剛と柔

    

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鋭く切り立った断崖と険しい丘陵に囲まれた、誰1人として人間の踏み入ったことのない深い森。
その森の奥では、快適な住み処を求めて数多くのドラゴン達が身を寄せ合って暮らしていた。
翼を持つ者は外界から食料を調達し、暖かい体毛を身に纏った者は冬の寒い時期に仲間達から重宝され、限られた洞窟の中で親の異なるドラゴン達がまるで家族のように静かな夜を過ごしているのだ。
そんな中、森の端の小さな洞窟で長い間共に暮らしている2匹のドラゴン達がいた。
全身をまるで苔むしたかのような深緑の鱗で覆った初老のドラゴン、グレン。
そしてグレンとは対照的に黄みがかった山吹色の体毛に身を包んだ若いドラゴン、サントロ。
明らかな外見の相違からも判る通り、彼らの間に血の繋がりは無い。
だがそんな彼らが心を通わせ共に暮らすようになったのは、ある雷雨の夜だった。

ドオオオオン!!ゴロゴロゴロ・・・
耳を劈く雷の音と顔を叩く大粒の雨、そして辺りを押し包んだ真っ暗な闇が、僕の恐怖を一層激しく掻き立てた。
いつものように母さんが森の外へ食料を取りに行ってから、もう3日目になる。
必死に歯を食いしばって暗い森の夜を独りで過ごしたというのに、結局2日目も母さんは戻ってこなかった。
きっと、母さんの身に何かあったのだろう。
だが外界での狩りの仕方はもう教わっているとはいえ、いくら真相を知りたくても僕の小さな翼では母さんを探せる程に長く飛び続けることはできなかった。

ついに孤独な3日目の朝を迎え、僕は心配のあまり住んでいた洞窟を飛び出していた。
酷く腹が減っていたが、今はそんなことを気にかけている場合ではない。
もしかしたら森のどこかに母さんがいるかもしれない・・・
心のどこかではそれが有り得ないことだとわかっているのに、僕はどうしても諦めることができなかった。
確かに外界には危険が一杯だ。特に、人間の存在が僕達にとっての1番の脅威だろう。
彼らは珍しいものや見慣れぬものをみかけると、凄まじい音のする武器で攻撃してきたりする。
母さんはこの森が平和に保たれているのは、何よりも人間が入って来れないからなのだと言っていた。
その母さんが、狩りの途中でまさか人間の手にかかってしまっただなんて考えたくもない。

恐ろしい想像にブンブンと頭を振りながら無我夢中で森の中を走っているうちに、何時の間にか空が黒雲に覆われゴロゴロという不穏な音を発し始める。
そしてピカッ!という眩い閃光が走ったかと思った次の瞬間、轟音とともに地面が揺れた。
ドドオオン!!・・・ゴロ・・・ゴロゴロ・・・
その衝撃が原因か否か、木々の梢で溜め込まれた雨水が大きな水滴になって森の中へと降り注ぎ、いつも風に靡かせていた体毛を濡らしてぺったりと体に貼り付けてしまう。
「ああ・・・体が重いな・・・」
厚い雨雲に陽光を遮られ、森の中はまだ昼間だというのに暗い闇が支配し始めていた。
このままでは、この森の中でさえ母さんを探すことはできないだろう。
僕はとりあえずどこかの洞窟で雨をやり過ごすことに決めると、キョロキョロと辺りを見回しながら雷雲に追われるようにして森の中を走り続けていた。

「はぁ・・・はぁ・・・」
長い体毛のお陰で雨の冷たさはあまり感じられなかったものの、僕は洞窟がなかなか見つからないことに焦りを感じ始めていた。
この森がどの程度の広さなのかはわからないが、狩りで外に出たときはそんなに広大な森には見えなかったような気がする。
確証は持てないが、もうそろそろ森を抜けてしまってもおかしくないくらいには走ってきたはずだ。
だが疲れ果ててぬかるんだ地面に腰を下ろそうとしたその時、僕はほとんど森の切れ目といっても差し支えないほど辺鄙なところに目的の物を見つけた。
洞窟だ。あまり大きいとはいえないが、雨を凌ぐだけならこの際そんなことはどうでもいい。
僕は萎えかけた気力を奮い起こすと、雨水を吸って重くなった体を引きずるようにして洞窟へと向かった。
森と外界を隔てる断崖のそばにぽっかりと口を開けた小さな洞窟・・・
昔は誰か住んでいたかもしれないが、今は多分誰も住んではいないだろう。
仲間達のほとんどは森の真ん中で暮らしているし、辺りに何の気配も感じないこの洞窟はどうにも寂し過ぎる。

