「Stairs to heaven」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

Stairs to heaven」(2006/08/15 (火) 00:10:16) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

自分はあの時、なにをしてしまったのか… …思い出せない。 ただ私は知らぬうちにとんでもない罪を犯してしまったようだ。 私がなんの罪を犯したのかはわからない。 ただ紅く染まった服が罪の重さを物語っている。 そして今、自分はその身に覚えのない罪によって裁かれようとしている。 逃げる忍と追う道化。 私は取り返しのつかないほどの罪を犯したのだ。 喜んで罪を償おう。 ただ私は真実が知りたい。 私はなにをしてしまったのかを…。 ≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦ 釘宮円の脳内日記(天国への階段) あ…私死ぬな…。もう頭がくらくらする。 私の人生は15歳でお終い…。 ま、いっか。たった15年だけどそれなりに楽しかったし。 まぁ大人になってもっと色々してみたかったけど… 喉にナイフが刺さっちゃ助からないし。 じたばたするのも見苦しいしね。 最後くらいカッコよく死なせてよ。 …殺されてカッコいいもカッコわるいもないか。 でもやっぱり死ぬのって怖いな…。地獄に逝くのかな?天国に逝ければいいなぁ。 あれ?泣き声…美砂…。あんた無事なんだ。 あんた最近目茶苦茶だったね。 桜子は…ダメか…。 ---- 美砂、私も桜子ももうダメだ…。 美砂…、あんた一人で生きていける? あんたって時々暴走するから心配なんだよ…。 せっかく助かった命、大切にしなさいよ。 あ、桜子が呼んでる…。それじゃあ…もう逝くわ…。じぁ…あね… 楽し…かっ……た…。 クラスは明らかに沈んでいた。 理由は幾つかある。 しかし一番の原因は明日菜の自殺だ。 明日菜が死んで一日が経つ。が彼女達の心のしこりが晴れることはない。 彼女達の心の中は今、明日菜を殺した罪悪感で満ち溢れていた。 明日菜をからかった者、それをおもしろおかしく観戦していた者、怖くてなにもしてあげることができなかった者。 みんな思いは同じだ。ただ二人を覗いて…。 美砂は明日菜が死んだと思わせないほどニコニコと静かに笑みを浮かべて席に座っている。 彼女には罪悪感などない。 あるのは邪魔な物が消えた爽快感だけ。 明日菜の机に置かれた高価な花瓶と綺麗な赤い薔薇。 実はこれも柿崎の仕業だ。 『死んでくれてありがとう。』とでも言いたいのか。普通の神経をした人間がすることではない。 そんな美砂を憐れむように遠くからみている桜子と円。 美砂は変わってしまった。もう美砂には二人の声など届かない。 ---- キーンコーンカーンコーン…。 最後のチャイムが鳴った。 最初の授業は自習である。 私はいつから他人にこうも無関心になってしまったのか。 沈んだクラスのなかで龍宮真名は独りで考えていた。 龍宮は明日菜がいじめられているのを感じた時、感情らしい感情が出てこなかったのを覚えている。 美砂が暴れた時も止めに入る事はいつでも出来た。だが結局龍宮が行動を起こすことはなかった。 興味がないといったら嘘になる。 ただそれは仕事ではない。 もしあの時、金を貰えばおそらく美砂を押さえこんでいただろう。 …いつからそんなに汚い人間になってしまったのか。 自分が今までしてきた事を思い出すと腹が立つ。 彼と戦地を旅していた時はそんな金がどうとか言った事もなかった。 私も彼も最低限の生活できるような物しか持たず、手に入った物はその地の難民に無償で寄付していた。 彼はいつも私にこう言っていた。 自分が我慢すれば何千の人々が助かるのなら俺は喜んで我慢しよう。 彼は生まれてこのかた一度だって贅沢などしたことがないと言っていた。 その証拠にいつも貧相な服を着て、干からびた肉を喜んで食し、ゴツゴツした岩の上でも平気で寝ていた。 ---- そのくせ人が苦しんでいると聞けば、寝るのも惜しんでその地に向かったりと…。自分より他人を大切にするような人だった。 他の事は知らないね。 麻帆良祭の時にネギ君に吐き捨てた言葉。 彼が聞いたら私になんて言っていただろう。 私はいつの間にか墜ちる所まで墜ちていた。 グサッ…。 龍宮の首にはくないが刺さっていた。 おそらく即死だろう。 最初はなにが起こったのかは分らなかった。 突然龍宮が崩れ、倒れてしまったのだ。 首にはくない。そして龍宮の背後には楓が立っていた。 楓がおかしいのは一目見てわかる。 まるで生気が感じられない。 顔も無表情で楓の面をつけた人形がそこに立っているようにしか感じる事が出来ない。 「き…きゃ」 悲鳴が上がろうとするが、そんな声もすぐ死んでしまう。 声をあげようとした裕奈とアキラの喉にはナイフが正確に刺さっていた。 理解が出来ない。理解したくても頭がついていかない。 何故、楓は真名やアキラや裕奈を殺したのか。何故人を殺したのにそんなに平気な顔をしてられるのか…。 楓は相変わらず無表情。手には何本もの小型ナイフが握られている。 ---- 「き」 すべてを理解できたやつはやつで悲鳴をあげようとするが、そんな声も簡単に絶たれてしまう。 悲鳴をあげようとしたのは鳴滝史伽。 史伽はその場で崩れて絶命した。 「い…いやっ」 それを見ていた風香。目は涙がすでに溢れていた。 「ふみっ…」 容赦なく刺さるナイフ。 風香も史伽と同様、その場で崩れてしまった。 17/22 カリカリ…カリ… 朝倉は教卓に身を隠しながら手を伸ばして黒板になにかを書いている。 そこにはたった一言だけ、『声を出すな』とだけ書かれていた。 たしかに考えて見れば今まで殺されたのは真名を除けばみんな悲鳴をあげた者だが。 たいした気休めにしかならないことは書いた朝倉にも分っている事だ。しかしなにもしないで死んでいくなんて出来るほど彼女は弱くはない。 葉加瀬や夏美は涙目になりながら必死に口を押さえて声を殺している。 のどかは教室の隅でガタガタと震え、そんなのどかを両手で優しく抱いてやる夕映。 亜子は気絶してしまったようで机に伏せた状態でぴくりとも動かない。 「もういやぁ!!」 まき絵は泣きながら教室の出入り口へと走っていく。 「や、やめ」 朝倉が反応した時にはもう楓の手にはナイフが一本消えていた。 -[[次へ>A fight]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー