MAGISTER NEGI MAGI from Hell

狩り―ハンティング―

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「皆さん、明日は保健体育でコン○ームの付け方の実習をします。
 それでは皆さん、さようなら~」
ホームルームの時間、ネギの簡単な連絡が終わり、今日の日程は終了した。

「大河内、着替えるぞ、トイレへ行こう」龍宮の段取りが始まった。
「うん、わかった」すっと立ち上がり、龍宮に続く大河内。
龍宮が2人分の着替を持ってトイレへ向かう。その途中、宮崎に目でサインを送る。
目があった。確かに、宮崎はそれに答えた。

『いよいよ、始まる…』宮崎と綾瀬は、2人でいつも通り話をする振りをしながら
チア3人組の一挙一動に神経を集中させる。最初に喋ったのは柿崎だった。
「聞いた?明日○ンドームの付け方の実習だって」
「私達、コ○ドームをつける大会にでたら絶対チャンピオンだよね!?」
「はぁ?いつも生でヤッてる癖に何言ってんの?」
チア3人組の会話はいつも常識を逸脱している。
「ま、適当にやってりゃいいんじゃねえの?さ、ヲタ狩りに行こうか」
柿崎がそう言うと、椎名と釘宮は立ち上がり、3人で教室を後にした。柿崎がリーダー格らしい。
「つけるです…」綾瀬が立ち上がり、彼女達に張り付く。宮崎は綾瀬の脇を歩き、いつも通り会話しているよう見せ掛ける。
3人は今の所、尾行に気付いている様子はない。昇降口を降り、そのまま街へ向かった…


その頃、トイレの個室では、龍宮と大河内がダサいヲタファッションに着替えていた。
大河内は、上に色の失せたヨレヨレのデニムシャツを腕捲りして装備。下は膝に穴の開いたジャージ。
頭には赤いバンダナを巻き、牛乳の底のような厚い眼鏡をかけ、穴開き手袋をするというクラシックなスタイル。
龍宮は、前面にリアルなブタの顔がでっかくプリントされたミント色のTシャツを着ている。
そのTシャツの裾を、いやに丈の短いケミカルウォッシュのジーンズにタックインするというハイセンスな着こなし。
さらに釣りメーカーの帽子を被り、サングラスで目を隠す。勘違い度が高い、独創的な格好である。
これに、2人のワキガの香りがプラスされている。臭い&ダサい。まさに、ヲタクの中のヲタク。
「うむ、中々決まってる。これで、我々が誰だか分かるまい。何処から見ても、今風のヲタクだ」
冗談か本気かはわからない。龍宮のセンスは、常人には理解できないところがある。
「今時のヲタクでも、こんな格好しないよ。よくこんな服用意したね…どこで買ったの?」
大河内が疑問に思うのも陶然だ。あまりにも古臭く、ダサい服だった。
「買ったんじゃない、拾ったんだ、ゴミ捨て場から。…洗濯はしてある。心配するな」
大河内はそれを聞いた事を後悔した…制服をまとめた後、龍宮が宮崎に電話をする。

「……私だ。今、着替え終わった。奴等は何処にいる?…うん、うん…わかった。今からすぐに向かう。
 2人もそこへ入ってくれ。…いや、我々は別の席を取る。遠くの席で見張っててくれ」
龍宮が電話を切り、荷物をまとめ、トイレの個室から出て言った。
「奴等はここからそうそう遠く無い場所にあるファミレスに入ったそうだ。
 一旦予定を変更しなければならないな。まず、我々もそのファミレスに入る。
 その後、店の中でダサいヲタクがいる事を奴等にアピールし、わざと奴等に目を付けられる。
 そして、私達2人が店を去る。奴等が私達2人をつけてきたら成功だ。
 当初の予定通りに袋小路に誘い込み、方をつける」
「もしついて来なかったら?」大河内が何気なく聞いた。
「失敗した時の事は考えるな。自分の力を全て出し切れば必ず上手くいく」
そう言うと、龍宮は荷物をまとめ、ダッシュでトイレから出た。
『この服で、本当に外に出るの…?』大河内もそれに続いた。

