地下牢の記憶

    

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「被告に死刑を宣告する」
裁判官が高らかにそう告げると、王宮法廷の一同から喚声にも似たざわめきが起こった。
被告、つまり俺は、城下町で出会った美しい女性に声をかけただけだった。
いや、少しは誘惑的なことも言ったかも知れない。だが、たったそれだけだった。
その女性が王の娘だったことなど知らないし、何かいかがわしいこともした記憶もない。
それがどういうわけか王宮裁判にかけられ、死刑を宣告されている。
裁判官が何やら刑の詳細について語っているようだが、俺の耳にはほとんど聞こえていなかった。
やがて唐突に2人の衛兵に腕を掴まれると、引きずられるように地下牢へと連れてこられた。
法廷から連れ出されるときの傍聴者の哀れみや嘲りの顔が思い出される。
「なんだ?斬首刑じゃないのか?」
半ば独り言のように呟きながら、目の前の”地下牢”を見つめた。
まるでそこに元からあったかのような巨大な洞穴に頑丈な鉄格子を嵌めただけの粗末な作りだったが、とても逃げ出せそうには見えない。牢の扉が開けられると、後ろから思い切り中に蹴り込まれた。
「うぐっ」
俺に蹴りをくれた衛兵達は捨て台詞の1つでも吐いて行くのかと思ったが、なぜか無言でそそくさと逃げるように階上へと走って行った。手錠も足枷もはめずにこんな大きな牢獄に入れてどうするつもりなのか。なぜすぐに死刑を執行しないのだろう?あのまま俺を斬首台に縛り付け、斧を振り下ろせばそれで終わったはずだ。
俺は鉄格子を掴んでみた。押しても引いてもビクともしない。
まるで猛獣か何かを入れるような頑丈な檻だ。
死刑執行の準備でもしているのかと、薄暗い中で耳をすましていた。
「グルル・・・」
「!」
背後で獣の唸り声のようなものが聞こえた気がした。それに続いて何かが床を擦れる音も。
その時、階上で大きなドラが鳴った。3つ、4つ、5つ。何かを叩き起こすかのように、10度激しい音の衝撃が走った後、再び静寂が訪れた。
俺は反射的に牢の奥を振り返った。奥はかなり深く、蝋燭の明かりが通路に灯されているだけでは奥まで見ることはできなかった。だが、何かが奥から近づいてくるのはわかった。
重量感のある巨大な生き物が、のそりのそりと近づいてくる。
やがてそれは蝋燭の明かりの前に姿を現した。
「ドラゴン・・・?」
そう、それは紛れもなくドラゴンだった。どんな刃物も寄せ付けないような固い鱗に覆われた大きな頭が見えた。体も優に10メートルはある。そして、俺は死刑の意味を悟った。
黄色く光る爬虫類の目が俺に向けられた。そして耳を劈くような咆哮を上げた。
城全体が揺れているようだ。俺は耳を塞いでその場にうずくまるしかなかった。
次の瞬間、ドラゴンは俺を地面に組み敷いていた。鋭い爪で幾度も引っ掻かれ、身につけていた衣服はすでにぼろ布のようになっていた。
絶体絶命のピンチだった。だが、ドラゴンは数トンはあろうかという体重で俺を押さえつけたまま、それ以上攻撃してこようとはしなかった。そしてゆっくりと俺のあるものに向かって腰を下ろし始めた。
まさか・・・?
固い鱗に覆われた中に、小さな割れ目があった。そこがパクリと口を開け、俺のモノを飲み込んだ。
「うあっ!」
突き上げる不思議な感触に動かない体を捩った。ドラゴンの発達した逞しい筋肉が、俺の肉棒を容赦なく締め付け、押し潰し、そして躍動していた。
そして、俺は限界を迎えた。恐怖と快感とがない交ぜになって、意識が白くフェードアウドしていくのがわかった。

どれくらい時間が経っただろうか?次に気がついたとき、俺は暗闇の中にいた。
いや、遠くにうっすらと蝋燭の明かりが見える。どうやら牢の奥のほうにいるようだ。
意識がはっきりしてくるにつれ、俺は自分の身に起こったことを再確認した。
俺はドラゴンに襲われて、それから・・・?
辺りを見回してみる。不思議なことに、明かりがほとんどないにもかかわらず、俺の目はだんだんと闇の中にあるものが見えるようになった。だが、肝心のドラゴンの姿がない。
見えるのはゴツゴツした自然の洞穴の壁面と、遠くにある鉄格子だけ。
そして、ふと自分の体を見て驚いた。太い3本の指と鱗に覆われた腕、脚、そして背後で揺れる丸太ほどの大きさの尻尾。そして男の俺にはないはずの股間の裂け目・・・。
「これは・・・俺の体が・・・?」
そう呟いたつもりだった。だが、自分の耳に聞こえたのはグルルルというような唸り声だけ。
その瞬間全てを悟った。俺はドラゴンになったのだ。新たな地下牢の主として。
そして、この状況から解放されるには、いつくるかも知れぬ最大級の犯罪者が牢に入れられるのを待ち、その男を犯すことだけ。
だが、俺は妙な興奮に駆られていた。下手をすれば数年はこの暗闇で過ごすことになるというのに、不安はなかった。命が助かったからではない。それは確かだったが、そんなことを考えるのも無意味なことだ。俺は恐らくは前にいたドラゴンがそうしていたように、床に寝そべって解放のドラが鳴るのを待つことにした。



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