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「あと10週!!走れ!ぐず共!」
ゴリラが吠え続ける中。私たちは陽炎が見える炎天下のグラウンドを走らされていた。
その暑さと、先ほどの腹筋のダメージが疲労を増幅させる。
喉が渇いて死にそうだ。そんな私たちを横目に美味しそうにドリンクを飲み干す光井先輩。
「もうねーのかポカリ」とか言いながら後輩をパシらせている。
ふと向こうに目をやると、サッカー部の練習に参加している亜子の姿が見えた。
あちらも私に気づいたみたいだけど、今の私には挨拶を交わす余裕も無い。
というか、こんな姿を友人には見られたくなかった。
亜子の顔には「す、凄い汗。どんだけ走っとるんやバスケ部は・・・・(ゴクッ)」と書いてある。
もう何週走ったかわからなくなった頃。私は足の力が抜けてその場に倒れた。
後で聞いた話だとその時点ですでに何人か倒れていたらしいが、その時は私はなんとか立ち上がろうとしていた。
「オラァ倒れたらそこで許されると思ってんのか!最後までやりとげろ!」
案の定すぐに光井先輩の咎める声が飛んできた。自分はしょっちゅう試合中に倒れて退場になったくせによく言う・・・
その時、起き上がろうとする私の身体を急激に猛烈な吐き気を襲った。
トイレに行くどころか立ち上がる事もできないまま、私は胃の中のものをその場にぶちまけた。



「うごおおぉぉぉぉぇぇぇえええええ・・・」
自分自身が発する信じられない醜悪な声と悪臭を感じながら私は嘔吐を続ける。
他のバスケ部員をはじめ、亜子や大勢の生徒が部活動をしているグラウンドで。
周りのざわめきが聞こえる。嫌だ。こんな所で晒し者になってる。
「うわ・・・明石先生の娘さん吐いてるよ」
どこかからそんな声が聞こえた。
やめろ、お父さんは関係ない。
私はお父さんにまで恥をかかせたような気がして凄く自分が嫌になった。
優しくてカッコよくて生徒に人気がある、私の自慢のお父さんを他ならぬ私が原因で貶めたような気がした。
でも、覆水盆に帰らず。吐いた唾は飲めないというか、吐いたゲロは戻らないというか、もうどうしようもない。
その時、凄く嬉しそうな光井先輩の声が耳に入った。
「ぎゃははは!とうとう吐きやがったよコイツ!きたねー!えんがちょ、えんがちょ。
明石せんせーに言ってやろ。お前の父ちゃんでーべそ」
      • 私はブチ切れた。



「ゆ、ゆーなだいじょぶ・・・きゃっ!」
私を心配して駆け寄ってきた亜子の持っていたボールを無理矢理奪い取ると、私は光井の頭に向かってダンクをぶち込んだ。
「ぐえっ!」
光井は泡を噴いた・・・と思ったら頭を抑えながらもまだ元気に喋り続ける。
「は、はは・・・とうとう手出しやがったな!これでバスケ部もおしまいだ・・・・・ぐおっ!」
とりあえず光井を黙らすため私は追撃を加える。
「ほわちゃ、ほわちゃ、ほわちゃあ!」
とりあえず私は光井をぶっ倒す事だけは決めたので、自分でもよくわからない奇声を上げて彼女を殴り続けた。
「コラー!何やってんだそこ」
新田のヤツが騒ぎを聞いて駆けつけてなんか怒鳴ってるが知ったこっちゃない。
「どういう事だ説明しろ赤城!」
「あ、暑さ対策のため、炎天下で格闘をさせています」
ナイスフォロー、ゴリ先輩。

第一部 完 (第二部は多分永遠にない)