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希望の卵

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匿名ユーザー

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地を這う人間達の遥か頭上をゆったりと飛びながら、レモンのように眩しい黄色い体毛に覆われたドラゴンが下界を見下ろして深い溜息をついた。
「ふう・・・一族の掟とはいえ、このような者どもの中から伴侶を選ばねばならんのか・・・」
つい数日前に人跡未踏の山奥にひっそりと存在するドラゴンの里を旅立った彼女は、これから先の生涯をともにする者を見つけるために連日雲の切れ間から自分に相応しい人間を探していたのだ。
雄のドラゴン達は外界で暮らすことが多かったが、そのほとんどが心無い人間達によって狩り出され、すでにその存在が絶えて久しかった。
それ以来、生き残った雌のドラゴン達は不本意ながらも人間を伴侶として里で暮らすことに決め、これまで子孫を残してきたのだ。だが、人間を里に引き入れ始めてからの約100年間、待望の雄のドラゴンが産まれることはついになかった。

結局、人間と我らの間には屈強な雄のドラゴンは産まれ得ぬのではないのだろうか・・・
希望と落胆の1世紀を過ごしていくうちに、ドラゴン達の間にそんな不安が広がった。
だとすれば、もはやドラゴンには絶滅の道しか残されていないことになる。
これといった人間に目星をつける前から、私はすでに暗い気持ちになっていた。
「まあいい・・・さっさと適当な人間を連れ帰るとしよう。それでもだめなら代わりを見つけるまでだ」
風に靡かせた翼をバサッと折り畳むと、薄い大気の層の中を急降下する。

人目につかない小さな山の小道を歩いていた若者に向けて、白羽の矢ならぬ黄翼の塊が垂直に落下していった。
バサァッ!
「えっ?」
一瞬にして若者の体を抱き抱えると、ドラゴンが再び翼を翻して上昇する。
「う、うわあああ!」
足が地を離れた感覚。巨大な何者かに捕えられた恐怖。空気を叩くような大きな羽音。
突然流し込まれた異常を告げる情報に混乱し、若者がパニックになる。
手足をバタつかせてドラゴンの胸元から逃れようとした若者を落とさないようにしっかり抱き締めると、彼女は岩山の中腹にぽっかりと口を開けていた洞窟の中に一旦身を降ろした。
バサッバサッ・・・ドサッ
「ぐあっ!」
着地の衝撃で思わずドラゴンが手を離してしまい、若者が固い岩の地面の上へ投げ出された。

「な、何だ一体?」
痛みを意に介する暇もなく、俺は突然眼前に立ち塞がった不思議な生き物に目が吸い寄せられた。
じっと鋭い視線を俺のほうに投げかけている透き通るように蒼い眼。
その眼光を際立たせるように、鮮やかな黄色の体毛が巨大な体をすっぽりと覆っている。
その背中からは体よりも大きい翼が広がり、しなやかでいて力強さを秘めた尻尾がその背後で揺れていた。
「ド・・・ドラゴン・・・?」
獲物を射竦めさせるような瞳に睨まれ、俺は本能的な恐怖を覚えた。
辺りを見回しても、そこは絶壁に囲まれた岩の袋小路。とても逃げられそうにない。
次の決断に迷っていると、ドラゴンが突然口を開いた。
「一度しか言わぬからよく聞くのだ」
「え・・・?」
全く整理のつかぬ頭でドラゴンの次の言葉になんとか神経を集中させる。
こいつはなんなんだ?一体何を言うつもりだ?いや、そもそもなんで俺をこんなところに・・・
「お前は今から・・・私の夫になるのだ」
「・・・・・・お、夫・・・?」
予想だにしていなかったその言葉に、目まぐるしく駆け回っていた俺の思考が一瞬、停止した。