ドオオオオオン・・・・・・ゴロ・・・ゴロ・・・
遠くで落ちた雷の音に後押しされるようにして、僕は慌てて洞窟の中へと飛び込んだ。
入り口は狭かったものの中は意外と奥まで続いているようで、足を踏み出す度に風や雷鳴が次第に小さくなっていった。
「だ・・・誰だ・・・」
薄暗い外の光もほとんど届かなくなり辺りが完全な闇に包まれたその時、誰かの消え入るようなか細い声が僕の耳に聞こえてきた。
「え・・・?誰かいるの・・・?」
てっきり誰もいないと思い込んでいた闇の中から突然声をかけられ、驚いて飛び上がってしまう。
「あ、ああ・・・もっと奥にいる・・・済まぬが・・・ワシに何か食料を持ってきてはくれんか・・・?」
その声を聞いて洞窟の奥に目を凝らすと、暗い色の鱗を身に纏った大柄なドラゴンが地面の上に蹲っていた。
何とも苦しげなその様子を一目見ただけで、彼がここしばらく何も食べていないのはすぐにわかる。

「あ、うん・・・ちょっと待ってて」
飢えに苦しんでいる仲間の姿を見て、僕は反射的に外に向かって走り出していた。
何か食べ物を・・・まだ昼間だから、外界なら兎くらいは捕まえてくることができるだろう。
僕は何時の間にか強くなった雨の降り頻る洞窟の外へと飛び出して濡れた翼を大きく広げると、大きく息を吸い込んで急峻な断崖から勢いよく飛び降りた。
バサッ・・・バサッ・・・
「ん~~~!」
濡れて重くなった体を自在に操るのは容易なことではなかったが、僕は何とか落下の風圧を翼に受けることに成功すると眼下に広がる草原に獲物の姿を探し始めた。

キラキラと鈍い光が一面を覆った短い草に反射して、まるで海の上を光の波が走っているように見える。
僕は雨とともに叩きつけてくる横風に煽られながらも、獲物が普段隠れている木や岩の陰に注意を配りながら飛び続けた。
「・・・あっ!」
その時、不意に草の中を動く影があった。
この雷雨からたった1匹逃げ遅れたのであろう野兎が、大きな岩の陰で震えている。
落ちつき無くキョロキョロと辺りを見回しながら不安な表情を浮かべる野兎には可哀想な気もしたが、僕は一気に獲物の背後に降り立つと小枝のように細いその首筋にガブッと噛み付いた。
牙を立てずに首を締めつけて獲物を窒息させると、野兎を口に咥えたまま再び暗い空へと飛び上がる。
獲物を持ったまま台地のようになった僕らの森へ飛んで戻るのは大変だったが、僕はなんとか森へ辿り着くとフラフラと洞窟の中へ入っていった。

真っ暗な洞窟を奥まで進んで飢えに弱ったドラゴンの前に捕まえてきた野兎を置くと、彼は嬉しそうに擦れた声をあげた。
「おおっ・・・済まぬなお若いの・・・ありがとう」
「いいから、早く食べなよ」
「それじゃあ、お言葉に甘えるとしよう」
ガツッ・・・ムシャ・・・モグモグ・・・
その返事とともに闇の中に咀嚼音が響き始めると、僕はしばらくの間じっと押し黙っていた。
だがものの数秒で久し振りの食事を終えると、彼がゆっくりと腰を上げる。
「助かったよ。ここ数日何も食べていなかったのでな」
「どうしてこんな所に住んでるの?もっと森の奥に行けば仲間達が食べ物を分けてくれるはずだよ」
「ワシの娘が狩りの仕方を教えている途中で人間のために命を落としてな・・・少し、独りになりたかったのだ」
それを聞いて、僕は母さんのことを思い出していた。
やはり母さんは狩りの途中で人間に・・・
「そう言うお主は、どうしてこんな辺鄙な所までやってきたのだ?」
「母さんが狩りから戻らないんだ・・・本当はどこかでまだ生きてるんだって思って探したけど・・・僕・・・」

