竜達の苦労

    

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ドラゴンの卵・・・それは世界に数ある珍味の中でも、最高級の味と稀少さを兼ね備えた幻の一品。
当然といえば当然だが、それを手に入れるためには相応の危険を冒す覚悟がなくてはならない。
なぜならこの卵は当然ドラゴンの棲む洞窟や森の奥深くまで獲りに行かなくてはならないのだが、ドラゴン達はこと繁殖の時期になると卵や産まれたばかりの子供達を守るために凶暴になるのだ。
不用意に人間などが彼らの縄張りに足を踏み入れようものなら、たちまちその恐ろしさを身をもって味わわされることになるだろう。

生物の気配が感じられない辺りに細心の注意を払いながら、俺はドラゴンの卵を求めて森の中を突き進んでいた。
富豪層に依頼を受けてドラゴンの卵を盗み出してくる・・・簡単な仕事だ。
少なくともこの俺にとっては、という意味だが。
直径40cm程度の真っ白に輝く竜卵は、たった1つ売るだけで1週間は遊んで暮らせるだけの大金が手に入る。
だがまずは、ドラゴンの住処を見つけなくてはならない。
そしてそれから初めて、ドラゴン達の目を盗んでお宝を盗み出すための段取りを考えるのだ。

木々の間を擦り抜けながら辺りを見回すと、ずっと奥の方に洞窟がぽっかりと口を空けているのが見える。
5mはあろうかという天井の高さが、それが大型の動物の住処であることを示していた。
どうやら、今夜も美味い食事にありつけるかもしれない。
俺は内心ニヤリとほくそえむと、そろそろと足音を立てないように洞窟に忍び寄った。
奥まった洞窟の闇の中を見渡すように首だけをそっと突き出してみると、踏み拉かれた木の葉を積み重ねて作られた台座の上にドラゴンの卵が1つだけ静かに安置されている。
それを確認して顔をほころばせると、俺はさらに首を巡らせて死角になった洞窟の最奥に目を凝らしてみた。
ほとんど何も見えないほどに真っ暗な洞窟の奥から、なにやら声のようなものが聞こえてくる。
「うぬ・・・ぅ・・・も、もう少し手加減してくれぬか?」
「なによ、情けないわね。まだ私は本気じゃないのよ」
ようやく意味のある言葉が聞き取れるほどまで近づいてみると、巨大な黒と桃色の影が複雑に絡み合っていた。
いや、よく見れば黒い影を桃色の影が押し倒しているような格好をしている。
複雑に見えたのは、天井に向かって伸びる大きな翼や地を這う尻尾のシルエットのせいだろう。
そして次の瞬間目に飛び込んできた光景に、俺は思わずゴクリと息を呑んだ。
屈強な鱗に覆われた雌雄のドラゴンが、まさしく今俺の目の前で繁殖の行為に耽っていたのだ。

「ほら早く出しなさいよ。あと10個は産まなきゃならないんだから」
「そ、そんなことを言ってもだな、ワシにも限界というものが・・・うあっ」
少し離れたところの物陰に隠れていた俺の耳にも、グシャッという何かを押し潰すような鈍い音が聞こえてくる。
それと同時に、恐らくは雄のドラゴンであろう黒い影がビクンと痙攣して悲鳴を上げた。
「あら、まだいっぱい出せるじゃないの。言っておくけど私を騙そうなんて考えたらただじゃおかないわよ」
「あぐぐ・・・」
快感に震えているのか、雄のドラゴンはなじるように投げかけられたその言葉にも消え入るような呻き声を返すばかりだった。
どうしよう・・・番いのドラゴンが両方ともいるなんて・・・
でも今はお取り込み中のようだし、こっそり卵を奪って逃げるのはできなくもないような気がする。
「た、頼むから今日はもう勘弁してくれんか」
「もう・・・そんな調子じゃ先が思いやられるわね」
ははは、全くだ。ドラゴンの夫婦にもかかあ天下というのか、雄が雌の尻に敷かれるということがあるのだろう。
すぐ目の前で繰り広げられているドラゴン達の滑稽なやり取りに、俺は思わずクスッという小さな笑い声を上げてしまった。
だがその微かな空気の振動が、熱く燃え上がっていた2匹のドラゴン達の耳に届いてしまう。

「む?だれかいるぞ」
突然、雄のドラゴンは妻の体を押し退けるようにして起き上がると、巨体を揺らしてこちらへと近づいてきた。
まずい、こんなところをドラゴンに見つかったら間違いなく殺されてしまう。
だが逃げようと体を浮かせる暇もなく、あっという間に俺の姿を見つけたドラゴンがじっとこちらを睨みつけていた。天を衝くような黒い翼が、一瞬にして俺の視界を覆い尽くす。
「あ・・・」
「ほう、人間がいるとは・・・まさか、ずっとそこで我々の様子を窺っていたわけではなかろうな?」
「え・・・い、いや、そんなことは・・・」
言葉ではそう否定しつつも、俺は思わず雌のドラゴンにたっぷりと精を搾り取られたであろう股間の肉棒へとその視線を移してしまった。
その瞬間、巨大なドラゴンの手に首根っこをガシッと掴んで持ち上げられてしまう。
「フフフ・・・嘘が下手なようだな・・・」
「あ・・・う・・・た、助けてくれ・・・」
「フン、今更命乞いか?大方我々の卵でも狙ってここへ忍び込んだのだろうが、お前の命運も尽きたようだな」
遠回しに死を宣告され、俺は猫のように中空に吊り下げられたまま顔を青褪めさせた。
そして発情期特有の妖しい目つきをした雌のドラゴンの前へ、ポイッと放り投げられてしまう。
ドサッ
「うぐっ・・・」
背中を強か地面に打ちつけてしまい、俺は痛みに顔をしかめて洞窟の天井を見上げた。
その視界の中に、2匹のドラゴンの恐ろしい顔が割って入ってくる。

「ああぁ・・・た、助けて・・・」
もはや、どこにも逃げ場はなかった。明らかに獲物を見つめるような鋭い4つの視線に晒され、心臓がギュッと握り潰されるような恐怖が湧き上がってくる。
「どうするかはお前に任せるぞ。ワシは少し休んでくるとしよう」
雄のドラゴンは妻に向かってそう言うと、黒い鱗に覆われた体を揺すりながら洞窟の外へと出ていった。
だが桃色の鱗が美しい雌のドラゴンは、相変わらずじっと俺の顔を睨みつけている。
そして、おもむろに俺の胸をドスッと片手で地面に押しつけてきた。
「や、やめてくれ・・・頼む・・・」
胸を圧迫する手から生えた鋭い鉤爪に恐れをなして、俺はか細い声で雌のドラゴンに訴えた。
「ウフフ・・・だめよ。だらしない夫の代わりに、あなたに相手をしてもらうわ」
「か、代わりってまさか・・・」
ビリリッ
「うあっ!」
俺の声を封じ込めるかのように、ドラゴンがその鉤爪を一閃した。
着ていた服とともに胸の皮膚がその鋭利な刃物に切り裂かれ、薄っすらと血が滲んでくる。
「ひぃっ・・・い、いやだ・・・」
胸に走った痛みと恐怖に、俺は必死で起き上がると這うようにしてドラゴンの元から逃げ出した。
だが、今度は上を向いた背中に鉤爪の一撃が加えられる。
ズバッ
「ぐああ!」
胸と同じようにして皮膚ごと服を引き裂かれ、俺はそのまま前のめりに地面へと倒れ込んだ。
だがドラゴンは容赦なく俺の体の上にのしかかると、無遠慮に振るう鉤爪で体中の服を引き裂いていく。

|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|