MAGISTER NEGI MAGI from Hell

聖なる空の下で

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夏だ-----ぎらぎらと、太陽が狂っている。
麻帆良学園内からは蝉の鳴き声が喧しい。
校舎中の生徒達も、毎年の事ながらその暑さには参っていた。
が、3年A組には、暑さよりも、さらに参ってしまうものがある。

それは、龍宮真名の体臭である。

彼女は足と腋から黒人特有の臭いを発する。おまけに背が高く、足も大きい。
臭くて誰も近寄らない。いや、近寄れない、と言った方が正確か。
もともとクラスメイト、読者からの好感度が低かった彼女はこの夏、本格的に嫌われ始めた。
金さえ貰えば何でもする汚い奴。プライベートでも付き合いが悪い、協調性の無い奴。
人に好かれる人物ではなかった。おまけに、背が高いので自然と相手を見下ろす形になってしまう。
そのためどうしても女らしからぬ威圧感が出てしまい、人に避けられる。

大きい体躯がコンプレックスになり、親しい友人も出来ず、息苦しい生活が続いた。
しだいに自意識過剰になり、見知らぬ人の「大きい」「におい」などの言葉に敏感に反応するようになった。
もはや、真名にとって他者とは苦痛を与えるものでしか無くなっていた。

学校から帰って来たら、即座にベッドに潜り込む。休日も何もせず寝ている。
何をするにしても覇気が無くなり、何処までも自堕落。成績はバカレンジャー以下になった。
辛すぎる現実に涙を零すも、それに気付く人間は何処にも居ない。

痩けた頬、艶の無い脂ぎった長髪、落ち窪んだ目。以前の面影は微塵も無い。
ある日、無意識に手首を切り刻んでいた。褐色の肌なので傷痕は目立たない。
その異様な容姿、傷。クラスメイト達も気付いてはいたが、あえて彼女に話し掛けようとはしなかった。
当然だ。彼女に優しい言葉なんかを掛けたら、
彼女はその言葉を疑い、決まりきった被害妄想に展開するに違いないのだから。


もはや彼女を慰めるのは、黒く、涙も血も流さない拳銃のみだった。
風に揺れる柳のように、ふわふわと拳銃に歩み寄り、骨っぽい指を引き金に絡めて…

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