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チャチャゼロ残酷編5  深淵を覗き込む者は…… ――時間は少し、遡る。 あやかが襲われた翌日の放課後。チア3人組の凄惨なケンカが起きた、少し後。 暗くなってきた空の下、森の中に建つ小屋を訪れる人物がいた。 「す、すいませ~ん……。だ、誰かいませんか~~?」 ノックにも反応のない小屋の中を、恐る恐る覗き込む少女。胸に抱えた分厚い本。 宮崎のどか、だった。 この地上2階地下1階建てのログハウスも、初めてではない。勝手知ったるエヴァの家。 誰も居ないということは、みんな地下の『あの場所』に居るのだろうか……? 「……オイ、ヒトノ家ニ何ノ用ダヨ?」 「ひゃぁっ!?」 唐突に背後から声をかけられ、飛びあがるのどか。 咄嗟に振り返っても、相手が見えない。下に視線を下ろし、ようやく相手を視認する。 「ちゃ、チャチャゼロさん……!」 「ナンダ、読心術師ノガキカ。御主人ニ用カ? ソレトモ、ガキノ方?  悪イガ御主人ハ『別荘』ニ篭ッテルゼ。ボーヤニ頼マレテ、一緒ニナ。  何故カ知ランガ ココ数日、ヤタラト張リ切ッテヤガルンダ、アノガキ」 ケケケッ、と不気味に笑う魔法人形。そんなゼロに、のどかは怯えを隠し切れない。 相次いで生徒に犠牲者を出してしまったネギ。守りきれなかったネギ。 この時点では、裕奈とチア3人組の犠牲は認識していなかったが……それでも。 自責の念に駆られた彼は、今まで以上に熱心に、魔法の修行を重ねていた。 強くならねば。強くなってみんなを守らねば。強くなって犯人を捕まえねば。 ……ネギはまだ気付かない。気付いていない。 『別荘』に篭り外界と遮断されたその間は、生徒たちの危機を感知すらできぬ事に。 悪意を持って彼の生徒を狙う『犯人』にとって、それがこの上ない好機である事に――! 「そ、そうですかー。ちょっとせんせーに相談したいことが、あったんですけど……」 「たいみんぐガ悪イナ。アト20分ハ出テコレネーシ、今カラ『別荘』ニ入ッテモナァ」 外の時間で1時間が、中の24時間になるエヴァの『別荘』。 便利な魔法の道具だが、しかし「中での1日単位でしか使えない」というルールがある。 このため、 こういう風に入る時間が大きくズレると、ちょっと困ったことになってしまう。 「ドウスル? ボーヤガ出テクルマデ、待ッテルカ?」 「い、いえー、べ、別に急ぐ用事でもないので~。また明日にでも、学校で声かけます~」 「ケケケッ。マ、好キニシナ」 のどかの言葉にチャチャゼロは軽く笑うと、小屋の中に消えて。 バタンと、扉が閉じる。ゼロの体格ではノブに手が届くハズもない扉が、勝手に閉じる。 小屋の外に1人残されたのどかは、閉まった扉をしばらく見つめていたが…… やがて、強い意志の篭った目で、抱えていた本を開く。 「せんせーは居ないけど、い、今が確かめるチャンスなのかも……!」 のどかの左手の上、フワリと空中に浮かぶ魔法の本。 ネギとの仮契約でのどかに与えられたアーティファクト、『いどのえにっき』――! 昨夜のどかは、深夜の病院でこの本を2回、使用している。 『記録』が残されたままのページを、彼女は改めて確認する。 対象の表層意識を絵と文章で写し取るアーティファクト、「いどのえにっき」。 それを用いて探った、入院中の犠牲者2人。 どちらも意識が朦朧としていたために、文章も絵もいまいちはっきりしない。 はっきりしないのだが……支離滅裂な文の上に描かれた、下手な絵には。 あやかの記憶の中にあった、子供と呼ぶことさえ躊躇われるほど小さな「犯人」の影。 