いていて、クラスのみんなから嫌われていた。
・・・そして彼女は、いつのまにかいじめの対象になっていた。
筆箱や靴を隠されるなどは日常茶飯事。残った給食をいつも無理矢理食べさせられていた。
クラスメイトも「別にハルナならいい」「あいつなら助けなくてもいい」という雰囲気だった。
そしてハルナは、いつの間にか人を信用することが出来なくなってしまったのだ。
そして6年生のときの冬、ついにハルナの限界を超える「決定的な出来事」が起こった。
彼女はそれが原因で、校舎の3階の窓から飛び降りた・・・。
・・・いろいろな偶然が重なり、彼女は一命をとりとめた。だがそれで、彼女に対するいじめが公になった。
そして卒業を機に、彼女は転校することとなった。
だが彼女は、次の学校ではいじめに会う事のないよう、性格を変える気になっていた。
みんなに好かれている人を観察し、どんな風に振舞えばいいのかを考えた。
そして彼女は、今のような「明るい」性格になったのだ。
今の私は、昔の私とは違う・・・と彼女は考えていた。ついこの間までは・・・



そして現在、原稿を取られてからしばらくたった日のことである。

美砂「おい、ゴキブリ!」
ハルナ「・・・な・・・何?」
美砂「ジュース買ってきて。」
ハルナ「・・・」

これが現実であった。結局は何も変わっていないのである。

美砂「・・・何?嫌なの?」
ハルナ「わ・・・わかったわよ・・・。じゃあお金ちょうだい。」
美砂「は?お金?なんで?」
ハルナ「な・・・なんでって、飲み物買うのに決まって・・・」
美砂「何で私が払うのよ。さっさと行ってきなさい。休み時間が終わるわよ。」
ハルナ「・・・」

こんなことは、もはや日常的になっていた。

円「ねぇ美砂。もうちょっと抑えたほうがよくない?」
美砂「え?なんでよ?どーせあいつがチクるなんてことはないでしょ?」
円「でも、万が一バレちゃったら・・・」
美砂「大丈夫よ。バレたってあいつに無理やり「私はいじめられてたわけじゃない」とでも言わせればいいのよ。
   本人が言わない限り、証拠なんてどこにも無いんだから・・・。」
円「そ、そうかな~・・・。」


最近のハルナはもはや美砂の奴隷となっていた。ハルナが逆らえないのを良い事に、やりたい放題するのである。
あいさつ代わりに頭を殴ったり、髪を引っ張ったり、
授業の提出物があれば、ハルナにやらせるのはもはや当たり前となっていた。
小遣いが無くなればハルナの金を無理矢理とったこともあった。
挙句の果てには、「腹が立つことがあったから殴らせろ」と気の済むまで殴られたり、蹴られたりした。

ここまでやられても、ハルナはまだ黙っていた。しゃべる勇気が、彼女には無かった。

まわりも誰も気づかなかった。それは美砂のやるタイミングが上手かったからでもあり、
ハルナ自身、例えば誰かに身体のあざを見つけられても、「転んだだけだ」と何も言わなかったからでもある。

ところがある日、一人の生徒が彼女に話しかけてきた。

朝倉「ねぇハルナ」
ハルナ「ん?何?」
朝倉「ちょっと良い?二人で話したいことがあるの。」
ハルナ「う・・・うん。」
そう言うと、彼女達は1階の階段の裏に行った。
ここは通路からは死角になっていて、生徒達がよく内緒話をするときにつかうのである。



朝倉「ねぇハルナ。あんた最近、悩んでることとかない?」
ハルナ「・・・いや、特に無いよ・・・。」
朝倉「本当?私はあるように見えるけどなぁ?・・・例えば、美砂のことか。」
ハルナ「!! ・・・いや、別に・・・美砂とは何も無いよ?」
朝倉「・・・ハルナさぁ・・・前に、一人で初等部旧校舎の裏側へ行ったよね。」
ハルナ「!!!!」
朝倉「あの時、何しにあそこへ行ったの?あの時から、あんたの様子が変わった気がするんだよね・・・。」
ハルナ「べ、別になんでもないよ!どこへ行こうが私の勝手でしょ!!」
朝倉「・・・本当に、何にもなかったの?」
ハルナ「ええ!無かったわよ!」
朝倉「じゃあ、あんたが悩んでるように見えたのは、私の考えすぎ・・・ってことで良いのかな?」
ハルナ「そ、そうだよ!私は毎日、楽しく過ごしてるよ!」
朝倉「・・・そう。ゴメン、どうやら私の考えすぎだったみたいだね。じゃ、教室戻ろうか。」
ハルナ「う、うん。」

結局彼女は何も言わなかった。言えなかったのだ。
自分がいじめられてるだなんて、彼女は言うことが出来なかったのである。


朝倉「(・・・こりゃ、自分から先生や誰かに言うなんてこと、絶対しないだろうな・・・。
   少なくとも、ハルナの限界を越えるような、何か「決定的な出来事」でも無い限り、ずっと黙ってそうだ・・・。)」


――――何も言えないハルナと、何も言わない朝倉・・・彼女達は何を考えているのだろうか     つづく