「聖なる空の下で」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

聖なる空の下で」(2006/06/13 (火) 01:42:28) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

夏だ-----ぎらぎらと、太陽が狂っている。 麻帆良学園内からは蝉の鳴き声が喧しい。 校舎中の生徒達も、毎年の事ながらその暑さには参っていた。 が、3年A組には、暑さよりも、さらに参ってしまうものがある。 それは、龍宮真名の体臭である。 彼女は足と腋から黒人特有の臭いを発する。おまけに背が高く、足も大きい。 臭くて誰も近寄らない。いや、近寄れない、と言った方が正確か。 もともとクラスメイト、読者からの好感度が低かった彼女はこの夏、本格的に嫌われ始めた。 金さえ貰えば何でもする汚い奴。プライベートでも付き合いが悪い、協調性の無い奴。 人に好かれる人物ではなかった。おまけに、背が高いので自然と相手を見下ろす形になってしまう。 そのためどうしても女らしからぬ威圧感が出てしまい、人に避けられる。 大きい体躯がコンプレックスになり、親しい友人も出来ず、息苦しい生活が続いた。 しだいに自意識過剰になり、見知らぬ人の「大きい」「におい」などの言葉に敏感に反応するようになった。 もはや、真名にとって他者とは苦痛を与えるものでしか無くなっていた。 学校から帰って来たら、即座にベッドに潜り込む。休日も何もせず寝ている。 何をするにしても覇気が無くなり、何処までも自堕落。成績はバカレンジャー以下になった。 辛すぎる現実に涙を零すも、それに気付く人間は何処にも居ない。 痩けた頬、艶の無い脂ぎった長髪、落ち窪んだ目。以前の面影は微塵も無い。 ある日、無意識に手首を切り刻んでいた。褐色の肌なので傷痕は目立たない。 その異様な容姿、傷。クラスメイト達も気付いてはいたが、あえて彼女に話し掛けようとはしなかった。 当然だ。彼女に優しい言葉なんかを掛けたら、 彼女はその言葉を疑い、決まりきった被害妄想に展開するに違いないのだから。 もはや彼女を慰めるのは、黒く、涙も血も流さない拳銃のみだった。 風に揺れる柳のように、ふわふわと拳銃に歩み寄り、骨っぽい指を引き金に絡めて… -[[蛙の面に小便]]
夏だ-----ぎらぎらと、太陽が狂っている。 麻帆良学園内からは蝉の鳴き声が喧しい。 校舎中の生徒達も、毎年の事ながらその暑さには参っていた。 が、3年A組には、暑さよりも、さらに参ってしまうものがある。 それは、龍宮真名の体臭である。 彼女は足と腋から黒人特有の臭いを発する。おまけに背が高く、足も大きい。 臭くて誰も近寄らない。いや、近寄れない、と言った方が正確か。 もともとクラスメイト、読者からの好感度が低かった彼女はこの夏、本格的に嫌われ始めた。 金さえ貰えば何でもする汚い奴。プライベートでも付き合いが悪い、協調性の無い奴。 人に好かれる人物ではなかった。おまけに、背が高いので自然と相手を見下ろす形になってしまう。 そのためどうしても女らしからぬ威圧感が出てしまい、人に避けられる。 大きい体躯がコンプレックスになり、親しい友人も出来ず、息苦しい生活が続いた。 しだいに自意識過剰になり、見知らぬ人の「大きい」「におい」などの言葉に敏感に反応するようになった。 もはや、真名にとって他者とは苦痛を与えるものでしか無くなっていた。 学校から帰って来たら、即座にベッドに潜り込む。休日も何もせず寝ている。 何をするにしても覇気が無くなり、何処までも自堕落。成績はバカレンジャー以下になった。 辛すぎる現実に涙を零すも、それに気付く人間は何処にも居ない。 痩けた頬、艶の無い脂ぎった長髪、落ち窪んだ目。以前の面影は微塵も無い。 ある日、無意識に手首を切り刻んでいた。褐色の肌なので傷痕は目立たない。 その異様な容姿、傷。クラスメイト達も気付いてはいたが、あえて彼女に話し掛けようとはしなかった。 当然だ。彼女に優しい言葉なんかを掛けたら、 彼女はその言葉を疑い、決まりきった被害妄想に展開するに違いないのだから。 もはや彼女を慰めるのは、黒く、涙も血も流さない拳銃のみだった。 風に揺れる柳のように、ふわふわと拳銃に歩み寄り、骨っぽい指を引き金に絡めて… 次のページ-[[蛙の面に小便]]へ…

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー