ひととせの仔竜

    

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「気をつけて行ってくるのよ」
「なに、ほんの1年のお別れだよ」
2匹の大きな生物が、体長1メートルくらいの小さな生物に交互に話しかけた。
「うん、行ってくる!」
小さな生物―――短いフサフサの毛に覆われ、小さな手足と尻尾を持った黄色のドラゴンは、両親の見送りの言葉に後押しされて人間界へと旅立った。
ドラゴンの世界では、13歳になった雄のドラゴンを、人間界で1年間旅をさせる慣わしになっていた。
もっとも、人間界のことをよく知らぬ大抵の子竜は、高校や大学へ通う1人暮しの男の子の家に突然押しかけてはそこでひっそりと1年を過ごし、またドラゴンの世界へと帰るのだ。
小さなドラゴンは、高鳴る胸を押さえながら人間界へと通じる光の扉をくぐった。

突然、フッと体が軽くなった気がした。人間界って不思議なところだなぁ・・・などと考えていたが、すぐにドチャッという音がして子竜は都心部から少し離れた、団地の公園の砂場に墜落した。
「イタタタタ・・・もう、いきなり空に出るんだったら先に言ってくれたらいいのに・・・」
あまりに急に空中に放り出されたため、子竜は翼を広げるどころか自分が落下していることを認識する暇すらなかった。でもとにかく、まずはこの身を受け入れてくれる人間を探さなければならない。
幸い時間は深夜のようで、多少動き回っても人目につくことはなさそうだった。

子竜は小さな翼をパタパタと羽ばたいた。ふわりと体が浮かぶ。
見た目の体格の割に翼は決して大きくはなかったが、子竜は翼ではなく血で飛ぶのだ。
目の前に聳え立っていたマンションの窓から、カーテンの開いている部屋を次々と覗き込んでいく。
子竜が最上階の部屋の窓を覗き込んでいると、唐突に部屋の明かりがついた。
「うわ、やばっ」
慌てて隠れ場所を探す。だが、時既に遅かった。
明かりをつけるスイッチに手を伸ばしたまま、15歳くらいの少年が窓の外に突然現れた奇妙な黄色い生物を見つめたまま固まっていた。

「な、なんだ!?」
窓の外にいる侵入者を見て俺は一瞬泥棒かと思って身構えたが、よく見るとそれは黄色い小さな生物だった。
今まで見たことのない不思議な姿をしている。全身を覆う黄色いの短毛はどこか光の粒を巻き散らすように輝いて見え、短い両手足の小さな指にはかわいいが鋭い爪が伸びている。
さらに恐怖に縮こまっているのか小さな尻尾がくるんと巻き上がり、その生物はベランダの隅で震えていた。敢えて姿を形容するとしたら、それはドラゴンだった。
俺は正直、そいつを可愛いと思った。恐る恐る窓に近寄ると、恐怖と驚きで逃げることも忘れているその小さなドラゴンを部屋に招いた。
どんな反応を示すかと思ったが、ドラゴンは案外素直に部屋に入ってきた。
「あ、ありがとう・・・」
別に何かをしてあげたつもりはなかったが、ドラゴンは震える声でそう言った。
「お前、一体なんなんだ?」
俺は明らかに人間ではない生物が人語を話したことよりも、その正体の方に興味が集中した。
「僕・・・ドラゴンの世界からきました」
ドラゴンの世界・・・まあドラゴンだから当然か。
「で、俺に何か用なのか?」
またも重要な部分をスルーして次の質問をする。すると、ドラゴンは困ったように俯きながら口篭もった。
「あの・・・その・・・」
何か言いたそうだ。俺はドラゴンの目の前にしゃがむと、笑いかけるようにしてドラゴンを安心させた。
「あの・・・い、1年だけ、ここに置いてください!」
それが精一杯勇気を振り絞って言った一言であろうことは容易に想像がつく。
俺は一瞬どうしようかと迷ったが、こいつをこのまま外におっ放り出すのもかわいそうだと思った。
「ああ・・・いいよ」
「ほんとにっ?ほんとにいいの?」
顔をパッと輝かせて、小さなドラゴンが心の底から嬉しそうな声を出した。
「ただし条件があるぞ」
「条件?な、なに・・・?」
突然不安そうな顔になるドラゴン。感情の起伏が激しい奴だ。
「俺にちゃんと訳を話してくれ」
ドラゴンはもっと無理難題を突き付けられると思っていたのか、再び元気を取り戻して答えた。
「うん!」

