竜の女王

    

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見渡す限りの大海原。穏やかに揺れる船の舳先が、紺碧の水面を滑らかに滑っていく。
俺は甲板で辺りにたち込める潮の香りを一杯に吸い込むと、船室で待っていた船長のもとへと急いだ。
そろそろ、待ちくたびれた船長が葉巻をふかし始める頃合だろう。
二十歳を迎えた俺は、学生時代にせっせと貯めたお金で世界旅行を計画した。
だが、所詮バイトで稼いだ額など高が知れている。
さすがに飛行機で各地を回ることはできず、俺はしかたなく遠洋漁業用の船に乗せてもらうことにしたのだ。

「すみません、遅れちゃって」
「遅れるのは構わんさ。時間はたっぷりある。だが、ワシが待っていられるのはこの葉巻がある間だけだぞ」
そういうと、すでに3本目に突入していた茶色い筒を口から離して船長が笑った。
「それで?目的地はどこだったかな・・・ああ、ここか・・・ふーむ・・・」
テーブルの上に広げられた海図に指を這わせ、船長が1人で考え込む。
「行けますか?」
「もし行けなきゃ、君を乗せたりはせんよ。ただ、ちょっと気になることがあってな」
「何か?」
俺がそう聞くと、船長は黙って海図上の1点を指差した。
そこだけ地図が書き込まれておらず、ぽっかりと穴が空いたようになっている。
「ここから行くとしたら、この海域を通らにゃならん」
「何も書かれてませんけど・・・ここは何ですか?」
「さあな・・・海図の調査団体も、ワシら漁師ですらも、そこに何があるのかはわからんのだ」
そう言いながら船長は短くなった葉巻を床の缶に投げ捨て、新たな葉巻を箱から取り出して口に咥えた。
「何もないかも知れんし、何か島のようなものでもあるのかも知れん。いずれにしろ・・・」
葉巻に火をつけて一服し、船長が後を続ける。
「その海域に入って無事に出てきた船はいまだかつてないそうだ」
「迂回する方法はないんですか?」
「そうだな・・・そうすると大陸を1つ大回りすることになる。10日から2週間は到着が延びるぞ」
それは、俺にとって受け入れ難い時間の浪費だった。
ただでさえ短い休みを利用して出てきているのだ。移動にそんなに時間をかけてはいられない。
「うーん・・・無事に抜けられますか?」
「まあ、ワシも本当なら危険は冒したくないんだが・・・どうしてもというなら今回だけ行ってみるとしよう」
「ありがとうございます」

船長との打ち合わせを終えると、俺は再び甲板にやってきた。
舳先で砕けた海水が霧状になって辺りに降り注ぎ、じわりとした湿り気を肌に塗りつけていく。
入ったが最後誰1人として無事に出てきたことがないという謎の海域・・・
そこに何があるのか想像しただけで、軽い不安とそれ以上の好奇心にかられてしまう。
世界には、まだまだ俺の知らないことがたくさんあるのだ。
少し風が冷たく感じ始め、俺は寝具のある部屋へと取って返すとベッドの上でウトウトとうたた寝を始めていた。