しばしの沈黙の後、ようやく幾分かの落ち着きを取り戻した俺はおすおずと口を開いた。
「よ、よくわからないんだが・・・こ、断わったらどうなるんだ?」
ドラゴンの表情に何も変化は見られなかったが、次の言葉には複雑な感情が入り込んだようだった。
「そ、そのときは仕方がない。代わりを探しに行くまでだ」
「そ、そうじゃなくて、俺はどうなるんだよ?元の場所に帰してくれるのか?」
「私の姿を見てしまったからな。このまま生きて帰すわけには行かぬ。断るというのならば・・・」
ドラゴンがズイッと前に進み出た。明らかに危険な雰囲気を放っている。
「ちょ、ちょっと待て、俺にも断わる権利ってものが・・・うわあっ!」
突然、ドラゴンが飛びかかってきた。避ける間も抵抗する間もなく一瞬にして硬い地面に組み敷かれる。
「黙れ。お前に断わる権利などないのだ」
そう言って少しだけその大きな口を開く。
「うう・・・」
まるで刃物の先端かと思うような鋭く尖った牙が所狭しと並んでいる。
「今すぐ私の伴侶となるのか、この牙がお前の喉笛に突き刺さるのか、好きな方を選べ」
なんだそのむちゃくちゃな強制は・・・俺に選択肢などないじゃないか・・・それはあまりに・・・ひっ・・・
答えを迷っている間にも、恐ろしい刃の森が首筋に向かって迫ってくる。

ツー・・・
「わ、わかった!夫になる!なるから助けてくれ!」
牙が喉に触れた瞬間、俺は恐怖に駆られてそう叫んでいた。
それを聞いて、ドラゴンが口を離す。
ハァハァと荒い息をつきながら怯えた目でドラゴンを見つめる俺を見下ろしながら、ボソリと呟く。
「フン、初めから素直にそう言えばよいのだ。手間をかけさせおって」
うう・・・こんなドラゴンの夫になるなんて言って大丈夫なのか・・・?
ドラゴンはクルリと俺に背を見せると、長い首を巡らして顔だけをこちらに向けた。
「さっさと起きろ。行くぞ」
「ど、どこに・・・?背中に乗れって言うのか?」
「前の方がよいのか?」
ドラゴンの口元に不気味な笑みが浮かんだ気がした。おとなしく背中に乗った方がよさそうだ。
「せ、背中に乗るよ」
「フン・・・」

ドラゴンの大きな体は、意外に乗り心地がよかった。柔らかい体を覆う滑らかな短毛が肌に当たり、快感にも似た不思議な感触を撫でつけてくる。
「しっかり掴まっていろ。落ちても拾いには行かぬからな」
「あ、ああ」
ドラゴンの首にしっかりと腕を巻きつけ、翼の付け根に膝を乗せる。これならたとえ逆さまになったとしても滅多な事では落ちずに済むだろう。
俺がしっかりと掴まったのを確認すると、ドラゴンが大きく羽ばたいた。
すぐそばで巨大な翼膜が暴れているというのに、ドラゴンの背中にはほとんど空気の揺れすらも伝わっては来なかった。
どこにこの巨躯を浮かばせる力があるのかというほど、ドラゴンの体があっさりと大地を離れる。
「どこに行くんだ?」
「我らの里だ。お前もそこで暮らすことになる」
なるほど、誰にも知られてはいけないドラゴンの里か。案外、面白そうじゃないか。
俺は初めは不安と恐怖に押し潰されそうだったが、今はこの非日常的な状況を楽しむようになっていた。

バサッ、バサッ・・・
力強く飛びつづけるドラゴンの上から地上を眺めていると、やがて険しい山脈の上空に差しかかった。
人の足が踏み入った形跡のない原始の森、湖、盆地。
延々と続く峰の片隅に、ぽっかりと窪んだ土地が見える。
巨大な茶色のテントのようなものがいくつも立ち並び、何か動いているものも見えた。
「あそこに行くのか?」
「そうだ。我らの里、ドラゴンと人間が共存する唯一の場所だ」
そう言いながら、ドラゴンが高度を下げ始めた。徐々に里の全景が見えてくる。
茶色のテントに見えたのは、大木を寄り合わせたような円錐型の住処だった。
色とりどりの大きさも異なる多くのドラゴン達が、外を歩いているのが見える。
だが、どこを見ても人間の姿は全く見えなかった。
「本当に人間も住んでいるのか・・・?」
「人間はみな住処の中にいる。外に出るものはほとんどいないのだ」
まあ、これだけドラゴンがうろついていれば外に出る気もなくすというものだろう。

