ジェオライル

    

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夢から目覚めるように、何気なく目が覚めた。
しかし、視界に飛び込んできたのは自分の見慣れた部屋ではなく、
どこかの森の木陰だった。
首を曲げ、隣を見るとライルがこちらを見ていた。
私は、その瞬間に気づいた。また、やってしまったのだ。
「ああ、ごめん。俺、またやっちゃったの?」
ライルは、私が目覚めて意識がはっきりしていることを見定めると、冷たく視線をそむけた。
「ふむ。まただ…。
全く、人間という存在は弱くて敵わない。」
ラィルはそういって腕を組んだ。
「今回の殺られ方は派手だったぞ。
私の背中に乗ったお前は、やつの攻撃を受けて胴体から二つに千切れ折った。
私がいるから生きているようなものの、お前はどうしてそう脆いのだ。」

そっと腹部に手を当てる。
着込んでいた装甲が、腹部の辺りで引きちぎられている。
私の腹の皮膚に、つぎはぎしたようにどす黒いごつごつしたの固体が張り付いている。
ごつごつとしたその表面は、ライルの鱗のようにも見える。
横一文字に並んだ鱗が、別の生き物として鼓動している。
あと2時間もして傷が完治すれば、鱗は自然に剥がれ落ちる。
「私の体内の血が枯れない限り、そうして生きていられるが…。」
ライルは、左手を開いてその平につけられた傷を見た。
そして、ぐっと握った。
「このままでは、お前に血を使いすぎて、私は干からびてしまうな。」
こちらを振り向いて、怒ったような表情を見せる。
その口の片端が笑っている。
「ふふ。本当だね。そのときは、ドラゴンの干物として、おいしくいただくことにするよ。」

握った左拳で、ライルが私の額を軽くつつく。
「私が干からびたら、誰がお前を助けるのだ。」
手加減しているつもりだろうが、かなりの力だ。
私は、この突っ込みに耐えられず、いつも後ろに倒れてしまう。
今日は運悪く、後ろに木の根があったらしい。
私は、意識の揺らぎと星を見た。
その音で、ライルは飛び上がった。
「ば、ばかものっ…。後ろを見ないで倒れるやつがいるか?」
ライルが私の頭をなでながら抱き起こした。
「そんな急に振り向けないよ。
っ…、星が見えた…。」
ライルは、その言葉を聴くと、噴出した。

「で、ライル。結局、事態はどうなっちゃったのさ?」
私は、自分がやられる瞬間までの記憶を思い出していた。
空を飛ぶライル。
その背中にしがみつくように私が乗っている。
私は、一般の生物には良く効く、小型の大量乱射マシンガンを撃っていた。
弾を撃ちつくして、ベルトに手をかけようとした瞬間、
敵の打ってきた衝撃波を受けてしまったのだ。

はじめは、振り落とされてしまったのかと思った。
ゆっくりとライルが離れていく。
…しまった!
しかし、そのライルの体に、私の下半身が張り付いている。
私は、視線を落とした。
胴から下のない自分の体を確認し、何がおきたかを把握した。
体が落ちていく。
死を認識した意識は、自分から闇へと落ちていった。

「…ジェオ。聞いているのか?」
ライルが私を揺さぶった。
「え、ああ、何…?」
ライルは首を横に振って、ため息をついた。
「自分から聞いたというのに、話を聞いていなかったのか?」
私は、こめかみと額の汗をぬぐった。
「ああ、ごめん…。」
うつむいていた私の顔を、ライルが覗き込む。
「ふむ。…また思い出していたのか?」
「え…、うん。思い出してた…。」
自分の手のひらをライルの頬に当てる。
その手は小刻みに震えていた。
ライルは、私の手を取り、両手で握った。
私の瞳を覗き込むと、私をやさしく抱き寄せた。
「死は、冷たく、何もない…。」
私は、ライルの肩元で、そう言った。
「人間には、死ぬこと以上につらいことなのかもしれない。
生き返るということは…。」

「…もういいや、ライル。」
ライルは、私が震えていないのを確かめるように、ゆっくり体を離した。
「つらいか…。
私にできるのは、このくらいしかできない。」
私は首を横に振った。
「ううん。十分…。
ライルは、冷たいのにあったかいね。」
ライルは静かに笑いながら言った、
「ふふ、わからないことを言う。」
「そうだね、俺、変だね。」
私は、再びライルの体に擦り寄った。
ごつごつとした鱗は、外の空気と同じ温度で、暖かいとはいえない。
でも、ライルの胸ほど暖かいものはないのだ。
「どうした。十分じゃないのか?」
「ごめん、やっぱりもう少しだけ。」
ライルは黙ってうなずくと、私の背中に手を回した。


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