次に目を覚ました時、辺りはすでに暗くなっていた。
もぞもぞとベッドから這い出し、操舵室へと向かう。
すると、船長が額に玉のような汗を浮かべながら舵を握っていた。
「どうかしたんですか?」
「ん?ああ、起きてきたのか。いや、そろそろあの海域に入る頃なんだが、どうにも胸騒ぎがしてな・・・」
確かに、空に浮かぶ満月が煌煌と辺りを照らし出し、青白い靄のようなものが辺りに立ち込めている様はどこか不気味ささえ感じられる。
「で、でも空だって晴れてるし・・・異常はないんじゃ?」
「だがコンパスは狂ってきている。こんな磁気の乱れが起こる原因はワシの知るところ2つしかない」
「2つ?」
船長は舵を握る手に力を入れながら、ゆっくりと俺の方を振り向いた。
「1つは・・・特定の海域で飛行機や船が行方不明になるという話を聞いたことがあるだろう?」
「ああ、あの何とかのトライアングルっていう奴ですね」
「そうだ。乱磁気の原因は諸説あるが、海域を囲んでいる島々にその原因があるだろうことは容易に推察できる」
船の前方に視線を戻し、船長は俺が何かに気付くのを待っているかのように時間を置いた。
「あれ?でもあの海図にはこの周辺に島なんてなかったはずじゃ?」
「そう、ここはそんな局所海域ではなく、あくまで2つの大陸に挟まれた広大な海洋そのものなんだ」
「じゃあ、2つ目の原因は?」
もしかしたら、俺はそれを聞くべきじゃなかったのかもしれない。
「巨大な生物の・・・体内電気だ」
船長は、何かに視線を釘付けにしたまま声を絞り出した。
その様子に、俺もつられるようにして前に視線を向ける。そして、目に飛び込んできた光景に声を失った。

恐ろしく巨大なドラゴンの首が、海面から突き出してこちらを睨み付けていたのだ。
顔の幅だけでも、優にこの船の2倍以上はあるように見える。
そのドラゴンの顔にニヤッという笑いが浮かんだかと思うと、首が静かに海中へと潜っていった。
「いかん!逃げるぞ!」
船長は突然そう叫ぶと、大慌てで操舵室から甲板へと飛び出した。
わけもわからぬまま、俺もその後ろをついていく。
すると、船長は微塵の躊躇いもなく船の後尾から海へと飛び込んだ。
ザバーンという大きな水音が上がり、それに少し遅れて船長の声が聞こえてくる。
「早く飛び込め!」
「ええ!?なんで?」
「いいから早く!」
だが、その一瞬の躊躇いが運命を分けたようだった。
ゴゴゴゴゴ・・・
突如、船が下から何かに激しく突き上げられた。
物凄い力で船が持ち上げられたかと思うと、そのまま数十メートル上まで一気に跳ね飛ばされる。
「うおおっ!?」
俺は甲板の手摺を掴むことすらままならず、船とともに宙へと舞い上げられた。
次の瞬間、バクンという音とともに船が海面から突き上げた巨大なドラゴンの口の中に飲み込まれる。
「うわああああああああ!」
俺は間一髪の所でドラゴンの口の外に漏れたお陰で食われずに済んだが、このままでは成す術もなく遥か眼下の海面に叩きつけられてしまう。
辺りに響き渡るドラゴンの轟音のような唸り声を聞きながら、俺は勢いよく迫ってくる水面を前に気を失った。

ザー、ザザー・・・
「う・・・んん・・・」
次に気がついたとき、俺はどこかの島の砂浜に打ち上げられていた。
すでに夜は明けていて、海に浸かった膝から下が寄せては返す波に洗い流されていく。
「こ、ここは・・・?」
湿った砂に埋もれた顔を持ち上げて辺りを見回してみるが、砂浜の奥に森が広がっている他は何も見えなかった。
一体ここはどこなのだろうか?俺はあの時・・・巨大なドラゴンに船ごと食われかけて気を失ったんだっけ。
じゃあ、ここはあの海域の近くにある島なのだろうか?
「い、いててて・・・」
体を起こそうとすると、全身が軋むように痛む。
骨折などはしていないようだが、相当な高さから水面に打ちつけられてここまで漂流してきたのだから、多少どこか痛めていたとしても不思議はない。
俺より先に海に飛び込んだ船長の姿はどこにも見当たらなかった。
とにかく、島の中を調べてみるしかないだろう。もしかしたら、誰かが住んでいるかもしれない。
俺は痛む体を無理矢理引き起こすと、フラフラとよろめきながらジャングルを思わせるような鬱蒼とした森の中へと入っていった。