俺は砂だらけになったドラゴンを風呂場につれて行って洗ってやり、一緒にベッドに入っていろいろなことをドラゴンから聞いた。
ドラゴンの世界のこと、ここにきた理由、いきなり砂場に落ちたこと。
その興味深い話の数々に俺は朝までドラゴンとの会話に耽っていた。

翌日、俺は家に押しかけてきたドラゴンを残して学校へ出かけた。
絶対外にはでるなと言ってある。向こうもあまり人目にはつきたくないようだから、約束が破られることはないだろう。
もっとも、俺の部屋の中で何をするかわかったもんじゃないけど。

学校が終わって家に帰ると、ドラゴンは俺のベッドでスゥースゥー眠っていた。
朝寝てたときと同じ格好だ。俺が学校へ行った後また寝直したのだろう。
「ん、ん~」
布団もかけずにベッドの上で仰向けになったドラゴンは、大きく背伸びをしながら寝返りをうった。
カバンを床において着替えてくると、ドラゴンがまた反対側に寝返りをうっている。
尻尾があるせいで真っ直ぐ仰向けになるのが難しいようだ。かといって真横を向くと鼻の穴が片方塞がって苦しいらしい。
俺は何度となくゴロゴロとベッドの上で転がるドラゴンを見て、ちょっといたずらしてみたくなった。
服を脱いでベッドに登ると、ドラゴンの体を真っ直ぐ仰向けに固定してやり、いきなりその上からドスンとのしかかった。
「んっ!」
ドラゴンが一瞬苦しそうな声を上げたが、起きる様子はない。
フサフサで柔らかいドラゴンの腹がムニュっと形を変え、俺の腹の肌とピタッと密着する。
「はあぁ・・・」
その上、押し潰されているにもかかわらずドラゴンの体毛がさわさわと動き、俺はくすぐったいような気持ちいいような感覚に思わず喘いだ。
しかし、これで起きないとは強情な奴だ。俺はドラゴンの体の下に両手を差し込み、ギュッと抱き締めた。
巨大なマシュマロを抱き潰したかのような、柔らかい弾力が腕の中で弾ける。
その上、さわさわ感が両腕にも広がり、俺はそれだけで陶酔していた。
だが、それでもドラゴンは声一つ上げずに寝息を立てている。
「こいつ・・・こうなったら意地でも起こしてやる」
俺はドラゴンの鼻の穴を指でキュッと塞いでみた。10秒くらいして、ドラゴンが息苦しさのあまり顔を振って逃れようとした。指を離してやると、またスゥースゥーと寝息が聞こえてくる。
まるで赤ん坊だ。だが、俺のベッドの上でこれ以上我が物顔でゴロゴロさせるわけにはいかない。
俺はふと思いついて、ドラゴンに密着させていた腹を離した。
よくみると、ドラゴンの股間に小さな突起のようなものが出ている。
それを確認したときの俺の顔を鏡で見たら、きっとどこぞの悪徳将軍のような顔をしていたことだろう。
俺はとりあえず、ドラゴンの股間から生えた小さな突起を親指と人差し指で摘んでみた。
ドラゴンには別にこれといった反応はない。そこで、俺は摘んだ突起をクリクリと捻り回してみた。
「ひゃうっ!」
ドラゴンが甲高い声を上げて両手と両足を跳ね上げ、目を覚ました。
そして、キョロキョロと辺りを見回して、股間の突起を摘んでいる俺に目を止めた。
「なに?今なにがどうなったの?」
何かよく分からないが突然与えられた刺激にとりあえず飛び起きたようだ。
「お前がなかなか起きないから、ちょっといたずらしてみただけだよ」
「いたずらって・・・?」
ドラゴンは何をされたのか興味津々の様子だ。まだこの快感を知らないとみえる。
俺はとりあえずその場は本当のことを言わないでおくことにした。
「その・・・鼻の穴を塞いだり、とか」
「もー、ひどいっ!」
短い腕を組んで鼻をツンと上げて小さなドラゴンが怒った。
「でもちょっと気持ちよかったかも・・・」
俺はその一言に危うく腹を抱えて大笑いするところだった。

