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10/20
今日は珍しく奴等は何もして来なかった。
やはり昨日の事が効いているのだろう
取りあえず今日は私の勝ちだ
それはそうと
最近、ハルナの様子がおかしい。
私と目が合うと、意識しているかのように目を逸らしてくる。
少し寂しいな
もし、私があいつらに勝ったら、また一緒にどこかへ遊びに行ったり



なんか暗くなっちゃった
また明日も木乃香やいいんちょうと仲良く出来ますように




「…すな、あすな…」
私はいつもこの瞬間が大嫌いだった。
一日で最も安心できる安眠の時間。
しかしそれをいつも決まった時間に妨げてくる少女がいる。
私は学校が嫌いだ。なんで私が辛い思いをして学校へ行かなくちゃならないのだろうと時々思う事がある。
いっそこの学園から消えて自由にお金を稼いで、結婚して、子供たちと幸せに暮らした方がどんなに楽か。
昨日までは…そう思ってた
私には仲間が出来た。私と一緒に戦ってくれる大切な仲間。

「あ!明日菜。やっと起きたん?早く仕度しないと遅刻するで。」

だからもう私は何も恐れる事はない。何も…

「私って弱いんだなぁ…。」
同時刻、早乙女ハルナはベットの上で横になりながら昨日起こった事件を頭の中で映画のように映しだしていた。
泣く明日菜。笑う柿崎達。叱責するいいんちょう。一緒に泣く木乃香。喚く美空を一蹴したのどか。
そしてそんな時に前に出る事が出来ず、ただ見ていただけのハルナ。

「ハァ…」
自分の情けなさに呆れてしまう。あののどかさえ前に出たのに…私だって明日菜の友達と呼べる存在であったはずだ。
なのに…
「ハァ…」
また溜め息をついてしまった。




「…なにやっているのですか、ハルナ。」
そんな情けないハルナを呆れて見ていた夕映。
明らかに夕映は引いている。
しかし普段なら反撃の言葉が出てきてもいいのだが、相手にするのが面倒臭かったのか無視してしまった。
夕映もそれ以上何も言ってはこない。
何故かは分からない。まぁ夕映なりに空気を読んでいるのだろうと思うのが妥当だろう。
…まあどうでもいい事だが


場所は変わり学校…
「さ~よちゃん。あれ?」
誰もいない朝の3ーAの教室。
そこには朝倉が独り言をブツブツと呟きながら教室をうろうろと徘徊していた。
「おっかしいな。最近全く姿表さない。」
彼女がしきりに口に出していた『さよ』というのは3ーAの生徒である。
といっても自縛霊なのだが…
どういう訳か朝倉だけに彼女の姿が見えるようになり、今ではすっかり友達になってしまったという訳だ。
しかしここ最近、朝倉はさよを目にする事は無くなってしまった。
何故かは分からない。別に怒らせるようなことをした覚えもない。
ならば成仏したのか。彼女は認めなかった。
突然、自分に何も言わずに消えるなんて事はありえない。そんなことは彼女自身が信じたくなかった。




だから彼女は必死になって探しているのだ。
彼女の大切な友達を…

「やあ、朝倉さん。朝からご苦労様だネ。」
突然入ってきた声に慌てて振り返ると、そこには超鈴音が立っていた。
「なんだ、超か。驚かせないでよ。」
「いやーすなまいネ、朝倉サン。許してほしいヨ。」
「い、いや、別に…」
まるで奥が読めない笑顔。麻帆良祭の時もそうだったが、はっきり言うと朝倉は正直超が苦手であった。
「あ、そうだ!忘れてたネ。朝倉サンに頼みがあるヨ。」
「え?」
超からの突然のお願い。しかし朝倉は知っていた。
超のお願いは大概ろくな事がない事を。
そしてもう一つ
顔は愛らしく笑っているが、目は全く笑っていない事を。


私は夏目漱石の『こころ』が大好きだ。
そういえば麻帆良祭の時に『こころ』を例えてネギ君に三角関係の説明をしたような…
いや、そんなことじゃなくて…
もしかしたら私とKは似ているのではないかと思ってしまう。
Kはお嬢さんが好きだと先生に告白するが、結局先生が先にお嬢さんと婚姻の話を決めてしまい、Kは自殺。
昨日の事を『こころ』で当てはめると明日菜がお嬢さん、木乃香といいんちょうとのどかが先生。そして私がK。




木乃香たち(先生)は明日菜を助け(婚姻の話を取り決め)、私(K)は前に出る事が出来ず、逃げた(自殺)。

一回、授業で『こころ』をやった時に、手を上げさせられたのを覚えている。
内容は『お嬢さんは先生とK、本当はどちらが好きか。』
私はどちらも好きではないに手を挙げたが、実際は先生が好きのほうが正解であった。
つまりKの恋は片思いで、先生の恋は両思いなのだ。
もしさっきの様に当てはめると、私は明日菜の事を友達と思っているが、私の事などなんとも思ってなくて…
独りぼっちなのは明日菜ではなく、実は私だったのだ。

「深く考えすぎです。」
「え?」
ガタガタと電車が揺れる。
私は電車の席にのどかと夕映に挟まれる形で座っていた。
夕映は私に一言だけそう言うと、後は何も話そうとはせず、電車の窓から映る景色を感情の籠っていない目で眺めていた