亜子の記憶の中にあった、小さな翼を持ち高速で飛びまわる「犯人」のシルエット。 それぞれ単独では、何が何だか判じがたい。 判じがたいが、もしその2つが、同一の犯人の姿を断片的に捉えたものだとしたら。 のどかには、1人(?)心当たりがあった。思い当たる相手がいた。 ――それは、他ならぬ、先ほど言葉を交わしたエヴァンジェリンの使い魔。 呪いの殺人人形、チャチャゼロだ。 その疑いを持った時点で、誰かに相談しておくべきだったのかもしれない。 ゼロが怪しいからみんなで調べよう、と周囲に呼びかけるべきだったのかもしれない。 けれど、臆病で引っ込み思案な彼女には。 陰口を叩くことさえ嫌う、平和主義者の彼女には。 これだけの断片的情報から、知人であるゼロを犯人扱いしてしまうのは、気が引けた。 ゼロが犯人だとは、のどか自身も信じたくはなかった。 ちょっと似ているだけの、無関係な『何か』なのだと思い込みたかった。 だから、彼女は。 疑惑を確実にするため、というより、疑惑を払拭するためにこそ……。 「ゼロさん……すいませんけどー、ちょっと心を読ませて下さいー。  私の思い過ごしであってくれれば、いいんですけどー……」 暗くなっていく空の下、のどかはゼロの名を呼んだ。『いどのえにっき』を発動させた。 本が淡く輝き、本に込められた魔力が発動する。 白紙のページに、文字が浮き上がって、家の中に居るはずのゼロの表層意識を―― 「――な、何なの、これ?!」 そして、映し出されたページに、のどかは思わず驚きの声を上げる。 かつて見たこともないような魂の絵日記が、そこにあった――  5th TARGET  →  出席番号27番 宮崎のどか ? [[後編>http://www13.atwiki.jp/negiijime2/pages/115.html]]
**深淵を覗き込む者は…… ――時間は少し、遡る。 あやかが襲われた翌日の放課後。チア3人組の凄惨なケンカが起きた、少し後。 暗くなってきた空の下、森の中に建つ小屋を訪れる人物がいた。 「す、すいませ~ん……。だ、誰かいませんか~~?」 ノックにも反応のない小屋の中を、恐る恐る覗き込む少女。胸に抱えた分厚い本。 宮崎のどか、だった。 この地上2階地下1階建てのログハウスも、初めてではない。勝手知ったるエヴァの家。 誰も居ないということは、みんな地下の『あの場所』に居るのだろうか……? 「……オイ、ヒトノ家ニ何ノ用ダヨ?」 「ひゃぁっ!?」 唐突に背後から声をかけられ、飛びあがるのどか。 咄嗟に振り返っても、相手が見えない。下に視線を下ろし、ようやく相手を視認する。 「ちゃ、チャチャゼロさん……!」 「ナンダ、読心術師ノガキカ。御主人ニ用カ? ソレトモ、ガキノ方?  悪イガ御主人ハ『別荘』ニ篭ッテルゼ。ボーヤニ頼マレテ、一緒ニナ。  何故カ知ランガ ココ数日、ヤタラト張リ切ッテヤガルンダ、アノガキ」 ケケケッ、と不気味に笑う魔法人形。そんなゼロに、のどかは怯えを隠し切れない。 相次いで生徒に犠牲者を出してしまったネギ。守りきれなかったネギ。 この時点では、裕奈とチア3人組の犠牲は認識していなかったが……それでも。 自責の念に駆られた彼は、今まで以上に熱心に、魔法の修行を重ねていた。 強くならねば。強くなってみんなを守らねば。強くなって犯人を捕まえねば。 ……ネギはまだ気付かない。気付いていない。 『別荘』に篭り外界と遮断されたその間は、生徒たちの危機を感知すらできぬ事に。 悪意を持って彼の生徒を狙う『犯人』にとって、それがこの上ない好機である事に――! 「そ、そうですかー。