『残念。遊ばれてたね。』
美砂は変わってしまった。
美砂の眼には感情というものが籠っていない。
食事もロボットのように食パンをかじり牛乳を飲むの繰り返し。
なにを考えているのかもわからない。
一体何が彼女を変えてしまったのか。
そして事件は起こる…
美砂は変わってしまった。
美砂の眼には感情というものが籠っていない。
食事もロボットのように食パンをかじり牛乳を飲むの繰り返し。
なにを考えているのかもわからない。
一体何が彼女を変えてしまったのか。
そして事件は起こる…
「おはよ、美砂。」
静かに席に座っていた美砂に肩を叩いて声をかけたのは明日菜であった。
このとき明日菜は一瞬茶々丸と似た何かを感じたが、気のせいだと思いたいして考えることはしなかった。
美砂はうざったそうに明日菜の方を向いた。
「あんた、桜子と喧嘩でもしたの?今日も桜子私の部屋に泊まってきたけど。」
「別に…。」
「別にって事ないでしょ!一体何したのよ!」
「だから別にって言ってるでしょ!」
両手を机にたたき付け、明日菜を睨む美砂。
突然の事にクラス全員が目を丸くして二人を見ている。
「な、なによ!」
「あー!うざいっ!私は今、あんたと話す気分じゃないのよ!空気読め!この馬鹿女。」
普段ならば煽りを入れるクラスメートだが、美砂の変貌ぶりにさすがにそんな気分にはならなかった。
「うるさいわね!馬鹿は関係ないでしょ!『あんななんて彼氏に捨てられたくせに!』」
「え?」
静かに席に座っていた美砂に肩を叩いて声をかけたのは明日菜であった。
このとき明日菜は一瞬茶々丸と似た何かを感じたが、気のせいだと思いたいして考えることはしなかった。
美砂はうざったそうに明日菜の方を向いた。
「あんた、桜子と喧嘩でもしたの?今日も桜子私の部屋に泊まってきたけど。」
「別に…。」
「別にって事ないでしょ!一体何したのよ!」
「だから別にって言ってるでしょ!」
両手を机にたたき付け、明日菜を睨む美砂。
突然の事にクラス全員が目を丸くして二人を見ている。
「な、なによ!」
「あー!うざいっ!私は今、あんたと話す気分じゃないのよ!空気読め!この馬鹿女。」
普段ならば煽りを入れるクラスメートだが、美砂の変貌ぶりにさすがにそんな気分にはならなかった。
「うるさいわね!馬鹿は関係ないでしょ!『あんななんて彼氏に捨てられたくせに!』」
「え?」
明日菜の言葉に美砂の全ての機能が一瞬フリーズしてしまった。
何故そのことを知っているのかより、何故そんな事をここで言うのかが不思議だった。
『えー?美砂って捨てられたの?』
『可哀想…。』
『でも美砂って案外男を見る目ないね。』
美砂を笑う声と憐れむ声が同時に美砂の耳に入っていく。
『ハハハはは葉刃歯母羽派覇波HAha』
笑うクラスメートたち。
『捨てられたくせに偉そうな事言わないでよ。』
ニヤリと嫌な笑みを浮かべる明日菜。
「い…、いや…。」
『 捨 テ ラ レ タ 』
「いやぁぁぁぁぁ!!」
何故そのことを知っているのかより、何故そんな事をここで言うのかが不思議だった。
『えー?美砂って捨てられたの?』
『可哀想…。』
『でも美砂って案外男を見る目ないね。』
美砂を笑う声と憐れむ声が同時に美砂の耳に入っていく。
『ハハハはは葉刃歯母羽派覇波HAha』
笑うクラスメートたち。
『捨てられたくせに偉そうな事言わないでよ。』
ニヤリと嫌な笑みを浮かべる明日菜。
「い…、いや…。」
『 捨 テ ラ レ タ 』
「いやぁぁぁぁぁ!!」
突然悲鳴をあげる美砂。
「ちょっと…美砂。どうしたのよ!」
明日菜が心配そうに肩に手をかける。
「ちょっと美砂、ど「うるさい!」
明日菜の手を払い除ける美砂。
美砂の目にはもう、怒りしか見えていなかった。