自分の言葉が相手を不安にさせてしまったと思ったのか、彼は慌てて僕の所までやってきた。
「そうか・・・気の毒にな・・・ならば、ここでワシとともに暮らさぬか?お主には何もしてやれぬが・・・」
「・・・うん・・・そうするよ」
ゴロゴロゴロロ・・・
その時、静寂が再び戻ってきたのを待っていたかのように僕の腹が盛大な音を立てて鳴った。
「あ・・・」
「何だ、お主も腹が減っていたのか!?」
まさか今しがた獲物を獲ってきた僕が腹を空かせていたとは流石に思っていなかったらしく、彼がびっくりしたように尋ねてくる。
「もう3日も何も食べてなくて・・・でも、さっきはあんまり夢中で忘れてたよ・・・アハハ・・・」
「ハッハッハハハ・・・面白い奴だな・・・」
その日から、母親を失った僕と愛娘を失ったドラゴンとの奇妙な生活が始まることになった。

一緒に暮らし始めてからすぐのことだが、彼は自らをグレンと名乗った。
本来は例え仲間に対してといえどもそう簡単には自分の名前を教えることなどないのだが、お互い最後の家族を失った身なのだ。
誰にも知られていない名前ほど無意味なものはない。
だから彼は、グレンは信頼の証として僕に名前を教えてくれたのだ。
僕も母さんにつけてもらったサントロという名をグレンに教えた。
お互いに名前を知っている仲間は、多分この森の中でも僕達だけなのかもしれない。

グレンは、よく娘の話を僕に聞かせてくれた。
彼自身は翼を持っていないが、妻の方にはそれはそれは美しい翼があったそうだ。
それで2匹の間に産まれた子供にも、母親に似て大きな翼が生えていたらしい。
その娘は雌だというのに狩りがとても上手で、ある時には両手と尻尾と背中に4匹も獲物を担いできたことがあるという。
だがそんな彼女も、ある日大勢の子供達に飛び方を教えていた時に突然人間に撃たれてしまい、何とか森に戻ってくることはできたもののそのまま力尽きてしまったらしかった。
「酷いね・・・」
「もう1年になる。断ち切らなければならぬのはわかっているのだが・・・子供達を見ると辛くなってな・・・」
グレンは悲しみを湛えた眼で僕の方に向き直ると、まるで親が我が子を心配するかのような口調で後を続けた。
「だからサントロ、お主も外界へ出た時は十分に気をつけるのだぞ」
「うん、わかってるよ」

グレンとの新しい生活を始めてから、早くも3ヶ月が経とうとしていた。
高温多雨の夏が終わりを迎え、もうすぐ実りの季節がやってくる。
そしてそれは、僕らの繁殖の季節でもあった。
森の中ではあちらこちらで雄と雌のドラゴンが並んで歩いていて、ちょっと茂みや大木の陰を覗き込めばそこでは熱い行為が繰り広げられていることがほとんどだ。
僕自身も何か体の奥底から興奮のようなものが湧き上がってくるのを感じるが、どういうわけか彼女を見つけようという気にはなれなかった。

「帰ったよ」
いつものように狩りの後の森見物を終えると、僕は捕まえてきた2匹の野兎を持って洞窟の中へと入っていった。
当時は飢えで弱っていたグレンも体だけはすっかり元の力を取り戻していたものの、やはり痛手を受けた心の方は癒えるのに時間がかかるのだろう。
外には明るい陽光が降り注いでいるというのに、グレンは今日も暗い洞窟の奥で寂しげに蹲っていた。
「ああ・・・お帰り、サントロ」
「グレン、たまには外に出ないと体を壊しちゃうよ」
「そうだな・・・」
そう返事はしたものの、グレンはのそりと起き上がると獲物の野兎に手をつけ始めた。
もっと元気を出してくれればいいのだが・・・
だがほとんど有り得ないとはわかっていてもまだ母さんが生きているかもしれないという希望を持つことができる僕と違って、グレンは自分の娘が亡くなる所を見ているのだ。
その引き裂かれるようなグレンの悲しみを想像すると、僕は彼と一緒に黙って食事を続ける以外になかった。

