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キーンコーンカーンコーン 学校中に始まりをつげる鐘の音が鳴り響き、数人の女生徒が体育着姿で校舎から勢いよく飛び出してきた。 女生徒たちは満面の笑みでグラウンドへ走っていく。 「空腹だ…」 そんなほのぼのとした様子を屋上からつまらなそうに見下しながら、男はそう呟いた。 「我輩が求めている最も複雑で、最も深遠で、最も美味な究極の謎。」 男はまるで神に祈りを捧げるがごとく両手を大きく開き、空を仰ぐ。 「それがここにはある。」 突然、強烈な風がグラウンドで運動をしている女生徒を襲う。 風は窓ガラスをガタガタと鳴らし、男の髪をなびかせる。 女生徒の甘い奇声が校舎に届いた時には、屋上に男の姿はなかった。 ---- キーンコーンカーンコーン 鐘の音が校舎に鳴り響くと同時に、教室にネギ・スプリングフィールドが入ってきた。 彼は教室に入って来るなり、いきなり小さな声で出席を取り始めた。 「…明石裕奈さん…。」 「…はい…。」 普段ならば出席をとる前に元気よく『みなさん、おはようごさいます!』なんて言っているはずなのだが、そのような素振りは微塵もない。 いや、おかしいのはネギだけではない。クラス全体に生気が全くかんじられない。 下を向いている生徒もいれば、死んだ魚のような目でネギをただ見つめている生徒もいる。 しばらく死にそうな声で生徒の名前を口に出していたが、ある所でその声はピシャリと止まった。 それに反応するかのように生徒達も一斉に後方にある空席に目を向けた。 机の上には一輪の菊の花が活けられた痩せた花瓶が寂しく置かれている。 そして生徒達の注目は教壇に立つネギに注がれた。 ネギは先ほどの死にそうな声よりももっと小さな声でこう呟いた。 「…近衛…このかさ…ん」 ---- 3ーA、出席番号13番、近衛このかはすでにこの世にはいない。 彼女は突然の事故でこの世を去ったのだ。 彼女の同居人であり、第一発見者でもある神楽坂明日菜の話によると、このかは上から落ちてきた荷物の下敷きになって絶命していたそうだ。 学園長は魔法の存在の露呈を避けるため、警察には通報せず、学園の防人である魔法先生や魔法生徒たちに捜査を依頼したが、結局事故以外の結論は出てこなかった。 3ーAの生徒達もあの事件以来、だれも寄り付かなくなるほど、暗い空気が流れている。 ---- 担任であるネギは自分のせいでこのかを殺したと自分を責め続け、ついには自殺未遂まで起こしてしまう。 このかの死によって3ーAすべてが狂ってしまったのだ。 「はぁ…」 ネギは誰もいない部屋の中で1人でこのかの遺影を眺めている。 実はここの所、ネギは学校から帰って来るなりずっとこのかの遺影を眺めているのだ。 遺影の中のこのかは生き生きとしていて、もしかしたらまだ生きているんじゃないかと思わせてしまう。 しかし、ふと我に帰るとそこには寂しい部屋にぽつんと置かれたこのかの遺影。 この時、ネギは改めてこのかの死を受け入れるのだった。 「あれ?もう9時ですか…。」 周りをよく見ると、部屋には明かりがつけられ、いつの間にか明日菜がベットで寝ていた。 「明日菜さん…。」 よくよく考えれば明日菜は第一発見者、つまりこのかの屍を直に見てしまった被害者なのだ。一番つらいのは明日菜にちがいない。 ネギは寝ている明日菜の背中が小さく見えて仕方がなかった。
キーンコーンカーンコーン 学校中に始まりをつげる鐘の音が鳴り響き、数人の女生徒が体育着姿で校舎から勢いよく飛び出してきた。 女生徒たちは満面の笑みでグラウンドへ走っていく。 「空腹だ…」 そんなほのぼのとした様子を屋上からつまらなそうに見下しながら、男はそう呟いた。 「我輩が求めている最も複雑で、最も深遠で、最も美味な究極の謎。」 男はまるで神に祈りを捧げるがごとく両手を大きく開き、空を仰ぐ。 「それがここにはある。」 突然、強烈な風がグラウンドで運動をしている女生徒を襲う。 風は窓ガラスをガタガタと鳴らし、男の髪をなびかせる。 女生徒の甘い奇声が校舎に届いた時には、屋上に男の姿はなかった。 ---- キーンコーンカーンコーン 鐘の音が校舎に鳴り響くと同時に、教室にネギ・スプリングフィールドが入ってきた。 彼は教室に入って来るなり、いきなり小さな声で出席を取り始めた。 「…明石裕奈さん…。」 「…はい…。」 普段ならば出席をとる前に元気よく『みなさん、おはようごさいます!』なんて言っているはずなのだが、そのような素振りは微塵もない。 いや、おかしいのはネギだけではない。クラス全体に生気が全くかんじられない。 下を向いている生徒もいれば、死んだ魚のような目でネギをただ見つめている生徒もいる。 しばらく死にそうな声で生徒の名前を口に出していたが、ある所でその声はピシャリと止まった。 それに反応するかのように生徒達も一斉に後方にある空席に目を向けた。 机の上には一輪の菊の花が活けられた痩せた花瓶が寂しく置かれている。 そして生徒達の注目は教壇に立つネギに注がれた。 ネギは先ほどの死にそうな声よりももっと小さな声でこう呟いた。 「…近衛…このかさ…ん」 ---- 3ーA、出席番号13番、近衛このかはすでにこの世にはいない。 彼女は突然の事故でこの世を去ったのだ。 彼女の同居人であり、第一発見者でもある神楽坂明日菜の話によると、このかは上から落ちてきた荷物の下敷きになって絶命していたそうだ。 学園長は魔法の存在の露呈を避けるため、警察には通報せず、学園の防人である魔法先生や魔法生徒たちに捜査を依頼したが、結局事故以外の結論は出てこなかった。 3ーAの生徒達もあの事件以来、だれも寄り付かなくなるほど、暗い空気が流れている。 ---- 担任であるネギは自分のせいでこのかを殺したと自分を責め続け、ついには自殺未遂まで起こしてしまう。 このかの死によって3ーAすべてが狂ってしまったのだ。 「はぁ…」 ネギは誰もいない部屋の中で1人でこのかの遺影を眺めている。 実はここの所、ネギは学校から帰って来るなりずっとこのかの遺影を眺めているのだ。 遺影の中のこのかは生き生きとしていて、もしかしたらまだ生きているんじゃないかと思わせてしまう。 しかし、ふと我に帰るとそこには寂しい部屋にぽつんと置かれたこのかの遺影。 この時、ネギは改めてこのかの死を受け入れるのだった。 「あれ?もう9時ですか…。」 周りをよく見ると、部屋には明かりがつけられ、いつの間にか明日菜がベットで寝ていた。 「明日菜さん…。」 よくよく考えれば明日菜は第一発見者、つまりこのかの屍を直に見てしまった被害者なのだ。一番つらいのは明日菜にちがいない。 ネギは寝ている明日菜の背中が小さく見えて仕方がなかった。   [[ページをめくる>ネウネギ第一話ページ2]]

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