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 生産ラインは順調に動いていた。僕は出荷されるだけの品々に、ただ一つ一つカードを張り付けていけばいいだけだった。カードには行き先と品々に関する大事な情報が全部あらかじめインプットされていて、僕はそれらを適当に選んで張り付ければよいだけだった。この「適当に」というのは、「テキトーに」ということで、つまり僕はそれを全くいい加減に行なってもよい。どういうわけだかわからないが、なんだか異様に機械的なこの工場の中で、僕だけは判断が許されていて、しかも僕に与えられる品々の情報といったら、画一的に梱包された、中身もわかりはしない同様の外見ばかり。だから僕は全く思いつきというか勘というか、そんな理由の不確かなもので勝手にカードを張り付けていくのだ。
 しかしカードのほうには品々にとって大切とも思える情報がたくさん詰まっているのだが、品々と情報を結ぶ接点になるのは僕のいい加減な選別である。こんなことで本当によいのかと考えながら、僕はやっぱり適当にカードを張り付けているのだ。というのも、実際真剣に考えてカードを張ろうと思っても、どれもこれも同じ外見。カードの方は緑であったり青であったり、表面には僕には読めないのだけれど、びっしりと奇妙な文字で何か書かれてある。これじゃあお手上げじゃないか。
 そんなある日、僕は奇妙な、きらきら淡く桃色に光るカードを手にした。表面はツルツルピカピカで、真珠のように透き通った淡い光沢に、僕は何か特別なものを感じた。事実、このようなカードは今まで見たことがないと思う。僕はしばらくうっとりしてそれを眺めていたが、作業を続けなければいけないことを思いだし、あわててラインに向き直った。そしてピンクのカードをよけると、別のカードを取り出して張り付けた。次から次へと流れてくる品々に、僕は無心にカードを張り付けていった。
 ププーというラッパの音がする。もうすぐ今日の仕事も終わりだ。さああれが最後、ラインをゆっくり流れてくる。あれにカードを張れば仕事は終わり。僕は振り向いて、よけられていたピンクのカードを見つけた。それをそっと手に取って、すこし残念なように思いながら張り付けようとラインを見ると、そこにはこれまたきれいなピンク色の、カードと全く同じ輝きを持った素敵な箱があった。
 僕は丁寧にカードを張り付けると、愛おしみを込めて箱をそっとなでてやった。僕にはその品物の行き先はわかっていたから。

夢の内容を思い出しながら。

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