「あ、ああああんたのせいだだだだぁぁぁ!」
美砂の拳が明日菜の顔に飛んでいく。
しかし、明日菜も黙って殴られるほど馬鹿ではない。
美砂の伸びる腕を逆に掴んで簡単に投げ飛ばしてしまった。
投げられた美砂は背中から机に飛び込んでいく。
「キャアアア!」
悲鳴があがり、明日菜はここでやり過ぎたことを反省した。
「ちょっと…美砂。どうしたのよ!」
明日菜が心配そうに肩に手をかける。
「ちょっと美砂、ど「うるさい!」
明日菜の手を払い除ける美砂。
美砂の目にはもう、怒りしか見えていなかった。
「あ、ああああんたのせいだだだだぁぁぁ!」
美砂の拳が明日菜の顔に飛んでいく。
しかし、明日菜も黙って殴られるほど馬鹿ではない。
美砂の伸びる腕を逆に掴んで簡単に投げ飛ばしてしまった。
投げられた美砂は背中から机に飛び込んでいく。
「キャアアア!」
悲鳴があがり、明日菜はここでやり過ぎたことを反省した。
「くそっ…くそくそくそくそくそぉぉぉぉ!」
フラフラになりながらもゆっくりと立ち上がり、明日菜を睨みつける美砂。
背中を強打したようで、上半身が曲がっている。
『捨テラレタ捨テラレタ。ハハハハハ』
美砂の頭には自分を見下して、嫌な笑みを浮かべている明日菜が立っている。
「消えろ…。」
手に握られている物に力が入る。
キエロキエロキエロキエロキエロォォォォォ!!
「アスナァァァァ!」
美砂が明日菜に向かって突進していく。
手には鋭い中華包丁が握られている。
言うまでもなく五月の包丁である。
おそらく美砂が机に激突したときに床に転がったのだろう。
「あ!私の包丁…」
五月が気付いた時には美砂はもう明日菜の懐に入っていた。
「アスナァァァァ!!」
クラスメートの叫び声とともに、包丁が風を斬る。
それを紙一重で躱した明日菜は美砂の首に手刀を打ち込む。
「うぐっ…。」
美砂はそのまま膝をついて気絶してしまった。
手からこぼれた包丁が嫌な金属音をたてて床に落ちた。
フラフラになりながらもゆっくりと立ち上がり、明日菜を睨みつける美砂。
背中を強打したようで、上半身が曲がっている。
『捨テラレタ捨テラレタ。ハハハハハ』
美砂の頭には自分を見下して、嫌な笑みを浮かべている明日菜が立っている。
「消えろ…。」
手に握られている物に力が入る。
キエロキエロキエロキエロキエロォォォォォ!!
「アスナァァァァ!」
美砂が明日菜に向かって突進していく。
手には鋭い中華包丁が握られている。
言うまでもなく五月の包丁である。
おそらく美砂が机に激突したときに床に転がったのだろう。
「あ!私の包丁…」
五月が気付いた時には美砂はもう明日菜の懐に入っていた。
「アスナァァァァ!!」
クラスメートの叫び声とともに、包丁が風を斬る。
それを紙一重で躱した明日菜は美砂の首に手刀を打ち込む。
「うぐっ…。」
美砂はそのまま膝をついて気絶してしまった。
手からこぼれた包丁が嫌な金属音をたてて床に落ちた。
「あ、明日菜、腕から血が…。」
木乃香の言う通り、明日菜の腕から血がピチャピチャと床にたれていた。
「ああ、こんなのたいした事ないよ。それより…」
木乃香の言う通り、明日菜の腕から血がピチャピチャと床にたれていた。
「ああ、こんなのたいした事ないよ。それより…」
クラスのほとんどが気絶している美砂を見ている。
美砂の変貌ぶりは異常であった。
悪く言えば麻薬中毒者のような…。
クラスのほとんどの生徒が美砂に少なからず気味の悪さを感じているだろう。
美砂の変貌ぶりは異常であった。
悪く言えば麻薬中毒者のような…。
クラスのほとんどの生徒が美砂に少なからず気味の悪さを感じているだろう。
「取りあえず美砂を保健室に連れて行って。あと散らかった机も片付けて。」
