MAGISTER NEGI MAGI from Hell

2部

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negiijime2

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3-Aのピラミッドが初めて下から5段目まで成功する。残るは鳴滝姉妹とエヴァだけだ。
「みなさん、どうです。やればできるんですよ!努力して出来ない事なんかありませんっ!!」
これは、新しい配置に変えた事で、今までより全体が安定したのが大きいのだが、ネギは純粋に
徐々にクラスの団結が強まった結果だと信じて疑わない。
心底嬉しそうな担任に対し、生徒達。とりわけ下から2段目中部のアスナといいんちょあたりは表情に余裕がない。
「うっ・・・・動かないでくださ・・・・痛い・・・・です・・・・わ」
「ぐええっ・・・・うごご・・・・うでが・・・・ぜぼねがおでる・・・!!」
彼女達にかかっている重みはすでに自重の倍を余裕で超えている。5段くらいまでのピラミッドなら
真ん中の人間の負担を減らすため、両サイドに体重を分化させる事も可能だが、今の少しでもバランスを崩せば
ぶっ壊れるピラミッドにそんな余裕はない。グラグラと揺れ、逆に瞬間的にかかる重みは、彼女達の3倍以上に達する時もあった。
「がんばってください!アスナさん、いいんちょさん、みんな!あと少しです。団結のパワーを見せるです!」
そもそも組体操のピラミッドは団結の象徴とするにはあまりにも不平等だ。参加している生徒の中で苦しんでいないものはいない。
それでも、その中で必ず「特に」苦しむ者が生まれるのがこの種目である。
一番体重のかかる位置の茶々丸こそ、彼女の性質上、表面に変化はないが、両サイドの楓と龍宮は珍しく表情に余裕がない。
人間外の体力をもつ彼女達をしてこの位置はなかなかにキツイのだ。
体格のせいで下段の中部に配置されたが、あくまで一般人の五月、アキラ、柿崎、桜子あたりに至ってはすでに顔色がヤバイ。
いつ、死人が出てもおかしくない状況だ。



そして、今まで出番がなく、ピラミッドが崩れるたび、目をそむけ、悲鳴に耳を塞いでいただけだった鳴滝姉妹が
いよいよ、途中まで完成したピラミッドに加わる。
両サイドから、クラスメイト達の階段を登っていく双子。そうして6段目に到達するが・・・・
「こ・・・・こわいよ~お姉ちゃん・・・」
「だ・・・・ダイジョブだよ・・・ひいっ!」
すでに、ピラミッドは姉妹の身長の倍の高さに達し、しかも非常に不安定な足場だ。
去年の5段ピラミッドの際、姉妹は二つのピラミッドのそれぞれ頂点を担当したのだが、それもかなり怖かった。
今回はそれよりさらに高く、さらに不安定だ。
5段目の真ん中のザジは職業柄(?)慣れているため安定しているが、
両サイドの二人は恐怖も相まってガタガタ震えているため、その足場はマリオのちくわブロックのようである。
それでもクラスメイトの『早くしろ』と言う無言の圧力が痛いほど伝わって来たため、
意を決して、最上段に乗る双子だったが・・・・・案の定バランスを崩した。
「「きゃーーーーっ!!」」
ドゴォォッ!!
約2メートル50センチの高さから双子は左右対称にスカイラブハリケーンに失敗したかのように体育館の床に叩きつけられた。
メメタァッ!!
それから1テンポ遅れて、5段目まで完成したピラミッドが潰れる。
普段なら、高所から落下した姉妹の身をクラスメイト達は安じただろうが、もはや今の彼女達にその余裕はない。
それどころか『ようやくここまで来たのに何やってんの?』『ずっと重みに耐えてる下の気も知らないで』
と不満を抱いている者すらいた。
ネギはこのピラミッドをきっかけにクラスの絆がより強まり「和」を深めるはずだと信じているが、
むしろピラミッドとともにクラスが崩壊しかけている事に気づいていない。



「うごごごご・・・・・!」
痛みと疲労に呻く少女達の中にさらに異質の苦悶の声を挙げる者がいた。
中枢にいたアスナである。不幸にも真下の茶々丸の身体と床に手が挟まれ、しかもその上から
多くのクラスメイト達の体重がかかったので、彼女は手の関節が増えてしまっていた。
まわりの少女達も、これには流石に心配したが同時にこう考える。
(アスナには気の毒だけどラッキー・・・こんな酷いケガ人出たら練習も、いやピラミッド自体中止っしょ)
そもそも、ここまで大きな怪我人が出なかった事が奇跡に近かったのだ。
しかし、ネギは一向に動じない。
「あ~、これはいけませんね。このかさん、治してあげてください」
「ほいな♪」
この短いやりとりの後、このかがアーティファクトを発動させて、すぐさまアスナの怪我を治してしまった。
3-Aの生徒一同唖然とする。
クラスの半数はこのかの魔法の存在すら知らなかったわけだが、もはやそんな事はどうでもいい。
問題はまだこの地獄が終らないという事実。
「ウチはこんな事でしか、役に立てんからなー。皆も怪我の心配はせんでええよー(はぁと)」
もうピラミッドには参加していないこのかが事もなげにそう言う。
(悪魔だ、こいつは悪魔に違いない)
刹那以外のクラスメイトの総意だった。しかしネギはなにやら感動している。
「これこそワンフォアオールの精神です。素晴らしいですね。さぁ、3-A、30人全員の力でやり遂げましょう」
このかが悪魔なら、彼の心は天使の様に清みきっていた。

疲労と絶望でうすれそうになる意識の中で超 鈴音はふと考えていた。
(あれ・・・?30人?おかしいアルね・・・なんで28人でピラミッド
作ってて余りが一人アルか・・・・?ああ、ネギ坊主の奴、自分も入れてるアルね
ホント、都合のいい時だけ、生徒と対等になりたがる・・・・
        • てめーは野次飛ばしてるだけで何もしてねーだろーが)

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