「カウントダウン」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

カウントダウン」(2006/08/15 (火) 00:15:09) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

古菲の拳が楓の腹部に思いっきり入っていた。 くないが手から落ちていく。 一撃は明らかに大きなダメージを与えている。 楓は苦しそうにもがきながらその場で崩れこんでしまった。 さすがの楓も古菲の拳をもろにくらって無事ですむということはないようだ。 千鶴が楓に斬られた時、古菲のなかで楓という人物像が全て崩壊した。 かわりに生まれてきたのは、目の前の人形に対する敵意と殺意。 古菲は足下で倒れている楓に目をやる。 何も情が沸かないといえば嘘になる。 ただ以前のような感情はもう沸く事はないだろう。 古菲は少し悲しくなった。 その隣には背中を血で染めた千鶴が、倒れていた。 目は空ろ。おそらくもう長くはないだろう。 「千鶴…、すまないアル。私まだまだ修行が足りないアルよ…。」 古菲は千鶴の血に塗れた手をそっと握り、心配そうに顔を覗く。 手の感触に反応したのか。千鶴は微かにしか見えない目で古菲を捕え、ニッコリと笑いこう言った。 「あ……弱く…いわ…。」 それが彼女の最後の言葉となった。 千鶴は言い終わると糸が切れたように目を閉ていく。 とても殺された人とは思えないほど安らかに眠っていた。 ---- 古菲は手を優しく置き、何も言わず合掌する。 彼女なりの敬意なのだろう。一部始終を見ていたクラスメートたちも、黙祷を捧げている。 勇気を持って希望を守り抜いた千鶴はみんなに看とられ、幸せそうにこの世を旅立った。 ぐさっ… 「え゙?」 古菲の首筋にナイフ。 皆が己の目を疑ってしまう光景。 楓ではない。楓は千鶴の隣でのびている。 古菲は最後の力をふり絞って背後を覗く。 逆光ではっきりとは分からない。 短髪、短い身長、青白い髪の色 そこに立っているのは先ほどまで気絶していたはずの亜子であった。 14/22 古菲は死んだ。最後の希望はなんの変哲もない少女が簡単に絶ってしまう。 理解が出来なかった。何故亜子が古菲を殺したのか。何故亜子は古菲を殺せたのか。何故亜子は気絶からこんなにも早く醒めたのか。 千鶴の遺体に被さるようにして倒れた古菲。 本人も信じられないというような表情をしている。 簡単なことだ。『敵は一人とは限らない。』 その可能性すら考えなかった古菲の負け。 なにも戦いとは力だけではない。古菲は戦略で負けたのだ。 ある意味古菲らしい最後であった。 こうして悪夢の弟2ラウンドが幕を開ける。 ---- 亜子は楓が落としたくないを拾い、生徒たちに向かって突進していく。 満面の笑み。まるでこれから始まる殺戮を心の底から楽しむかのように 亜子の襲ってくる姿は気味が悪い。 足よりも上半身が前に出た走り方。 頭がおかしいのかと思わせるような狂った笑顔。 昔の古い映画で包丁を持った人形が人々を追いかけ回し、殺していくなんていうホラー映画があったが、今の亜子をイメージでたとえるとまさにそれ。 もう皆の心の中は亜子への恐怖しか沸いてこなかった。 亜子は葉加瀬に向かって突進していく。 当然葉加瀬は逃げるが、それを追う亜子。 机の上をおぼつかない足取りで駆けていく二人。止める者は誰もいない。止めればその者は確実に死ね事になるからだ。 机を降りては走り、机に昇ればまた走り。 そんなことをしているうちに葉加瀬の体力は限界へと近づいていく。 所詮は椅子に座ってばっかりの科学者と雑用でこき使われるサッカー部マネージャーの力の差か。 葉加瀬と亜子の差は段々と狭まっていく。 「はぁ…はぁ…だれかっ!…はぁ…誰か助けっ!」 葉加瀬は必死に逃げながら涙を流し、クラスメート達に嘆願する。が、今葉加瀬を見ている人など誰一人いなかった。 ---- 亜子は楓が落としたくないを拾い、生徒たちに向かって突進していく。 満面の笑み。まるでこれから始まる殺戮を心の底から楽しむかのように 亜子の襲ってくる姿は気味が悪い。 足よりも上半身が前に出た走り方。 頭がおかしいのかと思わせるような狂った笑顔。 昔の古い映画で包丁を持った人形が人々を追いかけ回し、殺していくなんていうホラー映画があったが、今の亜子をイメージでたとえるとまさにそれ。 もう皆の心の中は亜子への恐怖しか沸いてこなかった。 亜子は葉加瀬に向かって突進していく。 当然葉加瀬は逃げるが、それを追う亜子。 机の上をおぼつかない足取りで駆けていく二人。止める者は誰もいない。止めればその者は確実に死ね事になるからだ。 机を降りては走り、机に昇ればまた走り。 そんなことをしているうちに葉加瀬の体力は限界へと近づいていく。 所詮は椅子に座ってばっかりの科学者と雑用でこき使われるサッカー部マネージャーの力の差か。 葉加瀬と亜子の差は段々と狭まっていく。 「はぁ…はぁ…だれかっ!…はぁ…誰か助けっ!」 葉加瀬は必死に逃げながら涙を流し、クラスメート達に嘆願する。が、今葉加瀬を見ている人など誰一人いなかった。 ---- 目を合わせるな!目を合わせたら助けなくちゃならない! クラスメート達は葉加瀬を見捨てることにした。 先ほど勇敢に散った千鶴を見ていると、とても自ら死にいくような勇気がもてない。 くないが背後に迫る。 あと10cm クラスメートたちが血を見るのを恐れ、目を閉じ始める。 あと7cm 葉加瀬が目の先で小さく震えている超に手を伸ばす。 あと6cm 超がふと顔を上げると葉加瀬が救いを求めている。そして葉加瀬と目が合う。 あと5cm 葉加瀬が超に向かって叫ぶ。 あと4cm 超はそっと目線を逸らした。 あと3cm 一瞬、超の思わぬ行動に葉加瀬の頭が真っ白になる。 まであと2cm くないが白い制服を突き破り、皮膚に先端が当たる。 心臓まであと1cm 皮膚を突き破り制服が紅く染まり始める。 心臓まであとαcm くないが心臓へと刺さり、葉加瀬は力が抜けたように膝をつき、そのまま前に倒れ、永眠 のはずだった。 心臓まであとα=2cm 突然亜子の目の前に棒が現れ、顔面に直撃。 心臓まであと5cm 亜子の体が浮き、手に握られていたくないが地面に落ちていく。 心臓まであと4m 恐怖の人形はそのまま頭から床に落ちていった。 「はぁ…怖かった。」 手からリコーダーが落ちていく。 桜子は赤くなった手を見つめながらゆっくりと溜め息をついた。 「第一号サヨナラ満塁ホームラン…っと!」 桜子は両手を斜めで上げ、ゆっくりと教室の間を走り出す。 おちゃらけてはいるが挙げられた手は小刻みに震えていた。 打たれた亜子の鼻はグシャグシャになっていて痛々しい。 桜子の満塁ホームランと呼ぶに相応しい活躍劇であった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー