壺と段ボール
土手を歩きながら
財布をいじっていた
10円玉が転がって
ころころ河原へ落ちてった
半分青くなった平等院の上を
カエルがぺこんと跳びこえた
オナモミがチクチク足をくすぐって
なぜか心もチクチク痛んだ
すすきはいつもサラサラ
すすきの向こうもサラサラ
サラサラ流れる川音が
ぬめりを含んだ匂いを運んで
とっても気色が悪いのに
風はとっても気持ちよかった
必要なのは
ぼろぼろの段ボールと
底のかけた壺
大切なものは段ボールにしまい込んで。
涙は壺にすべて落として。
それだけあれば
当分困りはしないはず。
詩。2006年。
最終更新:2006年06月01日 04:27