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放課後、今日部活のないハルナは、いつものメンバーと雑談していた。
しかしその顔からは明らかに、今の彼女のトレードマーク、「明るさ」が消えていた。
のどか「・・・ねぇハルナ。何か悩み事とかあるの?」
ハルナ「はひぇ!?な、何で・・・?」
ゆえ「さっきからいつもと様子がおかしいですよ。ひょっとしてさっきの件をまだ気にしているのでは?」
ハルナ「い、嫌だな~。何言ってるの。パル様は今日も元気100%だよ!」
ゆえ「・・・そうですか?」

もちろん、彼女は例の「呼び出し」を気にしていたのだ。
初等部旧校舎は現在使われておらず、その回りには誰もいない・・・そのことが、彼女の不安をいっそう煽っていた。
だが彼女には、それを言うことができなかった。

・・・約束された時間が近づいてくると、彼女は二人と別れ、初等部旧校舎の裏へと向かった。
のどかとゆえの二人は、ちょうど図書館島の当番の日だったで、何の言い訳を考えることもなく、一人になれた。
ハルナは周りをキョロキョロ見ながら旧校舎裏へと向かった。誰にも自分がそこに向かっていることを悟られないために。
だが、一人だけ、ハルナの行動に気づいた人がいた。
ハルナがその人に見られていることに気づかなかったのは、その人がとても遠くから見ていたからであった。

朝倉「ん?あれは・・・ハルナ?」
新人報道部員である彼女はスクープを探すため、中等部校舎の屋上から双眼鏡で学園内を見回していた。その最中に、彼女はハルナを発見したのだ。
朝倉「・・・。」



旧校舎裏に行くと、そこには美砂と桜子がいた。木製の空き箱に腰を掛けている。
ハルナ「私を呼んだの・・・あんた達?」
美砂「そーだよ。さっきの体育の時間・・・私達はサボったけど、その時に落し物拾ってね。これきっと、あんたのじゃないかな~、って思ったのよ。」
そういうと、美砂は大きなビニール袋の中から、彼女の原稿を取り出した。
ハルナ「!! やっぱり・・・あんた達がやったの!?」
桜子「やったって、何を?」
ハルナ「とぼけないでよ!!あんた達・・・私の原稿盗んでここに呼び出し・・・」
美砂「盗んだぁ!!?冗談じゃないわよ。私達はあんたの「落し物」を親切に拾ってあげたのよ!?
   本当だったら私達にお礼を言うべきじゃない?なのにそれを「盗んだ」だなんて・・・。信じられない。」
ハルナ「だ・・・だって、私はそれをずっとカバンに入れてたはずよ!それがどっかに落ちてたわけないじゃない!」
美砂「しょうがないでしょ?落ちてたもんは落ちてたんだから。」
ハルナ「じゃ・・・じゃあなんで教室で渡さないで、わざわざこんなところに呼び出すの!?」
美砂「だって教室でこんなの渡したら、あんたがこういう趣味あるってみんなにバレちゃうじゃない?私達は、あんたのためを思ってここに呼び出したのよ。」
ハルナ「じゃ・・・じゃあ・・・じゃあ、なんで私のものだってわかったのよ!」
美砂「こんなキモイもん、あんた以外の誰のだって言うのよ。」
ハルナ「う・・・」
彼女はもう何も言えなかった。元々口喧嘩が苦手だというのもあるが、それよりも、美砂の威圧に完全に圧倒されていたのである。

美砂「・・・あんたさぁ、何なのその態度!せっかく人が色々親切にしてやったのに・・・。もう怒った。この原稿返してやんない。」
ハルナ「!! ちょっとまってよ!!それは本当に大切な物なのよ!それが無いと、私の友達も困るの!お願い、返して!」
美砂「こんなのがそんなに大事なの・・・?大体これ何に使うのよ・・・?」
ハルナ「そ、それは・・・その・・・今度の・・・コミケに出す・・・」

彼女はまだ中学1年生ながら、天才的な画力を持っていた。
まだ描く速さは遅いものの、その画力は、素人に見せたらプロと見分けがつかないほどで、コミケ参加者の間では有名になっていた。
ちなみに彼女の言った「友達」というのは、そのサークルの仲間であった。

美砂「は?コミケって・・・まさかアレ!?あのキモイやつらが集まる変なイベント!?」
ハルナ「!!」
美砂「あんた何、あんなのに参加するの?頭おかしいんじゃないの?」
ハルナ「・・・・・・」
美砂「別にいいじゃん?その友達に嫌われたって。どうせそいつらもキモイんでしょ?」
そのとき、ハルナの中の何かが限界を超えた。
彼女は許せなかったのだ。自分だけでなく、自分の趣味、友人、さらには同じ趣味をもつ者全てを侮辱したような美砂の発言が・・・。

