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しかしナイフはまき絵には刺さらなかった。 横から現れた白い布が投げられたナイフを弾き飛ばしてしまったのだ。 古菲の布槍術。武道会真名戦で一度だけ見せた古菲の秘術。 槍はそのまま楓に向かって飛んでいく。 「まき絵!今のうちに早く逃げるアルね!…まき絵?」 返事はなかった。まき絵の喉にはすでにナイフが刺さっていたのだ。 「まき絵…」 いつ殺されたのかはわからない。 ただ槍で防いでいるにも関わらずナイフは容赦なく古菲に飛んでくる。 おそらく少しでも気を許したら喰われるだろう。 そのくらい楓の投げるナイフの早さ、威力ともに凄まじい。 「アデアット。」 クラスのほとんだがその闘いを凝視しているなか、約一名だけこそこそと影でなにかやっている少女がいた。 少女の足が光に包まれ、少女にはやや不似合いなシューズが現れる。 「悪いね。私戦闘向きじゃないから。」 美空は意地悪な笑みを浮かべ、クラスメートに小さく手を振る。 ギュウウウンンン!! 靴の裏のギアが超高速で回り始め、靴の周りには見ても分るほど空気が渦を巻いていた。 次に美空を見た時には壁にぶつかって床に倒れていた。 ナイフは刺さっていない。 死んではいないのだろう。 ---- しかし結局美空は何がやりたかったのか。 それを知っているのはごく少数しかいない。 大半は美空の存在さえ気がつかなかった者ばかりだから。 美空らしい憐れな末路であった。 さて古菲と楓の攻防だが、一方的に古菲不利な状態が続いていた。 古菲の服はボロボロで所々血が滲んでいるのに対して楓はもう槍を避ける事さえしなくなっていた。 ここでちょっと考えてみよう。 古菲の秘技である布槍術だが相手に届くまでにどのくらいの時間を要するのか。 武道会真名戦で木の床をも撃ち抜く羅漢銭を打ち落とした布槍とすると一撃の発動時間の速さでいえば布槍=羅漢銭となる。 では何故布槍は楓のナイフにはついていくことが出来ないのか。 例えば布を相手に飛ばすのを一秒としよう。 そうすると真名がコインを指で弾くのに大体一秒かかるという計算になる。ナイフも相手に投げるのに一秒。 これではたいした差はない。 しかし古菲の場合、布を手元に戻し、体せいを元に戻すのに一秒半。全体的に二秒半かかる事になる。 真名の場合はそのまま打ち続けることは出来るが、弾補充におよそ三、四秒かかるだろう。 弾はおよそ十発で交換。そうなると羅漢銭と布槍は程よく釣り合うのだ。 ---- しかしナイフの場合は違う。 楓の場合、右手でナイフを投げる時に左手にはすでに袖口から流れ出てきたナイフが手にある。 そして左手でナイフを投げる時には右手にはナイフが握られる。 つまり一秒ごとにナイフが一本飛んでくるという計算になる。 しかもこれはあくまで大体の速度を一秒で計算したが布よりも軽いナイフが布槍より遅いわけがない。 結果的に古菲が一回槍を放つごとに、ナイフが三、四本飛んでくるということになるのだ。 しかも楓の武器はもはやナイフだけではなくなっていた。 鉛筆、定規、シャーペン、筆箱、etc… 楓の身の回りにある全ての小物が武器となり襲ってくるのだ。 特にシャーペンやボールペンは先が鉄で出来ていてナイフより軽いので避けるのはかなり難しい。 クラス中の生徒たちがその戦いを静かに見つめていた。 もう誰もが感じている事。それは古菲が負ければ全員殺されてしまうだろう。 生徒たちはそこの見えない崖に立たされた状態で必死に考えるしか生きる道はのこっていない。 考える事はただ一つ。 どうやって古菲を援護するか。 今、このクラスには古菲以外の戦闘員がいない。 -[[次へ>A chain of homicide]]

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