その日の夜、ワシはどうにも深い眠りに落ちることができずにウトウトと夢と現実の境をさまよっていた。
サントロはこの3ヶ月の間、1日も欠かさずワシの為に食料を獲ってきてはワシの体を気遣ってくれている。
なのに当のワシときたら、心の底に穿たれた楔を抜くこともできぬまま自分の殻に閉じ篭ってばかりいるのだ。
そんな若い仲間に苦労ばかりかけているという我が身の情けなさが、辺りを包んだ暗闇と同じ色をした深淵にワシ自身を深く沈み込ませていく。
「・・・サントロ・・・?」
特に用事もないというのに、ワシはまるで縋るような声で隣で寝ているサントロに呼びかけた。
だが、返事はない。
長い首を巡らせてサントロの方へと目を向けると、彼はよほど熟睡しているのかコロンと仰向けにひっくり返ったまま、無防備な腹と首筋をワシの方へ向けて眠っていた。
繁殖期だからなのかそれとも若さの成せる技なのか、暗闇の中でも明るく見える山吹色の腹の下に若竹のように隆起した小さな肉棒が顔を覗かせている。
「サントロ・・・」
もう1度小さな声でサントロに呼びかけてみるが、やはり起きる気配はないようだ。
いやもしかしたら、ワシはサントロに目覚めてほしくなかったのかもしれない。
年老いたとはいえいまだ内から湧き上がってくるある種の疼きが、何時の間にかワシの首をサントロの股間へ向けて伸ばさせていた。

ペロッ・・・
「んっ・・・」
そして小さく伸びた若芽にそっと舌を這わせた瞬間、サントロの体がピクンと鋭い反応を示す。
ワシはそれに驚いて思わず反射的に舌を引っ込めたものの、サントロの小さな手がギュッと握り締められたのを目にした途端に何かがワシの中で弾けた。
パクッ・・・クチュ・・・ジュル・・・
サントロの両足を開くようにして地面の上へと押さえつけ、すっかり全貌が露わになった若者の肉棒を口に含む。
そしてその肉棒にゆっくりと長い舌を巻きつけると、ワシはじわりと染み出す唾液を擦り込むようにしてそれをしゃぶり始めた。
「ん・・・ふあ・・・ぁん・・・」
まだ目は覚ましていないようだが、次々と股間に送り込まれる快感にサントロが小さな声を上げながら身を捩る。
ワシは夢中で肉棒をしゃぶりながら、サントロの手が快感にパタパタと振られる様子を眺めていた。

「あ・・・あぅ・・・グ、グレン・・・?一体何して・・・あっ・・・」
この上もなく甘く、それでいて耐え難い不思議な刺激に、僕はハッと目を覚ました。
顔を上げると、グレンが僕の股間に一心不乱にむしゃぶりついている。
肉棒を擦り上げられる度、巻きつけられた舌に締め上げられる度、そして肉棒全体を激しく吸い上げられる度に、僕は短い悲鳴にも似た声を上げて体を仰け反らせた。
ぐつぐつと煮だつ熱い何かが股間に向かって競り上がってくるのを感じ、慌ててグレンを制止する。
「グ、グレン・・・やめ・・・あっ・・・だ、だめぇ・・・」
ブシュッ・・・ビュッビュビュ~~・・・
だが抵抗も空しく、僕はさっきまでよりも一際強い締め上げに屈してグレンの口の中に熱い白濁液を放った。
まるでそれを待っていたかのように、グレンが僕の肉棒を思いきり吸い上げる。
「あ、あ~~~~~~~~~!!」
頭の中が真っ白になるような激しい快感に、僕は限界まで背筋を反らせてプルプルと震えていた。

「は・・・ぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
グレンがようやく肉棒から口を離すと、僕は全身の力が残らず抜けてしまったかのような感覚にグッタリと地面に倒れ込んで荒い息をついていた。
グレンの方はというと、まるで自分のしたことが信じられないというような表情で僕の姿を呆然と見つめている。
「サ、サントロ・・・大丈夫か・・・?」
グレンは一体どうしていいのかわからないといった様子でしばらくの間オロオロとしていたものの、やがて僕の安否を気遣うように恐る恐る声をかけてきた。
「わかんない・・・なんか・・・頭の中真っ白になっちゃった・・・」
「悪かった・・・何故かこう・・・ワシにも上手く言えぬのだがつい・・・な・・・」
「ううん・・・僕も感じるよ。ドクンドクンって心臓の音が聞こえるし、それに体がすごく火照るんだ」