校舎を出て、近くのファミレスへと急ぐ。その間中、彼女達は目を引いた。
何せ、2人とも背が高いし、髪が長い。しかも、臭い。
「キモッ!」「ねえ、あれ見た?」「マジありえねえ!」「なんかゴミ臭くね?」「浮浪者か!?」
すれ違う人々からの厳しい罵詈雑言が2人の耳に入る。
「…ねえ、なんか虚しいんだけど…」大河内が浮かない表情で弱音を吐いた。
「私も同感だ。この作戦、さっさと終わらせたい」龍宮も、自分の用意した服が異常だったと今になって自覚した。
そう言って、2人が更に走るスピードを上げる。信号を2つ超え、交差点を渡る。少し歩くとファミレスについた。
「ふぅ~、少し汗をかいてしまったな」龍宮がカードキャプターざくろのハンカチで汗を拭いた。
「髪も乱れたけど、仕方ないね」大河内も龍宮も、走ったせいで髪が乱れている。その髪を整えもせずに、ファミレスへと侵入した。

「いらっしゃいま…せ!お二人さまですか?」臭くて気持ち悪い人間2人に圧倒される店員。
『こいつら普通に臭ぇし!この黒人、どっから来たんだ?』
龍宮が黙ってうなずく。大河内はボーッとしたままだ。「そ、それではこちらへどうぞ」
引きつった表情の店員に案内された席は窓側だった。宮崎達、チア3人共にここからでは確認できない。
「…どうするの?どこに誰がいるかわからないよ…」大河内が厚い眼鏡の奥からきょろきょろ目を動かしている。
「私に任せておけ、今から、奴等の居場所を確認してくる」そう言うと、龍宮は突然立ち上がった。
「あ?トイレ何処だ?トイレ何処だ?あれトイレ何処だべ?
 何処にあるかな♪何処にあるかな♪ダダダダンダンダダダダ♪」
龍宮が一芝居うった。キチ○イの振りをして店内を走り回る。
『宮崎達は…壁の所か』
「ブーーーッ!」走っている龍宮を見て、紅茶を飲んでいた宮崎が吹き出した。
向かい合って座っていた綾瀬は、宮崎の砲撃をモロに喰らった。
「…のどか、私の顔、舐めてキレイにするです!」
むつくれる綾瀬。その命令には従わず、ただただ爆笑する宮崎。


龍宮は壁を曲がる。走って全部の席を把握するのは時間がかかる。思いきってジャンプし、席を把握する作戦に出た。
「ああああヤバい!ビッグな方漏れそうだよビッグな方!飛びます、飛びます!」
力一杯跳躍する。飛んだ時、奴等と目があった。『いたぞ、中央のテーブル!』
「ぽお?トイレここか。入りマ~ス!」トイレに消える龍宮。
先ほどの龍宮の行動を見た人々は彼女を恐れ、飯もロクに食わずに会計をすませた。
龍宮がトイレから戻った時、店内には3Aの生徒しか残っていなかった。

「今のアホ見たか?色黒で臭ぇガイキチ野郎をよォ!?」柿崎が柄の悪い口調で騒ぎ立てる。
「あぁ~見ちまった、見ちまった~目が腐れるかと思ったわ!」桜子の額に青筋が走っている。
「ありゃイッパツシメねェといけねぇよなぁ!?違うかゴラァ!?」円の瞳は吊り上がり、三白眼になっていた。
「おうよ、狩りの始まりじゃボケどもがぁあ!!!!」柿崎が叫ぶ。
チア3人が、またさきディルドーに変貌した瞬間であった。
『…奴等が本性を表したか…』
トイレからで来た龍宮が席へ戻る。麻帆良の除け者達は、ただならぬ殺気を感じていた…

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