ハルナはものすごい血相で、美砂のもとへと走り胸倉を力任せにつかんだ。
ハルナ「あ、あんた!!」
美砂「!!・・・なにすんよ!!」
そういうと彼女はなんのためらいも無く、右手で彼女の左頬を力いっぱいグーで殴った。ハルナは顔をおさえて、そのまま地面に崩れ落ちた。
ハルナ「い・・・た・・・」
美砂「フフ・・・そこまで返して欲しいの?・・・じゃあ、私の言うことを聞いてくれるんだったら・・・。」
ハルナ「え!ほ、本当?」
ハルナは激痛の走る左頬をおさえながら、美砂の返事を待った。
美砂「・・・よし、その場で三回回って、こんな風に両手を斜め上にあげて「変態フォー!!」って叫べば、考えてあげる。」
ハルナ「え・・・そんな・・・」
桜子「ちょww「フォー」って何よww」
美砂「私が考えた一発ギャグよ、一発ギャグ。芸人がやったらウケそうでしょ?さぁ、やるの?やらないの?」
ハルナ「わ・・・わかったわよ!やるわよ!」



そうすると彼女は、悔しさと恥ずかしさを顔に浮かべて、回り始めた。

・・・くるっ、くるっ、くるっ・・・
ハルナ「へ・・・へんたい・・・ふぉー・・・」
いざやってみると、この行為は想像を絶するほど恥ずかしく、屈辱だった。
桜子「ぐはっwwwキモwww」
美砂「ちょっと何それ!!あんたやる気あるの!?もっかい!!」
ハルナの表情はさらに険しくなった。一方、桜子は笑いすぎでさらに凄い表情になっていた。
ハルナ「・・・」
・・・くるっ、くるっ、くるっ・・・
ハルナ「変態・・・」
美砂「あ、ちょっと待って。ただ回るだけじゃ面白くないから、こう・・・バレリーナみたいに優雅に回ってよ。」
ハルナ「!!!」
美砂「何?なんか文句あるの?」
ハルナ「・・・わかったわよ・・・わかったわよ!!言うこと聞けばいいんでしょ!!」
彼女はもうヤケクソになっているようだ。
・・・くるりんっ、くるりんっ、くるりんっ・・・
ハルナ「変っ態フォォーーー!!!」
美砂「・・・(カチャカチャカチャ)・・・(カチャカチャ)・・・・・・あ、ゴメン。携帯いじってて見てなかった。もっかいやって。」
桜子「ちょwwwww美砂wwwwww」
・・・ハルナの手が震えた。遂に彼女の目に涙が浮かび上がってきた。一方、桜子は笑いすぎで涙が止まらなかった。
美砂「さっさとしてよ!私だって暇じゃないんだから!!」
そしてハルナは半べそ状態のまま、また回り始めた。
・・・くるりんっ、くるりんっ、くるりんっ・・・
ハルナ「変態フォぉ~~~!」
その声は、声がかれてしまったのか、あるいは涙が出てきたからなのか・・・、少し調子が狂っていた。

美砂「・・・まぁ、いっか。こんなもんで。」
ハルナ「え、じゃあ原稿は!」
美砂「う~ん、どうしようかな~・・・。」
ハルナ「ちょ・・・さっき返してくれるって・・・」
美砂「考える、って言ったのよ。あんた目が悪い上に耳も悪いのね・・・。」
・・・すると彼女は、悔しさを自分の中に押し殺し、美砂へ向かって土下座をした。
ハルナ「・・・お、お願い!返してよ!早くペン入れしないと・・・、締め切りが・・・。」
美砂は少しの間、何かを考えているようだった。
美砂「・・・わかったわ。はい。」
そういって美砂は、ハルナの原稿のうち、ペン入れが済ましていないものを彼女に投げつけた。
ハルナ「え・・・残りのやつは・・・」
美砂「あんたはペン入れがしたいんでしょ?逆に言えば、ペン入れを済ましてあるやるはいらないわけだ・・・。
   だから、これは人質代わりよ。これを返して欲しかったら、今後しばらく私の言うことを聞くことね。」
ハルナ「・・・そんな・・・。」
美砂「良い子にしたら、ちゃんと締め切りが近くなったら返してあげるわ。じゃあ、いいパシリになってね~。桜子行くわよ。」
桜子「うんwwwwわかったwwwwwうぇwwうぇwwww」
美砂「あんたまだ笑いのツボにはまってたの・・・」
そうして美砂は、笑いで震えが未だに止まらない桜子と一緒に帰っていった。

ハルナも桜子のように、しばらくその場で震えていた。だがもちろん、その理由は桜子とは違っていた。
ハルナ「・・・せっかく・・・新しい学校へ転校してきたのに・・・せっかく・・・今までと違う性格になれたのに・・・
    ・・・せっかく・・・友達もできて・・・楽しい学校生活送れると思ったのに・・・・・・私の何が悪いのよ・・・なんで・・・なんで私ばっかり・・・。」

彼女はもはや、左頬の痛みなど忘れていた。


――――ついに始まったハルナへのいじめ・・・だが次回、そんなハルナを見て、一人の生徒が立ち上がる!?     つづく