辛うじて笑いを堪えてキッチンへいくと、俺は夕食の準備にとりかかった。
そう言えば朝は何も食べさせなかったが、ご飯は何をやればいいんだろう?
そう思いながら冷蔵庫を開けると、今日のために楽しみに取っておいたはずの牛肉のパックが消えていた。
その他にも卵が何個か無くなっている。
部屋の方を見ると、恐る恐るこちらの様子を伺っていたドラゴンと目が合った。
こいつめ・・・
その不穏な空気を感じ取ったのか、ドラゴンはまたさっとベッドに入って布団を被ってしまった。

最大の食事の楽しみを奪われた俺は、とりあえず残っていた卵で質素な夕食を取った。
ふつふつと涌き出る怒りと悔しさを噛み殺して寂しい食事を摂っている俺の姿をドラゴンが被った布団の隙間から震えながら覗いていた。

食事を終えると、俺はベッドの上で丸くなっている布団を剥ぎ取った。
小さなドラゴンが頭を抱えるようにして蹲っている。
「ごめんなさいごめんなさい!」
頭を抱えたまま必死で謝るドラゴン。俺は特に直接ドラゴンを怒ったわけではなかったが、ドラゴンは何かとんでもなく悪いことをしてしまったと感じているようだ。
「だめだ、許さないからな。食い物の恨みは恐ろしいって事を教えてやる」
俺は蹲ったドラゴンを無理矢理ひっくり返して仰向けにした。
「な、何するの・・・?」
既にドラゴンは目に涙を浮かべて恐怖にパニクっている。
その様子を見て、俺の心にちょっと残酷なものが芽生えた。
「お仕置きするに決まってるだろ」
俺はそう言ってドラゴンの股間から突き出ている小さな突起をギュッとつねった。
「ひゃあ!」
朝に飛び起きた時のような悲鳴を上げて、ドラゴンの体がビクンと痙攣する。
俺はそのまま小さな突起をグリグリと弄くり回した。
「あんっ、や、やめ、あふっ、あっ!」
初めて感じる不思議な感覚に、ドラゴンが尻尾をベッドにバシバシ叩きつけて悶える。
「ふーん、ずいぶん敏感なんだな」
「あ・・・な、何これ・・・気持ちいい・・・よぉ・・・」
小さなドラゴンは両手足をグッと縮こめて、必死で快感に耐えていた。
「もっと気持ちよくしてやる」
俺はドラゴンのモノをさらに激しく捻り回し、とどめをさした。
「ひっ!や、やめて、ごめんなさい!ゆるして!ア~~~~~~!!」
ドラゴンの甲高い悲鳴と共に、白い液体がピュッと突起から飛んだ。
あまりの快感に、ドラゴンは手足を思い切り縮め、拳を固く握り締めて震えている。
「ああん・・・ごめんなさい・・・はうぅ・・・」
涙をポロポロこぼしながら、ドラゴンがか細い声を絞り出した。
俺はさすがにかわいそうになり、そのままドラゴンをお風呂に連れて行った。