ちょっとせんせーに相談したいことが、あったんですけど……」 「たいみんぐガ悪イナ。アト20分ハ出テコレネーシ、今カラ『別荘』ニ入ッテモナァ」 外の時間で1時間が、中の24時間になるエヴァの『別荘』。 便利な魔法の道具だが、しかし「中での1日単位でしか使えない」というルールがある。 このため、 こういう風に入る時間が大きくズレると、ちょっと困ったことになってしまう。 「ドウスル? ボーヤガ出テクルマデ、待ッテルカ?」 「い、いえー、べ、別に急ぐ用事でもないので~。また明日にでも、学校で声かけます~」 「ケケケッ。マ、好キニシナ」 のどかの言葉にチャチャゼロは軽く笑うと、小屋の中に消えて。 バタンと、扉が閉じる。ゼロの体格ではノブに手が届くハズもない扉が、勝手に閉じる。 小屋の外に1人残されたのどかは、閉まった扉をしばらく見つめていたが…… やがて、強い意志の篭った目で、抱えていた本を開く。 「せんせーは居ないけど、い、今が確かめるチャンスなのかも……!」 のどかの左手の上、フワリと空中に浮かぶ魔法の本。 ネギとの仮契約でのどかに与えられたアーティファクト、『いどのえにっき』――! 昨夜のどかは、深夜の病院でこの本を2回、使用している。 『記録』が残されたままのページを、彼女は改めて確認する。 対象の表層意識を絵と文章で写し取るアーティファクト、「いどのえにっき」。 それを用いて探った、入院中の犠牲者2人。 どちらも意識が朦朧としていたために、文章も絵もいまいちはっきりしない。 はっきりしないのだが……支離滅裂な文の上に描かれた、下手な絵には。 あやかの記憶の中にあった、子供と呼ぶことさえ躊躇われるほど小さな「犯人」の影。 亜子の記憶の中にあった、小さな翼を持ち高速で飛びまわる「犯人」のシルエット。 それぞれ単独では、何が何だか判じがたい。 判じがたいが、もしその2つが、同一の犯人の姿を断片的に捉えたものだとしたら。 のどかには、1人(?)心当たりがあった。思い当たる相手がいた。 ――それは、他ならぬ、先ほど言葉を交わしたエヴァンジェリンの使い魔。 呪いの殺人人形、チャチャゼロだ。 その疑いを持った時点で、誰かに相談しておくべきだったのかもしれない。 ゼロが怪しいからみんなで調べよう、と周囲に呼びかけるべきだったのかもしれない。 けれど、臆病で引っ込み思案な彼女には。 陰口を叩くことさえ嫌う、平和主義者の彼女には。 これだけの断片的情報から、知人であるゼロを犯人扱いしてしまうのは、気が引けた。 ゼロが犯人だとは、のどか自身も信じたくはなかった。 ちょっと似ているだけの、無関係な『何か』なのだと思い込みたかった。 だから、彼女は。 疑惑を確実にするため、というより、疑惑を払拭するためにこそ……。 「ゼロさん……すいませんけどー、ちょっと心を読ませて下さいー。  私の思い過ごしであってくれれば、いいんですけどー……」 暗くなっていく空の下、のどかはゼロの名を呼んだ。『いどのえにっき』を発動させた。 本が淡く輝き、本に込められた魔力が発動する。 白紙のページに、文字が浮き上がって、家の中に居るはずのゼロの表層意識を―― 「――な、何なの、これ?!」 そして、映し出されたページに、のどかは思わず驚きの声を上げる。 かつて見たこともないような魂の絵日記が、そこにあった――  5th TARGET  →  出席番号27番 宮崎のどか ? [[後編>http://www13.atwiki.jp/negiijime2/pages/115.html]]

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