MAGISTER NEGI MAGI from Hell

スタローンの二の腕

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全くどんだ災難である。いや、自業自得と言うべきか。
自らが思案した筋力増強計画『スタローンの二の腕』に従い、
猛烈に体を鍛えたのが祟ったようだ…と、龍宮は思った。
実際は、エヴァンジェリンの策にはめられてしまったのだが
今の彼女は考えを巡らす余裕もない。とにかく、自室に戻る事のみを考える。
しかし、早朝に悪夢にうなされ、飲まず食わずで20分かけてトイレへついた今の彼女に
もはや体力は残されていなかった。結局トイレから出る事が出来ず、眠りに落ちた…

龍宮が寝ている間、学校ではホームルームが始まろうとしていた。ネギは教室へ向かっている。
『今日も臭いのかな、麻帆良のヤマンバ(龍宮の蔑称)…』
その事を考えるだけで、彼の額には脂汗が流れた。今日もいつも通り麻帆良のヤマンバの体臭に耐えながら
教室に入り、おはようございますっ!と元気よく挨拶し、出席を取らなくてはならない。
『今日は欠席だったらいいのにな、ヤマンバ…』
教室まで、あと10メートル。ヤマンバの体臭は、教室の5メートル先から臭ってくる。
『逃げちゃダメだ、逃げち(ry』
自分の中の弱虫を押し退け、覚悟を決めたネギは、死刑台へ登る死刑囚のように、一歩一歩を踏み締め進んだ。
教室まであと8、7、6…5メートル。不思議と、あの臭いは感じない。
『もしや!?』駆け足で教室へ一気に入った。
「あっネギ君おはよー!今日は空気が美味しいね♪」
まき絵がいつものテンションで話し掛けてきた。
「ヤマンバが居ないだけで、今日は一日快適に過ごせそう」
口数が少なく、悪口が嫌いなアキラがニコニコして言った。そういえば彼女はヤマンバと隣り合っていたのだ。
「ヤマンバはやっぱり休みですね!あの人が居ないと、こんなに雰囲気が変わるんだなぁ…」
ネギが零した言葉に、茶々丸がその雰囲気の元凶について頼んでもいないのに報告を始める。
「龍宮真名の体臭は半径7メートルに伝わる強烈な悪臭を散布します
私のppmで感知したところあれと類似した臭いは糞小便納豆ワキガ酢ネギ先生のイカ臭いチ○ポ…」
「えー、ゴホン!茶々丸さん。静かにして下さい。出席を取ります」


ホームルームが終わった後、3年A組が談合を始めた。
「アイツのケータイにブラックメールしようよ、絶対面白いって!」
可愛い顔をして、サラッとキツい提案する朝倉。最近の女子中学生の考える事は恐ろしい。
「それ、やってみたい♪」「あっ、お姉ちゃん私も、私もやるうwww」
相手の気持ちを考えたことのない、軽率なDQN姉妹がそれに続く。
「私も、思いきりやってみたい。というか、ブッ殺したい、ブッ殺したい、ブッ殺したい…」
大河内アキラの潜在意識にあった狂気が表面化している。皆、彼女から少し離れた。

「と、ところでちうちゃんは?なんかいい方法ないかな?」
朝倉が慌てて長谷川に話題を振る。
「ん?ああ、あるよ」
冷静な返答だ。ネット上でライバルのサイトを潰しているだけはある。
その方法に葉加瀬、超が手を加えれば、一層厄介ないたずらプログラムが出来上がるだろう。
「なるほど。それじゃあ。いっちょやってやろうよ!あの臭いゴリラに」
いつにもましてイキイキしているハルナ。

「先日、あの女の部屋を覗いてみたんだがな…」
今まで輪に加わっていなかったエヴァンジェリンが、おもむろに語りだした。
「あの女の部屋には、オヤジ臭いビデオやら、ナイフ、機関銃があった上
机にコ○ドームが山のように積んであったぞ」
「えーっ!?じゃああいつ援交してんの?」
柿崎美砂が真っ先に反応した。
「バカ、あんな臭い肉魂と援交したがるオスなんていないわよ!」
釘宮が突っ込む。
「ホント、美砂ったら援交で金巻き上げることしか頭にないんだもんw」
「…あなたたち、何故コ○ドームと聞いただけで援交を連想するですか…」
夕映が怪訝そうな顔で3人を見つめている。
沈黙。触れてはいけないところに触れてしまった、が、すぐに一時間目のチャイムが鳴った。
「じゃあ、休み時間にブラックメール実行ね」
朝倉がそう言うと、皆いつも通り授業の準備を始めた…