ズッ・・・ズッ・・・
草木を掻き分けるようにして森の中を突き進んでいくと、どこからか足音のようなものが聞こえてきた。
咄嗟に息を殺して、茂みの中から音のした方を窺う。
「あ、あれは・・・ドラゴン・・・?」
見ると、奥の小道を小柄な緑色のドラゴンが歩いている。まるでどこかへ向かっているようだ。
後を尾けてみようか・・・いや、そんなことをして何になるっていうんだ。早く誰か人間を見つけないと・・・
すると、ブツブツと茂みの中で呟いていた俺の上に突如大きな影が覆い被さった。
「え・・・?」
何かが後ろにいる!
ギョッとして背後を振り向くと、大きな赤い鱗に覆われたドラゴンが俺を見下ろしていた。
「なんだ貴様は・・・一体どうやって人間がこの島に入ってきたのだ?」
ドラゴンが俺をギッと睨みつけながら問い詰めてくる。
「え、いや、その・・・う、うわあああ!」
その鋭い眼光に肝を潰され、俺は脱兎の如くその場から逃げ出していた。
滅茶苦茶に葉や枝を押しのけながら後ろも振り返らずに道なき道を突き進み、ドラゴンが追ってこないことをひたすらに祈る。

どれくらい走っただろうか。俺は恐怖と疲労に消耗して草の中にドサリと倒れ込んだ。
幸い、あのドラゴンは俺のことを見逃してくれたらしい。
柔らかい土の上に寝転んでハァハァと大きく息をつきながら、俺はドラゴンの言葉を反芻していた。
"どうやって人間がこの島に入ってきた"?それはつまり、この島には人間がいないってことじゃないか。
一体、この島は何なんだ?俺、生きて帰れるんだろうか・・・?
不安が徐々に膨れ上がってきたが、とにかくもう少しこの島について調べてみる必要があるだろう。
とりあえず、今はこの動悸をしずめないと・・・
そう思って胸に手を当てた瞬間、俺の鼓動はさらに激しく跳ね上がった。
こげ茶色の鱗を纏った大きなドラゴンが、頭の方からぬっと首を突き出して俺の顔をじっと覗き込んでいたのだ。
「あ・・・ああ・・・」
そんな・・・ここにもドラゴンが・・・だめだ、もう逃げられない・・・
おもむろに、俺の首に向かって鋭い爪の生えたドラゴンの腕が伸びてくる。
殺されるという恐怖に、俺はぎゅっと目を瞑って身を固めることしかできなかった。

ガシッという音とともに、俺はドラゴンに頭を掴まれた。
「ひぃぃ・・・」
頭蓋をすっぽりと覆ってしまうような強大な手に、思わず消え入るような悲鳴を上げてしまう。
「ククク・・・捕まえたぞ」
ドラゴンはそう呟くと、頭を掴んだままグイッと俺の体を持ち上げた。
「う、うぐぐ・・・」
そして、そのまま茶色い細かな鱗に覆われた尻尾をグルグルと巻きつけられてしまう。
隙間なくぎっちりと俺の体に尻尾を巻きつけると、ドラゴンはようやく手を離した。
「うう・・・うぐ・・・」
微かな息苦しさに呻いた直後、尻尾の先端がクルンと顔に巻きつき口を塞がれてしまう。

ドラゴンは俺を完全に拘束すると、のそのそとどこかへ向かって歩き出した。
巣にでも連れ込まれて食われてしまうのだろうか・・・?
それとも、これまでに見たような大勢のドラゴン達によってたかって・・・?
「む、むぅ~~!」
俺は先行きの見えない不安に必死で身を捩って逃れようとしたが、ドラゴンはギュッと尻尾を引き締めて俺の体をきつく締め上げた。
「むぐ・・・ぐぅ・・・」
ギシギシと体中の骨が軋むような苦痛に耐え切れず、俺は口を塞いだドラゴンの尻尾に思い切り噛みついた。
だが、尻尾を覆った硬い鱗にはとても歯が立ちそうにない。
「静かにしておれ。生かして連れてこいということだが、あまり暴れるのならこの場で締め殺すぞ・・・」
生かして連れてこい?一体誰がそんなことを・・・
俺はドラゴンの静かな脅迫に抵抗を諦めると、なすがままに体の力を抜いた。
とにかく、俺は今すぐ殺されるわけではないようだ。少し様子を窺ったほうがいいだろう。

