「五月編」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

五月編」(2006/08/25 (金) 02:32:58) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

チャチャゼロ残酷編11  加速する惨劇 ……少し、展開を急ぎすぎたかもしれない。 次の事件を語るには、月曜の朝、葉加瀬聡美が機械の腕と共に登校する前。 日曜日の午後に、話を戻す必要がある。 ――女子寮の食堂の厨房の一角。 その日彼女は、夕方にもなろうかという頃、ようやく己の仕事を終らせた。 「すまないねぇさっちゃん。でも、本当にいいのかい?」  せっかく作った料理ですから。食べて貰えない方が悲しいです。 「それもそうなんだけどね」 食堂のおばさんの問いかけに、ニッコリ笑って応えたのは、四葉五月。 ふくよかな体型をした、3-A最高の料理人だった。 その日の食堂のメニューは、ちょっとばかり豪華な品揃えで。 一品料理からデザートに至るまで、普段は出てこないメニューがいくつも並んでいた。 空振りに終った、和泉亜子の退院記念パーティ。 その際、食べられることもなく余ってしまった沢山のご馳走。 五月は料理人として、その大量の料理を無為に捨てることができなかった。 そこで、無理をお願いし、食堂の料理として寮の住人に出すことにしたのだった。 もちろん、無償。金を取ればかなりのモノになる品々だったが、五月の主眼はそこにはない。 せっかくのご飯を無駄にしたくない、ただその一心。 そして料理が全てはけるまで、無償で食堂で働き続けて…… ある意味、1人で会場を片付けた史伽より、大変な仕事だっただろう。 けれども彼女はその疲れも見せずに、ニッコリと笑う。 ---- 四葉五月。「さっちゃん」の愛称で親しまれる、心優しい料理人。 あの「超包子」の人気も、五月の腕とレシピがあってこそのものだ。 美人とか美少女とかからは程遠い彼女だが、しかし彼女を嫌う者は1人も居ない。 誰からも愛される麻帆良の「おふくろさん」、それが五月だった。 太陽が沈む。太陽と入れ替わりに、綺麗な満月が顔を覗かせる。 麻帆良学園の広い道には街灯が灯り、しかし人気はまばらだ。  昼のうちに仕入れを済ませておきたかったんですけどね。  早く帰らないと。最近は色々と物騒ですし…… 五月は呟く。その手には野菜が大量に抱えられ、肩にはクーラーボックスまで下げている。 明日も朝から「超包子」の面々で売るつもりの、肉まんの材料だった。 素材に拘る彼女は、自分で仕入れを行う。 それもできるだけいい物を求めていった結果、学園外にも買出しに行くこともしばしばだった。 今日も、退院記念パーティの残り物の処分を終えた後、買出しに出たわけだったが…… 暗い道を、1人で歩く五月。 ふと彼女は、道の先に誰かが立っているのに気付く。 黒いマントに顔と姿を隠した、長身の人物。五月の側からは、その正体は分からない。 「それ」は五月が叫び声を上げる間もなく、恐ろしいほどのスピードで距離を詰めて……! ごッ。 茶々丸が素早く振り下ろした手刀の一撃で、四葉五月は、あっさりと意識を失った。 周囲に散らばる野菜。ドサリと崩れる、太めの身体。 満月だけがその光景を見下ろしている。どこかから、耳障りな笑い声が聞こえてくる……。 夜は、まだ始まったばかりだ。  11th TARGET  →  出席番号30番 四葉五月   NEXT TARGET → -[[???>真名編―第一話―]]
**加速する惨劇 ……少し、展開を急ぎすぎたかもしれない。 次の事件を語るには、月曜の朝、葉加瀬聡美が機械の腕と共に登校する前。 日曜日の午後に、話を戻す必要がある。 ――女子寮の食堂の厨房の一角。 その日彼女は、夕方にもなろうかという頃、ようやく己の仕事を終らせた。 「すまないねぇさっちゃん。でも、本当にいいのかい?」  せっかく作った料理ですから。食べて貰えない方が悲しいです。 「それもそうなんだけどね」 食堂のおばさんの問いかけに、ニッコリ笑って応えたのは、四葉五月。 ふくよかな体型をした、3-A最高の料理人だった。 その日の食堂のメニューは、ちょっとばかり豪華な品揃えで。 一品料理からデザートに至るまで、普段は出てこないメニューがいくつも並んでいた。 空振りに終った、和泉亜子の退院記念パーティ。 その際、食べられることもなく余ってしまった沢山のご馳走。 五月は料理人として、その大量の料理を無為に捨てることができなかった。 そこで、無理をお願いし、食堂の料理として寮の住人に出すことにしたのだった。 もちろん、無償。金を取ればかなりのモノになる品々だったが、五月の主眼はそこにはない。 せっかくのご飯を無駄にしたくない、ただその一心。 そして料理が全てはけるまで、無償で食堂で働き続けて…… ある意味、1人で会場を片付けた史伽より、大変な仕事だっただろう。 けれども彼女はその疲れも見せずに、ニッコリと笑う。 ---- 四葉五月。「さっちゃん」の愛称で親しまれる、心優しい料理人。 あの「超包子」の人気も、五月の腕とレシピがあってこそのものだ。 美人とか美少女とかからは程遠い彼女だが、しかし彼女を嫌う者は1人も居ない。 誰からも愛される麻帆良の「おふくろさん」、それが五月だった。 太陽が沈む。太陽と入れ替わりに、綺麗な満月が顔を覗かせる。 麻帆良学園の広い道には街灯が灯り、しかし人気はまばらだ。  昼のうちに仕入れを済ませておきたかったんですけどね。  早く帰らないと。最近は色々と物騒ですし…… 五月は呟く。その手には野菜が大量に抱えられ、肩にはクーラーボックスまで下げている。 明日も朝から「超包子」の面々で売るつもりの、肉まんの材料だった。 素材に拘る彼女は、自分で仕入れを行う。 それもできるだけいい物を求めていった結果、学園外にも買出しに行くこともしばしばだった。 今日も、退院記念パーティの残り物の処分を終えた後、買出しに出たわけだったが…… 暗い道を、1人で歩く五月。 ふと彼女は、道の先に誰かが立っているのに気付く。 黒いマントに顔と姿を隠した、長身の人物。五月の側からは、その正体は分からない。 「それ」は五月が叫び声を上げる間もなく、恐ろしいほどのスピードで距離を詰めて……! ごッ。 茶々丸が素早く振り下ろした手刀の一撃で、四葉五月は、あっさりと意識を失った。 周囲に散らばる野菜。ドサリと崩れる、太めの身体。 満月だけがその光景を見下ろしている。どこかから、耳障りな笑い声が聞こえてくる……。 夜は、まだ始まったばかりだ。  11th TARGET  →  出席番号30番 四葉五月   NEXT TARGET → -[[???>真名編―第一話―]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
人気記事ランキング
目安箱バナー