サントロはそう言うと、ゆっくりとその小さな顔を持ち上げた。
かなり興奮しているのか、その体中が深い橙色に紅潮している。
フサフサの体毛から暖かい体温が鱗越しに伝わってきて、ワシはサントロが起き上がるのを手伝ってやった。
そして彼を闇の中で腰を据えて座らせ、お互いに間近で見つめ合う。
しばらくの間、サントロは何も言わずにじっとワシの目を覗き込んでいた。
だがやがてその頭が低く垂れ下がり、大きく張り詰めていたワシの怒張に向けてサントロの口が開かれる。
レロ・・・チュルル・・・
「うく・・・ぬ・・・」
サントロの小さな舌先が肉棒の周囲をチロチロと這い回り、ワシはその切ないこそばゆさに天を仰いだ。
そして小振りの林檎を1つ丸のみにできるかどうかというサントロの口に肉棒をパクリと咥え込まれ、その柔らかな舌と口内の肉壁にそそり立った最大の性感帯を余すところなくしごき上げられる。
グリュ・・・ヌリュッズリュゥッ・・・
「くあっ・・・サ、サントロ・・・」
とても初めてとは思えぬサントロの舌使いと容赦のない愛撫がもたらす無上の快感に、ワシは背後に伸びた尻尾をバシバシと何度も地面に打ちつけながら喘いでいた。

やがて激しく身悶えるワシの様子に不安を感じたのか、サントロがそっと口を引く。
だがワシは咄嗟にその頭を両手で捕まえると、なおも続けるようにとサントロの口を股間に押し当てた。
「ん、んぐぐ・・・」
グチュッ・・・チュパッ・・・
ワシの強引な拘束に苦しげな呻き声を上げながらも、サントロが肉棒への責めを再開する。
「うぬ・・・い、いいぞ・・・サントロ・・・」
やがてワシの限界を察知したのか、野兎の息の根を止める時のようにサントロが肉棒の根元を強く締めつける。
そしてそのままワシの肉棒に舌を巻きつけると、とどめとばかりにサントロの口が思いきり引き抜かれた。
ズリュッグリュグリュグリュリュッ
「うああっ!」
ビュビュッビュルルルッ
敏感な肉棒全体がこれでもかとばかりに激しく擦りおろされ、堪える間もなく雄の滾りが中空に吹き上がる。
そして勢いよく吐き出された精が、眼前にあったサントロの顔へと直撃した。
「わっ!うっ・・・ゲホゲホ・・・ゴホッ・・・」
思わず幾許かの精を飲み込んでしまったのか、サントロがゴホゴホと激しく咽る。
だがやがてそれが落ちつくと、彼は口の周りについた白濁をペロリと舐めとってしたり顔の笑みを浮かべていた。

「んもぅっ、ひどいよグレン」
相変わらず顔に張り付いた微かな笑みは絶やさぬまま、サントロが怒ったようにそう言った。
「す、済まぬ・・・」
またしても若い仲間を酷い目に遭わせてしまったと思い、軽い自己嫌悪に肩を落とす。
そんなワシの前で、サントロが体に飛び散った白濁を舐め取っていた。
「でもこれ・・・不思議な味がするね・・・」
ペロッ・・・ペロッ・・・チュパ・・・
汚れた体を清めようと自分の腕を舐め上げ翼の先をしゃぶり、柔らかな腹にもウンウンと必死に首を伸ばそうとしているその姿はワシの目にも実に可愛らしく映った。

「ねえグレン、僕届かないからさ・・・ここ舐めてよ」
見ると、サントロが自分の胸の辺りについた精の雫を指差しながらワシの方に視線を向けている。
そのまま指で掬い取ればよさそうなものだが、どうやら彼はどうしてもワシに取ってもらいたいらしかった。
「ワシが・・・舐めるのか?」
「うん、お願い・・・」
仕方ない・・・
ワシは言われるままにサントロの胸に口を近づけると、舌先でそこについた自らの精を掬い取ってやった。
ペロッ・・・
「・・・これでいいのか?」
「ここも・・・」
そう言って、サントロが今度は首筋についた雫を指差す。
「むぅ・・・そこもか」