体に巻きつけられた尻尾の中でユサユサと揺られながらドラゴンの行く先を見守っていると、やがて森の切れ目が見えてきた。その奥の方に、何やら白い建物のようなものが見える。
ドラゴンが森を抜けると、その建物の全体像が目に飛び込んできた。
こ、これは・・・城?
空高く昇った太陽の光を反射して輝くそれは、明らかに人間が建てたと思われる巨大な城のようだった。
そして、開かれたままの城の扉の中へ、ドラゴンが吸い込まれるように入っていく。
西洋風の凝った装飾が施された豪奢なつくりの通路を通り、俺は大きなシャンデリアのかかった広間へと連れてこられた。
部屋の中央に数段高くなった大理石の台座が敷かれていて、その上で1匹のドラゴンが眠るようにして蹲っている。
「連れてきましたぞ、女王」
茶色いドラゴンが床に低く傅き、俺を尻尾で高く持ち上げたままそう叫ぶ。
その声に、女王と呼ばれたドラゴンが目を覚ました。
透き通るような淡い水色の毛をサワサワと靡かせ、頭に生やした紫水晶のように半透明な2本の角がこの上もなく美しい。
そしてゆっくりと茶色の尻尾に包まれた俺の方へと視線を向けると、妖しげな笑みを浮かべながら近づいてきた。
こ、今度こそ・・・俺は食われるんだ・・・
絶対に逃げられないという現実を嫌というほど突きつけられながら、俺はただただ死の恐怖に震えていた。

女王が近づいてくると、茶色のドラゴンは俺をスッと女王の前に差し出した。
角の色と合わさるような女王ドラゴンの紫色の瞳が、じっと俺を見据えている。
「ほう・・・お前だな、我が島を騒がせている人間というのは・・・」
女王はすらりと細い爪の伸びた水色の手を俺の顎に添えると、くっと顔を自分の方に向けさせた。
「う・・・うう・・・」
依然として口を塞がれているせいで、小さな唸り声しかあげられない。
だが、女王はそんな俺の様子をしげしげと見つめながら後を続けた。
「ふふふ・・・怯えておるわ・・・お前をどうするかは、後で私が決めてやる」
女王はそう言うと、茶色のドラゴンの方へと視線を移した。
「牢の中にでも繋いでおけ」
「はっ」

女王から命令が下されると、俺は茶色のドラゴンに地下にある薄暗い鉄格子のついた牢へと連れていかれた。
そして、扉の隙間から尻尾でポイッと牢の中へ投げ入れられる。
ドサッ
「うぐっ・・・」
「クククク・・・おとなしくしておれ。まあ、いずれにしろお前は誰かの餌になる運命なのだろうがな・・・」
ガチャリと扉が閉められると、ドラゴンはそう言って笑いながら階上へと上がっていった。
「そ、そんな・・・頼む、出してくれ!」
俺は鉄格子を掴んで大声で叫んでみたが、その声に答えてくれる者は誰もいなかった。
「う・・・うっう・・・」
しかたなく脱出を諦め、黒いレンガのようなものでできた石壁に背中を預けて床に蹲る。
散々な旅行だった。航海に出た船はドラゴンに丸呑みにされ、漂流した挙句にドラゴンばかりが棲むこんな恐ろしい島に流れ着くなんて・・・
その上、俺はドラゴンに囚われの身になって明日をも知れぬ命なのだ。
もしかしたら今すぐにでも、あの女王と呼ばれた美しいドラゴンが俺を食い殺しにくるかもしれない。
時折壁を伝って聞こえてくるドラゴン達の足音にビクビクと怯えながら、俺は2時間程暗い牢の中で絶望の時を過ごしていた。