フワッと地面に着地すると、ドラゴンは真っ直ぐ自分の住処であろう1つの木洞に俺を連れて行った。
「お前は今日からここで暮らす事になる」
原始的な木でできた無造作な建物かとも思ったが、意外に文化の兆しのようなものも見て取ることができた。
寝床となるところには藁が綺麗に敷き詰められ、その横に木に巻きつくような蔓が束になって置かれている。
テーブルの代わりに天面が平らな石が部屋の中央に置かれ、とりあえず暮らすのに不自由しそうなのは食べ物くらいに思えた。
「へえ・・・」
物珍しいものを目の当たりにして足を止めていた俺を、ドラゴンが寝床の方へ引っ張った。
「そこに寝るのだ」
「ここが寝床なんだな。でも、今はまだ昼だろ?寝るのは早・・・」
「いいから早く横になれ」
有無を言わさぬ勢いで、ドラゴンは俺を藁でできた寝床に押し付けた。
そして、長く伸びた尻尾で俺の足をグッと締め付けると、両手に先程の蔓を巻きつける。
「な、何を・・・」
突然のことに状況が飲み込めずにいるうちに、俺はいつのまにか両手足を強靭な植物の蔓で寝床に縛り付けられてしまっていた。
「お、おい!どういうことだ?なんでこんなとこに縛り付けるんだよ!?」
俺は必死で叫んだが、ドラゴンは冷たい表情で俺を見下ろした。
「静かにしろ。お前の役目は私に雄のドラゴンを産ませること。ただそれだけだ」
「な、なんだって?聞いてないぞ、そんなこと・・・くそっ、騙したな!」
「うるさい人間め、静かにできぬのなら私が黙らせてやる」
そう言うと、ドラゴンは俺の着ていた服を噛み千切ってしまった。
あっという間に服が破り取られ、無防備な裸の姿をドラゴンの前に曝け出させられる。
「フフフフ・・・」
「何を・・・する気なんだ・・・」
待てよ・・・さっきドラゴンはなんて言った?
雄のドラゴンを産ませること・・・産ませるってことはまさか・・・?
俺の不安を知ってか知らずか、ドラゴンは妖しい笑みを浮かべながら呟いた。
「そんな卑小なモノで私の目的が叶えられるとは到底思えぬが・・・試してみるとしよう」
ドラゴンの視線が、身動きできぬ恐怖に縮み上がった俺のペニスに注がれていた。

まさか・・・俺はこれからドラゴンと・・・?
「ま、待ってくれ!し、静かにするから・・・」
「何を言っているのだ。これがお前の役目だと言ったはずだ」
「そんな・・・うああっ!」
俺の反論を封じるように、ドラゴンが俺のペニスをパクリと咥えた。
先程の剣山のような牙を思い出して一瞬ぞっとしたが、ドラゴンは牙を立てないように優しくペニスに舌を巻きつけた。
にゅりにゅりにゅり・・・
「はあ・・・あああ・・・き、気持ちいい・・・」
こんな得体の知れない生き物に弄ばれているというのに、絶え間なく与えられる甘美な刺激が否応無しに俺の理性を削っていく。
「フフフ・・・大事な子種だ・・・たっぷり可愛がってやるぞ」
分厚い舌の愛撫に耐え切れず、ペニスがムクムクと大きくなる。ドラゴンの暖かい口の中で、最大の弱点が激しく自己主張を始めてしまった。

ペニスがピンと屹立したのを確認すると、ドラゴンは口を離して俺の上に覆い被さってきた。
「1ついい忘れていたが・・・この里に連れてこられた人間のうち約半数は・・・」
「は、半数は・・・?」
ドラゴンが目を細めて先を続けた。不安にゴクリと唾を飲み込む俺の様子を明らかに楽しんでいる。
「我らの中に入れただけで力尽きてしまったそうだぞ」
「え・・・?」
一瞬の思考の間を与えられると、ドラゴンはその言葉の意味を悟った瞬間の俺のペニスを熱く蕩けた膣の中に飲み込んだ。
グチュグチュ・・・グチュ・・・
「はぅあああああ!あ、熱い・・・うああっ!」
ペニスにじっとりと絡み付く沸騰した愛液が、苦痛とそれにも勝る異常な快感を擦り込んできた。
「フフフフフ・・・まずは挨拶代わりだ。もし耐えられたならお前は正式に私の夫となる」
「ぐあああああっ!」
全身を激しく暴れ回る快楽の奔流に、手足を思い切りばたつかせる。
だが、無数の繊維が凝縮された丈夫な蔓を引き千切ることなど、人間の力では到底無理な話だった。