俺はまだ泣きじゃくっているドラゴンをタイルの上に座らせると、頭からお湯を数回かけてやった。
ふさふさになびいていたドラゴンの短毛が水に濡れてペタッと肌に張りつき、一転してツルツルに見える。
「ほら、自分で泡立てろ」
そう言ってドラゴンの頭にシャンプーをかけてやる。だが、初めての体験になかなかうまく泡が立たない。
「しかたのないやつだな」
見るに見かねて、俺はドラゴンのふさふさの頭に指を立ててワシャワシャと泡立ててやった。
柔らかい毛で覆われているだけあり、泡が見る見る大きくなっていく。
そして、山のように大きくなった泡を体中に擦り付けてやった。
「いたっ!」
突然ドラゴンが叫んだ。どこかぶつけたり引っ掻いたりしたのだろうか?
「いたい!いたいよ!目にしみるぅ!」
ドラゴンが真っ白な泡の塊のようになりながら、両手で顔を押さえて痛がっていた。
慌てて顔にお湯をかけてやった。温かいお湯が、ドラゴンの体に積もった泡の塊を洗い流していく。
念入りに目を洗ってやると、ドラゴンはようやく目を開けた。
目の周りが少し赤くなり、涙目になっている。
「あうぅ・・・」
力無い呻き声を上げて目を擦る小さなドラゴン。俺は全身にもお湯をかけ、泡を完全に流してから自分も体を洗って一緒に湯船に入った。
ドラゴンはようやく人心地ついたようで、浴槽の縁に両手を上げ、その上に顎を乗せて溜息をついた。
「もう勝手に冷蔵庫漁るんじゃないぞ」
「うん・・・わかった」
ドラゴンがしゅんとした表情で頷いた。
「でもなんか、ものすごく気持ちよかった」
今まで自分にそんなものがついていたことさえ知らなかったというような興味深げな目で、ドラゴンは股間から生えた突起を見つめた。そして、恐る恐る自分で触ってみる。
「ひうっ!」
想像以上の快感に、お湯の中で思わずビクンと体を震わせる。
そして、ドラゴンは何か思いついたように俺の股間に視線を移した。
そこには、ドラゴンのそれと同じように俺のペニスが揺れていた。
「あ、同じのついてるね」
ドラゴンはそう言うと、おもむろに俺のペニスをふさふさの手でギュッと握った。
「はうっ」
突然の攻撃とその快感に、俺も風呂の中で体を震わせた。
「やっぱり気持ちいいんだね」
ドラゴンはそう言いながらさらにペニスをしごき始めた。お湯の中でふさふさの柔らかい手が何度も俺の弱点を搾った。
「うおっ!おいやめろってうあっ!」
あっという間だった。ものの10秒もしないうちに、俺は抵抗する間もなく風呂の中で射精させられた。
白い筋状に固まった精液が、浴槽の中を漂う。
「はああぁ・・・」
気持ちよすぎる。しかも射精したというのに、ドラゴンはペニスをしごく手を止めなかった。
敏感になったペニスを何度も搾られ、俺は快感にのたうち回った。
「あはははっ」
その様子を、ドラゴンが笑いながら見つめていた。
ゴシュゴシュゴシュゴシュ・・・・
「や、やめろ、ああっ、あ~~~~!」
夜のマンションに、俺の悲鳴が響き渡った。

「あはは・・・あれ?」
初めは俺がのたうち回る様を見て笑っていたドラゴンも、半ば放心状態で痙攣を繰り返す俺を見てさすがに違和感を感じたようだ。
「これ以上やるとまずいのかな・・・」
ドラゴンはペニスをしごいていた手を離すと、俺の両肩に小さな手をかけて揺さ振った。
「ねえ大丈夫?起きてよっ、ねぇってば」
その心配そうな声に、俺はハッと我に返った。そして、不安げに顔を覗き込んでいたドラゴンを見つめる。
「ああ・・・大丈夫・・・」
俺はフラフラと浴槽から出ると、ドラゴンと一緒にシャワーを浴びて浴室から出た。
それ以来一言も喋らない俺の様子に、ドラゴンは不安を隠せないようだ。
タオルで不器用に体を拭くと、そわそわと俺の顔色をうかがう様に距離を取ってついて来た。
俺は心の奥底でメラメラと燃え盛る復讐の炎を押し隠しながら、笑顔を作って努めて明るくドラゴンに言った。
「風呂洗ってくるから、先に寝てろよ」
その様子に安心したのか、ドラゴンはピョンとベッドに飛び乗って布団をかけた。
精液がついた浴槽を洗い終わると、俺はそっとドラゴンの様子を確認しにいった。
ドラゴンは既に眠りについていた。厚い週間マンガ誌を枕代わりにして、横を向いても鼻の穴が塞がらないように工夫して寝ている。
何の不安もなさそうな穏やかな寝顔で、スースーと小さな寝息を立てていた。
その顔を覗き込んだ時の俺の心の内を表現するなら
「クックックッ、どうやって料理してくれようかッ」
ってヤツだ。可愛さ余って憎さ100倍という言葉がしっくりきた。