ふっと、龍宮と目を覚ます。『しまった…学校に欠席の連絡を入れなくては』
相変わらず体は痛む。しかしそうも言ってはいられない。ナメクジの様に這いつくばって自室へ戻った。
時計を見ると、学校はもう休み時間に入ると言う時刻。孤独な殺し屋とした事が、とんでもない失態…
『ええい面倒臭い。今日はもう安静にしていよう』
彼女は一日グダグダと寝転がって過ごす事に決めた。

モーホー雑誌「りゅうじ」を読み、時折「ウホッ!」っと奇声をあげながらゴロゴロしていると
「ちゃぁ~~♪ちゃらりらりらりらぁ~♪」
と、携帯から男はつらいよのメインテーマが流れる。
久々の着信に、ビビる龍宮。もしや、誰かが心配してメールをくれたのか?
まさか、そんな事はないよねと思いつつ、携帯へ這いつくばる。
その顔は妙ににやけている。期待感を隠す事が出来ない。
さあ、誰かな?携帯をあけると、見知らぬアドレスからのメールだった。

差出人のアドレスはdekishisaseruzo@ookouchiとなっている。
『アキラからか…?なんだよ溺死させるぞって』意外な人物からのメールに戸惑う龍宮。
本文を開いてみた。それは日本語としてはおかしい内容だった。(詳しくは下記参照)

HEY!YO!おまえYO!臭いんだYO!暑い太陽の下!お前の腋の下!
まき散らしてる異臭 物凄い刺激臭 私水泳選手 それじゃまた来週! チェケラ!

『意味がわからんが、また来週か。心配してくれてるのかな?』
アキラの悪意あるリリックはすべて無視し、都合のいいところだけ読む。魔眼は伊達ではない。
「ちゃぁ~~♪ちゃら(ry  『おっ、またメールか?』 龍宮は急に来たメールにまた驚いた。

また知らないアドレスからだった。アドレスはenkou@sanningumiで、ぱっと見ただけでは見当がつかなかった。本文を見てみる。

金目当てで援交してるんでしょ?この不潔な売女。何人堕○したの?
いくらシルバーアクセやら服やらが欲しいからって、普通はそんなことは…

パタン!と携帯を閉じた。『間違いメールらしいな』 あっけなく無視されてしまった。
彼女達は龍宮を妄想的に悪者にし、ありもしない疑いをかけた上、勝手に話を進めているのだからしょうがない。
彼女達は不潔な自分自身を嫌い、必死に身を飾っているにすぎない。心理学で言う投影である。

「ちゃぁ~(ry 『またか…』 アドレスを見ないで、本文のみを見る。

お~o(⌒0⌒)oは~♪私達は15歳の双子の女子中学生してるのぉ~~~っ♪(#⌒〇⌒#)キャハ
うーんとー、私寅さんを語れる友がすっごくすっごく欲しくってー、\(⌒∇⌒)/ …

『ぽぽぽーーーっ!!!うっぜええええ!!!』 携帯をしまおうとすると「ちゃぁ(ry とまたメールが入った。
『なんだってこんなに変なメールが入るんだ!?私はぷりっとしたさぶちゃんのおしりが見たいのに!…』
いらつきながら本文を見る。アドレスなぞ気にかける風もない。

拙者はお主の事を本気で案じておる。あえてお主に諌言せねばならぬ。
しかし拙者はこのようなで諌言するのは好かぬ。今日の放課後、二人で会おうではないか。
午後5時に…

『時代劇なら功名○辻でしとけよ!ぬぺぺぺぬぺ…』
怒りが頂点に達する。「ぬぺぺぺぺ!!!」とシャウトしながら携帯を壁にぶん投げ、破壊した。
彼女はついに知性を有しているホモサピエンスの所行とは思えない行動に出てしまった…

「…やはり来ないか。周りのいたずらに耐えかねて携帯を破壊してしまったか…?」
これで、慈悲深い楓の作ったチャンスは無駄になってしまった。
悪臭は、知らず知らずに人を傷つけてゆく…

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