「おっと、そういえばお前を黙らせるつもりで始めたのだったな」
ドラゴンはそう言うと、体と同じように肌触りのよい黄色い体毛に覆われた大きな手で、俺の口をグッと塞いだ。
「むぅ~~むぐぐぅ~~!」
容赦なくペニスを嬲る快感の嵐に、俺は目をカッと見開いて塞がれた口から悲鳴を漏らし続けた。
「フフ、なかなか・・・お前のモノも悪くないぞ?」
興奮しているのか、ドラゴンの膣が時折ドクンと脈動する。その微細な刺激が、更にペニスに快感を叩き付けた。
ブシュ~ビュビュ~~
「ん~~~!んぐ~~!!!」
全く体も動かさず肉襞すらもが沈黙していたドラゴンの膣に、俺は成す術もなく大量の精を搾り取られた。
「おおお・・・」
「あ・・・ぅ・・・・」
ドラゴンが精を味わいながら恍惚の声を漏らすと、俺は限界を超えた強烈な快感に意識が遠のいていくのがわかった。

「う・・・」
夜になって、俺は目が覚めた。なんとか命は助かったらしいが、俺の手足にはいまだに蔓が巻き付いたままで、体は藁でできた寝床の上に大の字に縛り付けられている。
目を開けると、昼間のドラゴンが俺の顔を覗き込んでいた。
「生きていたようだな。安心したぞ」
「心配してくれたのか?」
「お前が死んだらまた新しい人間を探しに行かなくてはならなくなるからな。面倒はごめんだ」
意地の悪い微笑を浮かべながらドラゴンが言い放つ。
くっ・・・好き勝手言いやがって・・・
「だが、これでお前は私の夫だ。これからは毎晩、私と交わることになる。覚悟はいいな?」
「雄のドラゴンを産むって言ったよな?一体どのくらいで産まれるんだ?」
「1ヶ月だ。お前には少なくともこれから1ヶ月の間は休みなく私の相手をしてもらうということだ」
そう言いながら、再び俺の上にドラゴンが覆い被さる。
「え?・・・ちょ、ちょっと待てよ。それはあ、明日からの話だよな?」
「何を言う。雄のドラゴンが産まれるかどうかは我々の死活問題なのだ。1日たりとて無駄にはできぬ」
「な、なんでそんなに雄のドラゴンにこだわるんだよ?」
その問に、ドラゴンの目に怒りのようなものが宿ったのがわかった。
「雄のドラゴンは、お前達人間が滅ぼしてしまったのだ」
「人間が・・・?」
「100年ほど前のことだ。それ以来、我等は不本意ながらもお前達人間と交わることで・・・」
話の途中で、ドラゴンが油断していた俺のペニスを突然握り締めた。

「ふあっ・・・」
予期せぬ不意打ちに、俺は思わず仰け反った。
「雄のドラゴンが産まれることを心待ちにしてきたのだ」
スリスリスリッ
柔らかい体毛に包まれたドラゴンの手がペニスを擦り上げるだけで、快感の波動が全身に流れていく。
「はぅぅ・・・ま、まだ話の途中だ・・・ろ・・・ひゃあっ」
徐々に固く膨らんでいくペニスを、ドラゴンがグリグリとこねくり回した。
まるで無数の羽毛に包まれてシェイクされているかのように、逆らいがたい快楽に体が痺れる。
「黙れ。お前は黙って私に体を差し出していればよいのだ。いらぬことを聞くな」
ドラゴンはペニスを掴んだまま俺の上に跨ると、そのまま膣の中へペニスを捻じ込んだ。
「わっ、待て、まだ心の準備がうわあああ!」
縛られた手を精一杯引っ張って抵抗を試みたが、無情にもペニスがドラゴンの肉洞にあっさりと飲み込まれる。
ジュブジュブジュブ・・・
「あ・・・え・・・?」
また昼間のように焼けるような熱さに襲われるのかと身構えたが、意外にもそれは杞憂に終わった。
「ああそうだ・・・我らと交わった人間が死んだという話は嘘だ。少しお前をからかってみただけよ」
「な、なんだと?なんでそんなことを・・・」
「フフ・・・お前の必死の形相もなかなか楽しめたぞ」
グギュッ・・・
「うあ・・・」
「だが、本番はこれからだ。せいぜい本当に悶え死なぬように耐えることだな」
膣壁一面にびっしりと生えた肉襞が、俺のペニスを締めつけた。
昼間はただ入れただけで気絶させられたというのに、このドラゴンに本気で責められたら・・・
グリグリ・・・グチュ、グシッ、ズリュッ・・・
「わああああ・・・や、やめ・・・ろぉ・・・ひゃああああ・・・」
結果を想像して恐怖に襲われる暇もなく、ドラゴンの膣が、肉襞が、ペニスを容赦なくしごき始めた。