ガチャリ
突然、地下牢へと続く扉が開く音が辺りに響き渡る。
鉄格子の間からそちらを覗き見ると、あの女王のドラゴンがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
「あ・・・ああ・・・」
予想通りの展開に、俺は鉄格子から離れて後ろの壁際まで下がった。
相変わらずサワサワと水色の毛を揺らしながら女王が牢の前に立ち、扉の鍵を開ける。
そして、薄ら笑いとも呼べる笑みを浮かべながら牢の中へと入ってきた。
「ま、待ってくれ・・・助けて・・・」
両手を前に突き出すようにしてドラゴンの接近を拒絶しながら、俺は涙ながらに叫んでいた。
端正な顔つきのせいであまり目立たなかったが、ドラゴンらしく口の端から鋭く尖った牙が顔を覗かせている。
その恐ろしい凶器から目を離せずにいると、女王は唐突に口を開いた。
「ひっ!」
一瞬食われるのかと思って俺は目を瞑ったが、次の瞬間女王の声が耳に届く。
「助かりたいのか?」
「・・・え?」
女王の発した意外な言葉に、俺は思わず呆けたような声を上げていた。

「た、助けてくれるのか?」
「ふふ・・・別にお前を殺すつもりなどない。私はただ、ある提案をしにきたのだ」
そう言うと、ドラゴンは俺から1メートル程離れた所で床に蹲った。
「提案?」
「私とともに暮らすつもりはないか?」
「と、ともに暮らすって・・・」
俺の目をじっと覗き込みながら、女王が後を続ける。
「何、簡単なことだ。毎晩、私の相手をしてくれればそれでよいのだからな」
「相手?なんの相手だ?」
「ふふふふ・・・知らぬとは言わせぬぞ。これに決まっておろう?」
ドラゴンは蹲った姿勢のまま器用に下半身をずらすと、しっとりと潤いを持った股間の割れ目を俺に見せつけた。
「お、俺にドラゴンの交尾の相手をしろってのか?そ、そんなこと・・・それより、家に帰してくれ!」
「家に帰してくれだと?ふふふ・・・仮にそれを私が認めたところで、どうやって島を出るつもりだ?」
「そ、それは筏を作るとか誰か他の人の船に乗せてもらうとか・・・」
そんな俺の案を、ドラゴンがフンと鼻で笑う。
「お前も、巨大な海竜を見ただろう?船など出せば、あっという間にそやつらの餌食になるだけだ」
「じゃあ・・・俺はもうこの島からは出られないのか・・・・・・」

深刻そうに頭を抱えた人間を見ながら、私は少しだけ希望を与えてやることにした。
「1つだけ、島を出る方法はある」
「ほ、ほんとに?」
「翼竜に人間どもの町まで乗せていってもらうがいい。私が説得すれば、彼らも聞いてくれるだろう」
人間の顔から、先程まで影を落としていた絶望の色が消えていくのが私にもわかった。
「だが、今の季節彼らは森の洞窟の奥で深い眠りについている。目を覚ますのは、まだ当分先の話だ」
「そ、そんな・・・」
「ふふふ・・・それまででよければ、私の相手になってもらえるか?」
だが、人間はまだ踏ん切りがつかないという様子で返事を渋っていた。
「で、でもその・・・なんていうか・・・」
「別に、嫌なら嫌で構わぬのだぞ?代わりにこの地下牢で暮らしてもらうだけだ。食事くらいは運ばせよう」
「う・・・それはさすがに・・・でも俺がドラゴンと・・・」
だが、それでも決断がつかなかったらしい。仕方ない・・・言うべきかどうか迷っていたが、最後の手段だ。