俺はドラゴンを起こさないようにそっと布団を剥ぎ取った。
もっとも、昼に俺のボディプレスとベアハッグを食らっても起きなかったドラゴンだ。
布団を剥いだくらいでは起きないだろう。
布団の上に露わになったドラゴンの体は、すでに水気が完全に切れて体毛がふさふさとなびいていた。
そして、ぷっくりと膨らんだ太腿の間に、無防備な性感帯が顔を出している。
とりあえず、俺はその突起をピンッと指で弾いてみた。
「っ!」
声にならない息詰まりのような音とともに、ドラゴンがビクンと跳ねる。
「やっぱりこの程度じゃ起きないな」
さらに2度3度弾いてみる。
「ふっ!・・・んっ!・・・っ!」
小さな突起が弾かれて激しく揺れる度に、ドラゴンは息の詰まる声とともに弾んだ。
「あはは、おもしれー」
更なるいたずらに及ぼうとしたとき、俺はドラゴンが寝ながら涙を流していることに気がついた。
よくみると、手も握り締めている。
俺はもしやと思ってドラゴンに話しかけた。
「お前・・・起きてるのか?」
だが、反応はない。そこで、今度はドラゴンの突起を指で摘みながら話しかけた。
「寝てるならこれめちゃめちゃにしちまうぞ?」
ドラゴンが一瞬ピクッと動いた気がした。だが、やはり目を開ける様子はない。
「よーし、お前がそのつもりならまた死ぬほど気持ちよくしてやるからな」
ドラゴンが歯を食いしばるのがわかった。やはり起きている。
「・・・お前、なんで寝たふりなんかしてんだ?」
それを聞くと、ドラゴンはうっすら涙を浮かべた目を開いた。
そして今にも消え入りそうな小さな声で言った。
「だって・・・お風呂であんなことして・・・ごめんなさい・・・」
どうやらドラゴンは俺が怒っていたのを知っていたようだ。
「それでお前、起きてたのに我慢してたのか?バカだなー」
「だって・・・えぐっ・・・うっ、うっ・・・」
「心配しなくても外に放り出したりはしないよ」
「ほんとに・・・?」
ドラゴンはなおも不安そうな顔で聞き返した。
「ああ、ほんとだ。でも・・・」
「でも・・・?」
「お仕置きはちゃんとしないとなぁ」
俺はそう言って摘んでいたドラゴンの突起をくしゃくしゃに揉みしだいた。
「ひぁあっ!」
ドラゴンがビクッと跳ねた。さらに突起を指で摘んでしごく。
「あ、あひっ、ひぁっ、あ~~~~~」
夜のマンションに、今度は小さなドラゴンの悲鳴が響き渡った。

せっかく風呂に入ったのにまたベッドの上でイかれても困るので、俺は適当にドラゴンをいじめるとその横にゴロンと転がった。
それから5分もしないうちに、ドラゴンはもう眠っていた。
目にはまだ涙を溜めていたが、追い出される心配がなくなったせいか幾分安心しているように見える。
ドラゴンのふさふさの頭を撫でてやりながら、俺もいつのまにか眠りについていた。