「うあ~~~!」
ビュビュ~~~~!
ドラゴン達の理性ですら揺るがせる怒涛の快楽に押し潰され、俺は耐える術もなく精を吸い取られた。
ヌチュッグチュッグリリッ
射精中の敏感なペニスを執拗に責め立てられ、人間の脆弱な意識など一瞬で消し飛びそうになる。
「あうぁ・・・」
再び意識が遠のきかけたとき、ドラゴンがいきなり大きな口で俺の口を塞いだ。
「気絶はさせぬぞ。お前も存分に快楽を楽しむのだ」
「あ・・・あぐぁぁ・・・」
ドラゴンに呼気を送り込まれ、飛びかけていた意識を無理矢理繋ぎ合わされる。
た、頼む・・・気絶させてくれぇ・・・お、俺にはきつすぎるぅ・・・
必死でドラゴンの口を引き剥がそうと首を捻ってみるが、俺の顔をすっぽり覆ってしまうような大きな手でがっしりと頭を押さえつけられ、どうやっても逃れる事はできなかった。
儚い抵抗を試みている間にも、限界を超えた快楽に第2、第3の射精を味わわされる。
「うぐ~~~!む~~~~~!」
し、死ぬ・・・助けてぇ・・・

快感という苦痛に悶える俺の心境を知ってか知らずか、ドラゴンが微笑を浮かべながら呟く。
「どうだ?至極の心地よさだろう?フフフ・・・」
「ん~!んん~~!」
涙を流しながら必死で苦しみを訴えると、ドラゴンが初めて異変に気付いた。
「どうした?そんなに苦しいのか?」
ドラゴンがようやく口を離し、怪訝そうな顔で俺に問い掛ける。
「も、もう、やめて・・・くれぇ・・・・・・これ以上は・・・死・・・ぬ・・・」
ブシュッという4回目の射精を最後に、ドラゴンの責めがピタリと止まった。
「はああぁ・・・・・・」
ペニスを根元から搾り上げたとどめの一撃に、今度こそ確実に意識が飛ぶ。
気が抜けたようにガクッと藁の上に横たわると、ドラゴンが小さく溜息をついたのが聞こえた気がした。

「ふう・・・こんな調子では子供を産むどころではないな・・・」
私は快楽に耐え切れず失神した人間の横に寝そべると、その顔をペロリと舐め上げた。
もっと丈夫な人間はいないのだろうか?それさえ見つけられれば、こんな情けない者など用はないというのに。
涙を流しながら憔悴し切った顔で横たわる人間を見ながら、私は落胆を隠し切れずにいた。
まあいい・・・いずれにしろ、1ヶ月後に卵を産んでしまえばもうこの人間など必要なくなるのだ。
それまでは、私も付き合ってやる。雄のドラゴンが産まれればよし、もし産まれなければ・・・
いや、これからしばらくの間共に過ごす者の最期を考えるのはよすとしよう。
過去に私を失望させてきた幾人もの憐れな人間の顔を思い起こしながら、私はその顔ぶれに目の前の人間が加わらない事を切に願った。

明くる日も明くる日も、人間は私との行為に耐え切れず気を失った。
「ぐあああ・・・も、もうだめ・・・だ・・・」
張り詰めていた緊張感が一気に消え去り、人間の体から力が抜ける。
「今日はこれまでか・・・」
こんなことでは丈夫な子供など到底産まれようはずもない。
さっさとこの男に見切りをつけて新しい人間を探しに行こうかという考えが、何度も頭の片隅を過ぎる。
だが、なにしろ私が無理矢理さらってきた身だ。
せめて生き延びるチャンスの1つも与えてやらなければ憐れというものだろう。
しかたない、明日は少し脅しつけてやるとしよう。

