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学生寮への帰り道。神楽坂明日菜、桜咲刹那、そして近衛木乃香の3人は並んで歩いていた。
「・・・お嬢様、最近顔色がすぐれないようですが、どこかお体の調子が悪いのですか・・・?」
「ん、そうかえ?別にいつもとかわらんよー」
「それならよろしいのですが・・」
「でも木乃香、最近少し元気ないんじゃない?・・・もしなんか悩んでる事あったら私たちに言ってよね」
「そないな事ないよー。うちは元気やって!」
3人のそんな会話が続いたその時。

ド~シラソ~ ソラソファミレミ~♪

突然着メロが鳴り、木乃香の携帯がメールの受信を告げた。
その音を聞いた途端、木乃香の身体は「ビクッ」と震え上がり硬直する。
「ははっ、驚きすぎだから」
明日菜が彼女のオーバーなリアクションを笑ったが、当人にとっては笑い事ではなかった。
木乃香は携帯の画面を恐る恐る覗き込み、その表情をさらに硬くする。
「誰から?最近やたら携帯覗いてるけど、まさか・・・・男!?」
「い・・異性の友人ですか(どんな男だ!?)」
「そ、そんなんやないって」
「じゃあなんで隠すのよ。ちょっと見せなさいって」
「い、いけません明日菜さん、これはお嬢様の個人的な・・・(いや、しかし確認しておく必要が・・・・ッ!!)」
「駄目や!駄目!」
急いで携帯をしまい。メールを二人に決して見せようとはしない木乃香。
そのメールは彼女の知らないアドレスから無題で送られており、本文にはひたすら
『コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス・・・ 』
の三文字が並んでいた。



木乃香の元にこの様なメールが送られて来たのは今回が初めてではない。
ニ週間程前から一日に何件も、見知らぬアドレスから同様の『死ね』『コロス』などの言葉が連呼されたメールが
携帯に送られて来る上、非通知からの無言電話も頻繁にかかってくる。
始めは誰かのつまらないイタズラで、暫くすれば収まると楽観的に考えていた木乃香だったが
無言電話も脅迫メールも止む気配はなく、それどころか日に日に増えていく一方であった。
非通知からの着信を拒否したので無言電話はようやくかかってこなくなったが、
メールのほうは受信を拒否してもすぐさま違うアドレスから大量のメールが届く。
木乃香は流石に気味が悪くなり、真剣に悩んだが、余計な心配をかけたくないと誰にも相談出来ずにいた。
特に本気で心配し、親身になってくれるだろう友人には逆に相談しにくいのだ。
(メアド変えるしかないね・・・・・ウチ、なんか人に嫌われるような事したんかなぁ・・)

その日の夜、携帯を持っているクラス全員に木乃香からのメールが届いた。

『近衛 木乃香どすえ。アドレスを変えましたえ。 (*゚ー゚)ノシ ヨロシュウナ』

「あいつメールでも京都弁なのか・・・どすえって・・・」
と、普段木乃香とメールのやり取りの無い長谷川千雨が独り言をもらす。

「ふぁ~、なんか今夜は久々によう眠れそうやな・・・・」
アドレスを変えたことで迷惑メールに悩まされる心配がなくなり、安堵の声を漏らす木乃香。
同室の明日菜とネギの朝は早いためもう眠りについているようだ。
木乃香も寝ようと布団に潜り込むんだその時。

ビイィ・・・ ビイィ・・・ ビイィ・・・



部屋に振動音が鳴り響く。木乃香の携帯だ。
昼間は回りの喧騒にかき消されるその音も、夜の静かな室内でははっきりと聞こえてくる。
「ん~?なんかまた携帯鳴ってるみたいよ~」
ベッドの上から明日菜の声。起こしてしまったようだ。
木乃香はあわてて半身を起こし、携帯に手を伸ばす。
「こんな夜中に誰や~・・・・・・・っっ!!」

『非通知着信』

「ひっ・・な、なんで。着信拒否・・したんに・・・!!」
木乃香は恐怖のあまり電話に出ることが出来ない。出なくても解る。あの無言電話だ。

ビイィ・・・ ビイィ・・・ ビイィ・・・

「どうしたの~木乃香?早く出なよ~」
彼女の携帯の振動はいつまでも止まらなかった。
「い・・・いやぁあ!!」
木乃香はたまらず携帯の電源を切り、床に放る。
「木乃香?どうかしたの・・・?」
「なんでもない・・・なんでもないえ・・・!!」
すでに、夢の世界に片足を突っ込んでいた明日菜はそれ以上追及する事はなく、すぐさま再び眠りについた。
一方、木乃香は布団の中で震え続け、中々眠る事が出来なかった。



翌朝、寝不足な目を擦りながら目覚める木乃香。
いつもは明日菜達につられて早起きするのだが今朝は既に7時半を回っていた。
ふと、床に目をやると、昨日電源を切り投げ捨てる様にした携帯が目に入り、昨晩の恐怖が蘇る。
それでも彼女は、携帯を手に取った。
いくら恐ろしくとも女子学生にとって携帯は必需品であり、電源を切ったままにはできない。
木乃香が電源のボタンを押すと、真っ暗だった画面に光が灯る。
「メール・・・来とるかな・・・」
アドレスを変え、迷惑メールを受信しないようになれば夜間にメールは殆ど来ないはずの木乃香であったが、
電源を切っていた間にもしかすると大事なメールが来ているかもしれないと、センターに問い合わせる。
そして暫し待った次の瞬間、木乃香は再び息を呑んだ。
「・・・・・・!!ひっっ・・・・・!!」

『 受信メール  78件 』

一晩で異常な数のメールが一方的に届いていた。・・・内容は確認するまでもない。
「な、なんで!なんでや!・・・変えたんに、メアド変えたんに!」
木乃香は恐怖にとうとうパニックに陥り泣き出した。
「木乃香~、いい加減起きた~!?」
それぞれ朝錬とバイトを終えたネギと明日菜が学校の準備の為に部屋に戻ってくると、そこには
身を縮め震えている木乃香の姿があった。