ペロ、ペロッ
「あっ・・・」
流石に首筋を舐められるのはくすぐったかったのか、サントロが再びか細い声を上げる。
だがそこに残った最後の1滴を舐め取った瞬間、サントロが突然ガバッとワシの体に飛びついてきた。
その勢いのまま仰向けに押し倒され、ワシの首にサントロの短い首がクルリと絡みつく。
「なっ・・・ど、どうしたサントロ?」
「いいから・・・もうちょっと、このままでいて・・・」
だが今にも消え入りそうな声でワシの耳元にそう囁く間に、2本の尻尾までもが螺旋状に絡み合わされていく。
そして小さな両腕でワシの体を力一杯抱き締めながら、サントロがブルブルと小刻みに身を震わせていた。
「サントロ、お主一体・・・」
何をするつもりなのかと抗議の声を上げかけたまさにその時、ワシはようやくサントロの異変に気が付いて言葉を切った。
「うぅ・・・うっう・・・」
耳を澄ませば確かに聞こえてくる、まるで喉の奥から絞り出したかのような小さな嗚咽・・・
そして首筋を伝い落ちる、温かい涙の感触・・・
ワシの体に身を委ねたまま、サントロが声を必死に押し殺して静かに泣いていた。

「・・・母親が恋しいのか?」
「母さん・・・毎日僕の体を舐めてくれたんだ・・・でも・・・もう帰ってこないんだね・・・」
「サントロ・・・」
この洞窟へやってきた日以来ワシの前では悲しむ素振りなど微塵も見せなかったサントロが、今初めて自分の母親の死を実感として受け止めていた。
狩りを教わったばかりだということは、サントロは産まれてからまだほんの数年しか経っていないのだろう。
そんな子供と言っても差し支えないような小さなうちに突然母親を亡くしてしまった悲しみは、抑えようと思っても抑えきれるものではない。

「他の若い仲間のもとへ行くといい。ワシはお主を辛い目に遭わせてばかりいる・・・共に暮らす資格などない」
だがその言葉を聞くと、ワシを抱き締めるサントロの腕にさらにギュッと力が込められた。
「いいんだグレン・・・僕は気にしてないよ・・・それに、僕がいなくなったらグレンはどうするの?」
「ワシの心配などしている場合か。今のお主には心の支えが必要だ。森で幸せに暮らせる仲間を見つけるといい」
そう言ってサントロの体を抱き止めながら、ワシはその背中を摩ってやった。
それに応えるように、サントロがそっと翼を揺らす。

「じゃあ僕・・・ここに残る」
擦れたような涙声が耳に届き、ワシはサントロの顔をこちらに向けてみた。
サントロの顔一面を覆った山吹色の短い体毛が流れ出した涙でクシャクシャになっていて、その上時折ヒックとしゃっくりを上げている。
だがその透き通った水色の両眼には、いつもと同じように明るい輝きが宿っていた。
「本当にいいのか?」
「うん・・・僕、グレンのために毎日食べ物獲ってくるから・・・グレンとずっと一緒に暮らしたいんだ」
「それなら、今夜はもう寝よう・・・だが本当に、ワシはお主には何もしてやれぬぞ」
そう言うと、サントロがワシに巻きつけた尻尾を解きながらそっと俯いた。

そして尻尾と同じように互いに絡み合った首も無事に解けると、サントロが一呼吸置いてから小さく呟く。
「僕は、グレンと一緒にいられればそれだけで幸せだよ・・・だから、1つだけお願いを聞いてくれる?」
「何だ?」
断られるのが怖いのか、それとも照れ隠しなのか、サントロがワシの胸にグッと横顔を押しつけた。
だがその言葉を聞く前に、ワシにはすでにサントロの願い事が分かっていた。
そしてもちろん、それを断るつもりもない。
やがてワシが予期していたのと一言一句違わぬサントロの呟きが、暗い洞窟の中に響き渡った。


「明日からはグレンのこと・・・お父さんって呼んでもいい?」




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