「今は島の食料が少なくなる時期だからな・・・ふふ・・・程度の差はあれ、誰もがみな腹を空かせている」
「え?」
突然の女王の話に、思わず聞き返してしまう。
だが、女王はあくまで独り言を呟くように俺から視線を外して淡々と後を続けた。
「飢えた誰かが私の目を盗んでここにやってきたとしたら・・・ふふふ・・・お前も無事では済むまい」
最後に、女王はツンと顎を上げると俺を見下ろすようにしてとどめの一言を付け加えた。
「まあ、恐らく3日ともたぬであろうな・・・ふふふふふ・・・」
「うう・・・わ、わかった、わかったから・・・助けてくれよ・・・」
このままここにいればいずれ誰かに食い殺される・・・先程まで感じていた恐怖を思い出し、俺は脅迫に負けて女王の提案を受け入れた。
「ふふふ・・・最初から素直にそう言えばよいのだ。では、早速寝室へ行くとしようか・・・ふふふふ・・・」
楽しそうに笑いながら牢を出ていく女王ドラゴンの後についていきながら、俺はこれでよかったのかとひたすら自問を繰り返していた。

夕暮れの日差しが差し込む回廊を女王の後ろについて歩きながら、俺は辺りをうろつく他のドラゴン達の好奇の目に晒されていた。
「あれか、捕えた人間というのは」
「グフフフ・・・これから女王様に食われるところなのだろう。そうとも知らずについていくとは、憐れな奴だ」
あちこちで囁かれるドラゴン達の声に、俺は視線を落として聞こえぬ振りをしていた。

しばらく誰もいない廊下を歩いていくと、女王は突き当たりにある一室の扉を開けて中に入っていった。
「これは・・・ベッド?ドラゴンもベッドで寝るのか?」
フサフサの尻尾を楽しそうに振りながら部屋に入っていく女王の後に続くと、大きな白いシーツのかけられたベッドが目に飛び込んでくる。
「ここは以前、人間が生活していた城なのだ。もっとも、島にいた人間達は我々に滅ぼされてしまったのだがな」
女王はそういうと、その巨体を跳ねさせてベッドの上にボンと飛び乗った。
広いダブルのベッドも、大きなドラゴンが上に蹲ると狭く見える。
「ふふふ・・・私も、意外とこの感触が気に入ってしまってな・・・お前には馴染みも深かろう?」
「あ、ああ・・・」
ベッドの上で妖艶な笑みを浮かべる水色のドラゴンの美しさに、俺はしばしその場で立ち尽くしていた。
「どうした、何を呆けている?さっさとお前もくるがいい」
クネクネと長い体を左右にうねらせ、ドラゴンが俺を誘う。
それに吸い込まれるようにベッドに近づくと、ドラゴンは端に寄って俺の場所を空けてくれた。
多少の期待と不安が入り混じりながら、俺も服を脱いでそのスペースへと潜り込む。

ベッドの上でドラゴンと並ぶように寝そべると、女王は俺の首の後ろに肌触りのよい柔らかな腕を回してきた。
そして、俺の頭を近くに寄せ、首筋にペロペロと舌を這わせ始める。
「ふふふ・・・人間を味わうのは何年振りのことか・・・」
女王の高潔なイメージとは程遠い分厚い舌で舐め回されながら"味わう"などという言葉を聞かされると、思わず俺はこれから食われてしまうのではないかという錯覚に陥ってしまう。
「あふっ・・・」
片足に尻尾を巻きつけてスリスリと愛撫しながら、女王の舌が俺の耳へと移動した。
「心地よかろう?ふふふ・・・こんなところを他の雄に見られたら、お前は八つ裂きにされてしまうだろうな」
「うっ・・・」
足に巻きついていた尻尾が解かれ、その先端が太腿を這い上がってくる。
そして、すでに固く聳え立っていた俺のペニスに繊細な毛尾がシュルリと巻きつけられた。
「それ・・・」
シュル・・・シュル・・・
「ふああっ・・・」
フサフサの尻尾がペニスを巻きとるように前後に動かされ、まるで羽毛に包まれて愛撫されているような快感が股間から突き上げてくる。
それと同時にドラゴンの手が動き、俺の胸から生えた赤い蕾をクリッと摘み上げた。
「ひゃあ!」
「ふふ・・・どうした、お前も私を責めてくれてよいのだぞ?私の玩具になっているだけではつまらなかろう?」
うっとりとした笑みを浮かべながらも、女王はその宝玉のような紫の瞳で俺の目を食い入るように見つめていた。