何を思ったか突然指揮をとり始める明日菜。
「え?明日菜は行かへんの?」
「私はいいよ。たいしたことないし。」
明日菜は持っていたポケットティッシュを傷口に押し当て、それをセロハンテープでぐるぐる巻きにして、倒れた机を直し始めた。
教室の隅では血を見た亜子が気絶してしまい、あーだこーだやっていたが、それはまた別の話。
何を思ったか突然指揮をとり始める明日菜。
「え?明日菜は行かへんの?」
「私はいいよ。たいしたことないし。」
明日菜は持っていたポケットティッシュを傷口に押し当て、それをセロハンテープでぐるぐる巻きにして、倒れた机を直し始めた。
教室の隅では血を見た亜子が気絶してしまい、あーだこーだやっていたが、それはまた別の話。
クラスを元の状態に戻し、授業はいつもどおり行われた。
美砂は結局顔を出す事はせず、ずっと保健室で寝ていたようだ。
五月は早退してしまった。
自分の包丁が明日菜を傷つけたことに責任を感じ、帰る直前まで明日菜に何度も頭を下げていた。
美砂は結局顔を出す事はせず、ずっと保健室で寝ていたようだ。
五月は早退してしまった。
自分の包丁が明日菜を傷つけたことに責任を感じ、帰る直前まで明日菜に何度も頭を下げていた。
「明日菜さん。少しお聞きしたいことが。」
昼休み、次の授業の準備をしていた明日菜にあやかが近付いていく。
しかし表情はどこか気まずそうだ。
「なに?いいんちょ。」
昼休み、次の授業の準備をしていた明日菜にあやかが近付いていく。
しかし表情はどこか気まずそうだ。
「なに?いいんちょ。」
「柿崎さんのことを…、その…ネギ先生におっしゃらなくて宜しいのですか?」
刃傷沙汰を起こしたのだから普通ならば当たり前である。
「うん…、いいよ。たいした怪我じゃないし…。」
それを明日菜は拒んだ。
明日菜が言わない理由は魔法が関与している可能性があるからである。
いくら嫌な事があったとしても、包丁を持って襲ってくるなんて異常である。
そして美砂に触れた時に感じた何か。
明日菜にとって見ればネギに言って解決するような簡単な事件ではないような気がしてならなかった。
それにわざわざネギに助けを求めるなんて明日菜のプライドが許さない。
「まぁ明日菜さんがそうおっしゃるなら…。」
あやかは少々不満げな表情を浮かべながらも、大人しく引いてくれた。
しかし美砂の気配には気付いていた明日菜でも、クラス全体の変化には気がついてはいない。
毒はすでにクラス中に回ってしまっていた。
刃傷沙汰を起こしたのだから普通ならば当たり前である。
「うん…、いいよ。たいした怪我じゃないし…。」
それを明日菜は拒んだ。
明日菜が言わない理由は魔法が関与している可能性があるからである。
いくら嫌な事があったとしても、包丁を持って襲ってくるなんて異常である。
そして美砂に触れた時に感じた何か。
明日菜にとって見ればネギに言って解決するような簡単な事件ではないような気がしてならなかった。
それにわざわざネギに助けを求めるなんて明日菜のプライドが許さない。
「まぁ明日菜さんがそうおっしゃるなら…。」
あやかは少々不満げな表情を浮かべながらも、大人しく引いてくれた。
しかし美砂の気配には気付いていた明日菜でも、クラス全体の変化には気がついてはいない。
毒はすでにクラス中に回ってしまっていた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
「少し…休憩しようか。」
窓からは夕焼けが差し込み、部屋全体が赤く染まる。
時計は午後の四時半をさしていた。
「そうですね…、お茶入れます。」
窓からは夕焼けが差し込み、部屋全体が赤く染まる。
時計は午後の四時半をさしていた。
「そうですね…、お茶入れます。」