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「・・・何それ!イタズラにしては度が過ぎてるわよ!一体誰が・・・!」
もう隠し通す事ができなくなった木乃香から、一連の事情を聞き、怒りの声を上げる明日菜だったが
一緒に話を聞いていたネギは無言でただ表情を曇らせている。
(・・・・その話の通りだとすると、昨晩このかさんがアドレスの変更を伝えた人の中に犯人がいることに・・・
まさか僕のクラスにそんな酷い事をする人がいるなんて思いたくないけど・・・)
「このかも何でもっと早く相談してくれなかったのよ・・・」
「ごめん・・・」
「いや、別に謝る事じゃないけど・・・・」
それでも、木乃香は一人で抱えていた悩みを友人に話す事で少し落ち着きを取り戻したようだった。
「アスナ・・・ネギくんも、お願いや。この事せっちゃんには言わんといて」
この事を知れば刹那は心配を通り越し、激しく憤慨して何としても犯人を探し出そうとするだろう。
そして、その犯人が3-Aの誰かである可能性が高いとなると、クラス内でどんないざこざやトラブルが起こるかわからない。
自分が原因で刹那やクラスメイトにせずともよい不快な思いをさせるのは嫌なのだ。
木乃香の気持ちをそれとなく理解した二人は静かに頷く。
「・・・わかりました!僕が犯人を見つけて、絶対にこんな事は辞めさせますよ」
ネギは出来るだけ明るくそう言ったが、彼の胸中もまた複雑であった。



毎朝のバイト後に行っている刹那との稽古を今朝は休む事にする明日菜。
木乃香の一件が気に懸かり、集中できそうに無い上、刹那と二人きりでいると
うっかり口を滑らせ、木乃香との約束を破ってしまいそうな気がしたからだ。
その旨を刹那に伝える明日菜だったが、刹那からは予想外の答えが返ってくる。
「そうですね・・・私もお嬢様があの様な事でお悩みになられている時では、心配で修行にも身が入りません・・・」
「えっ・・・!刹那さんも知ってたの・・・!?」
驚き、咄嗟にそう言い返す明日菜に刹那がピクリと眉を動かした。
「・・・・・やはりお嬢様の身に何か起こっているのですね?」
一瞬意味が解らず呆けた明日菜だったが、ようやく『しまった』と口に手をやる。
「刹那さん・・・ひょっとしてカマかけた・・?」
「はい、失礼ですがそうさせてもらいました。お嬢様が何かに悩まれている事は感づいていましたし、
アスナさんも今朝は少し様子がおかしかったので」
「・・・・このかに刹那さんには言わないでって頼まれてたのよ・・・あぁ~私ってホント馬鹿」
「・・・・お嬢様が私に心配をかけまいとそう言って下さっている事は解っています。
でも、私は何かがあったという事はもう確信しているのですから、隠しても無駄ですよ。全部話してもらいます」
そう言われると明日菜はもう洗いざらいを喋るしかない。
そして、話を聞いた刹那は当然のごとく表情を歪め、激しい怒りを隠そうともしなかった。
(誰だ・・・?誰がそんなふざけたマネをしているんだ!?絶対に許せん。見つけ出してこの手で斬り捨ててやる!!)



その日の休み時間。刹那は木乃香の携帯を調べるため、彼女のカバンから携帯を抜き取った。
この様な真似は本位ではなかったが、直接見せて欲しいと言っても見せてはくれないだろうし、
明日菜が約束を破ったと思われてしまうかもしれない。
(失礼しますお嬢様・・・申し訳ありません)
心の中で木乃香に詫びながら、携帯を調べる刹那は、メールの受信履歴を見て、思わず息を呑む。
(酷い・・・!!なんだこれは・・・!?)
そこには何百と溜まった罵詈雑言の並んだメール。
これが無垢な木乃香の心をどれだけ傷つけたかと思うと刹那の怒りは、さらに激しく沸き溢れて来た。
(誰だ・・・・お嬢様に何の恨みがある・・・・・!!)
しかし、結局手掛かりと言える物は見つからない。
内容はあくまでもただの『死ね』『消えろ』などの羅列。送り主の特定には全く繋がらなかった。
送られてきたアドレスも一応いくつかメモしたがそれも意味はないだろう。
犯人を見つけ出すと意気込んだ刹那だが、早々に行き詰ってしまった。
(・・・工学研究会の者に頼めば逆探知ぐらいしてくれるか・・・?いや、駄目だ。そこに敵がいるかもしれない。
話を聞いた限り、クラスの者の可能性が一番高いんだ・・・)
木乃香に気づかれる前に携帯を元に戻し、刹那は自分の無力さにため息をつく。
だが、刹那にとって幸か不幸か、その日、犯人は新たなるきっかけを与えて来た。



剣道部の活動を休む事にし、昨日同様、木乃香と明日菜と三人で帰路に着く事にした刹那。
だが、三人が靴を履き替えようとした時、新たな事件が起こる。
「きゃああああっ!!」
靴箱を開けた途端、木乃香が悲鳴を上げた。
「このかどうしたの・・・っ!?嫌っ・・・・!」
靴箱を覗き込んだ明日菜が絶句する。
      • そこには首のない鳥の死体が入っていた。
「くっ・・・・なんと言う事を!!」
木乃香はその場に崩れ落ちて泣き出し、明日菜も畏怖と嫌悪に表情を歪める中、
刹那は木乃香の靴箱を覗き込み、他に何か異常が無いかを確かめる。
「うぅ・・・せっちゃん・・・」
「大丈夫です・・・他に何かされた様子はありません・・・アスナさん、お嬢様をお願いします」
「え、刹那さん・・・?」
「・・・私はこの鳥を埋葬してきます・・・」
明日菜にその場を一旦任せると、刹那は首の無い鳥を抱いて、校舎の外に出た。
あたりには騒ぎを聞きつけた野次馬が集まり、死骸を抱えた刹那に視線が注がれるが、
木乃香に向けられる注目が代わりに自分の方に集まってくれるならそれでかまわない。
「くそっ・・・・・惨い真似を・・・」
その鳥は街中ではお目にかかれないような白い鳩だった。
鳥の死体を調べてもやはり手掛かりらしいものは見つからない。首は強い力で無理矢理千切られたようである事と
死体にはまだわずかに温もりがあり、死んでからそれほど時間がたっていないであろう事ぐらいだ。
「さて・・・どこか土のある所に埋めてやらねば・・・・・」
刹那は鳥の亡骸を校内に生えている木の根元に埋め、近くの石で簡易な墓標を立てた。