「ふふふふ・・・」
女王は相変わらず尻尾で俺のペニスを優しく揉みしだきながら、自らの割れ目をすっと俺の前に押し出した。
「さあ・・・お前の好きなようにするがよいぞ・・・ふふふ・・・」
ショリッ
「うくっ・・・」
先程までよりも強くペニスの裏筋を擦り上げられ、その快感に俺は反射的にドラゴンの性感帯へと手を出させられていた。
そしてトロトロと熱い愛液を滴らせる割れ目を広げ、中へゆっくりと指を入れる。
「ふふふ・・・何も遠慮することはない・・・お前がやらぬというのなら・・・」
ショリショリショリ・・・コリリッ
「うああっ!」
「私がお前を責めるだけだからな・・・ふふ・・・ふふふ・・・」
じっとりを俺を睨め回しながら女王が更に尻尾を小刻みに震わせ、俺の乳首を細い爪の先で弄ぶ。
頭の角と同じように透き通った紫ガラスのようなドラゴンの爪が翻る度に、俺は快感と羞恥に体を跳ねさせた。

「どうした、手が止まっておるぞ?そら、もっと奥まで入れぬか・・・」
言いながら、女王が肉襞をヒラヒラとはためかせて指先まで割れ目に入れていた俺の手を膣の中へと吸い込む。
ジュブッ
激しい水音とともに、煮詰めたばかりの熱いジャムの中に手を突っ込んだかのような感覚がじわりと広がった。
「あう・・・う・・・」
ほとんど、俺はこの妖艶なドラゴンの意のままに操られていたと言っていいだろう。
ペニスに擦りつけられる極上の竜毛が、乳首を捻り上げる耽美な竜爪が、そして俺の手を舐めしゃぶる淫靡な竜膣が、鉋をかけるように俺の理性をみるみる削り取っていく。
「ふふふふ・・・一足先に、その手で私の中を味わってみるがいい」
グチュグチュッという音とともに、肉襞が俺の手をきつく挟みつけた。
それと同時に膣の入口が固く締まり、手が抜けなくなる。
「ひっ・・・ま、待って・・・」
ドラゴンの最も嗜虐的な空間に片手を拘束され、俺は軽いパニックに陥って女王を制止した。

「なんだ、今更怖気づいたのか?」
「い、いや・・・た、頼む、ちょっと待ってくああっ!」
柔らかい尻尾でペニスをギュッと締め上げられ、抗議の声が途中から嬌声に変えさせられる。
「ふふふ・・・喋る暇があるのなら少しは私を責めてみたらどうなのだ?こんなふうにな・・・」
その言葉とともに手の平を挟む左右の肉襞が互い違いに波打ち、手が揉みくちゃに掻き回された。
「わ、わああぁ・・・」
俺はその責めにも特に快感は感じなかったが、この手がもし自分のペニスだったらと想像して背筋が寒くなった。
何しろ、相手はドラゴンの女王なのだ。
屈強な雄のドラゴン達ですらも容易く捻じ伏せ、屈服させてしまう最強の性器。
その恐ろしい蜜壷の中に、俺は今片手を囚われて弄ばれている。
俺なんかがどう足掻いたところで、とても敵うはずがなかった。
「ふふふ・・・情けない奴め・・・まだ夜は長いというのに、もう降参するのか?」
コリコリと乳首を揉みしだきながら、女王がもう一方の手を俺の頬に添える。
そして、尖った爪の先で慈しむように俺の頬を撫でおろした。
「う・・・うう・・・こ、降参するから・・・や、優しくしてくれ・・・」
「ふふふふふ・・・よかろう、夜通し可愛がってやろうぞ・・・」
女王はそう言うと、俺の手を嬲っていた膣から力を抜いた。
手の平に纏わりついた愛液をしごき取るように、膣の入口をきつく締めつけながら湯立った手が吐き出される。
そしてそれは、これからいよいよ女王ドラゴンとの本番が始まることを意味していた。

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