翌日、人間はいつものように早朝に目を覚ました。
弛緩した体が藁の寝床に押しつけられ、体中がギシギシと軋む。
だが、手足を縛られた状態ではろくに体を伸ばす事もままならなかった。
「起きたのか?」
「あ、ああ」
私は人間の意識がはっきりしている事を確認すると、ゆっくりと口を開いた。
「お前に1つ、言っておくことがある」
「なんだ?」
人間は、もはや首を起こして私の方を見るなどといった無駄な動きはしないようになっていた。
大の字の格好で天井を見つめたまま、声だけで返事をする。
「約束の1ヶ月まで後7日だが・・・もし雄のドラゴンが産まれなければ、お前にはもう用はなくなることになる」
「元のところに帰してくれる・・・ってわけにはいかないのか?」
「・・・・・・」
言葉に詰まった私の沈黙が、人間の不安を煽ったようだった。
この里に足を踏み入れた以上、人間がここを生きて出ることはありえない。
ここにいる人間たちに残されている道は、我々の期待に応えて重宝されるか、期待に応えられずに食い殺されるかの2つに1つだ。
だが、この人間にはどう考えても後者の道しか残されていないように思える。
「どうなんだよ?」
「残念だが、それはない・・・」
ここからではよく見えなかったが、微動だにしない男の顔に焦燥の表情が浮かんだような気がした。

その日の晩、人間は必死に私の責めに耐えるようになった。
「ぐ・・・ぐぅぅ・・・・・・」
7回、8回と私に精を搾り取られても、人間は歯を食いしばって懸命に意識を保ち続けた。
そこには、苦痛とも呼べる快楽の波に飲み込まれそうになりながらも、その背後に迫る死の恐怖からがむしゃらに逃れようとする姿があった。
「その調子だ・・・」
ゴキュゴキュゴキュ・・・
休みなく続けられた責めに15回目の射精を迎え、ついに男の最後の一滴がペニスから放たれた。
「く・・・は・・・・・・お、終わり・・・だろ・・・?」
「ああ、よくぞ耐えたものだ」
「へへ・・・」
力なく笑いを浮かべると、男がそのままぐったりと地面に倒れ込む。
寿命が20年は縮まったような人間の憔悴した表情の中に、かすかに満足感のようなものが漂っていた。

ついに、待ちに待った1ヶ月目の夜がやってきた。
人間は結局あの日以来1度も途中で気絶することなく、己の役目を遂行した。
だが、結局のところあの人間の運命はこれから産まれてくる子供の手に握られているのだ。
もし願い届かず雄のドラゴンが産まれなければ、男はこの1ヶ月間の苦しみの甲斐もなく無残な死を遂げることになるだろう。
私は柔らかい砂で作った床の上に跨ると、大きく育った命の卵をポトリと産み落とした。
1時間もすれば、硬い殻が割られ中から子供が這い出してくるだろう。
そしてそのとき、人間の運命もまた決まるのだ。
手を縛り付けていた蔓を噛み切ってやると、人間は軋む体をヨロヨロと起こした。
これから自分がどうなるのか、その判決を自分の目で確かめさせるのだ。

「なあ・・・もし雄が産まれなかったら・・・俺は・・・」
「今は考えるな。いずれ覚悟を決める時がくる」
何時間にも何日にも感じられた人生で最も長い1時間が過ぎると、砂床に置かれた卵にピシッとヒビが入った。
卵の中から小さなドラゴンの手が覗き、割れた欠片を掴み取っていく。
「きゅぅ・・・」
やがて、小さな泣き声と共に卵の大きさの割に体の小さなドラゴンが1匹、ぽっかりと開いた穴の中から這い出してきた。黄色いドラゴンがその子供に近づく。
頼む・・・雄であってくれ・・・
だがドラゴンはがっくりと肩を落とすと、ボソリと一言呟いた。
「残念だ・・・」
「そ、そんな・・・」
いきなり、ドラゴンがクルリとこちらを振り向いた。その表情から先程まであった微かな温和さが消え去り、ドラゴンの獲物を睨み付ける鋭い視線が俺の体に突き刺さる。
「ま、待ってくれ!頼む、もう1度・・・もう1度だけチャンスをくれ!」
ジリジリとドラゴンがこちらに向かって迫ってきた。明らかに俺を・・・こ、殺す気だ・・・
「気の毒だがお前の運命はもう決まったのだ」
「あ・・・ああ・・・無理矢理さらってきて犯した挙句に食い殺すなんて・・・こんなの、あんまりだ・・・」

