「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
少し変わった家族を描いた長編小説は、この衝撃的な一言で幕を開ける。
その"変わった家庭"に生まれたのが主人公の佐和子。
父さんを辞めてしまった父さん、家出中なのに晩御飯を作りにくる母さん、天才児と呼ばれつつ大学に行かなかった兄の直。
直の新しい彼女の小林ヨシコ、明るく優しい男の子大浦君。
知人の自殺未遂や死がそんな佐和子を苦しませる。
一見、非常に不幸な女の子とも思えるが、何故か幸福だと思える、ちょっと不思議なお話。
「大きなものをなくしても、まだあった、大切なもの」に支えられつつ、新たな希望を探して健気に生きる佐和子。
周りの人々がとても優しく、ちょっと泣けてくるストーリーです。