それからドラゴンと過ごした日々は俺にとってとても楽しいものだった。
俺はドラゴンを決して部屋から出すことは無かったし、ドラゴンも自分で出て行くことは無かった。
1週間もするとドラゴンはシャンプーを泡立てるのも上手くなり、俺がシャンプーをかけてやると1人で雪男のように真っ白な泡を纏って遊ぶようになっていた。
それでもたまにシャンプーが目に入ることがあるようで、気がつくと顔を押さえて転げ回っていたりする。
今日も風呂場でドラゴンの泡遊びを眺めていると、ドラゴンが突然
「いたっ!」
という声を上げて目を押さえた。
そんなときはいつも俺が急いでお湯をかけてやるのだが、ふとこのままにしておいたらどうするんだろうという興味が沸いてきた。そして、俺はお湯を張った洗面器を片手にじっとドラゴンを観察した。
「いたいいたいっ!はやくお湯かけてっ、はやくぅ~!」
所々に黄色い体毛が見える泡の塊がモクモクと形を変えながら動いているように見える。
ドラゴンが必死に助けを求めるが、いつまで経っても救いのお湯はかけられなかった。
「ねえはやくかけてっ、いたいよ~!」
俺はその様子にさすがにかわいそうになってきたので、お湯をかけようと洗面器を持ち上げた。
だがその瞬間、痛みに耐えきれなくなったドラゴンが泡の塊を背負ったまま浴槽に飛び込んだ。
ザバーンという大きな音とともに泡の混じったお湯が溢れる。
呆気に取られて泡の浮いた浴槽を見ていると、ドラゴンが水面から顔を出した。
「なんでお湯かけてくれなかったの!?」
目の周りを真っ赤に腫らしたドラゴンが物凄い形相で俺を睨みつけている。
「いや、その・・・なんだ・・・」
俺はその勢いに圧倒され、思わず口篭もった。
「もう・・・すごく痛かったんだよ、ばかぁ!」
そう言ってドラゴンが泡の混じったお湯を俺の顔にバシャッと飛ばした。
「うわっ!」
泡が目に入り、ズキンと痛みが走る。
俺はすぐに蛇口から水を出して目をすすいだ。ようやく痛みが取れてドラゴンの方を見ると、ドラゴンは浴槽の中から赤く腫らした目でまだ俺を睨んでいた。
「ごめん・・・」
明らかに自分が悪いだけに、俺は強気に出ることができなかった。
どうにかドラゴンをなだめて風呂を上がると、俺はドラゴンを先に寝かせて風呂掃除を始めた。
飛び散った泡をきれいに流してベッドに戻ると、ドラゴンはもう寝ついていた。
「相変わらず寝つきのいいやつだな」
俺はドラゴンの横に転がると、すぐにウトウトし始めた。もうすぐドラゴンが家に来てから1年が経つ。
そういえばこいつ、1年だけ置いてくれって言ってたよな・・・
1年経ったらドラゴンの世界に帰っちゃうんだろうか?
家に居着いたドラゴンのことを誰にも言わず、ひっそりと暮らしてきた1年。
それは時々ちょっと辛かったけど、家に帰ればいつもこいつが出迎えてくれた。
そんなドラゴンがいなくなった後の生活を、俺は考えることができなかった。
できればいつまででも一緒にいたい。
そんなことを考えながら、俺は深い眠りについた。

やがて、1年目の日が来た。
ドラゴンは朝から何やら落ち着きがない。ウキウキしているのかと思えば突然寂しそうな顔をし、そうかと思えば何やら俺に言いたそうな態度を見せることもあった。
夕方になって、ドラゴンはようやく意を決したように口を開いた。
「ねぇ・・・僕と一緒にドラゴンの世界に行かない?」
俺は突然予想だにしていなかったことを言われて驚いた。
てっきり、別れの言葉でも切り出そうとしていたのかと思ったからだ。
「ドラゴンの世界に・・・?俺がか?」
魅力的な提案だった。それに、断わればこいつはもう俺の手の届かない所に行ってしまうんだろう。
それは、1年間ともに過ごしてきたこのドラゴンとの永遠の決別を意味していた。
「そうしたいけど俺は・・・」
ドラゴンはとても不安そうな表情で俺の答えを待っていた。
こいつにとっても、俺と別れるのは辛いことなのだろう。だが、一緒に行くことはできなかった。
こいつにとって人間界が自分の住む所じゃなかったように、俺にとってはこの世界が唯一無二の居場所なのだ。
「だめだ・・・俺は一緒に行けない。お前とは離れたくないけど・・・でも・・・」
不意に涙がこみ上げてきた。どうしようもない悲しさに打ちひしがれ、それ以上言葉が出てこない。
「くそっ!ごめんよ・・・俺は・・・」
地面をドンと叩き、俺は小さな声を絞り出した。
「ううん・・・わかってるよ。いいんだ・・・」
そう言うと、ドラゴンが金色の淡い光に包まれた。
ゆっくりとゆっくりと、その小さな体が空に向かって浮かんでいく。
「1年間、楽しかったよ。ありがとう・・・」
「ああ・・・俺も楽しかったよ・・・」
ドラゴンが最後ににこっと笑った。
体を包んでいた光が強くなり、その中に溶け込むようにして小さなドラゴンは消えた。
「うう・・・ううぅ・・・」
俺はその晩、広くなったベッドの上で枕を噛み締めていつまでも泣いていた。



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