絶望に涙を流しながら、人間が必死で私から逃げようとする。
だが依然足に絡みついた蔓は解くことができず、動かぬ体を懸命に後ずらせていた。
私はパニックに陥った人間を足元に組み敷くと、悔恨と恐怖と涙でくしゃくしゃになった顔をじっと覗き込んだ。
「ああ・・・嫌だぁ・・・殺さないでくれぇ・・・」
この人間も、私の期待に応えられなかった1人として散っていくのだ。
しっかりとその最期の顔を目に焼き付けると、私は大きく口を開いた。
「うわああああああああああ!」
またしても消え行く命を彩るべく、辺りに断末魔の悲鳴が響き渡った。

「きゃうっ」
今まさに俺の頭が噛み砕かれんとしたその時、仔竜の甲高い泣き声が聞こえた。
反射的に、ドラゴンが声のした方向を振り向く。それは、小さく穴の開いた卵の方から聞こえてきたようだった。
「まさか・・・?」
一縷の望みをかけて、黄色いドラゴンがフラフラと卵に近づいていく。
表面に空いた穴から卵の中を覗くと・・・もう1匹の子供が仰向けになって動いていた。
そして、その股間から突き出ていた小さくとも立派な肉棒がドラゴンの目に止まる。
「お・・・おおおおお・・・」
「ど、どうしたんだ?」
だが、答えなど聞かなくてもわかった。卵は双子だったのだ。そして、いまだ卵の中にいる仔竜が、ドラゴン達が心待ちにしていた雄だったのだろう。
感動に打ち震えたドラゴンが、再び俺の前までやってくる。
「よくやった、よくやったぞ。フフフ・・・フハハハハハハハ・・・」
ドラゴンが大声で笑いながら、俺の足に巻き付いていた蔓を噛み切っていく。
「お前のお陰だ。お前のお陰で、我々は救われたのだぞ!」
ようやっと自由になったかと思うと、ドラゴンが俺に飛び付いてきた。
そして上にのしかかられたまま、ベロベロと何度も顔を舐め上げられる。
「お、おい、わかった、わかったからよせって」
「フフフフ・・・フフフフフ・・・」
ドラゴンは笑いが止まらないようだった。それ程、彼らにとっては重要なことだったのだろう。
だが、俺はこれからどうなるんだろう?雄のドラゴンが産まれた以上、殺されることはないだろうけど・・・

ドラゴンは長い長い歓喜の笑いから解放されると依然として俺の上に乗っかったまま言葉を紡いだ。
「もうお前を離さぬぞ。これからも、お前は私の夫として生きていくのだ」
「じゃあ・・・助けてくれるのか?」
「当たり前だ。なぜお前を殺す必要があるというのだ?お前にはこれからも・・・」
まさか・・・
「たっぷりと働いてもらわなければならんからな」
「え・・・ちょ、ちょっと待ってくれ・・・働くって一体・・・」
「決まっているだろう?もっと多くの子供を産むのだ」
さも当然のことのようにドラゴンが言い放った。
「そ、そんな・・・もうあんなのはむ、無理だよ・・・」
「お前はさっきもう1度チャンスをくれと言っていたではないか。だから1度と言わず、何度でもくれてやる」
そう言って、ドラゴンが微笑を浮かべた。

またあの快楽地獄を味わわされるのかと思うと少々気が重かったが、それでも俺はほんの少し安心していた。
もう人間の生活に戻ることはできないだろう。
だが、ここには俺を必要としてくれるドラゴンがいるのだ。なに、覚悟を決めればいいさ。
「ああ・・・それじゃあ、早速今夜からでも始めようか?時間を無駄にはできないんだろ?」
「フフフ・・・生意気なやつめ・・・」
偉業を成し遂げて疲れ切った俺とドラゴンは、そのまま抱き合うようにして夜まで眠った。
きっと、これからも上手くいく。1ヶ月ぶりに与えられた本当の安らぎに甘えながら、俺はこのドラゴンを最高の妻だと思えるようになっていた。



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